印刷用紙:A4縦 1ページの行数:70 1行の文字数(半角で):100   −−以下 指導案本文−−            第5学年 国語科学習指導案                              日 時  平成8年10月30日(水)5校時                              児童数  男子8名 女子2名 計10名                              授業者  佐藤 則子 1、単元名 人物の結びつきを     教材名 大造じいさんとガン    椋鳩十作 2、教材について (1)学年の理解目標第5学年の理解領域においては、「話し手の意図をつかみながら聞いたり、主題や要旨を   理解しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに、読書を通して考えを深めるようにする」   が指導内容の中心である。物語の前単元「いたいいたい虫」では、時間の経過の中で登場人物二人の心の交   流が深まっていくようすを読み取っていく学習をしてきた。    本単元では、場面が移り変わるとともに人物の結びつきや気持ちが変化する様子を読み取る学習が中心と   なる。そして、これが物語の次単元「わらぐつの中の神様」で物事と人物との関係に気をつけて、人物の考   え方や心の動き、人柄を味わいながら主題を読み取っていく学習へと発展していく。 (2)作品についてこの作品の主題は、「ガンの頭領残雪との戦いを通して生まれた大造じいさんの感動と狩人   としての自負」である。    この作品は、狩人である「大造じいさん」とガンの頭領「残雪」の間に繰り広げられる激しい戦いの中に   生まれた感動がかかれている。大造じいさんと残雪のかけひきによって物語が展開し、四年間の四つの事件   を通して、その折々の大造じいさんの心情やその高まりを、残雪の行動との対比や鮮やかな情景描写で描い   ている。それが場面を追うごとに緊迫した雰囲気をしだいに盛り上げており、読み手に緊張感と感動を与え   ている。クライマックスのはっきりした作品のため、そこを中心に児童は大造じいさんと同様に気持ちが高   まっていくであろう。全体を通して、残雪の姿を描写している部分は少なく、ほとんど大造じいさんの行動   や様子、気持ちを書き表したものになっているので、叙述に即して大造じいさんの残雪に対する気持ちの変   化を読み取っていける作品である。児童はこの物語を読み終えた時、残雪に共鳴し、大造じいさんと同様に   すがすがしい感動を覚えるであろう。3、児童について    児童は5年生になってから、「麦畑」「いたいいたい虫」などの物語文を学習してきた。これらの学習で   は、人物の気持ちやそれと響きあう情景描写を読み味わったり、作品の主題について考える学習をしてきた。   その中で見られた児童の傾向は次のとおりである。   (1)言語事項の知識(事前テストの結果から)      A 「大造じいさんとガン」の重要語句の意味が概ね分かる。    2名      B 「大造じいさんとガン」の重要語句の意味がだいたい分かる。  7名      C 「大造じいさんとガン」の重要語句の意味を説明すると分かる。 1名   (2)音読      A 気持ちや情景が聞き手に伝わるように、音量・速さ・抑揚などを工夫して音読できる。 2名      B 気持ちや情景が聞き手に伝わるように、音量・速さ・抑揚などに気をつけて音読できる。6名      C 気持ちや情景が聞き手に伝わるように、音読することができる。           2名   (3)確かな読みへの手がかり     @視写力      A 常に正しく丁寧に1分間に30字以上視写することができる。     6名      B 正しく丁寧に1分間に30字程度視写することができる。       3名      C 1分間に25字程度視写することができる。             1名     A書き込み内容      A 主題にかかわる文の中心的な言葉にサイドラインを引き、読み取ったことや想像したことを書き        込むことが   できる。                             1名      B 人物の心情や様子を表す文の中心的な言葉にサイドラインを引き、読み取ったことや想像したこ        とを書き込   むことができる。                         7名      C 人物の心情や様子を表す中心的な文にサイドラインを引き、思ったことを書き込むことができる。                                                 2名     B書きまとめの内容 5、指導目標   <国語への関心・意欲・態度>    ・物語の構成や巧みな情景描写・心情表現などを読み味わいながら、文学に対する興味を一層高める。   <表現>    ・場面の移り変わりの中で大造じいさんの心情の変化を読み取り、作品の主題を考えながら感想を書くことができる。( 表現イケコ 理解イ)   <理解>    ・残雪との戦いを通して深い感動を覚えていく大造じいさんの心情の変化を読み取ることができる。(理解ウエオ)   <言語事項についての知識・理解・技能>    ・慣用句、様子・動きを表す語について理解を深め、読み取りに生かしたり、使ったりすることができる。(言語エ(ア)(イ)) 6、指導計画(13時間:第4章 単元指導構想表を参照) 7、本時の指導 (1)本時の目標   <関心・意欲・態度>    ・大造じいさんの心情について自分の考えをまとめようとする。   <表現>    ・残雪の行動を見届けた大造じいさんの心情について自分の考えを課題に関連させながら書きまとめることができる。   <理解>    ・第一の敵(ハヤブサ)から仲間を救うために命がけで戦い、第二の敵(大造じいさん)に対しても最後まで頭領らしい態度をとり続け     た残雪に感動していく大造じいさんの心情を読み取ることができる。   <言語事項>    ・「強く心をうたれて」の意味を理解し、残雪の様子を読み取ることができる。 (2)展開 +−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |過程| 学習活動 | 主な発問  | 予想される反応 | 留意点 | +−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |持意|1、本時の学習課題を確|・今日の学習課題は何ですか。 | | | |つ識|認する。 |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | を| ||大造じいさんは、どうしてただの鳥に対しているような気がしなかったのだろ|| | |1分| ||うか。 || | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |見 |2、学習の見通しを持つ|・心をうたれるとは、どんな意味ですか|・感動する。感心する。 |・ハヤブサと戦った| |通 | | |・人の心を強く動かす。 |時と大造じいさんが| |し | | | |近づいた時の残雪の| |を | |・大造じいさんは、何を見て強く心をう|・残雪。 |様子、態度に焦点を| |持 | |たれたのでしょう。 |・残雪が仲間を助けるためにハヤブサと|あてて大造じいさん| |つ | | |戦ったところ。 |の気持ちを考えるこ| | | | |・残りの力をふりしぼって、長い首を持|とを確認したい。 | |4 | |・ハヤブサとの戦い、大造じいさんが近|ち上げて、正面からにらんだところ。 |・視写部分におおよ| |分 | |づいてからの残雪の態度を通して、どう|・じたばたしなかったところ。 |その見当をつけさせ| | | |して強く心をうたれて、ただの鳥に対し| |たい。 | | | |ているような気がしなかったのかを考え| | | | | |ましょう。 | | | +−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |3、学習場面を読む。 |・戦いの様子や残雪の様子がわかるよう| |・戦いの様子を速く| | | |に、速さや声の大きさに気をつけて音読| |強い調子で読ませた| | | |しましょう。 | |い。 | | | | | | | | |4、学習場面を読み深め|・課題を解決する手がかりになる文を見| |・サイドライン、視| | | る。 |つけて、視写・書き込みをしましょう。| |写、書き込みに十分| | | | | |な時間を取りたい。| | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | ||・いきなり、敵にぶつかっていきました。そして、あの大きな羽で、力いっぱ|| | | | || い相手をなぐりつけました。 || | |深 | ||・残雪は、胸の辺りをくれないにそめて、ぐったりとしていました。しかし、|| | | | || 第二のおそろしい敵が近づいたのを感じると、残りの力をふりしぼって、ぐ|| | |め | || っと長い首を持ち上げました。そして、じいさんを正面からにらみつけまし|| | | | || た。 || | |る | ||・大造じいさんが手をのばしても、残雪は、もうじたばたさわぎませんでした|| | | | || それは、最期の時を感じて、せめて頭領としてのいげんをきずつけまいと努|| | |30 | || 力しているようでもありました。 || | |分 | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |・ハヤブサと戦う残雪に|・ハヤブサと残雪の戦いでは、どちらが|・ハヤブサ。 |・文中の言葉をもと| | |対する大造じいさんの気|勝ちそうですか。 |・残雪が大きな羽で力一杯殴ってもも、|にハヤブサの方が強| | |持ちを読み取る。 | |ハヤブサはよろめいただけだった。 |いことを読み取らせ| | | | |・ハヤブサは、さっと体勢を整えて攻撃|たうえで、図を使い| | | | |している。 |ガンとハヤブサの体| | | | |・ハヤブサの攻撃で、残雪は羽が飛び散|の構造の決定的な違| | | | |る程のけがをした。 |いに気づかせたい。| | | | |・ハヤブサは逃げ出せたけど、残雪は胸| | | | | |から血を流してぐったりしていた。 | | | | | |・ハヤブサには、鋭い爪とくちばしがあ| | | | | |るけど、ガンは水かきのついた足と丸い| | | | | |くちばしだから勝ち目がない。 | | | | | | | | | | |・大造じいさんは、勝ち目のないハヤブ|・そんなに仲間を助けたいのか。 | | | | |サと戦う残雪を見てどう思ったでしょう|・おとりのガンなのに、命がけで助けよ| | | | | |うとしているなんて、何とすごいやつだ| | | | | | | | | | | | | | | |・大造じいさんがかけつ|・大造じいさんが駆けつけた時、残雪は|・胸の辺りが真っ赤になる程血が流れて|・頭領としての堂々| | |けた後も頭領らしい態度|どんな状態でしたか。 |動けなくなっていた。 |たる態度から、「た| | |を崩さなかった残雪に対| |・たくさんの血が流れて、ぐったりして|かが鳥」という気持| | |する気持ちを読み取る。| |いる。 |ちが変わっていく様| | | | | |子を読み取らせたい| | | |・ぐったりとしている残雪に、強く心を|・残りの力をふりしぼって、正面からに| | | | |うたれたのですか。 |らみつけたところ。 | | | | | |・死ぬかもしれないと思っと時でも、み| | | | | |っともないことはやめようというように| | | | | |じたばたしないで、頭領としての威厳を| | | | | |きずつけまいとしているところ。 | | | | | | | | | | |・前は「たかが鳥」と思っていたのに、|・ただの鳥は自分のことを一番に考える| | | | |どうして今はただの鳥に対しているよう|のが普通なのに、残雪は仲間のことを考| | | | |な気がしないに変わったのでしょう。 |えて行動しているから。 | | | | | |・最後まで頭領らしい態度をとったから| | +−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |ま |5、学習のまとめをする|・ハヤブサとの戦いの様子と大造じいさ| |・確かな読みは、次| | | |んに対する様子から課題について考えて| |の観点でとらえたい| |と | |きましたが、いいなと思った友達の考え| |@仲間を救うために| | | |を発表して下さい。 | |勝ち目のない相手に| |め | | | |にも向かっていった| | | |・今日の課題について書きまとめましょ|・仲間のために命がけで戦った残雪は、|残雪に対する感動 | |る | |う。 |なんとすごい鳥だろう。 |A最後まで頭領らし| | | | |・自分が死ぬかもしれない時にも、じた|く堂々とした態度を| | | |・書いたことを発表して下さい。 |ばたしないで堂々とした態度でいられる|とった残雪に対する| |10 | | |なんて、立派なやつだ。 |感動。 | |分 | | |・仲間を助けるためにハヤブサとも戦い|B仲間を救うために| | | | |最後まで頭領らしい態度をとり続けた。|戦い、最後まで頭領| | |6、次時の学習について|・次の時間は、残雪を逃がす大造じいさ|こんな鳥は見たことがない。 |らしい態度を取り続| | |確認する。 |んの気持ちについて学習します。 | |けた残雪に対する感| | | | | |動。 | +−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ (3)評価   <関心・意欲・態度>    ・大造じいさんの心情について自分の考えをまとめようとしたか。   <表現>    ・残雪の行動を見届けた大造じいさんの心情について自分の考えを課題に関連させながら書きまとめることができたか。   <理解>    ・第一の敵(ハヤブサ)から仲間を救うために命がけで戦い、第二の敵(大造じいさん)に対しても最後まで頭領らしい態度をと     り続けた残雪に感動していく大造じいさんの心の動きを読み取ることができたか。   <言語事項>    ・「強く心をうたれて」の意味を理解し、残雪の様子を読み取ることができたか。