印刷用紙:B4縦 1ページの行数:66 1行の文字数(半角で):104   −−以下 指導案本文−−   第4学年 国語科学習指導案 日 時 平成8年lO月8日(火) 5校時 児 童 第4学年 男l4名女lO名計24名 授業者 大 下 真 里 子 1 単元名 書きたいことを整理して 教材名 ふっくら飛んだパラシュート 2 単元について 第4学年の表現領域における目標は, 「表現する内容の中心点が分かるように、筋道を立てて話したり、 段落相互の開係などを考えて文章を書いたりすることができるようにするとともに、内容を整理しながら表 現しようとする態度を育てる。」である。本単元では,身の回りから集めた書きたいと思う材料を整理し, 組み立てを考えて,中心のはっきりした生活文を書くことをねらいとしている。 児童はこれまでに,2年生の「休み時間にしたこと」の学習を通して,お魚メモを利用して,はじめ・な か・おわりを意識した生活文の書き方を,そして「くつあらい」では,それをさらに発展させて様子を詳し く書くことを学習している。3年生の「ろく木登り」では,メモを生かし,さらにそれを選んで書くことを 学習している。4年生に入ってからは,「せいそう工場の見学」の学習を通して,見学メモをもとに大事な 事柄を押さえて,中心のはっきりした正確でよく分かる記録文の書き方を学習している。また,作文小教材 「グループ新聞作り」では,生活の中から様々なテーマを幅広く取り上げて取材し,新聞にまとめる活動を 行ってきている。この学年で生活文を書く学習はこの単元だけであるが,このほかに,創作的発想の2月の 「四年一組物語」でも日常の生活を見つめて取材する学習を行う。この単元での自分の生活を振り返り自分 の生活を見つめ直す学習を,5・6年生での生活意見文・生活感想文を書く活動へと発展させたい。 この教材は,楽しかったことや心に残ったことを題材にし,それに即して思い出した事柄を広く集めて取 材メモを書き,そのメモをもとに組み立てを考え,中心をはっきりさせて書くというものである。筆者は日 曜日に父親と手製のパラシュートを作って遊んだことを思い出して,したことや思ったことをカードに書き 込み,組み立てを考えている。指導にあたっては,この組み立てメモと教材文を比較させながら,中心や書 く順序の決め方,選材の必要性,メモのふくらませ方,効果的な表現方法等について理解させたい。 3 児童の実態と教師の支援 (1) 児童の実態 児童はこれまでに,2・3年生の生活文を書く学習を通して,はじめ・なか・おわりを意識して様子を詳 しく書くことや,取材メモをもとに中心を考えながら書くことを身に付けてきている。4年生では,「せい そう工場の見学」の学習を生かして,水産体験学習「山田湾めぐり」の見学記録文に取り組み,実際に見た り聞いたりしたことをメモし,それをもとに構想を考え,メモを生かした見学記録文を書くことができた。 読書紹介文「わたしのすすめるこの一冊」では,いくつかの観点の中から,紹介する観点を取り上げ,中心 のはっきりした紹介文を書くことができた。作文小教材「グループ新間作り」では,生活の中から様々なテー マを幅広く取り上げて取材し,新聞にまとめる活動を通して,取材の目を広げたり,大事なことを要約して 書いたりすることができるようになってきている。日常の短作文活動では,生活文のほかに,自分の考えを 明らかにしてからその根拠となる事象を述べる簡単な意見文や,想像作文等に取り組んできたが,どの児童 も次第に内容豊かに書くことがてきるようになってきている。また,帰りの会に5分程度で生活日記に取り 組み,一日の生活を振り返って短時問で書く活動を通して,次第に題材を見つける目が育ってきている。 また,作文に関するアンケート調査の結果から,8割以上の児童が作文を書くことが好きだと答えており, 全体的に作文学習に意欲的に取り組んでいることが分かった。−方,作文の題材選びや記述に時間がかかる 児童がまだ数名おり,アンケートに対しても梢極的な反応を示している。しかし,そういう児童も短作文の ように題材の決められた作文には意欲的に取り組んでいることが分かった。このことから,児童は今までの 作文学習を通して着実に書く力を高めてきており,意欲も向上しているが,題材選びや書き出しでのつまず きが原因で,意欲的に取り組めないことがあると考えられる。 (2) 教師の支援 指導にあたっては,予め,単元に入る2週間前から「題材みつけカード」を準備して材料を集めておくこ とで,題材選びの苦手な児童でも意欲的に取り組めるようにしたい。また,教材文で使われた会話文の書き 出しの効果について話し合ったり,一番書きたいことを意識させ,その時の会話や音等を想起させたりする   ことで,書き出しでのつまずきを防げるようにしていきたい。さらに,教師の書いたねらいに反する文や構   成表を提示し,教材文と比較させることで,メモのふくらませ方や楽しかったことがよく伝わるような表現   の工夫に気づかせたい。    発間については,教材文と比較する資料を提示し,教材文のよさを見つけられるような問いかけをするこ   とで,児童の多様な考えを引き出しながら課題追究していきたい。