印刷用紙:B4縦 1ページの行数:53 1行の文字数(半角で):116   −−以下 指導案本文−−   第五学年国語科学習指導案 日時  平成八年九月二十七日(金) 二校時 児童  男子三名 女子四名  計七名 指導者 千葉 ゆかり 一、単元名     人物の結び付きを 二、教材名     大造じいさんとガン  ( 椋 鳩十 作  光村図書下) 三、単元の目標 ◎価値目標 ・仲間を救うため命がけで戦った残雪の知恵と勇気に心を打たれた大造じいさんの気持ちを読み取るこ        とができる。                       (理解ウエオ) ◎技能目標   ・読み取った情景や気持ちが聞き手に伝わるように、音量、速さ、抑揚などを工夫して朗読することが        できる。       (表現ウ) ・主題を考えながら感想をまとめ、話し合ったり整理して文章に書くことができる。                                 (表現イエコ 理解イ)   ◎言語事項   ・慣用的表現、熟語、動きを表す語、様子を表す語、色彩語などについて理解を深め、自分の文章に生        かすことができる。 (言語エ) 四、教材について  この作品は、猟師である大造じいさんとガンの頭領である残雪の四年間にわたる知恵比べの様子が描かれている。大造じい  さんは、思うように狩りをさせない残雪をいまいましく思っている。なんとかしてガンを手に入れようと作戦を立てるが、そ  のたびに残雪にしてやられてしまう。ある年、絶対にうまくいくと思う方法を思いつくが、はやぶさのために失敗してしまう。  その時、大造じいさんは、仲間を救うために、自分の命をも顧みず戦う残雪の姿に、強く心を打たれる。そして、猟師と獲物  の関係から、魂においては、一瞬、人間に対しているように思えるのである。  物語は、前書きと四つの場面からなり、一年間という単位の中で一つずつの出来事を丹念に描き、それを次の伏線として設  定し、その上に次の年の出来事を積み上げていくという形式を取っている。前書きは、大造じいさんの人物紹介をするととも  に「さあ、丸太がパチパチと燃え上がり:::」と物語の舞台を映し出すことによって、読者が物語の世界に誘い込まれてい  くようである。四つの場面の前半部分は、大造じいさんが策をめぐらせても、ことごとく見抜き仲間を助ける残雪にいまいま  しさを感じる様子が描かれており、後半部分の思いがけない展開への伏線となっている。さらに四つの場面が起承転結で展開  していくことは、読者を最後まであきさせずに作品に引き込んでいく工夫が感じられる。余韻を残す幕切れも、物語の主題で  ある「大造じいさんの人間味あふれる姿、美しいもの、「すばらしいものに感動する心」を一層印象深いものとして読み手に  伝わってくる。   この作品の表現においては、場面の転換や物語のクライマックスの場面などに、大造じいさんの行動を写す細かい描写が見  られ、秋の空や日の光を中心とした自然描写、さらに戦う残雪の描写の巧みさなどは、読み手に物語の世界を実感させる。こ  うした言葉に着目し、読み深めることで、より主題に迫れるのではないかと考える。   学習活動としては、優れた情景描写や様子を表す語に気をつけさせながら、場面ごとに大造じいさんの気持ちを読み取るこ  とを中心に進めていきたい。その中でも仲間を救うために自分の命を顧みずに戦う残雪の様子を大造じいさんの視点から捕え  させたい。また、読み取った情景や気持ちを、聞く人にわかるように朗読させたい。 五、児童の実態  子供たちは、一学期に物語教材として、「ヤドカリ探検隊」、「麦畑」を学習してきた。そこでは、人物の気持ちや情景描  写を読み味わいながら主題を読み取ることをめあてとしたが、読み取りについては、どの児童も楽しんで学習を進め、内容も  理解することができたのだが、表現において、聞く人に伝わるように朗読をするという点は、まだまだ工夫が必要であった。  そこで、読書単元の「宇宙人の宿題」では、朗読を工夫させることも一つのめあてとして学習計画を立てさせた。子供たちは、  役割読みをしたり、簡単な劇化をすることで、自分たちで工夫した朗読の練習ができ、成果が見え始めてきた。関心意欲につ  いては、高学年という発達段階もあると思うが、自分から進んで人前で表現しようとする児童は、限られており、発言は遠慮  がちである。ノートに書き込んであることなどを指導者がどんどん取り入れて、少人数を生かした授業を展開していきたいと  考える。ひとり学びについては、 個別に援助が必要な児童が二人いるが、五人の児童は課題に沿って、 自分で調べたり書い  たりすることができる。個別指導が必要な児童については、挿絵や文中の主述関係に着目させたり、場面を繰り返し読み聞か  せることで内容の理解を援助していきたい。また、発言に遠慮がちな児童については、ひとり学びの段階で調べたことを話し  合いで深めることができるように、書き込んだことを生かせるような授業展開と雰囲気づくりを工夫していきたい。 六、指導計画( 十一時間扱い) +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 過程 到達目標(時間) | 学習活動 | 着目させたい語句など | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | |る| 全文を読み、学習の ・ 「前書き」がつけられた理由を考え◇老狩人 | |え| 計画を立てる。 | ながら全文を読み通し、初発の感想・話上手 | |ら| | をまとめる。 ・血管のふくれたがんじょうな手 | |と| ・大造じいさんとガンの関係に着目し◇山家のろばた | | | | 学習計画を立てる。 ◇ガン | | | ・新出漢字・難語句を調べる。 | | | | 3 | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 情景描写や心内語に着・残雪の知恵のすばらしさを改めて思◇頭領らしい | | | 目し、大造じいさんの い知らされる大造じいさんの気持ち◇いまいましく ・今年こそは ・特別な方法 | | | 残雪への気持ちの移り を読み深める。 ・むねをわくわくさせながら | | | 変わりと関係を読み取     (1)◇ううむ◇たいしたちえ   | | | る。 | ◇残雪 ・たかが鳥 | | | | ◇思わず子どものように声をあげて | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | ・今年にかける意気込みと自信が失敗・そのよく年も・例によって・その翌日も | | | | に終わり、苦しい立場に立った大造◇会心のえみ・あかつきの光・すがすがしく | | | | じいさんの気持ちの変化を読み取る◇彼の本能・またしても ◇「ううん」 | | | | ◇しめたぞ | |る| | | | | | | (1) | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | | ・おとり 「うまくいくぞ」 | | | ・おとりを使う作戦に踏み切った大造・今年もまた・長年の経験で | | | | じいさんの気持ちを読み取る。 ◇東の空が真っ赤に燃えて、・わくわく | | | | (1)・目をつぶって冷え冷えするじゅう身をぎゅっとに| | | | |ぎりしめました・「さあ、きょうこそ、」 | | | | ◇「どうしたことだ。」◇残雪め | |べ| | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | | ◇が、なんと思ったか | | | ・大造じいさんの残雪に対する気持ち ・一直線・命がけの場合 ◇残雪です。 | | | |が、ハヤブサとの戦いを通して変わっ◇残雪の目には、人間もハヤブサもありませんでし | | |ていったことを読み取る。 | た。・白い花弁・くれない◇第二のおそろしい敵 | | | ( 本時 )・残りの力をふりしぼって◇正面からにらみつけ | | | | ・いかにも頭領らしい◇最期のとき | |ら| | ・強く心をうたれて・二羽の鳥 | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | ・英雄と呼びかけながら、いつまでも ◇快い羽音一番 | | | |残雪を見守る、大造じいさんの気持ち◇ガンの英雄よ・また堂々と | |し| |を読み取る。 ◇ガン | | | 5| (1) ◇いつまでも、いつまでも | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |る| 学習のまとめをする ・大造じいさんと残雪の関係を振り返| | |め| |り、主題についてまとめる。 | | |か| ・はじめの感想を見直し、感動したこ| | |ふ| 2|とを中心に感想を書く。 | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |る| 発展読書に取り組む | | | |め| ・「大造じいさんとガン」と椋鳩十の| | |ろ| |他の作品を読み比べる。 | | |ひ| 1| | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 七、本時の指導  (一)目標 残雪の戦う姿をとおして、大造じいさんの気持ちが変化していったことを読み取ることができる。  (二)展開 +++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ 程間| 指導内容 |予想される児童の反応 | 指導上の留意点 | 過時| | | | +++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ る| 一、前時の学習を想起し、本時の学習課題を ・今年こそはうまくいくと思って ・大造じいさんの意気込みを振り返ら | ||| 確認させる。 いた。 せる。 | え|| ・おとりのガンを使うことで、残雪| | ||| に勝つ自信が高まっていた。 | | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+| | ら| 残雪の戦う姿を見て、大造じいさんの気持ちはどのように変わっただろう。|| | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+| | と3| | | | +++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ る| 二、本時の学習場面を読み取らせる。 | | | || @学習の見通しを持たせる。 ・大造じいさんの行動 ・一人学びへの見通しを持たせる。 | ||| ・残雪の態度 | | |5 A課題について考えさせながら、本時の学 ・指名読み ・聞き手には大造じいさんの気持ちや | ||| 習場面の前半を音読させる。 ・サイドライン(聞き手) 様子がわかるところに 〜 線を引か | ||| | せる。 | べ5 B大造じいさんがなぜ、じゅうを下ろした ・行動に着目して、気持ちを考え ・大造じいさんの気持ちを考え、自由 | ||| のかを読み取る。 |話し合う。 に発表させる。 | ||| ・「残雪をねらいました。