印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):90   −−以下 指導案本文−−          第2学年  国語科学習指導案                                 児童 2年1組 男10名女13名                                 授業者 岩 崎  菜 穂 子 1.単元名  気もちを考えて読もう 2.教材名  お手紙 3.単元について   (1)教材について      この作品は,一通の手紙を通して,かえるくんとがまくんの心が触れ合い,前よりもさらに深     まっていく二人の友情が主題として描かれている。      一度も手紙をもらったことがないがまくん。がまくんが,来るあてのない手紙を待つ心は,友     達を求める心であり,人との触れ合いを望んでいる心である。そんながまくんの思いを自分の思     いとして受け止め,何とかがまくんを喜ばせようとして自分が手紙を書くことを思いつくかえる     くん。手紙なんか来るわけがないとすねてあきらめているがまくんを元気づけ励ましながら,自     分の出した手紙が来るのを今か今かと待っているかえるくん。がまくんに手紙が来ることへの期     待を持たせようとするかえるくんの言葉は,主題追究にとって大切な部分である。      しかし,かたつむりくんに頼んだ手紙はなかなか着かない。かえるくんは,待ちきれずにがま     くんの気持ちを引き立てるため,とうとう自分が手紙を書いたことを話してしまう。それを聞い     たがまくんは,かえるくんの優しさに触れて感激し,親愛の情は一層深まっていく。      また,この作品では通常予想しない行動,例えば,かえるくんが自ら手紙を書くこと,かたつ     むりくんに依頼すること,我慢できずに言ってしまうこと,二人で一緒に待つといった行動に対     して楽しんで読んでいける。      二人の友情のかけ橋となった手紙の使者としてかたつむりくんが登場するが,「まかせてくれ     よ。」「すぐやるぜ。」と気軽に引き受けたのに,四日たってがまくんの家に着いたというユーモラ     スなところは,ゆったりとした広がりを感じさせる。このかたつむりくんのおかげでかえるくん     もお手紙を待つ楽しさを知ることになるのである。      この作品は,5つの場面から構成されている。一の場面は,がまくんの家の玄関の前,二の場     面は,かえるくんの家,三〜五の場面は,がまくんの家(玄関の前)というように場所の変化が     はっきりしている。      また,場面ごとに登場人物の行動や気持ちも大きく変わっているので場面の移り変わりがとら     え易くなっている。      表現上の特色としては,会話文が非常に多く,ほとんどががまくんとかえるくんの会話で進行     している。2年生である読み手にとって,かえるくんやがまくんに同化して読んでいける。した     がって,会話文の音読指導も読み取りに効果的である。      また,反復や対比の表現が多いことも児童の興味を呼び起こし,意欲的な読みにつながると思     われる。      以上のことから,人物の気持ちや場面の様子を豊かに想像したり音読したりして,単元の目標     を達成するのにふさわしい教材である。 (2)児童の実態      本単元の目標にせまり,主体的な読みの力の育成を図るために次のような観点で事前テストを     行い,児童の実態を調査した。    @主述関係をとらえる。    A会話文を指摘する。    B場面の様子が分かるように音読する。       C叙述に気を付けて内容を読み取る。    D指示語,修飾語,語句の意味を理解する。     その結果,@ABは大部分の子ども達ができているが,CDは正答している子がかなり少ない。     特に, Cについては,言葉に着目することが不十分なためであると考える。    ○主体的な読みの力の形成にてらして     ・叙述に即して内容を読む力         「言葉や文に着目する力」においては,主語・述語に着目して主述関係を押さえること        は,約8割の児童ができている。しかし,気持ちや様子を考える手がかりとなる言葉や登        場人物の心情の根拠となるところに着目して「言葉や文から内容を読み取る。」ことができ        る児童は,数名である。     ・自分で課題を追究する力         課題を設定する力については,自分がよく分からないことや不思議だなあと思ったこと        を「どうして〜だろう。」という文で指導してきたので,少しずつその力はついてきている。        しかし,中心価値に迫る課題を設定したり,選んだりできる児童はごくわずかである。     ・自他の考えや取り組みの良さに気づき,自分を向上させていこうとする力         これについては,自分の学習への取り組みを振り返ったり友達の頑張りに気づくという        段階である。友達の発表を聞いてはいるものの,自分の考えと比べたり,友達の良さを具        体的に発表したりできる児童はごく一部である。 (3)指導にあたって      2年生の目標の一つは「事柄の順序を考えながら話を聞いたり,事柄の順序や場面の様子の移     り変わりなどに注意しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに,易しい読み     物を進んで読もうとする意欲を高める。」ことである。      