印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):76   −−以下 指導案本文−−          第6学年国語科学習指導案                  日 時 平成8年10月22日(火)1校時                  児 童 男18名 女19名 計37名                  指導者  関 根 邦 彦  1  単元名 十二歳の記録(光村6年下)      教材名  「今、わたしは、わたしたちは」  2  単元について   6年生の表現領域の目標は、「目的や意図に応じた文章を書く力」を育てるこ  とである。そのためには、次のような作文の力を育てていかなければならない。   ・目的に応じて必要な事柄を集め、全体を見通してから書く力   ・目的に応じて文や文章の組み立ての効果を考えたり、文章全体の流れを考え    たりして書く力   ・根拠となる事象と感想、意見などとを区別して文章に書き表す力   ・自分の書いた文章を読み返し、効果的な叙述の仕方について工夫する力   本単元の指導においては、「目的(要旨のはっきりした文章)に応じて文や文  章の組み立ての効果を考えたり、文章全体の流れを考えたりして書く力」を育て  ることに重点を置く。   本単元は、自分が十二歳であることを自覚し、自分の生活ぶりや周りの人々と  のかかわり方、自然や社会に対する考え方を振り返って、自分の考えが明確に伝  わる文章を書くことや、内容や表現方法を工夫して記録できるようにすることを  ねらいとする。   「今、わたしは、わたしたちは」という標題から、「十二歳の自分を支えてい  ることばや宝物」「自分の考え」「将来への夢や希望」など、子供たちの内に秘  めた、たくさんの思いや願いなどを表現する学習を通して、卒業までの日々を大  切に生きていこうとする心構えをつくることができる。   教科書における作品例として@今の自分の考えや心に残ること(作文)Aこの  一年間の行事や出来事(文とイラスト)Bみんなの好きな言葉とその思い出(イ  ンタビュー)C未来の自分・夢の履歴書の創作D好きなものベストテン(アンケ  ート)Eわたしの宝物(寄せ書き)が示されている。文章以外にイラスト・表や  図、寄せ書きなど話題や方法も多彩で、個人作品や共同作品と学習方法も変化に  富んでいる。また、卒業アルバム作りに取り組む時期でもあることから、本教材  は子供たちが自分の個性を生かしながら楽しく意欲を持って表現活動に取り組む  ことのできる教材だと考える。   本単元は1学期で学習した「生活を見直して」で身近にある諸問題に目を向け  てきたことや小教材「さまざまな表現に目を向けて」でさまざまな表現方法を知  り、効果的に表現の工夫をする学習に直接関連している。また、説明文単元「み  んなで考えよう」に述べられている内容もこの作文単元で立ち向かう問題と共通  点がある。これらの学習を生かしながら、「今の自分を支えるさまざまなことを  振り返ったり、今の自分を考えたり、将来のことを想像したりしながら、要旨の  はっきりした文章を書くことが学習の中心となる。そして、卒業を目の前にし、  十二歳の自分を意識して書く、この活動は単元「思い出をシナリオに」の学習に  いかされていくことになる。  3  児童の実態   子供たちは、四月に「今年の作文計画」により、1年間の行事の思い出を記録  として残していくことを見通し、意欲を持って学年をスタートしている。これま  でに「生活を見直して」では、資料・調査を通して分かったことをもとに生活意  見文を書きあげている。「さまざまな表現に目を向けて」では、これまでに学習  した文章や書きあげた作品を、相手や目的によって違う形(表現の仕方)に書き  直す学習をしている。そのほか日常の指導として、これまでの対外的な行事や学  校行事での作文や日記、一日の出来事短作文など、様々な題材、文種に触れる機  会を多く持っている。   これらの活動を通し、子供たちは書くことに対しての意欲が高まり、中心や要  旨のはっきりとした文章を書こうとするようになってきている。しかし、題材や  相手意識をしっかりもって取り組むこと、効果的な全体の構成や表現を工夫し書  き上げることのできる児童は少ない。また、書く材料は決まっていても「何を、  どのように書いたら良いのかわからない子」や「書いていることの焦点がぼやけ  てしまう子」もみられる。そのため、相手意識や題材意識をはっきりさせ、自分  の思いをより効果的に伝えるための表現の工夫に気付かせ、活動を通して支援し  ていく必要があると考える。  4.指導にあたって   児童個々が興味・関心を持ち、意欲的に学習できるように、次の点に留意して  いきたい。  (1)題材について    本単元の内容は、大きく「個人が作るもの」と「全体で作るもの」とに分け   られる。個人が作るものとしては、「十二歳のぼく・わたし文集」という形で   取り組ませ、グループが作るものとしては、卒業の時期に「壁新聞」とするこ とで取り組ませたい。自分たちの十二歳の記録をどう残し、誰に読んでもらい たいかをじっくり話し合わせることで、読み手意識を高め学習の意欲化を図る。 個人が取り組む作文では、@今のぼく・わたしを支える言葉や宝物 A今、 ぼく・わたしが考えていること、熱中していること B未来のぼく・わたし等 の自分の書きたいテーマを選択させ題材を自由に考えさせる。 全体で取り組むものは、卒業時期に廊下に掲示するねらいで取り組む。