印刷用紙:A4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−                  第4学年 国語科学習指導案 日 時 平成8年9月20日(金)2校時                          児 童 男子 6名 女子 4名 計10名 指導者 及 川 史 江 1.単元名 「教材名」 大事なところを落とさずに 「手と心で読む」 2.教材について   第4学年の表現の目標は、「表現する内容の中心点が分かるように、筋道を立てて話したり、段 落相互の関係などを考えて文章を書いたりすることができるようにするとともに、内容を整理しな がら表現しようとする態度を育てる」である。一方、理解の目標は「内容の要点や中心点を正確に おさえながら話を聞いたり段落相互の関係を考えて中心点を正確に把握しながら文章を読んだりす ることができるようにするとともに、読書の範囲を広げるようにする」とある。この教材により、 児童の「話す力・聞く力」の育成をならう立場としては、理解目標の「内容の要点や中心点を正確 におさえながら話を聞くこと」をも十分視野にとどめつつ、「表現する内容の中心点が分かるよう に、筋道を立てて話すこと」を指導の重点としていきたい。そこで、この教材を通して、筆者の考 えや大事なところを落とさずに読み取り、読み取ったことを自分なりにはっきりさせたりまとめた りしてから話すことを主目標として、学年目標に迫りたい。   教材「手と心で読む」は、点字というものの存在を読者に気づかせることで導入し、筆者が目を 悪くして文字を失ったとき、母の誘いから点字と出会い、文字を持つ楽しさを語っている。さらに 点字の仕組みを記し、分量が多くなる欠点があるものの、将来に向かって可能性が広がりつつある ことを記している。社会的な認知と理解、点字関係の機械の開発が進みつつあるというのである。 筆者は、人間の知恵が人間の心を結ぶ便利な道具や方法を創造していくことを期待している。   教材の文章構成は、最初のまとまりは、冒頭の文が読者への問いかけの形になっている。そして 点字が身近なところにあるということを、具体的な例を挙げて述べている。次のまとまりは、筆者 が目を悪くし、母の誘いで点字を覚え、点字が自由に使えるようになったこと、そして、そのこと がどんなに大切なことかが分かったという、筆者の体験を述べている。最後のまとまりは、点字の 構成、欠点を述べながら、点字の将来における展望と期待とを記している。点字に着目させながら 筆者の体験や目の不自由な人々や体に障害を持った人々に対する思いやりを持つ心を感じ取らせる ことのできる教材である。 3.児童の実態について   平成8年度の6月に行ったアンケートによる国語意識調査の結果では、「話すこと」が好きな児 童は、10人中4人となっているが、「話すことをがんばっている」児童は、10人中7人であっ た。その背後には、まちがっているとはずかしいという思いがあるようだ。それに対して「聞くこ と」が好きな児童は、10人中7人であり、聞くことは得意としている。  「話すこと・聞くこと」の指導を継続して行うことで、何を尋ねられているのかを考えてから、発  表することができるようになってきた。しかし、読み取ったことをはっきりさせたり、まとめたり  してから、筋道を立てて話すことは苦手としている児童が多い。   児童はこれまで、「カブトガニを守る」「キョウリュウをさぐる」「さくらそうの保護」の学習 を通して、中心になる言葉や文に着目した読みを行ってきた。重要語句や中心文に線を引いたり視 写を行い、読みを深めてきた。しかし、重要語句や中心文を使って文を再構成して話す力はまだ不 十分である。 4.指導の手だて   指導にあたっては、点字の理解を深めさせ、大事なところを落とさずに読み取り、最後には目の 不自由な人を含めて身体に障害のある人に対する思いやりの気持ちを育てたい。そのために、中心 となる言葉にサイドラインをひいたり、中心文を視写したりして、形式段落毎の要点をまとめさせ それをもとに3つのまとまりごとに内容をまとめ、筆者の願いや思いを確実に把握させたい。   「話すこと・聞くこと」の指導は、指導事項系統表の基本事項を押さえて、「自分の考えをはっ きりさせたりまとめたりしてから話す。」「話の要点や中心点を書きとめながら話の内容を聞き取る こと。」を重点として、読み取ったことをはっきりさせたりまとめたりしてから話すことをさせた い。そのために、重要語句の精査を行ったうえで、それを使って、自分なりに要点をまとめること を継続して指導していく。 5.指導目標 +−−−−−−−−−−−−−−−話すこと・聞くこと −−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |・自分の考えをはっきりさせたり、まとめたりしてから話すことができる。 | |・話の中心点を聞き取ることができる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ A 関心・意欲・態度 ・目の不自由な人々の文字を持つ喜びと点字について関心をもち、進んで要点を落とさずに読もう とする。 B 表現 ・話し合ったことや調べたことを整理して、中心点を落とさず文章に書き、話すことができる。 C 理解 ・文章の構成や段落の要点をつかみ、内容を正確に読み取ることができる。 D 言語事項 ・文と文との意味のつながりを考えながら、指示語や接続語を適切に使うことができる。 6.指導計画(14時間扱い) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |次| 学 習 内 容 | ○「話すこと」□「聞くこと」 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |・本教材が、目の不自由な人に関する説明文であ|○自分の考えをまとめてから話す。 | | | ることを全文を読んで確認し、目の不自由な人| | |一| に対する施設、道具、様々な配慮などが身近な|□感想を持ちながら、相手の話を聞く。| | | ところにないか、調べて、発表する。 | | | | −−−−−−−2時間| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |・「手と心で読む」の全文を読み、学習計画を立|○一定の長さに構成してから話す。 | | | てる | | |二|(1) 全文を読み、内容の概略をつかみ、初発の感|□話の要点や中心点を書きとめながら聞| | | 想を持つ。 −−−−−−−1時間| く。 | | |(2) 初発の感想をもとに、学習課題を立てる。 | | | | −−−−−−−1時間| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |・段落毎の要点を正しく読み取り、段落相互の関|○読み取ったことを、はっきりさせたり| | | 係を考えて大きく三つにまとめる。 | まとめたりしてから話す。 | | |(1) 点字の存在について読み取る。−−−1時間| | | |(2) 筆者と点字の出会いについて読み取る。 |□話の中心点を正確に聞き取る。 | | | −−−−−2時間| | |三|(3) 点字の仕組みと働き、短所、点字に対する人々| | | | の理解、今後の展望について読み取る。 | | | | (本時1/2)−−−−−2時間| | | |(4) 三つのまとまりに小見出しをつけ、段落相互| | | | の関連について考えながら、文章構造図を書| | | | く。 −−−−−1時間| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |・筆者の説明の仕方の特徴、論の展開について理|○分かりやすい組み立てを考えて話す。| | | 解する。 | | |四|(1) 筆者が説明の仕方、論の展開で工夫している| | | | ところはどこか話し合う。−−−−−1時間|□感想をもちながら相手の話を聞く。 | | |(2) 筆者が最も訴えたかったことは何か、書いて| | | | 話し合う。 −−−−−1時間| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |・「手と心で読む」の感想文を書き、発表し合う|○自分の考えをまとめてから、話す。 | |五|(1) 感想文を書く。 −−−−−1時間|□話の要点や中心点をかきとめながら聞| | |(2) 感想文を発表し合う −−−−−1時間| く。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 7.本時の指導 (1)目標 ・点字の仕組みと使われ方について、読み取ることができる。 ・読み取ったことを、はっきりさせたり、まとめたりしてから話すことができる。 ・話の中心点を正確に聞き取ることができる。 (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階 学 習 活 動 | 教 師 の 支 援 (◇◆評価) | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |前|<学習課題> | |時| 筆者と点字の出会いについて、まとめよう。 | |の| | |学|<ならい> | |習| 目が不自由になった筆者が点字と出会い、筆者の点字を使える楽しみを読み取る。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |つ|1.前時の学習内容を想起する。 |・F段落を音読して、想起させる。 | |か| | | |む|2.本時の学習課題を確認する。 |◆本時の学習課題が分かり、学習に対する意| | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| 欲をもつことができたか。(観察) | | ||点字の仕組みと使われ方について、まと||・話すこと・聞くことのめあてを確認する。| |7||めよう。 || [はっきりさせたり、まとめたりしてから| |分|+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| 話す。][話の中心点を聞き取る。] | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |3.点字の仕組みと使われ方について読み取| | |ふ| る。 | | |か| 1学習範囲を音読する。 |・姿勢や声の大きさに注意して、はっきりと| |め| | 読ませるようにする。 | |る| 2点字の仕組みと使われ方についての中心|・「ルイ=ブライユ」「日本」「五十音」「さらに」| | | となる語句をとらえて、読み取る。 | 「数字」「ローマ字」「音符」という言葉に着目| | | | させたい。 | | | |・日本での使われ方をまとめていくために、| | | | 重要語句を丁寧に取り上げていきたい。 | | | 3重要語句を手がかりにして、要点をまと|・二文になったり、箇条書きになっていても| | | め、発表し合う。 | 良しとする。 | | | |・要点が書けない子には、友達の発表を聞い| | | | て、参考にさせたい。 | |33| |◆点字の仕組みや使われ方について、要点を| |分| | まとめることができたか。(学習プリント)| +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |ま|4.本時の学習のまとめをする。 | | |と| ・音読 |・学習範囲の音読をさせて、まとめにする。| |め| ・「話すこと・聞くこと」のめあての反省|◇「話すこと・聞くこと」のめあてに気をつ| |る| | けて学習することができたか。 | | | | (学習プリント) | |5|5.次時の学習内容を確認する。 |・点字の不便なこと、人々の理解について要| |分| | 点をまとめることを知らせる。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |次|<学習課題> | |時| 点字の不便なことと人々の理解について、まとめよう。 | |の|<ねらい> | |学| 点字の短所、人々の理解について読み取る。 | |習| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ (3)評価 ・点字の仕組みと使われ方について、読み取ることができたか。 ・読み取ったことを、はっきりさせたり、まとめたりしてから話すことができたか。 ・話の中心点を正確に聞き取ることができたか。 (4)板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 手と心で読む | |学習課題 | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | ||点字の仕組みと使われ方につい| | ||て、まとめよう。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | 話すこと、聞くことのめあて | | ・はっきりさせたり、まとめたりしてから話す。| | ・話の中心点を聞き取る。 | | | | いつ−−−−−千八二五年 | | | | どこで−−−−フランス | | | | だれが−−−−ルイ=ブライユ | | | | 日本では−−−五十音 | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ||この点字は、たて三点、横二列の六点で一文| | ||字が作られています。これらの点を、あるい| | ||は打ち出し、あるものは空白にしておく組み| | ||合わせで、五十音とそのほか十数種類の記号| | ||ができるのです。さらに、記号と文字とを組| | ||み合わせて、数学やローマ字、音符などを表| | ||すこともできます。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |+−−−−−−−+ +−−−+ +−−−+ | ||ルイ=ブライユ| |日 本| |五十音| | |+−−−−−−−+ +−−−+ +−−−+ | |+−−−+ +−−−−+ +−−−+ | ||数 字| |ローマ字| |音 符| | |+−−−+ +−−−−+ +−−−+ | |点字は、 | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+