印刷用紙:B4縦 1ページの行数:62 1行の文字数(半角で):100   −−以下 指導案本文−−   第6学年 国語科学習指導案 日 時  平成8年10月8日(火)  5校時 児 童 6年2組 男12名女12名計24名 指導者  齊  藤   由  紀  子 1 教材名  考えをはっきりさせて (意見文) 2 教材について   第6学年の表現領域における目標は,「目的や意図に応じた表現をするため、全体を通して適切に話したり  組み立ての効果を考えて文章を書いたりすることができるようにするとともに、適切で効果的な表現をしよう  とする態度を育てる。」である。本教材は,意見が対立する題材から,根拠を挙げて相手を納得させる意見文  を書くことをねらいとしている。   児童はこれまでに,「生活を見直して」の学習で,目的に応じて必要な事柄を集め,事象と感想・意見を区  別して書く学習をしてきている。これは今後,「今,わたしは,わたしたちは」の文集作りで,目的に応じて  必要な事柄を集め,構成を考え効果的に表現する学習につながる。説明文「人類はほろびるか」の学習で,単  元の発展として人類は滅びる派・滅びない派に分かれ簡単な話し合いをした際には,具体的な事例を集め,事  実に基づいて自分の考えを主張することができた。今回の「考えをはっきりさせて」で学習した根拠を明確に  しての話し合いは,今後1月教材の「クラス討論会」で質疑を中心にして話し合う活動へと発展する。   この教材は,意見が対立する題材について自分の支持する立場で取材し,話し合いを行いそれをもとに相手  側を納得させるような意見文にまとめるものである。話し合い活動により,目的や意図に応じて適切に話す力  や,相手の意見を理解しそれに対する自分の考えを明確にする力が伸びる教材であると考える。書くことでは  相手側の意見を聞くことにより,独りよがりではなく根拠をもとに相手を納得させる意見文を書く力がつくも  のと考える。指導にあたっては,自分の意見を相手に伝えるために取材方法を工夫させたり,書く前に話し合  いを行うことにより,相手の主張を聞きそれに対する自分の考えを明確にさせることで,より説得力のある文  章を書かせたい。 3 児童の実態と教師の支援 (1)児童の実態   児童は「生活を見直して」の学習で,目的に応じて必要な事柄を集め,事象と感想・意見を区別して書く学  習をしてきた。発展として行っている新聞の記事に書かれている事象に対して意見・感想を述べる活動では,  取材の目を広げ,自分の意見・感想を端的にまとめる力もついてきている。「赤い実はじけた」で学習した現  在−過去−現在という構成の工夫を生かして,自由作文では運動会での思い出を作文に書いた。取材時にも選  材時にも目的意識を持たせ,全体を見通しながら構成を考えさせた。多様な書き出しの形式を提示し,書き出  しの工夫にも目を向けた。その結果,どの子供も書き出しの工夫,構成の工夫,主題の明確化がなされた作品  ができた。日常の短作文活動では,客観的な事象を根拠として意見を述べる意見文や,修学旅行の報告文,友  達の紹介文,生活文などに取り組んできたが,どの子供もねらいを達成しようと意欲的に記述していた。   また,作文に関するアンケート結果から,作文を書く勉強が大切だと感じている児童が8割を超え,作文の  必要性を認めている児童が多いことが分かった。ほとんどの児童は短作文活動は好きだと述べている一方で,  作文を書くことが嫌いな方だと答えた児童が約6割もいた。理由として取材の過程が億劫,見直しに手間がか  かるなどがあげられた。また,生活文や想像文は好きでも,記録文は嫌いという意見も目立った。このことか  ら,児童は,目的に応じて必要な事柄を集め,全体を見通し整理してから書く力をつけてきているが,取材や  見直しの必要性を理解していないことが原因で意欲的に取り組めないことがあると考える。 (2)教師の支援   指導にあたっては,多様な考え方に触れその中で自分の見方を広げたり考えを深めたりするために,話し合  い活動を取り入れ,記述させる。また,相手を納得させるためには具体的な根拠が大切であるということに気  づかせ,取材の必要性を理解させたい。その際,グループごとに相手を納得させる作戦を立てたり,多様な資  料を集めたりしながら,取材の楽しさも味わわせたい。話し合いでは,それぞれの立場のグループの中で更に  3〜4人の小グループに分け作戦タイムで一人一人が話し合いに参加できるよう配慮する。児童間の話し合い  は一問一答の形ではなく,児童同士で付け足しをして膨らませる発言形式をとらせ,深く追究させたい。また  最後まで相手の意見を聞き,納得が行かなければ質問するという基本的な態度も育てたい。   発問については,児童自身がモデル文の良さについて思考できたり,課題を解決するために必要なことにつ  いて考え出したりできるものを用意する。子供が多様な考えを出し合うことにより,より広い視野で自分の考  えを見つめ直せるようにしたい。   また,評価については本時で成就感がもてるように,自己評価では認知面を丸で,情意面を一言感想で記述  させることを位置づける。相互評価では,一言感想でお互いの良いところを認め合い満足感へとつなげたい。  特に記述の段階では,作文を相手のグループの友達と交換して読ませ「思わず,ううむとうなったところ」に  ついて見つけさせる。自分の作文を友達に認められることで喜びや書く楽しさを感じさせ,次への意欲へとつ  なげたい。 4 単元の目標 《関心・意欲・態度》 ・自分の意見を裏付ける資料を進んで集め,相手を納得させる作文を書こうとする。 《表現》 ・自分の主張が相手によく伝わるように,根拠や自分の考えを明確にした文章を書くことができる。 《理解》 ・根拠となる事実や自分の考えを明確にした意見文の書き方がわかる。 5 指導計画(4時間扱い) +++−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 段階時間 学 習 活 動 | 教 師 の 支 援 | 評 価 | +++−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 理1| | | | ||| +−−−−−−−−−−+ | | | 解|| |モデル文を読み,相手| ・相手を納得させるためには「根拠を・相手を納得させる意| ||| を納得させる表現を見つ| |明確にする」「反対意見に対する自|見文の書き方が理解| ||| けよう。 | |分の考えを書く」ことが必要である|できたか。 | ||| +−−−−−−−−−−+ | | | ||・モデル文を読み,読み手を納得|ことに気づかせるため,話し合いを| | |||させる意見文の書き方を理解す|する前と,話し合いをした後の2つ| | |||る。 |のモデル文を用意する。 | | ||| ・一人一人がモデル文の良さに気づけ| | ||| |るようなワークシートを用意する。| | ||| | | | +++−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ ||| | | | ||| +−−−−−−−−−−+ | | | 主2| ・題材を決めよう。 | ・客観的事実を必要とする題材を予め・積極的に発表できた| 題|| ・話し合いへ向け,作戦| |いくつか用意しておき,その中から|か。 | ||| を立てよう。 | |児童に選ばせる。 | | ||| +−−−−−−−−−−+ | | | ・|| ・図書室や新聞,インタビューなど多| | ||・題材を決める。 |様な方法で資料を集めるよう,助言| | 取|・グループ毎に作戦を立て,必要|する。 ・意欲的に資料集めが| 材||に応じて取材をする。 ・この時間だけでなく,他の時間も利|できたか。 | ||| |用し,広く資料収集させる。 | | +++−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ ||| | | | ||| +−−−−−−−−−−+ | | | 記3| |相手を納得させる意見| ・記述の際,必要と思われる反対意見・積極的に話し合いが| 述本| 文を書こう。 | |は,メモさせる。 |できたか。 | ||| +−−−−−−−−−−+ | | | |時・話し合いを行う。 ・相互評価では,良いところに着目し| | ||・相手側の意見や自分側の意見を|波線を引かせ,多様な考えを認め合・相手を納得させる意| |||もとに,相手を納得させる意見|うことで満足感を味わわせる。 |見文を書くことがで| |||文を書く。 | |きたか。 | +++−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ ||| | | | ||| +−−−−−−−−−−+ | | | 活4| |発表会を開こう。 | ・一言感想カードを用意し,友達の良・友達の作品の良さに| ||| +−−−−−−−−−−+ | | | 用|・発表会を開く。 |いところに着目させ感想を書かせる|気づくことができた| ||| | |か。 | ||| | | | +++−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 6 本時の学習 (1)目標   ・根拠となる事実や自分の考えを明確にして,相手を納得させる意見文を書くことができる。 (2)授業仮説   ・話し合いをすることにより,相手を納得させるために必要な事実を選び,反対意見に対する自分の 考えを明確にした意見文を書くことができるのではないか。 (3)展開 ++−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ 段階 学 習 活 動 | 発 問 |教 師 の 支 援 ・ 評 価 | ++−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ つ1前時までの準備を想○相手を納得させるには何が必要でし・ワークシートを振り返らせ,相手を| か|起する。 |ょう。 |納得させるには2つの事柄(根拠を| む| | |明確にする・反対意見に対する自分| |2課題を確認する。 | |の考えを明確にする)が必要である| み| | |ことを確認させる。 | |+−−−−−−−−+| | | と| 相手を納得させる ○今日に向けてどんな準備をしてきま・前時までの努力を認め,本時への意| お 意見文を書こう。 ||したか。 |欲を喚起する。 | |+−−−−−−−−+| | | す| | | | || ・準備してきたことをもとに話し合い・記述の際必要と思われる反対意見は| 20| |を始めましょう。 |メモさせる。 | 分| | ・相手の意見に対応できるよう,作戦| || | |タイムを与える。 | || | ◎積極的に話し合いへ参加していたか。 || | | | ++−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | あ3作文を書く。 ◎相手を納得させるとっておきの根拠・“とっておきの根拠”を発表させる| || |や考えは何ですか。 |ことにより,記述への意欲を喚起さ| ら| | (意欲の喚起) |せる。 | || | ◎相手を納得させる意見文を書くこと| わ| | |ができたか。 | |4相互評価をする。 ・書いた作文を読み合い,「思わずう・多様な考えを認め合うことにより,| す| |うむ,なるほど」とうなったところ|満足感を味わえるようにする。 | || |を見つけ,波線で印をつけましょう| | 22| | | | || | | | 分5発表する。 ・今,読んだ作品の中で「思わずうな・相互評価の段階で見つけた良い作品| || |った作品」を紹介しあいましょう。|を友達同士推薦しあい,何名かに発| || | |表させる。 | || | | | ++−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ ふ| | | | り6自己評価をする。 ・今日の学習を振り返り,自己評価を・根拠を明確にできたか,反対意見に| か| |しましょう。 |対する自分の考えを明確にできたか| え| | |の2点について丸で自己評価させ,| る| | |情意面では「今日の自分にハクシュ」| 3| | |に一言感想で書かせる。 | 分| | | | |7次時の予告をする。・次時は,今書いた作文の発表会をし・自己評価の一言感想を発表させて次| || |ます。 |時への意欲喚起を図る。 | ++−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ 7 評価   ・根拠となる事実や自分の考えを明確にして,相手を納得させる意見文を書くことができたか。