内容 については教科書の題材等を参考にし、学級の特徴がでる題材を引き出せるよ うにする。 (2)学習形態の工夫 題材は個人ごとのテーマ選択となるため、学習形態の工夫をしなければなら ない。題材のテーマ選択と共に、自分のテーマに従って今まで学習したことを 生かし、学習形態を「文種コース選択別学習」を取り入れる。一人一人がテー マによって、意見文・生活文・物語文・説明文など文種も選択できることを指 導し、自分なりの表現の工夫を取り入れさせたい。 また、文種コース別選択学習とするために、ワークシートの工夫も考えてい   く。ワークシートはどの子供にも、単元の学習が見通せるものや、文種に合っ   たワークシートを作成し、目的に応じた文章表現ができるように工夫する。  (3)参考作文・参考資料の工夫    本単元は題材・文種など「選択別学習」となるため参考作文・参考資料を工   夫しなければならない。ある特定の文種についての参考資料に偏らず、どの文   種を選択した子供にも生かせるように、基本的な文章表現の工夫や構成の工夫   がつかめるものを提示したい。    参考作文は、児童の実態に合わせたものを用意し、作文の量ではなく自分の   思いを効果的に、幅広い表現方法で工夫しているかが大事であることがみえる   ものとし提示する。  (4)評価について    各時間「読み手に自分の思いを伝えるための工夫」についての具体的なめあ   てを立て、意欲面と共に自己評価、あるいはグループ内での評価を行う。また、   出来上がった作品について、お互いに読み合い友達の作品の良さを認め合える   ようにする。  5.指導目標   (1)関心・意欲・態度      ・十二歳の今、自分が考えていることや思っていること、抱いている夢       等についてテーマや文種を選択し、読み手に良く伝わるよう、意欲を       持って文や記録を書こうとする。   (2)技能目標      ・要旨や主題のはっきりした文章を書くことができる。      ・書こうとする文章の種類や目的に応じた構成の文章を書くことができ       る。      ・書いた文章を読み返して、効果的な表現になるよう、文章を練ること       ができる。    (3)言語事項      ・目的に応じた指示語や接続語、文末表現などを的確に使うことができ       る。 6.指導計画(11時間) +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+ 段階 | 学   習   内   容 |時間| +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+ |つ ◎作文を書くことや記録を残す目的をつかみ、学習への関心 | |か |を持つ。 | | |む | (1)教材文を読み、どんな文集や記録を残したいか話し合 1 | | | う。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+ | ◎文集の内容・方法を工夫して記録に残す。 | | | |(1)目的に応じた作文の書き方について学ぶ。 | | |学 | ・教科書の作文例を読み、効果的な文章構成について考| 1 | | | える。 | | |ぶ |(2)自分の作文のテーマや文種を決定し、教科書の作文例や | | | 参考作文などをもとに表現の工夫をしながら書く。 | | |・ | ・自分の作文のテーマ(題材)や文種を決定する。 | 1 | | | ・目的に応じた表現の工夫について考えながら、メモを|1(本時) | | とる。 | | |つ | ・要旨や主題が伝わるように工夫しながら、構成メモを| 1 | | | 作る。 | | |く | ・要旨や主題が読み手によく伝わるように文章表現を工| 1 | | | 夫しながら作文を書く。 | | |る | ・推敲し、清書する。 | 1 | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | ◎壁掲示として模造紙に張り出す内容を記録に残す。 | | | |(1)班ごとに取り組む内容を決定、取材し、表現の工夫を | 1 | | | して記録する。 | | | | ・記事内容が生きるように表現の工夫をする。 | 1 | | | ・効果的なレイアウトの工夫をする。 | 1 | | | ・内容が工夫されたものになったか見直す。 | 1 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+ |ま ◎作品をまとめる。 | | |と | ・文集に表紙をつけたり、壁面掲示の作品を仕上げたり| 1 | |め | する。 | | |る | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+  7.本時の指導   (1)本時の目標     ・自分の選択した題材に合わせて、意欲的に材料を集めることができる。     ・要旨や主題が伝わるような材料を集め、取材メモを作成することができ     る。   (2)指導にあたって     本時は、自分の作文のテーマや文種を決定し、その目的に応じて全体を見    通しながら、取材メモを作ることが中心となる。本単元は題材及び、文種の    選択学習となるため、参考作文・参考資料に工夫が必要となる。参考資料か    ら自分の目的に合った取材メモを作成するためには、どうすればよいかに気    づかせ学習を進めていきたい。     