印刷用紙:B4横 1ページの行数:53 1行の文字数(半角で):120   −−以下 指導案本文−−   第5学年 国語科学習指導案 日 時  平成8年10月18日(金) 4校時 児 童 5年2組 男13名 女18名 計31名 指導者 菊池 佳恵 1 単元名 人物の結び付きを 教材名 大造じいさんとガン(椋 鳩十) 2 単元・教材について   (1)教材について       本単元は、「場面が移り変わるとともに、人物の関係や気持ちが変化する様子を読み取り、主題を考えながら感想をまと      めることができる。」が指導の重点である。  教材「大造じいさんとガン」は、椋鳩十の数多い動物を取り上げた物語の中の一つであり、ガンの頭領「残雪」と猟人の      大造じいさんとの生存をかけた知恵比べと、好敵手への感動が描かれている。  物語は、4年間にわたる両者の対決が描かれており、一章が1年ごとにまとめられている。当初は、いまいましく思いな      がら「たかが鳥のことだ」とたかをくくっていたものが、残雪の知恵や頭領らしい態度に、大造じいさんは次第に感動して      いく。そして、残雪とハヤブサとの壮絶な死闘場面やその後の残雪の態度を目の当たりにし、「ただのとりに対している」      とは思えない感動に打たれてしまう。  この物語は、大きく分けると前書きと4つの場面から構成されている。   前書き  大造じいさんの人物紹介とともに、この物語成立の背景を語る。    @ 1年目 沼地・特別な仕掛けをするが失敗する場面    A 2年目 沼地の小さな小屋・慎重な策略も再び見破られて失敗する場面    B 3年目 沼地と小さな小屋・頭領らしい残雪の態度に強く心打たれる場面    C 4年目 春の朝、花の下で・残雪を空に放す場面  前書きの部分が、この物語においてどんな役割をもっているかを考えることを通して、物語の構成についての理解を深め      ることができる。さらに、四場面が起承転結と展開していく構成になっていることや、余韻を残す幕切れの形なども、この      作品の構成の工夫である。こうした構成の巧みさによって、物語の主題がいっそう美しく、印象深いものとして読み手に伝      わってくる。この意味で、物語の主題と構成とのかかわりについて学習を深める事ができる教材である。   (2)児童について   児童はこれまでに、人物の気持ちやそれと響き合う情景の描写を読み味わう学習や、登場人物同士の心のつながりを読み      取る学習をしてきている。「麦畑」では、五感を使った様々な書き込みをすることにより、情景描写を読み味わいながら作      品の主題を読み取らせてきた。また、「いたいいたい虫」では、課題について自分が読み取ったことを書き込ませ、話し合      い学習で友達の考えと比べることにより、行間に込められた思いを読み取らせてきた。  国語の学習全般を見ると、初発の感想や学習後の感想など、自分の考えを持ち書くことはできるようになってきている。      しかし、その考えを自分から積極的に発表しようとする児童は少なく、固定化している。  見通しを持つ段階では、課題解決に結びつく方法を考えられる児童が約3分の1である。サイドラインを引くなどして見      通しを持つ際、個別指導が必要な児童が数名いる。   学び合いの段階では、友達の考えを聞くとき、自分の考えと比べて似ているか違っているかはっきり意思表示するように      なってきた。しかし、自分の考えを発表するとき、聞き返したり、根拠を明らかにして話し合いを深めるというところまで      は至っていない。   (3)指導にあたって       本教材を指導するにあたって、興味・関心を持たせるために、まず椋鳩十の他の作品に触れさせたい。そして、見通し読      みの段階では、題名から内容を想像して話し合ったり、範読を聞いて心に残ったことなど感想を書かせたりして関心を持た      せたい。深め読みの段階では、「大造じいさんの残雪に対する初めの気持ちがどのように変わっていったか、またその原因      は何なのか。」