印刷用紙:B4縦 1ページの行数:70 1行の文字数(半角で):124   −−以下 指導案本文−−                    第2学年 国語科学習指導案                                        日 時  平成8年10月30日(水)5校時                                        児童数  男子2名 女子8名 計10名                                        授業者  尾 形 孝 子  1.単元名  気持ちを考えて読もう    教材名   お手紙   アーノルド=ローベル 作 2.教材について (1)学年の理解目標    第2学年の理解領域においては、「事柄の順序を考えて話を聞いたり事柄の順序や場面の移り変わりなどに注意しながら文章を   読んだりすることができるようにすると共に、易しい読み物を進んで読もうとする意欲を高める。」が目標である。物語の前教材   「えいっ」では、人物の気持ちや、それぞれの場面の様子を会話などに注意して読み取り、作品の面白いところについて感想を話   したり書いたりする学習をしてきた。本教材では、場面の移り変わりを考えながら読み、人物の気持ちを場面の様子や会話などか   ら想像して読み取ることが学習の中心である。そして、これが次教材「力太郎」では、繰り返しによる場面の変化について展開さ   れるストーリーのおもしろさや人物の行動や言葉のおもしろさについて考え、人物の気持ちを想像しながら読む学習へと発展する。 (2)作品について    この作品の主題は、「普段は何気なく、ごく普通な友達であった、かえるくんとがまくんであったが、手紙を通して更に深く分   かりあえた二人の友情。」である。    この作品は、明るく行動的でやさしいかえるくんと悲観的なところのあるがまくんとの心の通い合いをさわやかに描いた作品で   ある。一度も手紙をもらったことのないがまくんの悲しい気持ちに同情したかえるくんが、がまくんに手紙を出し、その手紙の来   るのを、一緒に待つというほのぼのとした友情がさわやかに描かれている。がまくんが悲しい時は、自分も悲しく、がまくんが嬉   しいときは自分も嬉しい、そんな二人の心の通い合いである。かえるくんの優しさに感動したがまくん、がまくんと一緒にお手紙   を待つかえるくん、二人は共に幸せな気分に浸るのである。    会話文が全体の4分の3程度を示しており、その会話ががまくんやかえるくんの気持ちや人柄を表している。また、ほのぼのと   した絵などもユーモラスにおっとりと描かれている。「お手紙」は、2年生になって「スイミー」に続く2回目の翻訳教材でもあ   るので指示語・接続語に気を付けながら正しく読んでいきたい。    児童たちにとって、かえるは身近かな生き物として親しみやすい。実際、今までに手紙をもらった子は少なく、いつもいつも手   紙を待っているがまくんの気持ちや、はじめて手紙がきた時のがまくんのうれしさや読む時の楽しさ、そして、友達思いのかえる   くんのやさしさをも感じ、常に共感しながら読み進めることのできる作品である。 3.児童について    児童は2年生になってから「スイミー」と「王さま出かけましょう。」と「えいっ」の3つの物語文を学習してきた。これまで   の学習では、人物の様子や場面の様子を会話などに気をつけながら音読し、登場人物の様子や気持ちのわかるところを視写したり   して言葉の意味を確かめながら、人物の気持ちを想像し、吹きだしなどに書く活動を行ってきた。その中でみられた児童の実態は   次の通りである。 (1)言語事項の知識(事前テストの結果から)  A.「お手紙」の重要語句の意味が概ね分かる。                                 2名   B.「お手紙」の重要語句の意味が大体分かる。                                 4名  C.「お手紙」の重要語句の意味を説明すると分かる。                              4名 (2)音読  A.文章の内容を考えながら音読することができる。                               3名  B.文章を正しく、はっきりと音読することができる。                              5名  C.語や文としてまとまりを考えながら音読することができる。                          2名 (3)確かな読みへの手がかり  @ 視写力  A.