印刷用紙:A4横 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):138   −−以下 指導案本文−−               第1学年 国語科学習指導案                                       日 時  平成8年10月30日(水)5校時                                       児童数  男子3名  女子1名   計4名                                       授業者  菅 原 成 子 1.単元名  こえに だして よもう  教材名 くじらぐも  中川 李枝子 作 2.教材について (1)学年の理解目標    第1学年の理解領域においては「粗筋をつかみながら話を聞いたり、書かれている事柄の大体を理解しながら文章を読んだりすることができる   ようにするとともに、易しい読み物を楽しんで読もうとする態度を育てること」が指導内容の中心である。物語の前単元「大きなかぶ」では、人   物の気持ちや様子を想像して書いたり、くり返しのおもしろさやリズム感に気付いて音読したり動作化したりする学習をしてきた。本単元では、   このような学習をもとに場面ごとの様子を思い浮かべながらはっきりとした声で音読したり、人物の気持ちを吹き出しに書いたりして楽しく想像   しながら読み取っていく。そして、これが、物語の次単元「ずうっと、ずっとだいすきだよ」では、挿絵や文章から登場人物の気持ちや様子の変   化に気付いたり、主人公の気持ちを想像豊かに読み取らせ読書の楽しさに気付く学習へと発展する。 (2)作品について    この作品の主題は、「空に現れたくじらぐもと子供たちとの交流を通して、雲に乗って旅をしてみたいという子供たちの願いがかなえられてい   く楽しさ」である。    この作品は、五つの場面で構成されている。冒頭の三文で物語の設定が明確になされ、子供たちとくじらぐもとの交流が校庭と空で呼応しなが   ら繰り返し行われる。そして、場面は一気に大空のくじらぐもの上へと移り、やがて時間が来て、夢のような出来事が終わるというダイナミック   な動きのある作品構成となっている。    文章の特徴としては、倒置的な表現や主語を省略した表現が多く、歯切れがよく、会話が生き生きと聞こえたり、繰り返しの言葉や「…も」と   いう対比する表現を多く用い、言葉のリズムに親しみながら楽しく音読できる表現になっている。    校庭から話が始まるので身近な出来事のように感じるため想像を広げやすく、挿絵も手がかりにしながら児童自身も追体験でき、楽しく満たさ   れた気持ちになることができる作品である。 3.児童について    児童はこれまでに、「はなのみち」「だれにあえるかな」「おむすびころりん」「大きなかぶ」などのお話を学習してきた。これらの学習では   書かれている事柄の大体を理解しながら文章を読んだり、想像を膨らませながら場面の様子や登場人物の気持ちを読み取るために、音読による読   み味わいや、視写、吹き出し、続き話などを書く活動に取り組んできた。その中で見られた児童の傾向は次の通りであった。 (1)言語事項の知識(事前テストの結果から)   A.「くじらぐも」の重要語句の意味が概ね分かる。                               1名   B.「くじらぐも」の重要語句の意味がだいたい分かる。                             1名   C.「くじらぐも」の重要語句の意味を説明すると分かる。                            2名 (2)音読   A.語や文としてのまとまりを考えながらはっきりとした発音で音読できる。                    2名   B.姿勢、口形、声の大きさに注意して、はっきりと発音することができる。                    2名 (3)確かな読みへの手がかり   @視写力                                                      A.表記上の決まりに気をつけながら1分間に10字以上、視写することができる。                 1名   B.1分間に10字程度、視写することができる。                                2名   C.1分間に7字程度、視写することができる。                                 1名   A書きまとめの内容   A.場面の様子を想像しながら、物語の筋などの大体を読み取ることができ、課題についてまとめることができる。   1名   B.場面の様子について想像したことをまとめることができる。                          3名 4.指導にあたって    本教材の読み取りの中心は、くじらぐもや子供たちの楽しい交流を読み取ることである。1年生の児童は、お話の世界に素直にはいっていくこと   ができる。雲に乗ってみたいという自然なあこがれもあるので、くじらぐもと子供達との交流を思い描くことは楽しみながら想像力を培うことがで   きるであろう。