印刷用紙:B4縦 1ページの行数:53 1行の文字数(半角で):112   −−以下 指導案本文−−                  第4学年 国語科学習指導案                                 日 時  平成8年10月18日(金)5校時                                 児 童  4年1組 男14名 女17名 計31名                                 指導者  岩井 文枝 1 単元名  人物の気持ちの動きを   教材名  ごんぎつね(新美 南吉) 2 単元・教材について   1 教材について      本単元は「生き生きとした表現を通して、ごんと兵十の様子や気持ちの移り変わりを思い描くことができる。」こ     とが指導の重点である。      教材「ごんぎつね」は、ひとりぼっちの小ぎつねのごんが、やはり、ひとりぼっちの兵十と心を通わせようとして     通じ合えない心の交流の問題を、優しく、悲しく描き出している物語である。      ひとりぼっちのさみしさをまぎらわすため、数々のいたずらをしてきたごんは、兵十の母の死が自分のいたずらか     らが原因だと思い込み、反省、同情、共感、償いへと気持ちが変化していく。償いを繰り返すうちに、ごんは兵十に     対して親近感を高めていくが、その気持ちが伝わらないことで落胆する。それでもなお、償いを続けるごんが、最後     に兵十によって撃たれるという悲劇的な結末を迎える。      この教材文は、大きく6つの場面で構成されている。     @ ごんの境遇の紹介と、兵十にいたずらをするごん     A 兵十の母の死を知り後悔するごん     B 兵十への共感から精一杯の償いを始めるごん     C 兵十たちの会話に興味を持ち後をつけるごん     D 兵十にわかってもらえず失望するごん     E 兵十に撃たれるごんと事実を初めて知り呆然とする兵十      自分のいたずらを後悔し、気持ちや行動が変容していくごんに対して、児童は共感しながら読み進めていくことの     できる展開となっている。効果的な情景描写や比喩表現が多く見られ、それを手がかりにごんと兵十の様子や気持ち     を思い描くことのできる教材である。   2 児童について      児童はこれまでに場面の情景、人物の気持ちなどを想像しながら読んだり、場面を比べて読んだりする学習をして     きている。4学年では「白いぼうし」で様子や気持ちに気をつけて読むことを学習し「アナト−ル、工場へ行く」で     場面を比べて様子や気持ちを読み取る学習を重ねてきた。大事な文や言葉に着目しながら人物の行動や周りの様子の     移り変わりを読み取る指導を心がけてきた。      大事な言葉や文に着目させ、人物の行動や心情についてを考える指導をしてきたことにより、書かれている言葉か     らの読み取りは出来るようになってきた。しかし、場面を追って人物の様子や心情の変化を読み取ることは不得手で     表面的な読みにとどまりがちである。また、行間に込められた思いを読み取ることは、難しい段階である。      見通しを持つ段階では、課題解決の手がかりになる文や言葉を見つける指導をしてきたことにより、自ら重要な文     や言葉を見つけ出し、見通しを持って学習に取り組む児童が増えてきた。      学習課題に対する自分の考えを持つことができるようになってきており、その考えをもとにして発表し、友達の意     見を聞いて、自分の考えと比較して聞くことはできるようになってきた。しかし、より深い読みや高い読みへとつな     がるような話し合いをするところには、まだ至っていない。   3 指導にあたって      本教材を指導するにあたって、見通し読みの段階では題名や挿絵から想像させて話し合ったり、範読を聞いたり自     分で読んだりしてあらすじをとらえさせ、ごんと兵十の行動に関心を持たせたい。深め読みの段階ではごんと兵十の     心情や気持ちの変化、倒置法や美しい情景描写、比喩表現などからごんと兵十の気持ちの変化を読み取らせたい。ま     とめ読みの段階では場面ごとの読み取りをもとに人物の気持ちや場面の様子が聞き手に伝わるように音読させたり、     自分の感じたことを書かせたい。      本時はごんと兵十の気持ちのすれ違いから悲劇的な結末になる場面である。兵十の言動や情景描写に着目して学習     課題の見通しをもたせ、憎しみを込めて銃を撃つが、ごんの真意を知り後悔する兵十の気持ちの移り変わりを読みと     らせたい。また、学び合いではごんの償いを知らずごんを撃ってしまった兵十の気持ちを話し合わせ兵十の気持ちが変     化していることを読み取らせ、考えを深めさせたい。 3 指導目標   1 関心・意欲・態度      登場人物の気持ちの移り変わりに気をつけながら進んで物語を読もうとする。   2 表現      ごんと兵十の気持ちの移り変わりや場面の様子を理解し音読を工夫することができる。   3 理解      場面ごとの登場人物の行動について読み取り、自分の考えを深めることができる。   