印刷用紙:B4縦 1ページの行数:76 1行の文字数(半角で):102   −−以下 指導案本文−−               第3学年  国語科学習指導案                                日 時  平成8年10月8日(火) 5校時                                児 童  第3学年 男9名 女14名 計23名                                指導者  高    橋       充 1 単元名  書きたいことを分かりやすく   教材名  説明書を作ろう 2 単元について   第3学年の表現領域における目標は,「表現する内容の要点が分かるように、区切りを考えて話したり、事 柄ごとにまとまりのある簡単な構成の文章を書いたりすることができるようにするとともに、分かりやすく表  現しようとする態度を育てる。」である。本単元では,自分が説明書を読んでできるようになったこと,ある  いはほかの人に教わってできるようになったこと,自分で練習してできるようになったことの中から題材を選  び,まだできない人に説明する説明書を作ることをねらいとしている。   児童はこれまでに,「ヤモリをつかまえた」の単元で,様子や思ったことをカードに書き出し,カードのた  くさん集まった所を詳しく書くという学習をしている。その学習を通して,中心のはっきりした文章を書くこ  とができた。また,作文小単元「本のおびを作る」では,絵や文を工夫して書くことによって,その書かれた  絵や文が,読み手を引き付けるということを理解し,読み手を引き付ける本のおびを作ることができた。この  学年で説明文を扱う単元は,2月の「あなたはだれ」であるが,その単元では,自分の名前の呼び方や呼ばれ  方をもとに,他者と「自分」の関係について考えさせる内容となっている。本単元で学習する「相手意識」の  大切さを,次の説明文の学習へと発展させていきたい。そして,4学年以上の,説明文の学習へと発展させて  いきたい。   この教材は,日常生活の中から,説明書を読んでできたこと,あるいは,だれかに教えてもらってできるよ  うになったこと,自分で練習してできるようになったことから題材を選び,まだできない友達に分かりやすく  教えてあげる説明書を作るというものである。教材文では,一輪車に乗れるようになるまでの7行程を設定し,  練習の仕方や注意事項をつけながら,丁寧に示している。指導にあたっては,常に相手意識を持たせながら,  教える相手に分かりやすく書かせていきたい。また,横書きで書く文章が初めてなので,ここでしっかりと横  書きの表記の仕方を理解させたい。 3 児童の実態と教師の支援  (1)児童の実態   児童はこれまでに,「ヤモリをつかまえた」の学習を生かして,書きたいことの中心がはっきりとした文章  を書くことができた。作文小単元「ことばを集めて」では,1枚の写真を使って,見たことを言葉に表し,様  子を分かりやすく伝える文章を書くことができた。日常の短作文では,生活作文,想像作文,意見文など様々  な文種の作文に取り組んできたが,ほとんどの子供がねらいにそって書くことができている。日記でも,ふだ  んの生活の中から,印象に残ったことを見つけ,毎日継続して書くことができている。説明文については,「ヤ  ドカリのすみかえ」「ありの行列」「たこたこあがれ」で学習しているが,どの単元でも,段落を押さえ,まとま  りごとに要点をまとめたり,順序を考えたりしながら,筆者が何を説明したいのかを押さえることができた。   また,作文のアンケート調査によると,全体の80%が作文を書くことを好きだあるいは,好きな方だと答 えており,意欲的に取り組んでいることが分かった。その反面,「作文を書くことがきらいだ」と答えた児童  が4人おり,その理由としては「書くのがめんどうくさい」,「長く書くと疲れる」等があげられている。し  かし,それらの児童も,「作文を書く勉強は大切である」と答えていることから,作文の学習に対して大切で  あると考え意欲的に取り組むことができるが,長い作文などには抵抗を示す児童もいると考えられる。  (2)教師の支援   指導にあたっては,家にある説明書や図書館にある本から,説明的な文章を見つけ,その中から何か実行し たり作ったりした経験を話し合い,説明文の特徴を押さえていく。そして,読む人に分かりやすく説明するた  めに,目次をつけたり,分かりにくい所には絵や図を入れたりしていることを押さえ,自分たちが書いていく  ときの手助けとなるようにしたい。また,教師の作ったねらいに反するものと比較することにより,題名のつ  けかた,書いていくときの順序,注意書きの書き方など,読み手に分かりやすく書くための工夫に気づかせて  いきたい。さらに,児童の実態から,長く書くことに抵抗を示す児童には,教師の例と教材文との比較によっ  て気づいたことをもとにしながら,目次の小見出しをつけ,それに沿って順序よく書かせることにより,抵抗  を無くしていきたい。   発問については,児童の身近なところから集めさせ,「できること発表会」を開き,それをみんなに教える ための説明書を書くという目的意識を持たせることにより,意欲を継続させていく。そして,課題追究の段階  では,教材文と比較する文章を提示し,教材文のよさに気づかせることで,つかむべき学習内容を明確にして  いく。   また,評価については,単元を通しての評価カードを作り,それに毎時間の評価を行わせる。その際,評価 の観点を押さえるために,ねらいを達成した児童の作品を提示しいいところを話し合い,さらに,グループで  読み合うことによりお互いに認め合いながら相互評価をする。そして,振り返るの段階で本時のねらいに達成  したかどうか自己評価を行い,さらに今日の勉強で楽しかった事を記述させることにより満足感を持たせ,次  時への意欲化を図っていく。 4 単元の目標 〈関心・意欲・態度〉  ・学習したことや遊んだことの中から書く材料を選び,読み手によく分かるように自ら進んで工夫しながら説  明書を書こうとする。 〈表現〉  ・教材文を参考にして,書こうとする事柄をメモにとり,そのメモをもとに言葉を選んで文章を書くことがで  きる。 〈理解〉  ・説明書の特徴を理解することができる。 