印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):96   −−以下 指導案本文−−   第5学年 国語科学習指導案 日 時 平成8年10月15日(火)  2校時 児 童 5年4組(男18名女15名計33名) 指導者 千葉 知行 1.単元名 人物の結び付きを 教材名 「大造じいさんとガン」 2.単元について  (1) 教材について   第5学年の理解領域の目標は「話し手の意図をつかみながら聞いたり、主題や要旨を理解しながら 文章を読んだりすることができるようにする。」ことである。これを受けて本単元では「場面が移り 変わるとともに、人物の結び付きや気持ちが変化する様子を読み取り主題について考えることができ る。」を主目標とする。   この作品は、大造じいさんの人間味あふれる姿、美しいもの、すばらしいものに感動する心が主題 として描かれている。この作品はガンの頭領「残雪」と大造じいさんの知恵比べと好敵手への感動が 物語の骨子となっている。当初はいまいましく思いながら「たかが鳥のことだ」とたかをくくってい たが残雪の知恵や頭領らしい態度に、大造じいさんは次第に感動していく。そして残雪とハヤブサと の壮絶な死闘場面やその後の頭領らしい勇敢な残雪の態度を目の当たりにし「ただの鳥に対している」   とは思えない感動に打たれてしまう。 この作品は、@特別な方法で今年こそはガンを仕留めようとする大造じいさん A慎重な策略で再 度戦いを挑むが見破られ、失敗してしまう大造じいさん B頭領らしい勇敢な行動、威厳ある態度に 強く心を打たれる大造じいさん C正々堂々戦おうと呼びかけ、残雪を空へ解き放つ大造じいさんの 4つの場面から構成されている。文体は常体で、はぎれ良く、戦いの場面では特に緊迫した様子を感 じさせられる。さらに、4年間にわたる両者の対決が一年毎に一章にまとめられて描かれており、時 間の経過、登場人物の設定、場所の転換などがつかみやすく、話の展開がわかりやすい作品となって いる。また、それぞれの場面の中に「東の空が真っ赤に燃えて、朝が来ました。」などのような大造じい さんの心情をとらえることのできる情景描写があり、それと同時に3の場面では大造じいさんを変容   させた残雪の仲間を救う姿も生き生きと描かれている。また、大造じいさんの心情の変化がとらえや   すい構成になっているため、展開にそって人物の気持ちや場面情景の叙述や描写を味わいながら読む   ことができる。よって、子供たちは残雪の勇気や毅然とした姿に心を打たれながら読み進めていくと   ともに、大造じいさんの残雪に対する心情の変化を共感的に読むことができるであろう。これらの点   から本教材は、単元の目標を達成するのにふさわしい教材であると考える。 (2) 子供について   子供たちはこれまでに「麦畑」や「いたいいたい虫」で登場人物の心情を読み取ったり主題について 考える学習をして来た。これらの学習を通して、情景を味わいながら場面の移り変わりに伴う人物の 気持ちの変化を読み取ることができるようになってきている。また、主題について考えながら感想を   まとめようとする態度も育ってきている。しかし、人物の気持ちの変化を人物同士の結び付きまで関   わらせて読み取ることができる子は少ない。また、朗読については、進んで取り組もうという態度は   育ってきているが、読み取ったことを朗読に生かそうとする子は少ない。 一人読みでは、課題を解決するための手がかりとなる文や語句を抜き書きして、そこから読み取れ   ることを書き込ませてきた。子供たちは、自分なりの考えを書き込めるようになってきてはいるもの の、読み取ったことをふくらませて自分なりの言葉で表現しようとする子は少なく、言葉の言い換え   にとどまっている子も多い。学び合いでは、自分の考えたことを話すようになってなってきているが   友達の言ったことと関連づけて話す子は少ない。 (3) 指導にあたって 指導にあたっては、大造じいさんの気持ちの変化を中心に読み取りを進めていきたい。そのために、   大造じいさんの会話と行動に視点を当てたり残雪の行動を見た大造じいさんの気持ちを想像させたい そして、大造じいさんと残雪の心の結び付きを味わいながら主題についても考えさせたい。場面ごと に大造じいさんの気持ちを表す文や語句を抜き書きさせ、そこからわかる気持ちを読み取らせ、さら   にその気持ちの変化もとらえることができるように場面のつながりも大切に位置づけたい。大造じい   さんの行動を表す細かい描写、大造じいさんの気持ちを表現した情景描写、戦う残雪の描写の巧みさ   などは辞書的な意味の理解に終わることなく、情景を思い浮かべながら読むようにさせたい。また、   読み味わったことを聞き手にもわかるように工夫して朗読させたい。 一人読みでは、課題を追求するために手がかりとなる文や語句を抜き書きしてそこから読み取れる ことを書き込みさせて自分の考えを持たせたい。その際、言葉を根拠にした書き込みができるように させたい。学び合いでは、一人読みで読み取った大造じいさんの気持ちについて友達の考えと比べ、 共通点や相違点をはっきりさせて自分の考えを深めさせたい。 3.単元の目標 (1)関心・意欲・態度 大造じいさんと残雪との美しい心の交流を描いた物語を感動を持って読み味わい、進んで他の物 語りを読もうとする。 (2)表現の能力 主題を考えながら感想をまとめ、話し合ったり整理して文章に書くとともに、読み取った情景や 気持ちが聞き手にもよくわかるように工夫して朗読することができる。 (3)理解の能力 場面が移り変わるとともに、人物の結び付きや気持ちが変化する様子を読み取り、主題について    考えることができる。 (4)言語事項 慣用的表現、熟語、動きを表す語、様子を表す語、色彩を表す語について理解を深め、自分の文 章に生かすことができる。 4.単元学習指導計画(11時間) +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 過程時間| 学 習 活 動 と 内 容 | 指 導 の 工 夫・評 価 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | 1 ○全文を読み、初発の感想を書く。 ・作者が感動し、読み手に伝えようとした | つ | | | ことを視点に感想を書かせる。 | | 1 ○新出漢字や難語句について学習する。 | | か | | | | | 1 ○場面分けを確認して、学習計画を立てる。 ・初発の感想をもとに5つの場面の学習課 | む | | | 題を考えさせる。 | | | | ◇物語の展開に関心を持って読み進め、意 | | | | | 欲的に感想を書こうとしていたか。 | | | | | (関・意・態) | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 1 ○残雪の知恵の素晴らしさを、改めて思い知ら ・残雪の利口さを押さえ、感嘆の声をあげ | | | | される大造じいさんの気持ちを読み取る。 | る大造じいさんの気持ちをとらえさせる | | | | | | | 1 ○今年にかける意気込みと自信が失敗に終わり ・今年にかける大造じいさんの意気込みを | ふ | | 苦しい立場になった大造じいさんの気持ちを | 押さえ、「ううん。」とうなるまでの気 | | | | 読み取る。 | 持ちの変化を考えさせる。 | | | | | | | 1 ○苦しい立場から、ついに奥の手のおとりのガ ・会話文の指示語、文末、強調の言葉遣い | か | | ンを使う作戦に踏み切ったが、ハヤブサの出 | に気をつけさせ、大造じいさんの今日に | | | | 現で思わぬ方向へと転換していく時の大造じ | かける意気込みをとらえさせる。 | | | | いさんの気持ちを読み取る。 | | | | | | | め 1 ○残雪の戦う様子や大造じいさんへの態度を通 ・残雪の姿を表す文を押さえ、深い感動へ | | 本 | して、残雪の姿に深い感動を覚える大造じい | と変わる大造じいさんの気持ちを押さえ | | 時 | さんの気持ちを読み取る。 | させる。 | | | | | | る 1 ○残雪を見守りながら、狩人として正々堂々と ・呼びかけの文に着目し、晴れ晴れとした | | | | 戦っていこうとする大造じいさんの気持ちを | 気持ちを押さえさせる。 | | | | 読み取る。 ◇場面を関連づけながら、大造じいさんの | | | | | 気持ちの変化を読み取ることができたか | | | | | (理解) | | | | ◇動きを表す語、様子を表す語、色彩を表 | | | | | す語の働きについて理解を深めることが | | | | | できたか。 | | | | | (言語) | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 1 ○4年間の中で、大造じいさんの残雪に対する ・二人の関係が、初めと終わりで変わって | | | | とらえ方や気持ちが、どのように変化したか | いることを確認し、作者が大造じいさん | ま | | 振り返りながら、作品の主題について考える | の行動に感動していることを想像させな | と | | | がら主題に迫らせる。 | め 1 ○読み取った情景や人物の気持ちが表れるよう ・読み取ったことが朗読に表れるように工 | る | | に工夫して音読をする。 | 夫させる。 | | | | ◇読み取った内容が聞き手によく伝わるよ | | | | | うに工夫しながら朗読ができたか。 | | | | | (表現) | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ひ 1 ○椋鳩十の他の作品を読む。 ・人間と動物の関係・生き方について考えさ| ろ | | | せる。 | げ | | ◇進んで他の作品を読もうとしたか。 | る | | | (関・意・態) | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |過|時| 学習活動 | 教師の働きかけ | 予想される反応 | 指導上の留意点 | |程|間| | (○主発問) | | ◇評価 | +−+−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | | |3|1.前時の想起を|・1年目の作戦を想起さ|・うなぎつりばりの作戦| | | | | する。 | せる。 | です。 | | | | | |・「ううむ。」