印刷用紙:B4縦 1ページの行数:49 1行の文字数(半角で):106   −−以下 指導案本文−−             第6学年 国語科学習指導案                          日 時  平成8年10月8日(火) 5校時                            児 童  第6学年1組 男11名女14名計25名                        授業者   大  和  田   政  弘 1 教材名  よく考えて (意見文) 2 教材について   第6学年の表現領域における目標は,「目的や意図に応じた表現をするため、全体を見通して適切に話し たり、組み立ての効果を考えて文章を書いたりすることができるようにするとともに、適切で効果的な表 現をしようとする態度を育てる。」である。本教材では, 目的に応じて必要な事柄を集め, 全体を見通し 整理してから書くことをねらいとしている。   児童はこれまでに, 「生活を見直して」の学習で, 目的に応じて必要な事柄を集め, 事象と感想・意見 を区別して書くことを学習した。各自, テーマを決めて, 取材,記述し,発表した。取材は,アンケート形式  で行った。児童は,依頼,回収,集計する活動の中に楽しさや,様々な考えを知る喜びを感じた。   この教材は, 意見が分かれることが予想される題材について,自分では思いつかない考えを取材によって  得ることにより, 取材の必要性を認識できるものである。また,たやすく結論を導き出せない題材を扱うこ  とで, 思考力を鍛えることができる教材である。さらに, コンピュータ通信ネットワークを利用した多数の  取材, 語句・文・文章の移動や削除の自在性など, パソコンの有用性に気付くことができる。   指導にあたっては, 題材は各自の興味関心のあるものにし,その選定のために考えたり調べたりする時間  を保証し, 世間一般にどのような事柄に興味や関心が持たれているかということにも配慮させたい。コンピ  ュータ通信ネットワークを利用して取材した文章の活用に際しては,自分の考えを支持するものとそれに反  するものの両方を作文中に引用して構成させたい。自分の考えと反対のそれに反論することで説得力が増す  と考えられるからである。 3 児童の実態と教師の支援 (1)児童の実態   児童はこれまでに, 「生活を見直して」の学習で, 目的に応じて必要な事柄を集め, 事象と感想・意見  を区別して書くことを学習した。取材のためのアンケート作りは楽しんで行ない, 回収や集計も自分たちで  できた。「アンケートを取り入れた作文をまた書きたい」という児童もおり, 充実した内容の活動だったよ  うだ。短作文活動では, 想像文, 意見文, 日記などを15分間で200〜400字程度書く子が多い。「もし、校  長先生だったら」という題材には飛びつき, 熱心に書いている子が多かった。題材によって, 意欲的に取り  組んだり,書く量がかわった。互いに交換して友達の作品を読む中で, 書く視点, 物事の見方・感じ方に広  がりが出てきている。   また, 作文に関するアンケート結果から, 作文を書く勉強を大切だと思っている児童は87.5%いる。作  文を書くことを「すきだ」「すきなほうだ」と答えている児童は62.5%いるが, 「きらいだ」と答えた児  童は12.5%(男1、女2、計3人)いる。その男子は記述欄に, 作文の勉強が「すきでもきらいでもない」   と書いており, 作文に対する抵抗感はそう強くない。その一人の女子は「自分のことを書く作文が好き」,  「それ(自分が書いた作文)を発表するのは大きらい」と書き, もう一人は「先生のこと」, 「家族への手  紙とか, いろいろ」書くのが好きと記述している。これらの調査結果から, ほとんどの児童が作文の学習の  重要性を認識していること, 作文に好感を持っている子が6割強いることが分かる。重要性の認識と好感度  に書く量が比例しているわけではないが, それらを今後も持ち続けていけるように, 配慮して指導・助言し  ていきたい。現状の作文力はともあれ, きっと将来の長きに渡って力をつけ続けていけるだろうからである。 (2)教師の支援   指導にあたっては自分の考えの根拠を明確に伝えられるように, できるだけ多くの資料をよく考えながら  読ませ, より説得的な文章(考え)を構成の際に引用させたい。その活動を通して, いくつかの説得力ある  考えに触れることで, 引用した説得的な考えを自分の考えとして取り入れさせたり, 自分の考えに反するも  のとの葛藤から深く考えさせていきたい。また, 取材の新しい方法として, 自分の発信した電子メールに対  して返信された文章を活用することを体験させたい。そこで, 多様な考えにふれさせ, 考えることのおもし  ろさを味わわせたい。   構成と記述の段階では, 取材した自分と反する考え(文章)に反論させ, 自分の考えを伝える工夫を学  ばせたい。また, 文末表現による効果を考えさせながら記述させたい。   発問については, テーマ・依頼文・構成の型・書き出し・文末表現のそれぞれの学習において,それらを  例示する。また, 児童同士や教師と, 考えを交換すること(相互評価)を促す場を設定していく。これら  の活動を通して, 児童の迷いを解消させたり, 考えを広めたり, 考えやすくしたり, 考えを深めたりさ  せていきたい。   また, 評価活動については, 近隣の子同士で交換させてコメントを書かせ, 相互のよさに気付かせ学び  合わせたい。一方, 「聞いて」「がんばったね」等の自己評価コーナーでは, ねらい・自分が特に努力し  たことについて短く記述させる。それで, 読み手(教師・級友等)に「自分の頑張りを認めてもらいたい」  という気持ちを伝えようとさせたい。これらによって, 満足感をもたせ 意欲化を図りたい。 4 教材の目標   <関心・意欲・態度>    ・考えの根拠集め・取材文集めを進んで楽しくやろうとする。   <表現>   ・目的に応じて必要な事柄を集め, 全体を見通し整理してから書くことができる。   <理解>   ・構成の型・文末表現による文意の伝わり方の相違を理解できる。   <言語事項>   ・適切な文末表現で書くことができる。