を一人一人が考えられるよう時間を確保したい。そして一人調べしたものを発表させ、友達の優れた発表や      良い考えに気づかせたい。まとめ読みの段階では、自分で読んだことのある動物に関する物語と比べたり、学習してきたこ      とを振り返ったりして、主題について考えたことをまとめさせたい。また、学習したことを生かした朗読をすることで作品      を十分味わわせ、椋鳩十の他の作品に触れることで読書への関心を高めさせたい。  本時は、ハヤブサから仲間を助けようと戦う残雪を見て、大造じいさんの気持ちが大きく変わる場面である。この場面以      前でも大造じいさんの気持ちの変化はあったが、「強く心を打たれて、ただの鳥に対しているような気がしませんでした。」      とまではいかなかった。ハヤブサと残雪を見て大造じいさんがとった行動は3つある。大造じいさんの行動にサイドライン      を引き、そのような行動をとった理由を考えさせることが課題解決に結びつくことを見通しの段階で押さえさせたい。学び      合いでは、大造じいさんになったつもりで特に、「かけつけた」「手を伸ばした」という行動の理由を考えた児童に発表さ      せ、その場面を細かく考えさせたい。沼地はどのようなところであるか、手を伸ばしたときの残雪はどのようであったかイ      メージをふくらませたい。 3 指導目標  (1) 関心・意欲・態度  大造じいさんの考え方や生き方に対して自分なりの感想を持つとともに、椋鳩十の他の作品を進んで読もうとする。  (2) 表現  主題を考えながら感想をまとめ、話し合ったり、整理して文章に書くことができる。 (3) 理解      場面が移り変わるとともに、大造じいさんと残雪の結びつきや気持ちが変化する様子を読み取り、読み取った情景や気持ち     が聞き手にもよくわかるように、音量や速さなどを工夫して朗読することができる。  (4) 言語  慣用的な表現、熟語、動きを表す語、様子を表す語、色彩語等について理解を深め、自分の文章に生かすことができる。  4 指導計画(10時間扱い) 第一次 見通し読み ○全文を読み通し、学習の見通しを持つ。 −−−−−−−−−−−−−− 2時間 (1) 全文を読み、初発の感想をまとめる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (1) (2) 物語のあらすじや構成を理解し、場面ごとの課題を設定する。 −−−−−−−−−−− (1)   第二次 深め読み  ○場面の様子や登場人物の気持ちを考えながら、内容を詳しく読み取る。 5時間 (1) 残雪のすばらしさを思いしらされる大造じいさんの気持ちを読み取る。−−−−−−−−(1) (2) 大造じいさんの気持ちを読み深め、残雪に対する見方の変化を読み取る。 −−−−−− (1) (3) 残雪が登場するまでの大造じいさんの気持ちを読み取る。 −−−−−−−−−−(1) (4) ハヤブサと戦う残雪を見る大造じいさんの気持ちの変化を読み取る。−−−−−−−−− (1)本時 (5) 残雪を見守る大造じいさんの気持ちを読み取る。 −−−−−−−−−−−−−−−−− (1) 第三次 まとめ読み ○全文を読み通し、まとめる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3時間 (1) 全文を読み、主題をまとめる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(1) (2) 人物の気持ちや情景を考えながら朗読する。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (1) (3) 椋鳩十の他の作品を読む。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−(1) 6 本時の指導 (1) 目標     大造じいさんの行動を手がかりに、ハヤブサと戦う残雪を見たときの大造じいさんの気持ちの変化を読み取り、朗読に生かす    ことができる。 (2) 展開 +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | 段 | 学 習 活 動 | 教   師   の   支   援 | 階 | ( ◎ 基 本 発 問 ) | ( ◎ 評 価 ) +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | 1 前時の学習内容を想起する。 |・ハヤブサが登場するまでの大造じいさんの気持ちを紙板書で | つ | | 確認する。 | 2 本時の学習課題を確かめる。 |・一斉読させ、全員に課題を把握させる。 | か ||ハヤブサと残雪を見て大造じいさんがとった行動の||・大造じいさんの気持ちを考えるためにこの場面では行動に注 | ||理由を考えよう。 || 目するのだということを押さえる。 | む | | (1番目・じゅうを下ろしてしまった、2番目・かけつけ | 3 学習課題解決の見通しを持つ。 | た、3番目・手をのばした) | | ・本時の学習場面を音読する。 |・行動に注目できそうな児童に指名して音読させる。 | 7 | (P18L1〜P21L4) | | 分 | ・大造じいさんの行動3つを発表する。 |・1番目の行動については深く考えなくて良いことを知らせる | | ・行動にサイドラインを引く。 |◎学習課題解決の見通しを持つことができたか。 | | | | | | | 4 学習課題を解決するために詳しく読み深める。 | | (1) 課題について自分の考えを書く。 |・残雪のどのような姿を見たかに注目させる。 | 10 | (一人学び) |◎自分の考えを書くことができたか。(机間巡視) | 分 | | | (2) 大造じいさんの行動の理由を発表する。 |・2・3番目の行動を中心に発表させる。 | | (学び合い) |・場面の細部について問いかけ細かくイメージさせる。 | 追 | |・沼地はかけつけるには大変なこと、残雪が傷ついても堂々と | 究 | | していることに注目させる。 | す | ◎大造じいさんの気持ちはどのように変わっていっ |・板書を元にして気持ちの移り変わりを考えさせる。 | る | たのでしょうか。 | | | | | 14 | |◎大造じいさんの気持ちを読み取り、その変化をとらえるこ | 分 | | とができたか。(発表) | (3) 課題についてまとめる。 | | | | 初めは撃ってやろうという気持ちだったが、仲||・「初めは撃ってやろうという気持ちで銃を肩に当てたが」の | | |間のために残雪が一生懸命戦うのを見て感動し、|| 書き出しを与え、続きを自分でまとめさせる。 | | |助けようという行動になった。 || | | | | 7 | | | 分 | | | ま | | | と 5 本時の学習についてまとめる。 |・本時の学習場面をグループに分けて全員に朗読させ、大造じ | め | | いさんの気持ちの変化を味わわせる。 | る 6 次時の学習課題を確かめる。 |・次時は、残雪を放す場面について学習することを確認する。 | 7 | | | 分 | | | | | 5 文 章 構 造 図 |面 | 題 | 構   成   の   要   素 重 要 語 句 題 |場 | 課 | 大 造 じ い さ ん | 残 雪 主 |き | |・72才だというのに、腰ひとつ曲がっていな | |書 |の | い、元気な老狩人 | |前 |ん |・話し上手 | | |さ |(ウナギつりばり作戦) ・ガンの群れを率いて沼地にやって | |い | 執念 | | きた | |じ |・かねて考えておいた特別な方法 ・頭領にふさわしくりこう ・なかなかりこうなや |が |造う |・いまいましい | つ |る |大よ |・今年こそは | |す |らえ |・一晩中かかって | |を |か考 | 期待と喜び | | |け面|果を |・今度は何だかうまくいきそう | |か場|結化 |・生きたガンを見つけ、思わず声を挙げて喜ぶ | |しる|の変 | 確信 | | |なす|その |・またやってくるに違いない ・危険を感じてえさ場を変えたらし ・たかが鳥 |別敗|とち |・つりばりをばらまく | く、付近には一羽もいない ・秋の日が美しくかが |特失|戦持 | 感嘆 | | やいていました ん | |作気 |・あの残雪が仲間を指導してやったに違いない ・釣り針の糸を引きのばし、いじょ ・あの残雪 さ | | |・ううむ | うなしのタニシだけを食べる い | | |(タニシ作戦) | じ | |じ考 | 執念 | | 造 |破 |造を |・夏のうちからタニシを集める ・大群を率いてやってきた 大 |見面|大化 | 期待と自信 | ・例によって、見通しのきくところ る |び場|ら変 |・何日もタニシをばらまいておく | をえさ場に選ぶ す |再る|かの |・会心の笑み | 動 |もす|果ち | 決意と緊張 | | ・あかつきの光が小屋 感 |略敗|結持 |・しめたぞ。今年こそは目にもの見せてくれる ・ガンの群れがぐんぐんやってくる の中にすがすがしく ・ |策失|の気 | ぞ | 流れ込んできました 戦 |なて|その |・ほおがびりびりするほどひきしまる ・油断なく群れを率いて 挑 |重れ|とんう| 敗北感 | ・様子の変わったところには近づか に |慎ら|戦さよ|・またしても残雪のためにしてやられてしまっ | ぬがよいぞ 姿 | |作いえ| た | の | | |・ううん、とうなる | そ | | |(おとり作戦) | | |造よ | 期待と緊張 | | と | |大え |・今年はひとつこれを使ってみるかな ・残雪の一群が今年もやってきた | |の考 |・うまくいくぞ | ・青くすんだ空 雪 |面 |でを |・さぁ、いよいよ戦闘開始だ ・いつものように群れの先頭に立っ ・東の空が真っ赤に燃 残 |場 |まち |・しばらく目をつぶって心の落ち着くのを待つ | て真一文字に横切ってやってきた えて |る |る持 |・銃身をぎゅっと握り締める | 領 |れ |す気 |・さぁ、今日こそあの残雪めにひとあわふかせ | ・あの残雪め 頭 |た |場の | てやるぞ | の |う |登ん | 驚き | |   ン |を |がさ |・どうしたことだ 小屋の外にはい出す ・ものすごい羽音とともに群れがば ガ |心 |雪い |・ハヤブサだ | たばたと飛び立つ す |く |残じう|・あっ ・ガンの群れは残雪に導かれ飛びさ た |強 | |・おとりのガンを見つけ口笛を吹く | っていった 果 |に | | 呆然 | ・ハヤブサが攻撃の姿勢をとった時 に |度 |造理 |・ぐっと銃を肩にあて残雪をねらったが、再び | さっと空を横切った 実 |態 |大の | 銃を下ろしてしまった ・残雪の目には人間もハヤブサもあ 忠 |の |て動 | | りませんでした。ただ救わねばな を |雪 |見行 | | らぬ仲間の姿があるだけ 命 |残 |をた | ・いきなり敵にぶつかり大きな羽で 使 |い |雪っ | | 力一杯殴りつける の |し |残とう|・かけつけた ・もつれあって沼地におちていった 分 |ら |とがよ||深い感動| ・ぐったりしていたが第二の恐ろし 自 |領 |サんえ|・手を伸ばす | い敵が近づいたのを感じ、長い首 |頭 |ブさ考|・強く心を打たれて ただの鳥に対しているよ | を持ち上げ正面からにらみつけた | |ヤいを| うな気がしなかった ・手を伸ばしてもじたばた騒がない ・ただの鳥ではない | |ハじ由| ・頭領としての威厳を傷つけまいと | | | | 努力しているようだ |面 |造ち | すがすがしさ | ・おりの中で一冬過ごした ・ある晴れた春の朝 |場 |大持 |・おりのふたをいっぱいに開けてやった ・バシッ 快い羽音一番 一直線に空 ・らんまんと咲いたス |す |る気 |・卑怯なやり方でやっつけたくない 堂々と戦お | へ飛び上がった モモの花が雪のよう |放 |守のう| う ・北へ北へと飛び去っていく に清らかにはらはら |へ |見んよ|・晴れ晴れとした顔つきで見守っていた | 散りました |空 |をさえ|・いつまでもいつまでも見守っていた | ・ガンの英雄 |を |雪い考| | ・えらぶつ |雪 |残じを| | ・ガン |残 | | |