と感嘆の|・くやしいが、残雪もな| | |つ| | | 声をもらした大造じい| かなかたいした知恵を| | | | | | さんの気持ちを想起さ| 持っているものだ。 | | | | | | せる。 | | | |か|1|2.学習課題の確|・本時の学習課題を確認| | | | | | 認をする。 | させる。 | | | | | | | | | | | | | |+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | |む| | ||「ううん。」とうなる大造じいさんの気持ち| | | | | | | ちを考えよう。 | | | | | | |+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | | | | | | | | |◇学習課題と読みの| | |2|3.読みの視点を|・課題を解決するための|・大造じいさんの気持ち| 視点をつかむこと| | | | 確認する。 |視点を押さえさせる。 | を表す文。 | ができたか。 | +−+−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | | |3|4.学習場面を音| | (指名読) | | | | | 読する。 | | | | |ひ| | | | | | | |2|5.今年の方法に|・今年の方法はどんな方|・タニシをまいてガンを| | | | | ついて読み取| 法ですか。 | おびき寄せてからりょ| | | | | る。 | | うじゅうでうつ方法で| | | | | | | す。 | | |ろ| |6.大造じいさん| | |・「ううん。」とう| | | | の気持ちにつ| | | なるまでの大造じ| | | | いて読み取る| | | いさんの気持ちの| | | | | | | 変化を読み取らせ| | | | | | | たい。 | |げ|8|(1)一人読みをす |・大造じいさんの気持ち| | | | | | る。 | ちが現れている文を抜| | | | | | | き書きしそこからわか| | | | | | | る気持ちを書き込みま| | | | | | | しょう。 | | | |る|17|(2)学び合う。 |・今年の作戦がうまくい|・「会心のえみ」 | | | | | | ったときの大造じいさ| ・うまくいった。 | | | | | | んの気持ちを考えよう| ・苦労したかいがあっ| | | | | | | た。 | | | | | | |・「あかつきの光り〜流| | | | | |・小屋の中で待ちかまえ| れこんで来ました。」| | | | | | ているときの気持ちを| ・いつもとちがう光り| | | | | | 考えよう。 | だぞ。 | | | | | | |・「しめたぞ。〜目にも| | | | | | | の見せてくれるぞ。」| | | | | | |・「りょうじゅうをぐっ| | | | | | | とにぎりしめ〜引き| | | | | | | しまるのでした。」| | | | | | | ・もう少しの辛抱だ。| | | | | | | ・今日こそは絶対に仕| | | | | | | 留めてやる。 | | | | | | | ・今までのかりを返し| | | | | | | てやる。 | | | | | |○「ううん。」とうなった|・「ううん。」 |・「ううむ。」と感| | | | | 時の大造じいさんの気| ・またしても見破られ| 嘆の声をもらした| | | | | 持ちを考えよう。 | てくやしい | ことと比べさせ、| | | | | | ・なんて頭のい奴だ。 | 気持ちの変化をつ| | | | | | ・今年の作戦も失敗し| かませたい。 | | | | | | てしまった。くそう|◇大造じいさんが苦| | | | | | | しい立場になって| | | | | | | しまったことを読| | | | | | | み取ることができ| | | | | | | たか。 | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |8|6.学習のまとめ|・課題について板書で振|・夏から準備して今年こ| | | | | をする。 | り返ったあと、「うう| そはと思っていたが、| | | | | | ん。」とうなる大造じ| またしても残雪に見破| | |ま| |(1)学習のまとめ | いさんの気持ちをノー| られて悔しい。 |◇学習のまとめをノ| | | | を書く。 | トにまとめさせる。 |・いつもない小屋に気づ| ートに書くことが| | | | | | いた残雪は、なんて頭| できたか。 | |と| | | | のいいやつだ。 | | | | |(2)まとめの音読 | | (指名読) | | | | | をする。 | | | | |め| | | | | | | | |(3)自己評価をす | | |・自己評価カードに| | | | る。 | | | 記入させる。 | |る|1|7.次時の学習に|・次時の学習場面と課題| | | | | | ついて確かめ| について確認させる。| | | | | | る。 | | | | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+