「学ぶ」段階では、今まで学習した文種(生活文・意見文・物語文など)    のメモの特徴を振り返り、自分の目的に合った取材メモの特徴を学ぶ。その    後、全体の課題を受け、自分の取材メモ作りの目当てを明確にさせる。     「つくる」段階では、学習を進める際、同一文種ごとの4人グループに分    かれ学習する。各文種ごとのワークシートを準備し、グループ(文種)に合    った支援を心がけたい。     「まとめる」段階では、要旨や主題が伝わるような材料を集めることがで    きたか、作品としての全体を見通し、中心を考えた取材メモづくりができた    かという観点で自己評価を行う。 (3)展開 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 前時の学習内容 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ◎ 教科書の作文例をもとに、「十二歳のぼく・わたし文集」を作成するねらい| | で、自分の作文のテーマ・文種を決定する。 | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |教師の働きかけと | | 段階 学 習 内 容 | 予想される児童の反応 | 教師の支援・評価 | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | 1 学習内容を確認 ○十二歳の記録として、みん ・十二歳の記録を残すた| つ |する。 |なはどのようなテーマを考え|めの文集づくりに選ん| | | |ましたか。 |だ題材をほめ、意欲を| | | | ・思い出の品物(宝物) |高め導入する。 | | | | ・自然についての考え | | か | | ・思い出の先生の言葉 | | | | | ・自分の将来の夢 | | | 2 本時の学習課題 ○自分の思いが伝わるような ・取材メモを作成する | | |をつかむ。 |取材メモを作ることが今日の ねらいを確認し、本時 | む | |学習です。 の学習の意欲を高める。 | | | | | | | |+−−−−−−−−−−−+| | 3 | |自分の思いを伝えるための|| | 分 | | 取材メモを作ろう。 || | | | |+−−−−−−−−−−−+| | | | | | | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | 3 取材メモを振り ○自分の思いを伝えるために ・児童が選んだ文種につ | | 返り、自分の文種 は、どのような取材メモを作 いて基本的な取材内容 | 学 に合った取材方法 ればいいでしょう。 を確かめる。 | | を考える。 | | | ぶ | | | | | | | | | 15 | ○どんな取材メモを作るか、 | | 分 | 自分の今日のめあてを決めま | | | | しょう。 | | | | |・意見文として、事実と自 | | | | | 分の考えを区別した取材を | | | | | します。 | | | | |・生活文なので、事実とそ | | | | | +−−−−−−−−−+| | | | の時感じたことがくわしく |取材の内容を理解し|| | | | わかるような取材をします。 自分なりのめあてを|| | | |・物語文を選んだので、あ |持ち、学習に意欲を|| | | | らすじを考え、時間や場所 |持つことができたか。| | | | に注意して取材します。 |(意欲・関心・態度)-発言- | | | +−−−−−−−−−+| | | | | | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | 4 目的に合った取 ○自分のめあてにむけて取材 | | | 材メモを作成する。メモを作りましょう。 ・机間巡視をして、文 | つ | | 種や個人に合った支援 | | | | をする。 | | | | | | く | | ・書きあげた児童には、 | | | 目的や要旨に合った材 | | | | 料の選材をさせる。 | る | | | | | | | +−−−−−−−−−+| | | | 自分の文種に合った || | | | 内容で取材すること || 22 | | ができたか。 || 分 | | |(技能)-ワークシート- || | | | +−−−−−−−−−+| | | | | | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ ま 5 作成したメモを ○自分の作成したメモを見直 ・自分のめあてを自己 | と 振り返り、自己評 しましょう。 評価し、成就感を味わ | め 価する。 | わせる。 | る | | | | | 6 次時の学習内容 ○次の時間は、自分の思いを | | 5 について知る。 更によく伝えるために全体の | | 分 | 構成を考えます。 | | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | 次  時  の 学  習  内  容 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | ・自分の思いを伝えるための構成を考え、構成表をつくる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+