児童にはハンドサインを用いて質問や付   け足しなどを行わせ,児童同士て学び合いを深めるようにしたい。     また,評価については,隣同土で作文を交換しあい,お互いのよさを学び合うことを相互評価とし,本時   のねらいについて振り返り,さらに「今日のかがやき」と題して自分のがんばりや友だちのよさを見つけて   書く活動を自己評価として位置づけ,書く喜びを味わわせたいと考える。 4 単元の目標   《開心・意欲・態度》     ・身の回りから書きたいと思う題材を進んで見つけ,意欲的にメモに表そうとする。     《表現》      ・書く材料を整理し,組み立てを考えて,中心のはっきりした生活文を書くことができる。    《理解》     ・選材のしかたがわかり,中心のはっきりした構成表の作り方を理解することができる。     《言語事項》     ・構成表に従って,段落の整った文章を書くことができる。 5 指導計画 (l2時間扱い) 段階 時間|+−−学習活動−−−−−−+| 教師の支援 | 評  価 | | | | | ・楽しかったことや心に残ったことに・楽しかったことや心 | |主題|1| 「楽しかった思い出文集」|| ついての文集作りをし,学習発表会| に残ったことを意欲 | | | | 作りの計画をたてよう。 −+| で展示することを知らせ.目的意識| 的に発表しようとし | | | | | を持って取り組むことができるよう たか。       | | | | | にする。 | | | | | ・教師自身が心に残った体験を紙芝居           | | 2 ・教材文を読み,これからの学習| 風にして語り,題材見つけの意欲を           | | | | の進め方を理解する。 | 持てるようにする。 | | | | | ・予め「題材見つけカード」を準備し ・題材見つけカードの | | | ・最近の出来事の中で楽しかった 材料を集めさせておくようにする。 中から一番書きたい | | | | ことや心に残ったことについて・−番友達に伝えたいとことを題材に 題材を選ぶことがで | | | | 話し合い,題材を決める。 | 選ぶことを知らせる。 | きたか。      | |理解 3 | ・摸造紙に書いた「組み立てメモ」を ・「組み立てメモ」の | | | |+組み立てメモの書き方を考−+ 提示し,取材の観点を明らかにする。 書き方を理解するこ | | | |えよう。 | | とができたか。   | | | | ・教材文で使われていなかったメモは・選材することの大切 | | | |・教材文から,「組み立てメモ」−+ 何かを話し合い,自分が 一番伝えた さに気付くことがで | | | | の書き方について話し合う。 | いことを考えながら選材していくこ きたか。 | | | |・教材文と「組み立てメモ」を比 | との大切さに気付くことができるよ           | | | | 較し,選材の仕方を理解する。 うにする。 | | |取材 4 | ・以前に決めたものよりももっと書き           | | | | 書く材料を集めて,組み立 | たい題材が見つかった場合,変更し| | | | |てメモを作ろう。 | てもよいことを知らせる。 | | | | | |・0HPで教師の作ったねらいに反す | +−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ る組み立てメモを提示し.教科書の ・「したこと」「思っ + | | +・自分が友達に伝えたいことをは 組み立てメモと比較しながら,「し | たこと」「話したこ | | | | っきりさせ,組み立てメモを書| たこと」 「思ったこと」 「話したこ| と」を材料として組 | | | | く。 | と」を材料として書いていくことを| み立てメモを書くこ | | | +−−−−−−−−−−−−−−+ 確認する。 | とができたか。   | | | | | | | |構成 5 | 組み立てメモをもとに構成 |・構想をはっきりともてるように,二・伝えたいことが読む | | | | 表を作ろう。 | 種類の構成表を用意し,書きやすい 人によく分かるよう | | | | | 方を選んで書くことを知らせる。 | な順序を考えること | | | | |・不要なものを省きながら番号をつけ ができたか。    | | 6 ・組み立てメモの中から選材し,| ることで,一番書きたいことをはっ           | | | | 書く順序を決める。 |きりさせることができるようにする。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+・組み立てメモの中から一番書きたい・−番書きたいことが + | | ・−番書きたいことがよく伝わ る ことを選び,その中の光る言葉や自 よく伝わるような題 | | | | ような作文の題名を決める。 | 慢できる言葉を題名にするとよいこ 名を考えることかで | | | |+−−−−−−−−−−−−+| とを知らせる。 | きたか。      | | | | | | | |構成 7 | 楽しかったことが伝わるよ ・構成表と比較しながら,「会話文を           | | | |うな作文を書こう。 | 入れて書く」,「メモをふくらませ ・メモから作文に直す | | | | | る。」の二点をおさえる。 | 留意点をおさえるこ | | 本 |・メモから作文に直すときの留意・教師の書いた文と,教材文を部分比 とができたか。   | +−−+−+ 点を確認する。 −−−−−−+ 較することで,教材文は会話文で書 ・書き出しや表現を工 + | | |+−−−−−−−−−−−−+| き出し,気持ちや周りの様子を一つ 夫して,楽しかった | | 時 |・楽しかったことが伝わるような 一つ丁寧に書いていることに気づく ことが伝わるような | | | | 効果的な書き方を確認し,作文| ことができるようにする。 | 作文を書くことがで | +−−+−+ を書く。 −−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ きたか。−−−−−−+        8  ・段落や内容が整理されているか・ねらいが達成されている児童の作文 ・段落や内容を整理し      気をつけながら作文を完成させ 提示し,留意点をおさえる。 ながら作文を完成さ        る。          せることができたか。                                                  推敲 9  ・書いた作文を読む人に分かり ・教師の書いた例文を提示し,推敲記 ・推敲の仕方が分かっ      やすいように推敲しよう。 号を使ってみんなで推敲することで  たか。 推敲の仕方が分かるようにする。 ・例文を読んで,より分かりやす・「一番伝えたいことが,よく分かる ・観点に沿って正しく い文章になるように,記号を使 ように詳しく書かれているか」, 推敲することができ って推敲する。 「段落ごとのまとまりはよいか」, たか。 +−−+− ・自分の書いた作文を観点に沿っ 「かぎや句読点の書き忘れ,誤字 | | て推敲する。 | 脱字はないか」の三点を観点とし ・一番伝えたいことが | +−−+− ・推敲した作文を清書する。 て提示して,自分の作文を推敲する よく分かるように書 | | ように促す。 かれているか。 | | | ・「題名はよく工夫されていたか」, ・観点に沿って友達の | |活用 11 友達の作品のよいところを見 「一番知らせたいことは何かがよく 作品を読み,よいと | +−−+−− つけて感想を書こう。−−−−− 分かったか」,「書き出しはよく工 ころを見つけようと | | 夫されていたか」,「段落ごとのま しているか。 | | | ・グループごとに友達の作品を読 とまりはよいか」の四つの観点を提 | | |+− み合い,感想メモを書き合う。 示し,作品を読む目を育てる。 | | || || ・「一口感想カード」を用意し,友達 | | || || のよさに着目して感想を書くように | | || ・グループの中から,作文発表会 促す。 | ・グループで読み方を | | |+− に出す代表作品を選び,読む箇・一人読み,役割読み,郡読などの工 工夫して練習するこ | | | 所を分担して練習する。 夫をするように助言する。 とができたか。 | | | ・前もって係分担や式次第について決 | | 12 作文発表会をしよう。 めておき,児童の手で進めることが ・友達の作品のよいと | | | | できるようにする。 | ころを見つけようと | | | ・グループごとに作文を発表し合 ・感想発表では友達のよかったところ しているか。 | | | う。 | を発表するように声がけをする。 ・学習を振り返り「か | | | ・学習を振り返り,かがやきカー ・自分自身としてがんばったことや友 がやきカード」に記 | | | ドに記入する。 | 達から学んだことについて記入する 入することができた | | | | ことでこれまでの学習を振り返る。 か。 | | | | | | |活用 学校 | ・子供たちの手で文集にまとめ,11月・意欲的に文集作りに | | 行事 文集作りをしよう。 の学習発表会の展示会に作品として 取り組もうとしてい | | | | 展示する。 | るか。 | 6 本時の指導 (1)ねらい ・読む人を引き付けるような書き出しを工夫して書くことができる。 ・構成表をふくらませ,表現を工夫して,楽しかったことが伝わるような作文を書くことができる。 (2)授業仮説 ・教師の書いた文と教材文を比較させ,会話文の書き出しのよさに気づかせることで,読む人を引き付ける ような書き出しを工夫して書くことができるのではないか。 ・構成表や教師の書いた文と教材文を比較させ,メモのふくらませ方や,気持ちや様子が伝わるような表現 方法を話し合うことにより,楽しかったことが伝わるような作文を書こうとするのではないか。 (3)展開 |段階| 学習活動 | 発      問 | 教 師 の 支 援 ・ 評 価 | | | | | | |つ |1 作文の題名とその|○作文にどんな題名をつけましたか。