印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):82   −−以下 指導案本文−−          第5学年 国語科学習指導案                    日 時 平成8年 9月20日金 1校時                    児 童 男子 5名 女子 8名 計13名                    指導者 上 野 妙 子 1単元名 「教材名」 人物の結び付きを「大造じいさんとガン」 2教材について   第5学年の表現の目標は、「主題や要旨のはっきりした表現をするため、意図や根拠  を明らかにして話したり、全体の構成を考えて文章を書いたりすることができるように  するとともに、相手や場面の状況を考えて表現しようとする態度を育てる」である。一  方、理解の目標は、「話し手の意図をつかみながら聞いたり、主題や要旨を理解しなが  ら文章を読んだりすることができるようにするとともに、読書を通して考えを深めるよ  うにする。」とある。この教材により児童の「話す力・聞く力」の育成をねらう立場と  しては、理解目標の「話し手の意図をつかみながら聞く」をも十分視野にとどめつつ、  「意図や根拠を明らかにして話す」ことを指導の重点としていきたい。と同時に、表現  しようとすることの明確な把握のためにも本教材の読解・主題把握は実際に即し、具体  的に進める必要があると思う。そこで指導にあたっては、主人公の行動・心情にできる  だけ接近し、そこに生まれた共感を紹介しあうことを主目標として学年目標にせまりた  い。   この教材は、動物文学作家・椋鳩十氏によって、戦争という国民が貝のように口をつ  ぐんでしまった時代に書かれた子供向けの物語である。残雪というガンの頭領が、仲間  のために知恵と命をかけて戦う姿と、その残雪と戦う大造じいさんの心情の変化を描い  た作品である。いまいましく思いながらも「たかが鳥のこと」と考えていた大造じいさ  んが残雪の知恵や頭領らしい勇気と責任感を感じさせる行動・態度に素直に感動してい  く心の動きが、緊迫した雰囲気の中で生き生きと描かれている。大造じいさんの人間味  あふれる姿、美しいもの、すばらしいものに感動する心を主題としたい。   教材文は、前書きと四つの場面で構成されている。四つの場面が「起承転結」の形で  展開していく構成になっていることや、余韻を残す幕切れの形は、この作品の構成の工  夫であるといえる。こうした構成のたくみさによって、物語の主題がいっそう美しく、  印象深いものとして、読み手に伝わってくる。この意味で、物語の主題と構成のかかわ  りについて学習を深めることができる。 3児童の実態について   平成7年度12月、8年度6月に行ったアンケートによる国語学習の意識調査の結果  では、約8割の項目で前向きな考えをもち学習していることが分かる。「話すこと」に  ついては、学級構成員13人中、「がんばって話している」12人、「みんなの前で話  すことは勉強に役立つ」12人となっている。「聞くこと」については全員が大切な勉  強だと思っている。逆に、意識の低下が見られた項目には、「話すことが好き」が4人  と、「話すことが得意」の6人である。   積極的に挙手して話す児童もいるが、自分の考えに自信がもてるまでは手をあげられ  ない児童が多い。その理由を尋ねると、「間違うと恥ずかしい」「聞き返されるとます  ます言えなくなる」などの答えが返ってくる。背後には、話さなければ話さないですむ  生活実態、話すことによって表に立つことへの心理的負担、場合によって生じる新たな  緊張関係へのわずらわしさなどがあると考える。こうした実態に甘んじて、正確に受け  答えすること、あるいは話し方を工夫しようとしない子がいる。反面、心理的に安定し  話すことにこだわりをもたない子、思いついたら話さずにおれない子、他の子の話を引  き取り上手にふくらませながら話す子もいるというのが実態である。   子供たちは5年生になって「ヤドカリ探検隊」「麦畑」の教材で、心情を表す言葉や  情景描写に気をつけながら内容を読み取る学習を進めてきた。会話文や様子を表す言葉  に線を引いたり視写を取り入れたりしながら主人公の気持ちにせまってきた。しかし、  主人公の心情が表れている文や言葉を探すことができなかったり、中心となる言葉をお  さえることが難しい児童もいる。そのため、的確に主人公の心情をおさえたり、心情の  変化を読み取ることは不十分である。 4指導の手だて   大造じいさんの気持ちの変容については、残雪の行動が影響していることをおさえた  り場面の転換や物語のクライマックスの場面などの情景描写を思い浮かべたりすること  から読み取りを進めていきたい。読み取りのレベルについても個人差を考慮し、一人一  人が自分の学習活動に納得できるよう、視写や書き込みを、自分なりの考えで取り組ま  せたい。   「話すこと・聞くこと」については、言葉という「根拠を明らかにしながら話すこと」  に着目して手だてを組んでいきたい。そのためには、「わたしは、〜という言葉から、  大造じいさんの〜という気持ちが分かりました。」「大造じいさんは、〜という言葉か  ら、〜という気持ちだと思います。」