4 言語      効果的な情景描写や比喩表現、会話などについて理解し、自分の表現に生かすことができる。 4 指導計画(13時間扱い) 第一次 見通し読み ○全文を通読し学習の見通しを持つ。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3時間 1 全文を通読し、ごんと兵十の行動についての感想を書く。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 2 あらすじを確認して、場面分けをする。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 3 感想をもとに、課題を設定する。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 第二次 読み深め ○場面ごとに、登場人物の気持ちの変化を読み取る。−−−−−−−−−−−−−− 7時間 1 物語の舞台の場面背景をつかみ、ごんの境遇と性格の関わりを読み取る。−−−−−−−−−−−−−−− 1 2 兵十に対するごんのいたずらぶりを読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 3 自分のいたずらを後悔するごんの気持ちの変化を読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 4 ひとりぼっちの兵十に償いをするごんの気持ちの変化を読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 5 兵十たちの会話に興味を持ち、後をつけるごんの気持ちを読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 6 兵十にわかってもらえず失望するごんの気持ちの変化を読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 7 ごんを撃ってしまった後に事実を知った兵十の気持ちを読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1本時 第三次 まとめ読み ○主題を考えて感想にまとめ、音読する。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−3時間 1 文章全体を読み味わい、主題について話し合う。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 2 感想をまとめ、発表し合う。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 3 場面の様子や登場人物の気持ちの変化を音読で表現する。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 6 本時の指導   1 目標 「ばたりと取り落としてしまいました。」の文を手がかりに、ごんを撃ってしまった後に事実を知った兵十の        後悔の気持ちを読み取り、兵十の気持ちが表れるように音読することができる。   2 展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段| 学 習 活 動 | 教   師   の   支   援 | |階| ( ◎ 基 本 発 問 ) | ( ◎ 評 価 ) | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 前時の学習内容を想起する。 |・ごんは兵十に自分の気持ちを分かってほしかったが自分の思いが| | | | 伝わらないことに失望した気持ちを想起させる。 | | | | | |つ|2 学習課題を確かめる。 |・一斉読をさせることにより学習課題を把握させる。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |か|| ごんを撃った後、兵十はどういう気持| | | | ||ちになったのだろう。 | | | |む|+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |3 学習課題解決の見通しを持つ。 | | | | ・本時の学習場面の音読をする。 |・ごんを撃ってしまった後の兵十の気持ちが表れている部分に気づ| | | | かせ、サイドラインを引かせ発表させる。 | | | | 「ごん、おまいだったのか…」「兵十はひなわじゅうをばたり…」 |8| | 「おや。」の文をおさえる。 |分| |◎学習課題解決のための見通しをもつことができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |4 学習課題を解決するために詳しく読み深め| | | | る。 |・サイドラインを引いた兵十の気持ちを手がかりに兵十はごんを撃| | | 1 課題について自分の考えを書く。(一人 | ってしまった後どんな気持ちになったのか、自分の考えを書かせ| |追| 学び) | る。 | | ◎自分の考えを書くことができたか。(机間巡視) | | | | | | | 2 ごんを撃ってしまった兵十の気持ちを発|・兵十の気持ちについて自分の考えを発表させる。 | |究| 表する。(学び合い) | | | | |・「ようし。」と言ったときの兵十の気持ちもふり返り気持ちの変| | | | 化もとらえさせる。 | | | ◎火なわじゅうをばたりと取り落としたとき|・ばたりと取り落とすという言葉から、兵十の驚きの大きさをとら| |す| の兵十はどんな気持ちだったでしょう。 | えさせる。 | | |・ごんを撃ってしまった兵十の後悔の気持ちと、がっくりと力を落 | | | としている悲しい気持ちを板書や発表をもとにとらえさせる。 | | | | | |る| 3 課題についてまとめる。 |◎兵十の気持ちがどう変化していったのかを読み取り、考えを深め| | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| ることができたか。 | | | | ごんを撃ってしまった深い後悔の気持|| | | | |ちと、ごんの気持ちをわかってあげるこ|| | | | |とのできなかった悲しい気持ち。 || | |30| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|・本時の学習をふりかえり、ごんと兵十の心の通じ合いについて自| | | | 分なりの感想をまとめる。 | |分| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |ま|5 本時の学習についてまとめる。 |・ごんと兵十の気持ちが伝わるように音読させ、作品を味わわせる| |と| | (自由読み→指名読み) | め |る|6.次時の学習課題を確かめる。 |・次時は文章全体を読んで作品の主題である「心が通じ合うことの| |7| | 難しさ」についてまとめることを確認する。 | |分| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5 文章構造図 +−+−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−+ |材| 面 | 題 | 構 成 の 要 素 | |題| | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+重 要 語 句| | |教| 場 | 課 | ご   ん | 兵   十 | |主| +−+−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−+ | | ら|をろ |+−+ 中山から少し離れた山の中 | |ひとりぼっち | | | |とず|らだ ||さ| 一人ぼっちの小ぎつね | |いたずらばかり| | | |遇た|ずぜ ||し| しだのいっぱいしげった | |〜たり | | | |境い|たな ||び| あなをほって住んでいた | |ほっとして | | | |のの|いは ||さ| | | | | | |ん々|がの ||独| | | |さ| | |ご数|んる ||孤| 二、三日ふり続いた雨 | | | | | | |ごすう|+−+ ← | | |切| | +−−+−−−+−−− からっと晴れた空 −−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | を ← からっと 大| | | ん|ら |+−+ ちょっといたずらしたくなる| |そうっと | | | | ご|ず || | | |ぴょいと |の| | | る|た || | | |ちょいと | | | | す|い ||ら| びくの中の魚をつかみだして|+−+ |ぬすっと |え| | | を|なう ||ず| −−−投げ込みました。 ||み| |ぎつねめ | | | | ら|んろ ||た| 太いうなぎを−−−ぬるぬる||し|『うわあ、ぬすっとぎつねめ』| |ゆ| | |にず|どだ ||い| とすべりぬけるので−−−。||憎| | | | | |十た|はの || | じれったくなって−− つっ ||り| | |れ| | |兵い|んた |+−+ こんで−−−首にまきつきま||怒| | | | ごし した。 +−+ そ| | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | | |んちう|+−+ 「何かあるんだな。」 | |白い着物 |と| | |ん |ご持ろ||心| 「秋祭りかな。−− 」 | |のび上がって | | | |ご |た気だ||関| 「ああ、そう式だ。」 | |白いかみしも |さ| | |る |見なの|+−+ 「だれが死んだんだろう。」|+−+ |位はい | | | |す |をんた|+−+ 「死んだのは兵十のおっかあ||み|「おっかあのそう式」 |頭をひっこめ |し| | |悔 |列どっ||悔| だ。」 ||し| |〜にちがいない| | |ね|後 |う な||後| 『ちょっ、あんないたずらを||悲|元気のいい顔が今日はなんだか|〜だろう |難| | | |そはに|+−+ しなければよかった。』 |+−+しおれていました。 | | | | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+の| 次をう +−+ 『おれと同じ、ひとりぼっち +−+まずしいくらし ひとりぼっち | | |ん |もけろ||感| の兵十か。』 ||独|もう、ひとりぼっち |おれと同じ |と| |つ|ご |日ただ||共| 何かしてやりたい || | |うなぎの償い | | | |る |の松の|+−+ 「いわしを投げこむ」失敗 || |ぼんやり考えこんでいました。|どっさり |こ| | |す |次やた|+−+ くりをどっさり− かかえて ||孤|かすりきずがついていました。|そっと | | | |を |ぜりっ|| | いく。 |+−+ぬすびとと思われ、ひどい目に|〜も |う| | |い |なくい||い| 次の日も、その次の日もその| あった。 | | | |ぎ|償 |はもて||償| 次の日には、くりばかりでは| | |合| | | |ん日っ|| | なく松たけも−− 。 | | | | ごの持 +−+ じ | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |に |持つ |+−+ | |かくれて |通| |ん|話ん|気を ||味| かくれてじっとしていました|+−+不思議なことがあるんだ |じっと | | | |会ご|な後う||興| 二人の後をつけていきました||問|だれだか知らんが− くれるん |後をつけて |が| | |のつ|んのろ|+−+ ||疑|だよ |ひょいと | | | |ち持|ど十だ|+−+ |+−+それが分からんのだよ |しゃがんで |心| | |たを|は兵の||待| いどのそばにしゃがんでいま| | | | |ご|十味|んでた||期| した。 | | | | | |兵興|ごちけ|+−+ | | | | | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |ず |たに |+−+ お念仏がすむまでいどのそば| (神様のしわざ) |ふみふみ |さ| | |え |いち || | にしゃがんでいました。 | (えっ。) |神様のしわざ | | | |ら |聞持 ||待| 二人の話を聞こうと思って、| (人間じゃない、神様だ。) | |し| | |も |を気 ||期| ついていきました。 | (そうかなあ。) | | | | |て |話なう|| | かげぼうしをふみふみいきま| (神様のお礼) | |悲| | |っん|会んろ|+−+ した。 | (うん。) | | | | |かご|のどだ| 『自分のことを話している、| |『へえ、こいつ|た| | |わる|ち の|+−+ 気付いてくれるかな。』 | |はつまらない。・| | | |にす|たはた||望| 『へえ、こいつはつまらない| | |え| | |十望|十んっ||失| な。』 | |『おれは引き合| | | |兵失|兵ごな|+−+ 『おれは引き合わないなあ。・| |わない。』 |合| | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | +−+ その明くる日も、ごんはくり +−+あのごんぎつねめが、またいた 明くる日も じ| | | | ||さ| を持ってきました。 ||み|ずらをしに来たな。 |こっそり | | | | |はた ||げ| うちのうら口から、こっそり||し|『ようし。』 |・・・やがった |通| | | |十っ ||な| 中へ入りました。 ||憎| |・・・め | | | |に |兵な ||け| |+−+ドンとうちました。 |…めが |て| | |後十| に |+−+ バタリとたおれました。 | かけよってきました。 |また | | | |た兵|後ち | | |「ようし。」 |っ| | |っる|た持 | |+−+くりが目につきました。 |「おや。」 | | | |撃知|っ気 |+−+ ぐったりと目をつぶったまま||き|『おや。』 |お前だったのか|よ| | |をを|撃うう||足| うなずきました ||驚|びっくりして目を落としました|うなずきました| | | |ん実|をいろ|| | 『やっと兵十にわかってもら|+−+『ごん、お前だったのか、いつ|取り落としまし|に| | |ご事|んうだ||満| えた |+−+もくりをくれたのは。』 |た。 | | | | |ごどの|+−+ 償いができてよかった。』||悔| | |死| | | | | ||後|火なわじゅうを | | | | | | | |+−+バタリと落としました。 | | | | +−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | 消えゆく命のはかなさあわれさ 後悔、あわれ、悲しさ 青いけむり | | | | | 青いけむりが、まだつつ口から細く出ていました。 |細く | | +−+−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−+