|・前時に一番書きたいことが伝わるよ| |か | 題名にした理由を発| その題名にした理由も発表しましょ| うな題名を付けたことを想起するこ| |む | 表する。 | う。 | とで,何を中心に書くのかを意識づ| |3分| | | けるようにする。 | | | | | | |み |2 本時の課題を確認| | | |と | する。 | | | +お−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |す | 楽しかったこと | | | | | が伝わるような作 | | | | | 文を書こう。 | | | | | | |・模造紙に書いた構成表を提示し,教| | |3 構成表から作文に|◎横山さんの構成表と作文はどんなと| 材文と比較することで,教材文では| | | 直す時の留意点を確| ころが違うでしょう。 | 書き出しを工夫し,会話文を入れな| | | 認する。 | (課題の明確化)| がらメモをふくらませて書いている| | | | | ことに気づくことができるようにす| | | | | る。 | +−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+◎構成表から作文に直す留意点をおさ+                                   えることができたか。    4 楽しかったことが ◎先生の書いた文と比べて,横山さん ・教師の書いたねらいに反する文と,   伝わるような効果的  の作文のよいところはどこでしょう。  教材文を部分比較することで,教材      な書き方を確認する。         (課題追求を促す)  文は,会話文で書き出し,気持ちや 周りの様子などを一つ一つ詳しく丁                          寧に書いていることに気づくことが                        できるようにする。   ○楽しかったことをうまく伝える作文 ・「書き出しを工夫して書く」「周り にするためにみんなはどこを一番が  の様子を詳しく書く」「気持ちを詳                 んばりますか。今日の「がんばるゾ  しく書く」等,楽しかったことをう      ーン」を決めましょう。       まく伝えるために自分が工夫する点 を発表し,ワークシートに記入する            ことで,自分はどんな作文を書きた          いのか,考えをはっきり持つことが        できるようにする。     ◎楽しかったことを伝えるために自分  12   が工夫する点をおさえることができ   分 たか。  あ  5 作文を書く。   ・楽しかったことが伝わるように作文 ・書き出しに戸惑っている児童には,  ら              用紙に書きましょう。        構成表の中の一番書きたいことを振  わ                                り返り,その時の会話やどんな音が  す                                聞こえたか等を想起するように助言                                   する。                ◎書き出しを工夫して書いたり,表現              を工夫して,楽しかったことが伝わ                 る作文を書こうとしていたか。    6 相互評価をする。・隣同士で交換して,友達のよいとこ  ・「続きが読みたくなるような書き出              ろを見つけて評価カードに丸を付け  しを工夫して書いているか」につい  25           ましょう。             て相互評価し合い,よさを認め合う   分                           ことができるようにする。                                           ふ   7 自己評価をする。 ・今日の学習を振り返り,評価カード ・「読む人を引き付けるような書き出 り   にまとめましょう。         しを工夫して書くことができたか」  か              を評価項目とする。情意面について  え              は「今日のかがやき」の欄に自分や  る              友達のがんばりを記述し,達成感や 満足感が持てるようにする。     8 次時の予告をする ・○○さんの作品を紹介します。次回                は,○○さんのようにメモをふくら  ・OHPでねらいが達成されている児                 ませて,楽しかったことが伝わるよ   童の作品を紹介する                 うにする。       7 評価 ・読む人を引き付けるような書き出しを工夫して書くことができたか。 ・メモをふくらませ,表現を工夫して,楽しかったことが伝わるような作文を書こうとしていたか。