などの話し方のパターンを定着させていきたい。  さらに、話し合い活動に発展させていくために、話の内容を自分の考えに基づいて主体  的に聞き取り、「〜君につけたして、……。」「〜君とは違って……。」などのように  発言の中に聞き取ったことを生かしていけるようにさせたい。 5指導目標 +−−−−−−−−−−−−−− 話すこと・聞くこと −−−−−−−−−−−−−−+ ・根拠を明らかにしながら話すことができる。 | ・話の内容を自分の立場から、主体的に聞き取ることができる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  A 関心・意欲・態度   ・場面の変移とその中での人物の関係や気持ちの変化に関心を持ち、進んで物語の主   題を考え、感想を深めようとする。  B 表現   ・主題を考えながら感想をまとめ、話し合ったり整理して文章に書いたりすることが   できる。  C 理解   ・場面が移り変わるとともに、人物の結びつきや気持ちが変化する様子を読み取るこ   とができる。  D 言語事項   ・慣用的表現、熟語、動きを表す語、様子を表す語、色彩語について理解を深め、自   分の文章に生かすことができる。 6指導計画(11時間扱い) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |次| 学 習 内 容 | ○「話すこと」□「聞くこと」 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |・題名と前書きから自分の読みと感想をまとめる視| | | | 点を見いだし、作品の主題を読み深める学習計画| | | | を立てる。 | | | | 1「前書き」がつけられた理由を考えながら、作|○意図をはっきりさせて| 者が感動し、読み手に伝えようとしたものを視 話す。 |一| 点にして、全文を読み通す。 ……1時間| | | | 2視点に対しての自分の読みと感想をまとめ、話|□自分の考えと比べて、| | | し合う。 ……1時間| 感想を持って聞く。 | 3話し合いをもとに「作者が感動し、伝えたいも の」を考え、大造じいさんと残雪の関係に着目 し、読み深める計画を立てる。 ……1時間 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |・情景描写や心内語に着目し、大造じいさんの残雪| | | | への気持ちの移り変わりと関係を読み深める。 | | | | 1残雪の知恵のすばらしさを改めて思い知らされ| | | | る大造じいさんの気持ちを読み深める。 | | ……1時間 ○根拠を明らかにして話 | | 2大造じいさんの気持ちを読み深め、残雪に対す| す。 | | | る見方の変化をとらえる。(本時) ……1時間○話すことによって自分| |二| | の考えを確かにする。 | 34ハヤブサとの戦いや自分への態度を通して、 | | 深い感動へと変わる大造じいさんの気持ちの変|□細かい点にも注意して| | | 化を読み取る。 ……2時間| 話の内容を正確に聞き| 取る。 | | 5英雄と呼びかけながら、残雪を見守る大造じい| | | | さんの気持ちの変容と関係を読み深める。 | | ……1時間 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |・残雪に対する気持ちの移り変わりをもとに「大造| | | | じいさんとガン」の関係をまとめ、初めの読み取|○意図をはっきりさせて| | | りと感想を見直し、書きまとめる。 | 話す。 | |三| 1題名と前書きに返って「残雪」と「ガン」の違| | | | いに着目し、作品の主題を考える。 |□自分の考えと比べて感| | | ……1時間| 想を持って聞く。 | | | 2初めの感想を振り返り、自分の読みの深まりを| | | | まとめる。 ……1時間| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |・「大造じいさんとガン」と他の椋作品とを読み比|○意図をはっきりさせて| |四| べ、作者の心をとらえ、まとめる。 | 話す。 | | | 1椋鳩十が人間と動物との関係を通して伝えたい|□自分の考えと比べて感| | | ことを考える。 ……1時間| 想を持って聞く。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ 7本時の指導 1目 標  ・今年にかける意気込みと自信が失敗に終わり、苦しい立場に立った大造じいさんの   気持ちの変化をとらえることができる。  ・根拠を明らかにして話すことができる。  ・友達の発言の意図を正確に聞き取ることができる。 2展開 ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 段階 学 習 活 動 | 教師の支援(◇◆評価) | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 前 <学習課題> | 時 なぜ、大造じいさんは「ううむ。」と感たんの声をもらしてしまったのだろうか。 