〈言語事項〉  ・「横書きのときに気をつけること」を理解し,正しく使うことができる。 5.指導計画  (12時間扱い) +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |段階 時間 学 習 活 動 | 教 師 の 支 援 | 評 価 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | 説明書をよく見てみよう。 |・遊びやスポーツなどに関する説明書|・持ってきた説明書か| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |1|・自分が使った説明書を持ち寄り| を持ち寄って興味づけを行う。 | ら,絵や図の効果や,| | | | その内容を紹介し合う。 | | 重要な所が太字で書| | | |・説明書の特徴を話し合う。 | | かれていることに気| |主| | | | づくことができたか| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |題| | | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | || ぼく(わたし)のできること |・発表の仕方,発表の聞き方を確認す|・説明書を使った経験| | | | 発表会をひらこう。 | る。 | を意欲的に発表しよ| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |2|・説明書を読んだり,だれかに教|・事前にたくさんのできることを見つ| うとしたか。 | | | | わってできるようになったこと| けるよう知らせておく。 |・友達の発表を共感し| | | | を発表し合う。 |・できることがなかなか思い浮かばな| ながら聞くことがで| | | | | い児童には,スポーツ,楽器,料理,| きたか。 | | | | | 遊びなどジャンルを与えてその中か| | | | | | ら選べるようにする。 | | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | || クラスのみんなに教えてあげ |・題材選定の観点を与え,無理のない|・題材を選定し発表す| | |3| たいものを選ぼう。 | 選定ができるようにする。 | ることができたか。| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |・説明書に表したいものを決める。| | | | | |・決めた題材を発表する。 | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | ||説明書の書き方を知ろう。 |・題名のつけかた,文末表現,目次の|・題名のつけかた,目| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |理|4|・教材文を読んで,題名のつけか| 作り方について工夫している点に気| 次の作り方を理解す| |解| | た目次の作り方を理解する。 | づくことができるようにする。 | ることができたか。| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | 説明書で工夫することを知ろう |・絵や注意書きの効果について,一人|・絵や注意書きの効果| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |・教材文から読み手に分かりやす| 一人に考えを持たせる。 | を理解することがで| | |5| くするためにどんな工夫がされ|・縦書きの文と横書きの文を比較する| きたか。 | | | | ているか話し合う。 | ことで,横書きの書き方が分かるよ|・横書きの書き方を理| | | | | うにする。 | 解することができた| | | | | | か。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |6|| 読む人が分かりやすい前書き |・読み手が読みたくなる題名を考える|・読み手が読みたくな| |構|(| を作ろう。 | ことができるよう示唆する。 | る前書きを作ること| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |成|本|・やってみたいなあと思う題を考|・教師の作った前書きと,教科書の前| ができたか。 | | |時| える。 | 書きを比較し,読み手が興味を引く| | | |)|・自分でしたときのことを思い出| 題名のつけかた,目次の書き方,注| | | | | しながら,目次を立てる。 | 意書きの書き方に気づくことができ| | | | | | るようにする。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |7| 説明書を作ろう。 |・手順を示したカードを配布し,それ|・手順を示したカード| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |記|8|・目次の順に説明を書く。 | に沿って記述していくようにする。| を見ながら,意欲的| |述|9|・説明の絵をできるだけ読み手に|・教材文を振り返りながら記述してい| に記述しているか。| | |10| 分かるように描く。 | くよう知らせる。 | | | | |・注意すること,こつなどを付け| | | | | | 加える。 | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | 読む人に分かりやすくしよう。 |・推敲の観点を示す。 |・推敲の観点に従って| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |推|11|・自分の書いた説明書を読み返し|・書き足りない所があったら付け加え| まちがい字を直し,| |敲| | まちがい字を直す。 | てもよいことを知らせる。 | 書き足りない所に付| | | |・付け加える所があったら付け加| | け加えて記述するこ| | | | える。 | | とができたか。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |活| ||説明書を読み合おう。 |・いいところを記入する「発見カード」|・友達の説明書のいい| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |用|12|・グループごとに説明書を読み合| を用意する。 | ところを見つけよう| | | | いながらよいところをカードに|・読んでいるときに分かりにくいとこ| としているか。 | | | | 記入する。 | ろは質問してもよいことを知らせる。| | | | |・友達の良さを発表し合う。 |・説明の文だけでなく,絵や図につい| | | | | | ても目をむけ,いいところを見つけ| | | | | | るように促す。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |活|学級|やってみよう。 |・短時間でできるものを中心にやって|・意欲的にやってみよ| | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |用|活動 ・友達の説明書を見ながら実際に みるよう促す。 | うとしているか。 | | | | やってみる。 | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ 6 本時の学習 (1)目標  ・読み手が読みたくなるように,題名・目次を工夫して前書きを作ることができる。  ・読み手が分かりやすい注意書きの書き方を理解することができる。 (2)授業仮説  ・教師の作った前書きと教材文の前書きを比較させ,題名・目次・注意書きの工夫に気づかせることにより,  読み手の興味を引く説明書の前書きを作ることができるのではないか。 (3)展開 +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階 学 習 活 動 | 発 問 | 教師の支援・評価 | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | |つ 1前時に学習した内容 ○説明書で工夫することは何でしょう|・前時に学習した内容を確認すること| |か3 を確認する。 | か。 | により,本時の学習のめあてをつか| |む分 | | めるようにする。 | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |み|2本時の課題を確認す| | | |と| る。 | | | | |+−−−−−−−−+| | | |お|| 読む人が分かり|| | | |す||やすい前書きを作|| | | | ||ろう。 || | | | |+−−−−−−−−+| | | |15|3前書きを書くときの|◎先生の作った前書きと,馬場さんの|・教師があらかじめ「題名」,「目次」,| |分| 留意事項に気づく。| 前書きを比べてちがうところを探し| 「注意書き」のねらいに反するもの| | | | てみましょう。 | を用意し,読む人が読みたくなる題| | | | (課題追究のための発問) | 名のつけかた,目次の呼びかける文| | | | | 末表現,書いていく順序,読む人に| | | | | 分かりやすい注意事項の書き方に気| | | | | づくことができるようにする。 | | | | |◎前書きを書くときの留意点に気づく| | | | | ことができたか。 | | | | | | | | |○読む人が読みたくなる題名を考えま|・題名を工夫することで相手意識を持| | | | しょう。 | ち,目次を書いていく際の意欲化を| | | | | 図る。 | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |あ|4前書きを書く。 |・ワークシートに前書きを書いていき|・机間指導しながら,戸惑っている児| |ら| | ましょう。 | 童に対しては比較した文を振り返る| |わ| | | よう個別指導を行う。 | |す| | |◎読む人が読みたくなる題名,呼びか| | | | | ける文末表現の目次で前書きを書く| | | | ことができたか。 | |22|5相互評価をする。 |◎「○○さん」の前書きを見て,いい|・OHPでねらいが達成されている児| | | | ところを探してみましょう。 | 童の作品を紹介し,相互評価の観点| |分| | (児童相互の学び合いを促す発問) | を確認する。 | | | | | | | | |・グループで読み合い,よいところを|・単元を通した評価カードを用意する。| | | | 見つけ,「振り返りカード」に書き| | | | | ましょう。 |◎友達のいいところを見つけ,評価カ| | | | | ードに書くことができたか。 | | | | | | | | |・「振り返りカード」に書いてもらっ| | | | | たことを発表しましょう。 | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |6自己評価をする。 |・今日の学習を振り返り,「振り返り|・「題名を決めることができたか。」 | |ふ| | カード」に記入しましょう。 | 「読む人に呼びかける文末表現の目| |り| | | 次ができたか。」の二項目を評価項| |か| | | 目とする。 | |え| | |・情意面については「今日の勉強で楽| |る| | | しかったこと」を見つけて記述し,| |(| | | 発表することにより,本時での満足| |5| | | 感が持てるようにする。 | |分| | | | |)|7次時の学習を確認す|・次の時間は何をするのでしょうか。|・単元の流れを掲示しておく。 | | | る。 | |・児童に発表させることにより次時へ| | | | | の意欲化を図る。 | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 7 評価  ・読みたくなるな題名,呼びかける文末表現の目次の入った前書きを書くことができたか。  ・読む人に分かりやすい注意書きの書き方を理解することができたか。