その手掛りとして、会話や人物の様子が分かる文の視写、場面の様子が分かる「いきなり」「あおいあおい」等の言葉への着目、主   語や述語が省略されているところの確認をしたりして、叙述に即して確かに読み取らせたい。さらに、役割読みや動作化・挿絵に付けたす活動を取   り入れ、児童の思いを表現させることによって作品に主体的に関わらせていきたい。このことを通して、登場人物により迫りながら、様子や気持ち   を想像させ吹き出しにまとめさせたい。    これらを学習プリントを使いながら進め、最後にはくじらぐもへ手紙を書き、自分の絵本としてまとめさせたい。 5 指導目標 《国語への関心・意欲・態度》  ・場面の様子を想像しながら読み、進んで子ども達やくじらぐもになりきって音読したり、動作化したりしようとする。 《表現》  ・子ども達やくじらぐもの気持ちを想像して吹き出しに書くことができる。(表現ウ、オ)  ・「…も」の使い方に注意して視写し対比する表現の仕方が理解できる。 (表現キ、言語事項エ(イ) オ(ア)) 《理解》  ・子ども達やくじらぐもの交流の様子を視写したりして、話の筋を追いながら場面の様子や人物の気持ちを想像して読むことができる。                                 (理解エ、オ)  ・語や文のまとまりを考えながらはっきりとした声で音読することができる。(理解ウ、言語事項ア(ア)(ウ)) 《言語についての知識・理解・技能》  ・片仮名や漢字を正しく読んだり書いたりするとともに、文中で適切に使うことができる。(言語事項イ(イ)(エ))  ・言葉の繰り返しのおもしろさに親しむことができる。          (言語事項エ(エ) ) 6 指導計画(14時間:第4章 単元指導構想表を参照) 7 本時の指導 (1)本時の目標  <関心・意欲・態度>  ・空の旅を楽しんでいる様子を想像し、進んで絵を描いたり、子ども達やくじらぐもなりきって動作化したりしようとする。  <表現>  ・空の旅をして、うれしさや楽しさで一杯の子ども達やくじらぐもの気持ちを想像して吹き出しに書くことができる。  <理解>  ・子ども達とくじらぐもが空の旅をしているときの様子を読み取り、うれしさ楽しさに満ちた気持ちを想像できる。  <言語事項>  ・漢字で書く語に気を付けて、文中で適切に使うことができる。 (2)展開 ++−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ 過程 学 習 活 動 | お も な 発 問 |予 想 さ れ る 反 応 | 留 意 点 | ++−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ 意識 1.前時の学習を想起する。・1年2組の子ども達がくじらぐもに乗れた ・いきなり、かぜがみんなを吹き飛ばしてく|・前時学習でのまとめの| を| | のはどうしてでしたか。 | れたから。 | 雲の上の心地よさを想 持つ |・雲の上はどんな感じがしたのでしたか。 |・ふわふわで気持ちいい。あったかい。 | 起させたい。 | 3分 2.本時の学習課題を確認|今日の課題を読みましょう。 | | | || | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | || する。 | |空をすすんでいるとき、くじらぐもとみんなはどんなことをおもったんだろう。 | | || | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | ++−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ 見通 3.学習の見通しを持つ。 ・くじらぐもはどこから出発しましたか。 |・校庭の上。 |・くじらぐもが連れてい| しを |・どこへ行きましたか。 |・うみ。むら。まち。 |ってくれた所や、みんな| 持つ |・みんなは何をしましたか。 |・歌を歌った。 |のしたことを挿絵ととも| 2分 |・絵の中のみんなは楽しそうだね。どんなこ| |に押さえたい。 | || | とを思っているか考えよう。 | | | ++−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ ||4.学習場面を読む。 |・今日の場面をはっきりした声で読みましょう・・各自音読 指名読 | | ||5.学習場面を読み深める| | | | 深|・くじらぐもの張り切る|・何と言う合図で出発しましたか。 |・「さあ、およぐぞ。」 |・くじらぐもが張り切っ| || 様子を読み取る。 |・どう読むといいでしょう。 |・元気に。張り切って。大きな声で。うれし| ていることを「さあ、 め| | | そうに。 | …ぞ。」から気付かせ || |・そう読んだほうがいいと思ったのはなぜ。|・「さあ、」って、やる気が出る。 | たい。くじらぐもの気 る| | |・みんなを乗せることができてうれしい。 | 持ちになって音読させ || | |・みんなに聞こえる様に大きな声。 | たい。 | 30| |・くじらぐもは、どんなふうに泳いでいるか|・くじらは、あおいあおい…のところです。| | 分| | 分かる所はどこですか。 | | | || |・線を引いてから、視写しましょう。 | |・4分で「空」や点に注| || | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | || | |くじらは、あおいあおい空のなかを、げんきいっぱいすすんでいきました。(34字)| 意して視写させたい。 || | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | || |・どんな空を泳いでいますか。 |・あおいあおい空のなか。 |・素晴らしい青空で、清| || |・あおいあおいから、どんな天気か分かるか|・天気がよくて、青空が広がっている。 | 々しい様子としてとら || | な。 |・きれいな青空がいっぱいで、雲が少ない。| えたい。 | || |・その中をどんなふうに進んでいきましたか|・げんきいっぱいすすんでいきました。 |・くじらぐもの張り切っ| || |・「げんき」と「げんきいっぱい」では進み|・スピードがあって、ぐんぐん進む感じ。 | て泳ぐ様子を動作化し || | 方がどう違うでしょう。 |・すごくはりきって泳いでいる。 | たりしてスピード感を || | |・うれしくてにこにこしながら進んでる感じ。 とらえさせたい。 | ||・空の旅で見えたものを|・どこに連れていってくれましたか。 |・うみのほうへ、むらのほうへ、まちのほうへ。 | || 想像する。 |・どこに連れて行ってもらったときのことを|・(3つのうちのどれかを選び、クーピーペ|・できれば三方向になれ| || | 絵に描いてみたいですか。1つ選んで、く| ンなどを用いながら学習プリントに絵を| ば良いが、子ども達の || | じらぐもから見えた様に描きましょう。 | 描き込んでいく。) | 希望にまかせたい。 | || |・自分の絵を見ながら見えた様に言って見ま|・海で釣りをしている人がいるぞ。 |・手をかざしたりして動| || | しょう。 |・自動車がミニカーみたいだ。いっぱいある| 作化させたりしたい。 || | |・牛がいるぞ。おうちが小さく見える。 |・触れられなかった場所| ||・子ども達の楽しんでい|・みんなはくじらぐもの上でそんな素晴らし| | は、みんなで考えたい || る様子を読み取る。 | い物を見たんだね。どんな気分だろうね。|・楽しい。うれしい。気持ちいい。 | | || |・それが分かる文があるよ。 |・みんなは、うたをうたいました。 |・既習の歌で、景色や楽| || |・楽しくて歌まで歌いたくなったんだね。ど|・海、大空賛歌、ゆかいにあるけば… | しい気分に関わる歌が || | んな歌だったかな。 | | 出てくれば良い。 | ++−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ ||6.学習のまとめをする。| | |・確かな読みは、次の二| ま|・くじらぐもや、子ども|・海、村、町に連れて行ってもらったけど、|子ども達について | 観点でとらえたい。 | || 達が楽しく空の旅を続|「空はどこまでもどこまでもつづきます。」|・空から見るとみんな小さく見えるんだな。|子ども達について | と| ける様子を想像して吹| くじらぐもと子ども達はどんなことを思い|・早くて気持ちいいな。 |@空の旅の楽しさ・快適| || き出しに書く。 | ながら空の旅を続けたんでしょう。 |・みんなと一緒に旅ができてうれしいな。 | さ・清々しさ・うれしさ め| | |・どこへでもすいすい行けてすごい。もっと|A別の場所への期待やそ| || | | もっと行って見たい。 | こで見えた物。 | る| | |・次は、山のほうに行ってみようよ。 |くじらぐもについて | || | |・ぼくの家のほうにも行ってちょうだい。 |@子ども達を乗せて旅を| 10| | |くじらぐもについて | する楽しさやうれしさ 分| | |・乗せることができて良かった。子ども達は|Aもっと楽しませたいと| || | | 楽しそうに歌も歌っているぞ。 | 張り切る気持ち。 | || | |・さあ、今度はどこがいいかな。行きたい所| | || | | に連れて行ってあげるよ。 | | ||・発表する。 |・子ども達、くじらぐもの順に発表しましょ| | | || | う。 | | | ||・友達の良さを見つける|・いいなと思った吹き出しがありましたか。| |・同感できるものを言わ| ||・音読する。 |・気持ちを思い浮かべながら読みましょう。|・指名読 | せたい。 | ||・次時の学習について確|・次の時間は、お別れする場面を学習しまし| | | || 認する。 | ょう。 | | | ++−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ (3)評価  <関心・意欲・態度>  ・空の旅を楽しんでいる様子を想像し、進んで絵を描いたり、子ども達やくじらぐもなりきって動作化したりしようとしたか。  <表現>  ・空の旅をして、うれしさや楽しさで一杯の子ども達やくじらぐもの気持ちを想像して吹き出しに書くことができたか。  <理解>  ・子ども達とくじらぐもが空の旅をしているときの様子を読み取り、うれしさ楽しさに満ちた気持ちを想像できたか。  <言語事項>  ・漢字で書く語に気を付けて、文中で適切に使うことができたか。