の <ね ら い> | 学 残雪の知恵のすばらしさを、改めて思い知らされる大造じいさんの気持ちを読| 習 み深めることができる。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||1前時の学習内容を想起する。 ・一の場面のまとめから発表させる。 | つ | | ||2本時の学習のめあてを確認する。 ・大造じいさんの気持ちの変化を読み取っ か +−−−−−−−−−−−−−−−+ ていくことをおさえる。 || | なぜ、大造じいさんは「ううん。」 | | む とうなったのだろうか。 ◆課題をつかむことができたか。(発言・挙手) || +−−−−−−−−−−−−−−−+ ・話すこと・聞くことのめあてを確認する 5 | [言葉に着目して主人公の気持ちを話す] 分 [自分の考えと比べながら聞く] ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||3二の場面を音読する。 ・大造じいさんの気持ちが表れている言葉 || | に気をつけて読むようにさせる。 | ||4「会心のえみ」をもらした大造じいさ ・「夏のうちから心がけ」に目を向け、そ || んの気持ちを話し合う。 | の意気込みの強さに気がつくようにさせ ふ ・どんな計略を考えたのかを読み取る| る。 | || ・そのよく日も、そのまたよく日もと「会 心のえみ」を関連させ、自信のほどを読 || | み取らせる。 | か 5「目にもの見せてくれるぞ。」と引き ・気持ちを違う言葉や他の部分から引用し || しまる大造じいさんの気持ちを話し合| 書き込ませる。 | || う。 ・「しめたぞ。」「今年こそは、」「見せ め ・「しめたぞ。〜見せてくれるぞ。」 てくれるぞ。」の言葉の繰り返しから、 || の会話文を視写し、大造じいさんの| 大造じいさんの執念や期待感を読み取ら || 気持ちを話し合う。 | せる。 | る ◇気持ちの表れている言葉に着目して発表 することができたか。   (発 言) ||6「ううん。」とうなった大造じいさん ・大造じいさんの気持ちの変化をおさえな || の気持ちを考える。 | がら書かせる。 | 35 ・「ううん。」とうなった大造じいさ ・何人かに発表してもらい、他の児童の参 分 んの心の中をふきだしに表す。 | 考にさせる。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ま 7学習のまとめをする。 ・大造じいさんの気持ちが表れている文や と ・二の場面を音読する。 | 言葉に気をつけて音読させる。 | め ・話し方・聞き方の反省をする。 ◇話し方、聞き方に気をつけて学習するこ る とができたか。 5 8次時の学習内容を確かめる。 | (評価カード ) 分 | | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 次 <学習課題> | 時 なぜ、大造じいさんは「今日こそ、あの残雪めにひとあわふかせてやるぞ。」と考| の えたのだろうか。 | 学 <ね ら い> | 習 苦しい立場から、ついに奥の手のおとりを使う作戦に踏み切った大造じいさん| の執念を読み取ることができる。 ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 3評価   ・今年にかける意気込みと自信が失敗に終わり、苦しい立場に立った大造じいさんの    気持ちの変化をとらえることができたか。   ・根拠を明らかにして話すことができたか。   ・友達の発言の意図を正確に聞き取ることができたか。 4板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |+−−−− +ふ−−−+ +−− そ | 学 二    一 大 || | ¬ 大 の |と 習 の 造 | || き 目今あもし 会 心造 よ |うな課 場 う じ | || に年のうめ 心 好タがじ く |なぜ題 面 ¬ な い | || だ もこ群少た の そニけい 年 |っ` 大う ぎ さ | || のそれしぞ え うシてさ |た大 造う つ ん | || し 見はのの。 み な ん 聞 話|の造 じむ り と | || せ`中し | 場 | く す|だじ| い。 ば ガ | || て にん | 所 計 | ||ろい| さ り ン | || | く 一ぼ | 略 自 大|うさ| ん の | || | れ 発う | 分 事|かん| の 計 | || | る ぶだ | 残 の な| 。は| 気 略 椋 | || | 近 ぞ ち。 | い 雪 考 言| ¬| 持 | || | づ 。 こ | ち | え 葉| う| ち 鳩 | || | か  ん | ば 本 と か| う| の 十 | || | ぬ | で | ん 能 く ら| ん| 変 | || | が | ` | 気 ら 気| 丕 化 | || | よ +−−−−+ に べ 持+−−+ | || | い 入  て ち | || | ぞ り 聞 を | || | の く 話 | |+−−−−+ | 場 。 す | 所    。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+