が、なんと・大造じいさんは、おとりのガンを使っ| ||| 思ったか、再びじゅうを下ろして ていたことを思い起こさせる。 | ||| しまいました。」 から卑怯な手を| | ||| 使うのはやめようと思った。 | | ら5 C戦いの様子を思い浮かべながら、本時の ・指名読み ・残雪の必死な態度がわかるところに | ||| 学習場面の後半を音読させる。 ・サイドライン(聞き手) ー線を引かせる。 | || ・残雪の激しい戦いぶりを読み取る。 ・いきなり、敵にぶつかっていきま・残雪の目には、人間もハヤブサも敵 | ||| |した。 であり、命がけで仲間を救おうとし | し|| | ている態度を読み取らせる。 | ||| ・残りの力を振り絞って、〜正面か| | ||| らにらみつけました。 | | |0 D課題について一人学びをする。 ・残雪の戦いに着目して、視写・書・個別指導の必要な子には、挿絵を通 | |1 ・戦いを通して、 大造じいさんの気持ちが き込み し理解させる。 | |||変化したことを読み取る。 ・大造じいさんの気持ちに着目し ・着眼点を見つけられな子には、 | ||| て視写・書き込み 「大造じいさんは、(が)」の主語 | ||| | | に着目させる。 | ||| | | (評価@書き込み) | +++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ る0 E一人学びしたことをもとに話し合わせな ・「ただの鳥に対しているような気・人間に対していると同じような威厳 | |1| がら読み深めさせる。 がしませんでした。」 から、頭領 を感じたことに気づかせたい。 | め|| としての堂々とした態度に感動 | (評価A話し合い) | ||| していることがわかる。 | | か| F大造じいさんの気持ちの変化をまとめる。| ・大造じいさんになったつもりで、残 | ||| | 雪によびかけるように書かせる。 | ふ2| | | (評価Bノート) | +++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ る|三、まとめの音読をさせる。 ・指名読み(二名) ・抑揚や速さなど工夫し、気持ちを込 | ||| | め読ませたい。 | め|| | | | ||| | | | ろ|四、次時の課題を確認させる。 | | | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |||残雪を見送るときの大造じいさんの気持|| | | ひ5|ちを考えよう。 || | | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | ||| | | | +++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ (三)評価 @大造じいさんの気持ちや様子に着目して書き込むことができたか。 A残雪に対して、頭領としての威厳を感じていることを読み取ることができたか。 B大造じいさんの残雪に対する気持ちの変化をまとめることができたか。 (四)板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 大造じいさんとガン | | 椋 鳩十 | | ・残雪めにひとあわふかせてやるぞ | |課題 ← | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 残雪の戦う姿を見て、大造じいさんの気持ちはどのように変わっただろう。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | 残雪の態度 大造じいさんの様子 | | | ・空を横切りました。       ◎ ぐっとじゅうをかたに当て、残雪をねらいました。| | | | ↓ 残雪です。 が、なんと思ったか、 | | | | 再びじゅうを下ろしてしまいました。 | | | ・いきなり敵にぶつかっていきました。 | ・ ぱっ | | ぱっ | ・ くれないにそめて、ぐったり | ・ じいさんを ↓ 第2の敵 | | 正面からにらみつけました。 | | ◎強く心をうたれて、ただの鳥に対しているような気が| | +−−−−−+ | | |最期の時 | | | +−−−−−+ | | しませんでした。 | | ← | | 頭領としての責任感と勇気に感動 | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  教材名「大造じいさんとガン」第二次の4時間目 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 評価@大造じいさんの気持ちや様子に着目して書き込むことができたか 評価A残雪に対して、頭領としての威厳を感じていることを読み取ることができたか。 | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 記 1,強く心をうたれて,ただの鳥に対しているような気がしませんでした。 評 1,人間に対しているような威厳を感じた。 | 述 2,最期の時を感じて、せめて頭領としての威厳をきずつけまいと努力している 価 2,頭領らしい堂々とした態度に感動した。 | 内 3,じいさんを正面からにらみつけました。。 内 3,ここでうつのは,自分がひきょうだと感じた。 | 容 4,残りの力をふりしぼって 容 4,残雪のはげしい戦いぶりに感動した。 | | ○ねらいに近づいた。 | ○ねらいに近づいた | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+