印刷用紙:B4縦 1ページの行数:53 1行の文字数(半角で):106   −−以下 指導案本文−−                第3学年 国語科学習指導案                              日 時 平成8年10月18日(金)4校時                              児 童 3年1組 男16名 女13名 計29名                              指導者 氏家 眞起子 1 単元名 感想を大切に   教材名 モチモチの木(斎藤 隆介) 2 単元・教材について  (1) 教材について         本単元は、「場面の情景や、じさまと豆太との心情を想像しながら内容を読み取り、自分なりの感想をまと      めることができる。」ことが指導の重点になる。       教材「モチモチの木」は、夜になると家の前に立っているモチモチの木が怖くて一人では外へ出られない臆      病な豆太が、ある日、じさまの急病のため夜道を医者を呼びに一人で走った。じさまの苦しみようを見て、怖      さも忘れ、勇気ある行動をとったのである。その行動は、豆太を大切にし、かわいがってくれる大好きなじさ      まを思う気持ちが勇気に変わり、豆太を駆り立てたのである。「人間、やさしささえあれば、やらなきゃなら      ねえことは、きっとやるもんだ。」というじさまの言葉が主題を端的に表している。      この教材は五つの場面から成り立っている。        @ 「おくびょう豆太」(豆太の不遇な境遇と臆病な性格)        A 「やい、木ぃ」(豆太とモチモチの木とのかかわり)        B 「霜月二十日のばん」(豆太に対するじさまの願い)        C 「豆太は見た」(真夜中の豆太の勇気ある行動)        D 「弱虫でも、やさしけりゃ」(また、臆病な豆太に戻る)       この作品は、創作民話としていかにも民話調の語り口と、モチモチの木の描写によって叙情的な味わいをよ      く出している作品である。全場面を通して、豆太を「かわいそうで、かわいい」と慈しみ、勇気のある子供に      育ってほしいと願うじさまと、じさまを心から信頼している豆太の二人の心の結び付きが描かれている。そし      て、豆太の心情の変化やじさまの願いがモチモチの木を通して描かれている。人物や情景の描写がはっきりし      ており、行動や会話に着目して読みを深めるのに適した教材である。また、じさまが元気になると相変わらず      夜に起こすような豆太に、共感しながら学習できる教材でもある。      (2) 児童について       児童はこれまで文学的な文章の読みの学習で、場面の様子や人物の気持ちを読み取る学習を様々な種類の作      品を通して進めてきた。3学年では、「つり橋わたれ」で人物の気持ちの変化や場面の移り変わりを想像しな      がら読む学習を、「三年とうげ」で人物の心の動きや場面の情景を想像する学習をしている。       文章を読んで書いてあることを順序よくとらえたり、直観的に場面の様子や人物の気持ちなどをとらえたり      することはできる。しかし、文や言葉を根拠に想像する力は十分とは言えず、読み取りの浅い児童が多い。       課題解決の見通しを持つことについては、手がかりになる文や言葉を見付けることができる児童が増えてき      ているが、まだ何に着目してよいかわからない児童もいる。       学び合いでは、友達の意見を聞くときには、自分の考えと比較して聞くことができるようになって来ている      が、自分の考えを積極的に発表できる児童は少なく、学び合いの中で考えを深めることはまだ十分ではない。  (3) 指導にあたって       見通し読みの段階では、題名や挿絵から想像させて話し合ったり、範読を聞いたり自分で読んだりしてあら      すじをとらえさせたり、語り口のおもしろさに気付かせたい。深め読みの段階では、場面ごとに豆太の行動や      様子に着目させ、豆太とじさまの心情や情景を想像しながら読み深めることができるようにさせたい。まとめ      読みの段階では、読後の感想文を書いて発表し合ったり、斎藤隆介の他の作品を読み、読書範囲を広げたりさ      せたい。       本時は、臆病な豆太がじさまの病気を心配し、夜道を一人で医者を呼びに行く場面である。じさまの苦しむ      様子を読み取らせ、この様子を見て「医者様をよばなくっちゃ。」というせっぱつまった状況に追い込まれた      豆太の気持ちや様子を読み取らせる。豆太の行動や様子に着目させて課題解決の見通しを持たせたい。また学      び合いでは、医者を呼びに行く豆太の様子や心情を想像させ、話し合ったり、豆太の気持ちを吹き出しに書か      せたりすることで、読みを深めさせたい。 