そこで,この教材では,児童の実態をふまえ,かえるくんとがまくんの初めの悲しい気持ちか     ら最後のうれしい気持ちに至るまでの事件の推移と筋道を叙述に沿って,言葉に着目させながら     読み深めていきたい。      そのために,全文視写をした後,登場人物の気持ちや様子の分かる言葉や文に印を付けたり線     引きをさせたり,できる子には言葉や文の横に疑問や自分なりの思いを書き込むようにさせたい。     また,読みの最終目的を「がまくんになってかえるくんに返事の手紙を書こう」と「音読発表会     を開こう」にし,目的意識をしっかり持たせたうえで読み取りの活動をさせていきたい。      登場人物の行動や心情をきめ細かく読み取らせるためには,児童が直感的に気づいたことも大     切にして,どの言葉や文からそのように感じたのかを見つけさせたい。その際には挿絵も手掛か     りにしながら叙述に即して読み深めるようにしたい。      また,人物の気持ちを言葉をもとに考えさせるために,各場面での中心的な会話や行動の文を     正確に視写させ,大事な言葉に着目させて考えさせたい。そして,二人の気持ちが分かる言葉や     文を見つけて線を引かせるときにも二人の気持ちの違いが対比できるように,がまくんには実線,     かえるくんには波線を引かせたい。   文章中に二度出てくる「ああ。」とか「がまくん。」などの呼びかける言葉,三箇所ある「かたつ     むりくんは,まだやってきません。」の文などは同じ言葉や文であっても,時間的な経過とともに,     奥に潜む心理状況は違ってくる。この心理状況の違いを音読などを通して理解させることによっ     ても,登場人物の心の動きをとらえさせたい。      また,児童の事前テストにおいて把握できた実態を展開の中で生かし,力を伸ばしていけるよ     うな発問や指名計画を組み立てていきたい。 4.目標 《関心・意欲・態度》 ○人物の行動に関心を持ち,人物になりきって読もうとする。 《表現》 ○がまくんになったつもりでかえるくんに手紙を書き,発表することができる。 《理解》   ◎場面の様子をとらえながら音読し,人物の気持ちの移り変わりや心の触れ合いをとらえることがで    きる。  《言語》   ○かぎの使い方を理解し,主述,修飾・被修飾の関係に注意すると同時に,いろいろな言葉に興味を    持つことができる。 5.学習指導計画(16時間扱い) 第一次(5時間) ○全文を読んで初発の感想を持ち,学習課題を考える。 (1)全文を読んで初発の感想を書き,発表し合う。 (2)挿絵を手がかりに場面分けをし,粗筋をまとめる。 (3)読みながら書き込みをし,自分の想像を持つ。 (4)(5)各場面の学習課題を設定する。  第二次(7時間) ○場面ごとに読み,かえるくんとがまくんの気持ちや様子を読み取る。 (1)手紙をもらったことのないがまくんの悲しみと,それを聞いて心を痛めるかえるくんの悲し     い気持ちを読み取る。 (2)大急ぎで家に帰って手紙を書くかえるくんの気持ちと,張り切っているかたつむりくんの様     子を読み取る。 (3)手紙を心待ちにしているかえるくんと,あきらめの悲しみを強くしていくがまくんの気持ち     を読み取る。 (4)悲観的になっているがまくんに励ましの手紙を書く。 (5)手紙を待ち切れずに打ち明けるかえるくんとそれを聞いて感動したがまくんの気持ちを読み     取る。 (6)手紙を待っている二人のとても幸せな気持ちを読み取る。 (7)四日間待って手紙をもらって喜んでいるがまくんの満ち足りた気持ちを想像する。 第三次(4時間) ○読み取ったことをもとに学習のまとめをする。  (1)がまくんになってかえるくんに返事を書き,発表し合う。 (2)(3)音読発表会をする。 (4)アーノルド=ローベルの他の作品を読み,本の紹介をする。 6.本時の指導 (1)ねらい 登場人物の言動に着目して,学習課題を作ることができる。 (2)指導にあたって     学習を進めて行く場合,児童がかえるくんになったりがまくんになったりしたとき,その人物    の言動に対して,おかしいぞ,不思議だ,なぜだろうと疑問を持つことが,読みを深めていく際    にとても大事であると考える。     そこで,どの児童にもその子なりの学習課題を設定させて学習に向かわせたいと考えて本時の    学習を組んでみた。     まず,読んでよく分からないところ,もっと詳しく知りたいところ,不思議に思うところの線    引きをさせる。線引きができない児童には,微音読させることで再度主述関係や会話文はだれが    言っているのかに着目させる。     また,線引きしたところが語句の場合は,その意味が分かっていないということなので,個別    指導あるいは全体指導を行う。     次に,線引きした所から学習課題を作るのであるが,その際学習の手引きを提示し,それを参    考にしながら作らせたい。     それでも作ることができない児童には,かえるくん,がまくんに聞いてみたいこととして作ら    せたい。     全体で話し合う前にまずグループ内で発表をさせる。どの児童にも発表させることで自信を付    けさせたい。また,友達の話を真剣に聞く態度を身につけさせるために話し手を見て聞くこと,    自分の課題と比べながら聞くことを指導する。     全体で話し合って共通課題を設定するときに,たくさんの児童が興味を示しているところをで    きるだけ取り上げるようにし,自分たちで作った学習課題であるという意識を持たせられるよう    にしたい。