印刷用紙:A4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):100   −−以下 指導案本文−−               第四学年 国語科学習指導案                       日 時  平成7年11月10日金 2校時                       児 童  4年3組 男19名 女18名  37名                       指導者  千葉 勝博 1、単元名 人物の気持ちの動きを     教材名 ごんぎつね 2、単元について  1教材について   第4学年の理解領域の目標は、「内容の要点や中心点を正確に押さえながら話を聞いたり、段落相互の関係  を考えて中心点を正確に把握しながら文章を読んだりすることができるようにする」である。これを受けて本  単元では「生き生きとした表現を通して、ごんと兵十の様子や気持ちの移り変りを思い描くこと」を主目標と  する。この作品は、「死をもってしか通じ合えなかった心の交流の悲しさ」が主題として描かれている。村人  にいたずらばかりしているごん。ごんのいたずらは、ひとりぼっちのさびしさをまぎらわすためのものである   ある秋の日、軽いいたずら心から、兵十が苦労して捕った魚をすべて川に投げこんでしまう。それから十日  ばかりたって、ごんは兵十の母親の死を知る。そして、兵十が母親のために捕っていた魚にいたずらしたこと  を後悔するのだった。そこで、ごんは、いわしを盗んで償おうとするが、そのせいで兵十はひどい目にあう。  そのことを知り、ごんは、ますます兵十に同情し、くりやまつたけを送る日々が続く。そのうちに、ごんの兵  十に対する償いの行為は、単なる償いだけでなく、独りぼっちの寂しいごんが、同じ独りぼっちの兵十に自己  の存在と好意を認めてもらおうとするものになってくる。しかし、兵十はそんなこととは知らず、ごんが、く  りを届けにきたのをいたずらに来たと思い込んで、銃で撃つ。土間に置かれているくりを見て初めて、兵十は  今までくりを届けてくれたのはごんであることに気付く。そして兵十は自分はとんでもないことをしたと驚き  悲しむ。ごんは、死ぬ直前に自分の気持ちに気付いてくれたことに満足し、うなずく。   この作品は、1いたずらばかりするごん、2いたずらを後悔するごん、3兵十に心をよせていくごん、4兵  十と加助の後をつけていくごん、5兵十と加助の話に落胆するごん、6ごんの死と兵十の悔恨、の6つの場面  から構成されている。一から五の場面では、ごんのたち場で書かれており、ごんの気持ちの移り変りが描かれ  ている。六の場面では、兵十の立場で書かれており、兵十とごんの気持ちのすれ違いによる悲しい結末が描か  れている。それぞれの場面からは、倒置法「ごんおまえだったのか、いつもくりをくれたのは」や「ひがん花  が赤いきれのように」などの情景描写、比喩表現を通して、ごんの兵十に対する気持ちや、兵十のごんに対す  る気持ちの変化を読み取ることができる。特に、雨上りのさわやかな情景や、葬列の墓地の情景、月明かりの  晩の情景などは、人物の心情と深く結びついている。このような点から、本教材は単元の目標を達成するのに  ふさわしい教材である。  2児童について   子供たちはこれまでに、「白いぼうし」や「一つの花」で、場面を比べて様子や気持ちを読み取る学習をし  てきた。これらの学習を通して、子供たちは、文や言葉に着目しながら、登場人物の様子や気持ちを読み取ろ  うとする態度が育ってきている。しかし、登場人物の、その時々の気持ちを想像することはできているが、話  の進展にともなう人物の気持ちの変化をとらえることは、まだできていない。   一人読みでは、課題を解決するための手がかりとなる文や語句を視写して、そこから読み取れることを書き  込ませてきた。子供たちは、自分なりの考えを書き込めるようになってきている。しかし、まだ個人差があり  視写文は限定できても、書き込む内容が言葉の言い換えにとどまっている子もいる。   学び合いでは、一人読みで読み取ったことを発表しようとする態度は育ってきているが、自分の考えを友達  の考えと比較し、似ているところや異なるところをはっきりさせ、友達の考えに付け加えたり、発展させるこ  とができない子がいる  3指導にあたって   指導に当たっては、会話・独白と行動に着目させ、いたずら心から、償い、そして兵十に対する好意へと変  わっていく、ごんの気持ちを中心に押さえさせたい。そして、最後の場面では、兵十の憎しみから悔恨へとい  う心の動きを読み取らせていきたい。そのために、各場面のごんや兵十の気持ちにかかわる中心的な文、会話  を視写させ、考えさせていきたい。また、心情把握のための伏線となる情景描写にも目を向けさせ、情景を思  い描かせながらごんと兵十の気持ちを読み取らせていきたい。ごんの兵十に寄せる思いや、ごんを撃ってしま  った兵十の悔恨を読み深めるために、場面を重ねあわせて読み取っていけるように発問にも留意していきたい   一人読みでは、課題を追求するための手がかりとなる文や語句を視写して、そこから読み取れること、自分  の想像でふくらませたことを書き込ませていきたい。その際、サイドラインを引いて、言葉を根拠にした書き  込みができるようにさせたい。   学び合いでは、自分の考えを友達の考えと比較し、似ているところや、異なるところをはっきりさせ、自分  の読みを深めさせたい。そのため、友達が何を言いたいのか、要点をとらえて聞けるように指導していきたい 3 指導目標  1関心・意欲・態度   ごんと兵十の心情について感じ取りながら読み進めようとする。  2理解の能力   生き生きとした表現を通して、ごんと兵十の様子や気持ちの移り変りを思い描くことができる。  