常に正しく丁寧に、1分間に15字以上視写できる。                             2名  B.正しく丁寧に、1分間に15字程度視写できる。                               8名  C.正しく丁寧に、1分間に10字以上視写できる。                                名  A 書き込み内容  A.人物の気持ちや様子を表す言葉にサイドラインを引き、意味を書くことができる。                5名  B.人物の気持ちや様子を表す言葉にサイドラインを引くことができる。                      5名  B 書きまとめ  A.叙述に即して事柄や時間的な順序、場面の移り変わりなどを考え、人物の気持ちや様子を想像しながら内容を読み取ることが出  来る.                                                  2名  B 話の筋の大体を押さえ、人物の気持ちや様子を想像しながら内容を読み取ることが出来る。            5名  C.話の筋の大体を押さえ、人物の気持ちや様子を想像しながらまとめることが出来る。               3名 4.指導にあたって    本教材の読み取りの中心は、一度も手紙をもらったことのない深い悲しみにくれるがまくんと、同情して手紙を出す優しいかえ   るくんの二人の間に通い合う友情を読み取ることができるようにすることである。その手がかりとして、会話文に気をつけ誰の会   話かを明確にしてから会話の中に込められている人物の気持ちを音読によって確かめたり、気持ちが表れる音読を工夫させたりし   ながら、人物と人物のかかわりあいをしっかりとらえさせたい。様子や気持ちがよく表れているところにサイドラインを引き、視   写し、視写部分の言葉からかえるくんやがまくんの気持ちを想像し書き込みさせたい。書き込んだことや想像したことを自由に発   表し合いながらかえるくんとがまくんの気持ちを読み取らせたい。そして、話し合いを通して自分と友達の考えをくらべながら、   かえるくんとがまくんの気持ちを想像し、自分の言葉でまとめて書かせることにより、確かに読みとらせたい。途中、がまくんに   教えてあげたくなるような場面もあるので、第三者の視点からも書かせてみたい。 5.指導目標 〈国語への関心・意欲・態度〉  ・場面の様子をとらえながら、人物の気持ちが表れるように会話文の読みを工夫しようとし、アーノルド=ローベルの他の作品に興   味を持ち進んで読もうとする。 〈表 現〉  ・気持ちや様子の分かる文を正しく視写したり、気持ちを想像して書いたり、がまくんに教えてあげたいことを書くことができる。                                                (表現 エオキ) 〈理 解〉  ・人物の気持ちや様子が分かるところサイドラインを引いたり、書き込みをしたりして、人物の気持ちの移り変わりや心の通い合い   を読み取ることができる。                                   (理解 ウエカ) 〈言語事項〉    ・かぎ(「」)の使い方を理解し、主語述語、修飾語・被修飾語の関係に注意して読んだり書いたりできる。(言語 アウエオ) 6.指導計画(15字時間:第4章 単元指導構想表を参照) 7.本時の指導  (1)本時の目標 〈関心・意欲・態度〉  ・がまくんやかえるくんの気持ちを考えながら音読しようとする。  〈表 現〉  ・がまくんに対するかえるくんの気持ちがわかるところにサイドラインを引き、言葉の意味やかえるくんの気持ちを想像することが   できる  ・かえるくんとがまくんの幸せな気持ちを想像して書きまとめることができる。 〈理 解〉  ・かえるくんからの手紙のことを聞き幸せな気持ちになるがまくんと、そんながまくんの様子や気持ちを知ったかえるくんの幸せな   気持ちを読み取ることができる。 〈言語事項〉  ・親友の意味をしっかりとらえることができる。      (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |過程 学 習 活 動 | 主 な 発 問 | 予 想 さ れ る 反 応 | 留 意 点 | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |意識 1.本時の学習課題を確認 ・今日の課題は何ですか。 | | | |を持 する。 | +−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |つ| | |ふたりは、どうしてとてもしあわせな気持ちになったのだろう。|| | |1分 | +−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |見通 2.学習の見通しを持つ。 ・今日の学習場面を音読しまし|・一斉音読 |・場面の確認のために音| |しを | ょう。 | | 読させたい。 | |持つ |・P6のがまくんとかえるくん、・うれしそう。 |・P6とP14の挿絵を見| | | | P14のがまくんとかえるくん|・楽しそう。 | て課題解決のための手 | | | は違うね。P14は、どんな感|・幸せそう。 | 掛りをつかませたい。 |3分 | じがしますか。 | | | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |深|4.学習場面を読む。 |・がまくんやかえるくんの気持|・指名読み |・ふたりの気持ちに気を| |め| | ちを考えながら、音読しまし| | つけながら、はっきり |る| | ょう。 | | 音読させたい。 | | |5.学習場面を読み深める。 | | | | |・やりきれなく打ち明け|・かえるくんは、とうとう何と|・「だって、ぼくが、きみにお手紙だし|・投げやりな態度を取る| | | たかえるくんの気持ち| 言ってしまったんでしたか。| たんだもの。」 | がまくんを見て、打ち | | と、それを聞いたがま|・どうして言ったんでしたか。|・がまんができなくなったから。 | 明けずにはいられない | | くんの気持ちを想起す| |・がまくんが、信じてくれないから。 | かえるくんの気持ちと | | る。 | |・がまくんが、かわいそうだったから。| それを聞いて驚くがま | | |・「きみが。」といったがまく|・えっ。どうしてきみが。 | くんの気持ちを想起さ | | | んは、どんな気持ちでしたか。・うそ、どうして。 | せる。 | | | | | | | | |・かえるくんが書いた手|・かえるくんは、どんな手紙を| 教科書にサイドラインを引く。 | | | | 紙の内容を読み取る。| 書いたのでしょう。書いた手| | | | | | 紙にサイドラインを引きましょう。 | | | | | | | | | | |・視写しましょう。 | 手紙の用紙に書く。1字開けて書く。|・手紙の用紙に書き、手| | | | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| 紙を書くかえるくんの | | | |親愛なるがまがえるくん。ぼくは、きみがぼくの親友であることを|| 気持ちを味わわせたい | | | |うれしく思っています。きみの親友、かえる。(52文字) ||・4分で丁寧に書かせたい | | | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | |・お手紙の意味を考えながら、| |・親友の言葉の意味や、| | | | 書き込みしてみましょう。 | 書き込み | かえるくんのうれしい | | |・親友とは、どんな意味でしょう。 ・親友 | 気持ちを想像して書か | | どんなことがうれしいのでしょう。 | せたい。  |                                                  ・うれしい | | | ほかに自分で書き込めるとこ| | | ろがあったら書き込んでください。 | | |・親愛なるとは、手紙の書き始| |・親愛なるは、手紙の書| | | | めによく使われ、大事な人や| | き始めであることを、 | | | 好きな人に書くときに使われ| | 知らせたい。 | | | | る言葉です。 | | | | | |・親友とは、どんな意味だと思|・友達 |・親友の意味をしっかり| |深| | いますか。 |・一番の友達 | 理解させたい。 | | | | |・大事な友達 | | | | |・こっちにも親友ってあるね。ほ ・がまくんの一番の友達 |・親友が二回もでてきている                                                   のでしっかりと押 | | かの言い方で何て言えるでしょう。 | さえさせたい。 | | | |・かえるくんは、どんなことが|・がまくんが、ぼくの親友だということ|・がまくんがかえるくん| | | | うれしいのでしょう。 |・がまくんが、ばくの一番の友達という| の親友であることがう | | | | こと。 | れしいことをとらえさ | | | | | せたい。 | | |・手紙のことを知ったが|・かえるくんの手紙のことを知|・「ああ。」 | | | | まくんの気持ちを読み ったがまくんは何といいましたか。 |・「とてもいいお手紙だ。」 | | 取る。 |・がまくんは、どんな気持ちで| | | | | |「ああ。」と言ったのですか。|・とてもうれしいな。 |・P5の「ああ。」と読| | | | |・ありがとう。 |み比べ違いに気付かせたい | | | |・かえるくんがぼくのことを、そんなふ| | | | |・がまくんの気持ちを考えなが| うに思っていたなんて。 |・感動した気持ちで音読| | | | ら音読してみましょう。 | |させたい。 | | | |・がまくんは、「とてもいいお|・手紙がくるところ。 |・親友であること、かえ| | | | 手紙だ。」といいましたが、|・親友といってるところ。 | るくんがうれしいと思 | | | どこがいい手紙なのでしょう。・きみが、ぼくの親友であることをうれ| ていることをいい手紙 | | | | しく思っているところ。 | とおさえたい。 | | | | | | | | |・ふたりが幸せな気持ち|・ふたりは、手紙がくるのをど|・げんかんで出てまっていました。 | | | | で手紙を待つ様子を読| こでまっていましたか。 | | | | | み取る。 |・きのうまでのがまくんは。 |・ベットにねていた。 | | | | |・きのうまでのかえるくんは。|・まどから手紙がくるのを待っていた。| | | | |・どうして玄関に出て待ってい|・はやくこないかな、と思ったから。 |・待ちどおしい気持ちに| | | | たのでしょう。 |・はやく手紙を見たいから。 | 気付かせたい。 | | | | |・手紙がくるのが楽しみだから。 | | | | | | | | |25| |・ふたりはどんなことを思って|・はやくこないかな。 |・がまくんやかえるくん| |分| | いたんだろうね。 |・がまくんが、はじめて手紙をもらうぞ。 も幸せな気持ちを自由| | | | |・かえるくんが、ぼくのこと親友って思| に考えさせたい。 | | | | | ってくれていたんだ。 | | | | |・教科書では何と言っていますか。・幸せな気持ち | | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |ま|6.学習のまとめをする。|・ふたりはどうして幸せな気持| |・確かな読みは、次の観| |と| | ちなんでしょう。手紙がくる|がまくんの気持ち | 点でとらえたい。 | |め| | のを待っていた時のふたりの|・かえるくんは、ぼくのことを親友と思|がまくんの気持ち | |る| | 気持ちを書いてみましょう。| ってくれていたなんて、とてもしあわ|@かえるくんの気持ちが| | | | | せだなあ。 | わかり幸せながまくん | | | |・ぼくのために手紙を書いてくれたんだ|A自分のために手紙を書| | | | | かえるくん、ありがとう。 | いたかえるくんのやさ | | | | | しさを知りうれしいが | | | | | まくん。 | | | | |かえるくんの気持ち |かえるくんの気持ち | | | | |・がまくんに、ぼくの気持ちがわかって|@自分の気持ちががまく| | | | | もらえたぞ。うれしいな。 | んにわかってもらい、 | | | | | 幸せなかえるくん。 | | | | |・がまくんが元気になってよかったな。|Aがまくんが、元気にな| | | | | | りうれしいかえるくん | | |・発表する。 | | | |16|7.次時の学習について、|・次の時間は、やっとがまくん| | | |分| 確認する。 | に手紙が届く場面を勉強します。 | | +−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+  8.評 価 〈関心・意欲・態度〉  ・がまくんやかえるくんの気持ちを考えながら音読しようとしたか。 〈表 現〉  ・がまくんに対するかえるくんの気持ちがわかるところにサイドラインを引き、言葉の意味やかえるくんの気持ちを想像することが   できたか。  ・かえるくんとがまくんの幸せな気持ちを想像して書きまとめることができたか。 〈理 解〉  ・かえるくんからの手紙のことを聞き幸せな気持ちになるがまくんと、そんながまくんの様子や気持ちを知ったかえるくんの幸せな   気持ちを読み取ることができたか。 〈言語事項〉  ・親友の意味をしっかりとらえることができたか。