そして,共通課題にならなかったものでその場で解決できるものについてはその場で    解決を図り,解決できないものについてもどう取り扱っていくのか明確にしていきたい。 (3)展開 +−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+ |段 階| 学 習 活 動 | 教 師 の 働 き か け | 期 待 す る 児 童 の 反 応 | 指 導 上 の 留 意 点 |活動形態| 評 価 | +−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+ |つかむ|1.前時の学習の想|○1.2の場面では,どのような学習課題|・(1の場面)どうして二人ともかなしい気分|・前時の学習を想起させて,本時の学習の見通| 全 | | |( 5 分) 起をすること | を作りましたか。 | になったのだろうか。 | しを持たせる。 | | | | |2.本時の学習のめ| |・(2の場面)お手紙を書いているとき,かえ| | | | | | あてを確認する| | るくんは,どんな気持ちだったのだろうか。 | | | | | | こと | | | | | | | | +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | | | |よくわからないところを見つけ,自分の学しゅうかだいを|| | | | | | | |作ろう。 || | | | | | | +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | +−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+ |深める|3.3〜5の場面の|○聞いている人は,よくわからないところ|(3の場面) |・線引きがしやすいようにはっきりした声でゆ| 全 |○線引きすることがで| |(35 分) 音読をすること| もっと知りたいところ,不思議に思うと|・どうしてかえるくんは,「 。」 と言ったの っくりと音読させる。 | | きたか。 | | | (指名) | ころに線を引きましょう。 | だろう。 |・線引きができなかった子には,その場面を微| |+ 各場面ともできた。 | |4.個人の学習課題|○線を引いたところを「どうして」や「な|・どうしてがまくんは,「 。」 と言ったのだ 音読させる。 | |0 できない場面があった。 | | を設定すること| ぜ」「〜したときの〜の気もち」を使っ| ろう。 |・書き終わった人には,自分なりの考えがあっ| 個 |− 全然できなかった。 | | | ておたずねの文を作りましょう。 |・どうしてがまくんは,かえるくんの言ったこ| たら書かせる。また,その場で答えが分かる| | | | | | | とに反対するんだろう。 | ものについては,机間巡視をしながら解決を| | | | | | |◎がまくんとかえるくんの会話を抜き書きして| 図る。 | | | | |5.グループで発表|○発表する人は,はっきりした声で発表し| 二人の気持ちを考えよう。 |・聞いている人には,友達の課題が自分のと同|グループ| | | | し合うこと | ましょう。聞いている人は,自分の課題|(4の場面) | じなのか似ているのか気を付けながら聞かせ| | | | | | と同じかどうか比べながら聞きましょう|・かえるくんは,どうして「だって,ぼくがき| る。また,友達の課題でよいと思うものは自| | | | | | | みにお手紙出したんだもの。」と言ってしまっ| 分の課題に取り入れてよいことにする。 | | | | | | | たんだろう。 |・いろいろな課題が予想されるが,教師が支援| | | | |6.共通の学習課題|○みんなが作った自分の学習課題を発表し|◎ふたりとも,とてもしあわせな気もちになっ| しながら,各場面ごとにより望ましい学習課| 全 |○各場面の課題を作る| | | を設定すること| てください。その中から,みんなで考え| たのは,どうしてだろう。 | 題を決めさせる。 | | ことができたか。 | | | | ていく学習課題を決めましょう。 |(5の場面) |・できるだけ子どもの言葉で課題を作り,意欲| |+ 3場面ともできた。 | | | |◎手紙をまっている間,二人はどんなことを考| 的に学習に取り組めるようにする。また、共| |0 2場面だけできた。 | | | | えていたのだろう。 | 通課題以外の課題についても解決していくこ| |− 1場面だけまたは全然できない。 | | | | | とを確認する。 | | | +−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+ |広げる|7.学習をふり返る|・今日の学習は,楽しかったですか。 | |・友達の良さを認め合うようにさせ,次時から| 個 |○自己評価 | |( 5 分) こと |・各場面の学習課題を作ることができまし| | の学習への意欲を持たせる。 | |◎よくできた | | | たか。 | | | |○できた  | | | |・大きな声で発表できましたか。 | | | |△もう少し | | |・友達の話をしっかり聞けましたか。 | | | | | +−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+ (4)評価    登場人物の言動に着目して,各場面の学習課題を作ることができたか。    子どもの言葉で課題を