3 指導目標  (1) 関心・意欲・態度       場面の情景や、人物の心情を想像しながら進んで物語を読もうとする。  (2) 表現       心に残った言葉や優れた描写の部分を視写して、いろいろな表現の仕方があることに気付き、自分の作文に      生かすことができる。  (3) 理解      場面の情景や、じさまと豆太との心情を想像しながら内容を読み取り、感想をまとめることができる。  (4) 言語      擬人法・体言止め・複合語などについて理解することができる。 4 指導計画(13時間扱い) 第一次 見通し読み ○全文を読み通し、学習の見通しを持つ。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−3時間 (1) 全文を読み、新出漢字・難語句を確かめあらすじをとらえる。−−−−−−−−−−−−−(1) (2) 感じたことをまとめて、初発の感想を書く。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(1) (3) 感想をもとに、学習課題を作る。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(1) 第二次 深め読み ○場面ごとに、豆太とじさまの気持ちや様子を読み取る。−−−−−−−−−−−−−6時間 (1) 豆太の境遇や性格を読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(1)  (2) 豆太のモチモチの木に対する感じ方や接し方の昼と夜の違いについて読み、豆太の性格を考 える。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(1) (3) 山の神様の祭りを見たいが、できない豆太の揺れ動く気持ちを読み取る。−−−−−−−−(1)  (4) 夜道を一人で医者を呼びに行く豆太の行動と、モチモチの木に灯がついたところを見た豆太 の気持ちを読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(2)本時1/2 (5) じさまと豆太の心の通い合いを読み取る。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(1) 第三次 まとめ読み ○全文を読み通しまとめる。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−4時間 (1) 全文を読み、心に残ったことを中心に感想文を書く。−−−−−−−−−−−−−−−−−(1) (2) 感想文を発表し合い、人物の気持ちが表れるように音読する。−−−−−−−−−−−−−(1) (3) 斎藤隆介の他の作品を読む。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(2) 6.本時の指導  (1)目標      夜道を一人で医者を呼びに行く豆太の様子を手がかりに、じさまのために勇気を出した豆太の気持ちを読み     取り、豆太へ手紙を書くことができる。  (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段| 学 習 活 動 | 教 師 の 支 援 | |階| (◎基 本 発 問) | (◎評 価) | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1.前時の学習内容を想起する。 |・見たいけれど夜中のモチモチの木を一人で見ることを考える| | | | と、すっかり自信をなくしてしまう豆太の臆病さを思い起こ |つ| | させる。 | | |2.本時の学習課題を確かめる。 |・一斉読をさせることにより、学習課題を把握させる。 | |か|+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | || 夜道を一人で医者を呼びに行く豆太の様|| | |む||子や気持ちを考えよう。 || | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |3.課題解決の見通しを持つ。 |・本時の学習場面を音読させる。 | |7| |・様子から気持ちが読み取れることを確認し、豆太の様子が書| |分| | かれているところに線を引かせる。 | | | |◎学習課題解決のための見通しをもつことができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |4.学習課題を解決するためにくわしく読み深| | |追| める。 | | |求|(1)線を引いたところを発表し、様子を想像|・発表をもとに、豆太の様子を想像させる。 | |す| する。 |「小犬みたいに体を丸めて」 「表戸を体でふっとばして」 | |る| |「ねまきのまんま」 「はだしで」 | | | |「霜が足にかみついた」 「足からは血が出た」 | |12| |「なきなき走った」 | |分| |・じさまの苦しんでいる様子にも気付かせる。 | | |(2)課題について自分の考えを書く。(一人|◎自分の考えを書くことができたか。(机間巡視) | | | 学び) | | +−+ | | | |(3)豆太の気持ちを発表する。(学び合い)| | |12| ◎夜道を一人で医者を呼びに行った豆太は|・「大すきなじさまの死んじまうほうが…」の言葉に着目させ| |分| どんな気持ちだったでしょう。 | て、自分のことよりも、じさまのことを心配する豆太の気持 | | | ちを読み取らせる。 | +−+ | | | |(4)課題についてまとめる。 |◎豆太の様子や心情、情景について想像をふくらませることが| |8|+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| できたか。 | |分|| 夜道はこわいけれど、大すきなじさまの|| | | ||死んじまうほうが、もっとこわい。 ||・医者を呼びに行く豆太に手紙を書かせる。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |ま|5.本時の学習についてまとめる。 |・豆太の気持ちが表れるように音読させる。(指名読) | |と| | | |め|6.次時の学習課題を確かめる。 |・次時は「豆太は見た」を学習することを確認する。 | |る| | | |6| | | |分| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5 文章構造図 +−+−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+ |材|面 | 題 | 構 成 の 要 素 | |題| | | | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ 重 要 語 句 | | |教|場 | 課 | 豆 太 | じ さ ま | モチモチの木・情景 | |主| +−+−−+−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+ | |太 |子 |・おくびょうなやつ |・すぐ目をさましてくれる|・モチモチの木がつっ立っ|・とうげのりょうし| | | |豆 |な |・もう五つにもなった |・自分とたった二人でくら| ていて | 小屋 | | | |う |ん |・夜中には一人じゃしょう| している豆太が、かわい|・空いっぱいのかみの毛を|・たった二人で | | | |ょ |ど | べんもできないのだ | そうで、かわいかった | バサバサとふるって |・かわいそうで、か| | | |び |はう | |・六十四の今、まだ青じし|・両手を「わあっ。」とあ| わいい | | | |く |太ろ | | を追っかけて | げるからって |・おくびょう | | | |お |豆だ | | | | |る| | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+あ| | | |木の |・「やい、木ぃ、モチモ |・木うすでひいて、石うす|・小屋のすぐ前に立ってい|・いばってさいそく|で| | | |のる | チの木ぃ、実ぃ落と | でひいてこなにする | る、でっかいでっかい木|・おこって |き| | |ぃ |チい | せぇ。」 |・しゃがんだひざの中に豆|・茶色いぴかぴか光った実|・おどかす |つ| | |木 |モて |・(昼間)かた足で足ぶみ| 太をかかえて | を、いっぱいふり落とし|・しょんべんなんか|び| | | |チっ | して、いばってさいそく| 「ああ、いい夜だ。… | てくれる | 出なくなっちまう|結| | |い |モ思 |・(夜)しょんべんなんか| 鼻ぢょうちん出して、|・木がおこって、両手で、|・かかえて、 |の| | |や |はうう| 出なくなっちまう | ねっこけてやがるべ。| 「お化けぇ。」って、上| 「…それ、シイ |心| | | |太どろ|・そうしなくっちゃだめな| それ、シイーッ。」 | からおどかす | ーッ。」 |い| | | |豆をだ| んだ |・かならずそうしてくれる| | |深| |木+−−+−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+の| | | |た |・「それじゃぁ、おらは、|・「…起きてて見てみろ。|・今夜は、灯がともるばん|・起きてて見てみろ|人| | | |い | とってもだめだ。」 | そりゃぁ、きれいだ。| |・自分も見たかった|二| | | |聞う |・ちっちゃな声で、なきそ|・おらも…。おとうも見た| | けど、 | | | |ん |をろ | うに | そうだ。一人の子どもし| | |り| | |ば |話だ |・自分も見たかったけど | か、見ることはできねえ| | |あ| |の|の |のの |・とんでもねぇ話だ | 勇気のある子どもだけだ| |・とんでもねえ |で| | |日 |んた |・「昼間だったら、見て | |・木のえだえだの細かいと|・「昼間だったら」| | | |十 |ばっ | みてえなぁ。」 | | ころにまで、みんな灯が| |さ| | |二 |の思 |・ぶるぶる、夜なんて考え| | ともって、木が明るくぼ| |し| | |月 |日う | ただけでも、おしっこを| | うっとかがやいて、まる| |さ| | |霜 |十ど | もらしちまいそうだ― | | でそれは、ゆめみてえに| |や| |チ| |二は |・はじめっからあきらめて| | きれい | | | | | |月太 |・よいの口からねてしまっ| | | |う| | | |霜豆 | た | | | |思| | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+を| | | | |・「じさまぁっ。」 |・「ま、豆太、心配すん | |・くまみたいに体を|ま| | | | |・じさまにしがみつこうと| な。じさまは、ちょ | | 丸めて |さ| |モ| | |・「じさまっ。」 | っとはらがいてえだ | |・歯をくいしばって|じ| | | |一は |・「医者様をよばなくっ | けだ。」 | | | | | |太 |をの | ちゃ。」 |・くまみたいに体を丸めて| | |は| | |豆 |道た |・小犬みたいに体を丸めて| うなっていた | | |の| | |く |夜け | 表戸を体でふっとばして|・ころりとたたみに転げる| | |も| | |行 |が行 |・ねまきのまんま。はだし| と、歯をくいしばって | | |た| |チ|に |太に | で。半道もあるふもとの|・ますますすごくうなる | | |て| | |び |豆び | 村まで― | | | |立| | |呼 |なよ |・霜が足にかみついた | | | |り| | |を |うをう|・足からは血が出た | |・すごい星で、月も | |駆| | |様 |ょ者ろ|・なきなき走った | |・一面の真っ白い霜で、雪|・小犬みたいに体を|に| | |者 |び医だ|・いたくて、寒くて、こわ| | みたい | 丸めて |動| |モ|医 |くでぜ| かった | | |・体でふっとばして|行| | | |お人な|・大すきなじさまの死んじ| | |・いたくて、寒くて|る| | | | | まうほうが、もっとこわ| | | こわかった |あ| | | | | かったから | | |・死んじまうほうが|気| | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+勇| | | |ののきう・ドンドンけとばした |『医者様』 | | |を| | | |チたでろ・死んじまいそうな気が |・「おう、おう―。」 |・月が出ているのに、雪が|・えっちら、おっち|太| | |た |モいがだ・もう一つふしぎなものを|・ねんねこばんてんに薬 | ふり始めた | ら |豆| | |見 |チつとぜ 見た | 箱と豆太をおぶう |・この冬はじめての雪 |・ドンドンけとばし|な| | |は |モがこな・「モチモチの木に、灯 |・えっちら、おっちら | | た |う| | |太 |が灯るは がついている。」 |・「あ、ほんとだ。まる | |・ふしぎなもの |ょ| | |豆 |太に見の・その後は知らない | で…だども…見える | |・灯がついている |び| | | |豆木をた・…いそがしかった | んだべ。」 | | |く| | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+お| | |さ |う こう・そのばんから、 |・はらいたがなおって元気| |・勇気のある子ども| | | |や |言さなよ 「じさまぁ。」 | になった | |・やさしささえあれ| | | |もゃ|のしんえ と、しょんべんにじさま|・「おまえは…見たんだ。| | ば | | | |でり|まさど考 を起こした | …灯がついたんだ。 | |・やらなきゃねえこ| | | |虫け|さやはか | …人間やさしささえ | | と | | | |弱し|じ とと | あれば…。」 | |・きっとやる | | +−+−−+−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−+