3表現の目標   感想をまとめ発表したり、効果的な情景描写や比喩表現を理解し、自分の表現に生かしたりすることができ   る。  4言語事項   効果的な情景描写や比喩表現などについて理解し、その役割について分かる。。 4 指導計画(13時間)  第1次 全文を読んで学習計画を立てる ・全文を読み初発の感想を書く。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 ・場面わけをし、初発の感想をもとに課題づくりをする。−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 ・難語句や新出漢字を調べる。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1  第2次 場面ごとに読み、課題の追求を図る ・物語の舞台の場面背景をつかみ、ごんの境遇を読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−1 ・ごんの兵十に対するいたずらぶりを読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 ・兵十にいたずらしたことを後悔するごんの気持ちを読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−1 ・独りぼっちになった兵十に、いたずらの償いをするごんの気持ちを読み取る。−−−−−−−−1 ・兵十と加助の話に耳を傾けるごんの様子と気持ちを読み取る。−−−−−−−−−−−−−−−1 ・神様の恵みと勘違いされ、引き合わないなあと思うごんの気持ちを読み取る。−−−−−−−−1 ・ごんと兵十との悲しい心の交流を読み取る −−−−−−−−−−−−−−−−−−−(本時)1  第3次 読後の感想を話し合い、言葉や文章に対する理解を深める。 ・全体を読み通して感想を書く。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 ・読後の感想を発表しあう。新出漢字の練習をする。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 ・発展読書をする。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 5 本時の授業  1授業仮説   一人読みで考えた兵十の気持ちをもとに、「ごんぎつねめ」から「ごん、お前」と呼び方が変わっているこ  とに着目させ、兵十のごんに対する気持ちの変化につて話し合わせれば、二人の心のかよい合いについて学び  合いができ、一人一人の読みが深まるであろう。  2本時の目標   ごんと兵十の言動から、ごんと兵十の悲しい心の通いあいを読み取ることができる。 +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |段|時| 学 習 活 動 |教 師 の 働 き か け| 予想される反応 |指導上の留意点| |階|間| | | | (◇評価) | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | 2|1前時の想起をす |1前時の学習を想起させる。| | | | | | る。 | | |・兵十につぐな| | | | | | | う気持ちだけ| |つ| | | | | ではなく、兵| | | | | | | 十に対する好| | | 1|2本時場面と学習課|2本時の場面と学習課題を確| | 意もでてきた| | | | 題を確認する。 | 認させる。 | | ことを想起さ| |か| | |六の場面 | | せる。 | | | | | +−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | | | | | | 兵十は、ごんをうった後、どんなことを考えた| | | | | | | |だろう。 | | | |む| | | +−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | | | 1|3読みの視点を確認|3課題を解決するための読み|・兵十の会話 |◇学習課題をつ| | | | する。 | の視点を押さえさせる。 |・兵十の行動 | かむことがで| | | | | | | きたか。 | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | 2|4学習場面の音読を|4兵十やごんの気持ちに気を|(指名読) | | | | | する。 | つけながら指名読をさせる| | | | | | | | | | | | 5|5ごんの姿を見つけ|5ごんの姿を見つけた兵十の| | | |め| | た兵十の気持ちを| 気持ちを読み取らせる。 | | | | | | 読み取る。 | | | | |る| | |〇ごんの姿を見つけたとき、|・この前、うなぎを盗んだ|・兵十の気持ち| | | | | 兵十はどんな気持ちだった| からにくい。 | が分かる言葉| | | | | でしょう。 | 「うなぎをぬすみやがっ| にサイドライ| | | | | | た」 | ンを引かせ、| | | | | | 「ごんぎつねめ」 | 言葉を根拠に| | | | | |・こらしめてやる。 | した発言を心| | | | | | 「ようし」 | がけさせる。| | | | | |・殺してやる。 | | | | | | | 「火なわじゅうを取って| | | | | | | 火薬をつめました。」| | | | | | | | | | | | |・ごんはどんな気持ちでくり|・仲良くなりたい。 | | | | | | を持ってきましたか。 |・友達になりたい。 | | | | | | |・自分のことを認めてほし| | | | | | | い。 | | | | | | | | | | | | |・ごんを見た後、兵十がどん|・「ようし」−−−−−−|・兵十がうつま| | | | | なことをしたか、読んでみ| −−−たおれました。 | での様子をつ| | | | | ましょう。 | (一斉読) | かませる。 | | | | | | | | | | |6ごんの償いに気付|6ごんの償いに気付いた兵十| | | | | | いた兵十の気持ち| の気持ちを考えさせる。 | | | | | | を考える。 | | | | | | 1| |・兵十の気持ちが分かる会話|・兵十はかけよってきまし| | | | | | や行動はどこだろう。 | た。 | | | | | | |・「おや。」 | | | | | | | と、兵十はびっくり−−| | | | | | | −−−落としました。a| | | | | | |・「ごん、お前だったのか| | | | | | | −−−くれたのは。」b| | | | | | |・兵十は、−−−−−−−| | | | | | | −−−落としました。c| | | | | | | | | | | 6|1一人読みをする |1視写文を選び、書き込みを|・「おや。」 |・視写書き込み| | | | | させる。 | と、兵十はびっくり−−| の文は「おや| | | | | | −−−落としました。a| 」以降に限定| | | | | |・「ごん、お前だったのか| し、ごんだと| | | | | | −−−くれたのは。」b| 気付いた後の| | | | | |・兵十は、−−−−−−−| 気持ちに焦点| | | | | | −−−落としました。c| をあてさせた| | | | | | | い。 | | |17|2学び合う |2ごんの償いに気付いた兵十| | | | | | | の気持ちについて話し合わ| | | | | | | せる。 | | | | | | | | | | | | | |視写文abに書き込んだこと|視写文a | | | | | |を発表させる。 |・どうしてくりがあるんだ| | | | | | |・だれがくれたんだ | | | | | | |・まさか、ごんが | | | | | | |視写文b | | | | | | |・いつもくりをとどけてく| | | | | | | れてたのはおまえだった| | | | | | | んだ。 | | | | | | |・神様だと思っていたが、| | | | | | | お前だったのか。 | | | | | | | | | | | | |・「ごんぎつねめ」と「ごん|・ごんぎつねめは、にくら|・兵十のごんに| | | | | お前」を比べて、どう違い| しい感じ | 対する気持ち| | | | | ますか。 |・ごんの方がやさしい感じ| が変わったこ| | | | | |・ごんの方は友達に言う感| とを押さえさ| | | | | | じ | せる。 | | | | | | | | | | | |〇兵十は、ごんのことをどう|・おまえはおれのためにく|・兵十の気持ち| | | | | 思ったでしょう。 | りをとどけてくれたのか| の読取りを会| | | | | |・やさしいきつねだったん| 話文の音読に| | | | | | だ | いかしたい。| | | | | | | | | | | |・ごんは、兵十の言葉を聞い|・やっと気付いてくれた |◇ごんが、満足| | | | | て、どんな気持ちでうなず|・気付いてくれてよかった| した気持ちを| | | | | いたでしょう。 |・分かってくれてよかった| 読み取ること| | | | | | | ができたか。| | | | |・兵十は、火なわじゅうを取|・とんでもないことをして| | | | | | り落としたとき、どんな気| しまった | | | | | | 持ちだったでしょう。 |・くりを持ってきてくれた| | | | | | | のにうってしまった。 | | | | | | |・くりのお礼をしたかった| | | | | | | のに。 | | | | | | |・もっと早く気付いていれ| | | | | | | ばよかった。 | | | | | | |・もっと早くに分かれば、| | | | | | | 仲良くできたのに。 | | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |7本時のまとめをす|7板書をもとにふりかえり、| | | | | | る。 | 本時のまとめをさせる。 | | | |ま| | | | | | | | 5|1課題のまとめを書|1学習課題についてのまとめ|・自分は、とりかえしのつ| | | | | き、発表する。 | を書かせ、発表させる。 | かないことをしてしまっ| | |と| | | | たと思った。 | | | | | | |・ごん、本当に悪かったと| | | | | | | 思った。 | | |め| | | |・ごんありがとうと思った| | | | | | |・やっと思いが通じてよか| | | | | | | ったと思った。 | | | | 2|2まとめの音読をす|2まとめの音読をさせる。 |(指名読) | | | | | る。 | | | | | | | | | | | | | 2|3自己評価をする。|3本時の学習をふりかえらせ| | | | | | | る。 | | | | | | | | | | | | 1|8次時の学習につい|8次時の学習内容について確| | | | | | て確かめる。 | 認させる。 | | | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+