印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):98   −−以下 指導案本文−−              第6学年 国語科学習指導案      日時 平成8年10月15日(火)2校時     児童 6年4組男21名女18名計39名    指導者   矢内 敬子 1.単元名  情景を想像して     教材名 「 やまなし 」 2.単元について (1)教材について  第6学年の理解領域の目標は「目的に応じて効果的に話を聞いたり、目的や文章の種類などに応じて正確な 読み方で文章を読んだりすることができる。」ことである。これを受けて本単元では、「優れた表現を読み味 わい、その表現効果に関心を深め、物語のイメ−ジを豊かに広げることができる。」ことを主目標とする。  この作品には、厳しさ、悲しみ、安らぎ、そして喜びが交錯する自然のなかで、美しい光彩を放ちながら精 一杯生きている生命の姿が主題として描かれている。この物語には、二匹の蟹の兄弟の目を通して見た、二つ の季節の谷川の底の情景が描かれている。五月、冬をくぐりぬけやって来た春は、万物が眠りから覚め躍動感 あふれる季節であるが、その一方で自ら生きるための生命の奪い合いが目まぐるしく展開されていく。その姿 を目の当たりにし、兄弟は自然界の厳しいおきてを知るのである十二月、万物が枯渇し、死に絶えたかと思わ れる冷たい寂しい冬であるが、この季節、自然は次の生命の芽生えを育むための準備をしているのである。静 寂の中、兄弟たちの前に現れたのは機熟して川の中に落ちてきた「やまなし」。突然の侵入者に驚く兄弟に父 親はやまなしは我々にとって、平和、恵み、明日への希望の象徴であると話してやる。  この作品には「かぷかぷ」「ぼかぼか」「もかもか」などの擬態語や、「トブン」「サラサラ」などのよう な擬声語、あるいは「水銀のように光って」「ラムネのびんの月光」というような比喩表現など、作者独特の 表現が使われている。象徴的、幻想的なこの作品は、深い思想性を持っているが、6年生の子供たちにとって 、底辺を流れるものまでつかむことは難しいであろう。けれども、作品の持つ柔軟な発想や豊かな想像力を誘 う表現が、子供たちの読みの意欲をかき立てるであろうし、十分にイメ−ジを広げ、物語の世界に浸ることが でき、主題に迫ることができるであろう。これらの点から本教材は、単元の目標を達成するのにふさわしい教 材であると考えられる。 (2) 子供について   子供たちは、前単元「石うすの歌」で、それぞれの場面での優れた描写や叙述を読み味わい、登場人物の 気持ちを読み取る学習をしてきた。これらの学習を通して、叙述のなかに登場人物の心情を表すような表現上 の特徴があることに気づき、細部の叙述に目を向けるようになってきた。また、題名や単元名をもとに主題を 予想し、読み取りの手がかりにしようとしてきた。  一人読みでは、場面ごとに登場人物相互の気持ちを関連づけて気持ちを読み取っていこうとする意欲も見ら れるようになってきているが、書き込みをする際、前後の叙述をもとにして状況を把握したり、想像を広げた りする点が弱い。  学び合いの場では、一人読みで読み取ったことをもとに臆せず発表できるようになってきているが他の場面 と関連付けたり、友だちの発言との類似点や相違点を明らかにしたりしながら発表できるまでには至っていな い。  朗読では、読みの正確さ、抑揚をつけることなど意識するようになってきているが、「聞き手にも内容が良 く味わえるようにする。」という目標に照らし合わせてみると、叙述をもとに文章の読みとりをしてきたこと を朗読の中で生かしたり、聞く人のイメ−ジが広がるような読みができたりするま  でには至っていない。 (3) 指導にあたって  作品のなかに登場する独特な造語、色彩を表す語、擬音語、擬態語、比喩表現など、この作品の豊かなイメ −ジを作り上げている優れた表現をより深く味わわせたい。したがって、ことばの響きやリズムに共鳴し、表 現の素晴らしさに気づき想像の世界を脹らませるためにも、朗読に重点を置き、じっくり読み込ませたい。  また、一人読みでは、読み取りの意欲を持たせられるよう、場面に登場する物それぞれを関連づけ書き込み させられるよう、ワ−クシ−トを使い、場面毎に自分なりの「一枚の幻灯」を作らせていきい。 学び合いの 場では、文章の中で使われている一つ一つの言葉の持つ響き、リズム、語感から感じ取ることのできるイメ− ジを自由に発表させることにより、読みの交流を図っていきたい。その際、友達の話の意図をつかんで聞き取 ることができるよう、聞く態度を育てていきたい。  単元の最後に、一人一人が読み取った物語の世界を、様々な方法で表現させ、読みの深まりと交流を図って いきたい。 3.単元の目標 (1)関心・意欲・態度   賢治の物語の世界に関心を持ち、優れた表現を読み味わおうとする。 (2)表現の能力   聞き手にも内容が良く味わえるように、抑揚や強弱などを工夫して朗読することができる。 (3)理解の能力   優れた表現を読み味わい、その表現効果に関心を深め、物語のイメ−ジを豊かに広げることができる (4)言語事項   色彩を表す語や擬音語、擬態語、比喩表現などに着目し、その役割や効果について理解することがで きる。 4.単元学習指導計画 (10時間) +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |過程|時間| 学習活動と内容 | 指導の工夫 評価 | +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 |○全文を読み、主題に関わる感想を書き、|・新出漢字の読みと筆順、難語句については| |つ | | 学習計画を立て、作者について調べる | 用法や意味を調べさせておく。 | | | | |・作者宮沢賢治の年譜、作品等については、| |か | | | 郷土の偉人を知るための予備知識として、| | | | | 調べさせておきたい。 | |む | | |◇作者の人となりについて興味を持ち、進ん| | | | | で作品を読もうとしているか。 | | | | | (関・意・態)| +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 |○「五月」の場面を情景描写、登場人物の|・情景や登場人物の行動、様子をとらえさせ| | | | 行動、様子をもとに読み取る。 | るため、抜き書き、書き込みをさせたいが| | | | | その際、イメ−ジ画を配したワ−クシ−ト| |ふ | | | に五月の場面を「一枚の幻灯」として表現| | | | | できるよう、まとめ方を工夫させる。 | | |1 |○「五月」の場面での優れた描写や叙述か|・色彩を表す語や擬音語、擬態語、比喩表現| | | | ら、作品に与える効果や作者が表現した| を取り上げ、作品に与える影響を考えさせ| | | | かったことを想像する。 | 音読で表現させる。 | | | | |・「五月」の場面で作者が表現したかったこ| |か | | | とを想像させ、発表し合うなかで学び合わ| | | | | せる。 | | |1 |○「十二月」の場面を情景描写、登場人物|・情景描写や登場人物の様子や行動、侵入者| | | | の行動、様子をもとに読み取る。 | と蟹の兄弟との関わり等、「一枚の幻灯」| | |1 |○「十二月」の場面での優れた描写や叙述| としてワ−クシ−トにまとめさせる。 | | |本時| から、作品に与える効果や作者が表現し|・「十二月」の場面に描かれていることを情| |め | | たかったことを想像する。 | 景描写を中心に読み取り、やまなしが登場| | | | | する意味について考えさせ、優れた描写を| | | | | 朗読し味わわせる。 | | | | | | | | | |◇優れた表現を読み味わい、その表現効果に| | | | | ついて考えたり、イメ−ジを広げて読み取| |る | | | ったりすることができたか(理解・言語)| | | | |◇表現効果を考えて朗読することができたか| | | | | (表現) | +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |ま |1 |○「やまなし」という題名がつけられたわ|・「五月」と「十二月」の二つの場面を対比| |と | |けを想像し、作品の主題を考える。 | させ、それぞれが描く世界をイメ−ジ化さ| |め | | | せることにより、作品の主題に迫らせる。| |る | | | | +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 |○作品から読み取ったものを、一人一人が|・子供たち一人一人に自分らしいやり方で、| |ひ | |選択した方法を用いて表現する。 | 作品「やまなし」を表現させる。 | | | | ・朗読で | | | | | ・創作音楽で | | |ろ | | ・イメ−ジ画で | | | | | ・個人新聞やパンフレット、| | | | | ミニ辞典などで | | |げ |1 |○交流発表会 |・自分たちがとらえた「やまなし」像をいろ| | | | | いろな手法で表現させる。 | | | | |◇作品の世界を生かしながら表現しようとし| |る | | | ているか。 (表現)(関・意・態)| | | | | | +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | 学 習 活 動 | 教師の働きかけ |予想される反応 | 指導上の留意点 | | | | |○主発問・補助指示発問| | ◇評価の観点 | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |つ|3 |1.本時の学習課題と内|+−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |か| | 容を確認する。 ||自分らしいやり方で「やまなし」の世界| | | |む| | ||を表現しよう。 | | | | | | |+−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |35|2.各自が選んだコ−ス| | | | |ふ| | 毎に自分たちの表現| | | | | | | を発表していく。 | | | | | | | |○それぞれのやり方で読| | | |か| | | み取ったことを発表し|・朗読で |・選択コ−ス毎に | | | | | 合おう。 |・文章図解とイメ−| 発表させ、それぞ| | | | | | ジ画で | れの表現を | |め| | | |・個人新聞、パンフ| | | | | | | レット、ミニ辞典| | | | | | | などで | | |る| | | |・創作音楽で | | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | |ま|7 |3.それぞれの表現につ|・友達の発表を聞き、自|・魚が侵入する前と|・友達の発表の中か| | | | いて、感想をまとめ| 分が描けなかったイメ| 後で、かにの兄弟| ら、豊かな情景描| | | | る。 | −ジをとらえて表現し| を取り巻く様子が| 写の表現ができて| |と| | | ているところを取り上| ガラッと変わった| いるもの、主題に| | | | | げて感想を書く。 | その様子をうまく| 迫る表現ができて| | | | | | 表していると思う| いるものに目を向| |め| | | |・登場人物の心の動| けさせたい。 | | | | | | きを強弱や抑揚を| | | | | | | 考えて表現してい|・表現技術の善し悪| |る| | | | る。 | しについて、取り| | | | | | | 立て言うのでない| | | | | | | ことを付け加える| | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 5.本時の授業 (1)授業仮説   ○十二月の場面の情景、蟹の行動、やまなしの様子をワ−クシ−トに抜き書きさせ、そこから読み取ることができることを書    き込ませれば、優れた表現に着目し、場面のイメ−ジをとらえられるような一人読みができるであろう。(前時)   ○一人読みで読み取ったものをもとにして場面のイメ−ジを交流しあい、蟹たちにとっての「やまなし」像とはどんなものな    のかを話し合わせれば、作者が描きたかった世界について学び合うことができ、一人一人の読みが深まるであろう。 (2)本時の目標                                          (本時)    十二月の場面の情景をイメ−ジをふくらませて読み取り、作者が描きたかった世界を想像することができる。 (3)本時の展開 +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ |過|時| 学 習 活 動 |教 師 の 働 き か け |予 想 さ れ る 反 応|指 導 上 の 留 意 点| |程|間| | (○主発問) | | (◇評価) | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |1 |1.本時の学習課題を| +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|・前時に一人読みしたことを| |つ| |つかむ。 | | 十二月の場面で、作者が描きたかった世界を想像して||もとに、読み取ったことを交| | | | | |みよう。 ||流させることから課題に迫る| |か| | | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|ことを確認する。 | | | | | | | | |む| | | | |◇学習課題と読みの視点を確| | | | | | |認することができたか。 | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |3 |2.学習場面を音読す|・抑揚、速さなどに気をつけて|※指名読み | | | | |る。 |読ませたい。 | | | | | |3..作者が描きたか| | | | |ふ| |った世界について読| | | | | | |み取る。 | | | | | |16|○ 学び合い | | | | | | |・想像したことを書|○十二月のこの場面では、どん|・「ラムネのびんの月光が |・場面の一人読みについては| | | |き込んだものを発表|な情景が見えていますか。想像| いっぱいにすき通り」から|前時に行っている。 | |か| |し合い、描かれてい|したことも一緒に発表しましょ| 青緑色の透明な光が水の中|・抜き書き部分と書き込んだ| | | |る情景をとらえ、場|う。 | に差し込んでいることが分|内容について同時に発表させ| | | |面のイメ−ジを広げ| | かる。 |る。同じ箇所の書き込みにつ| | | |る。 | |・やまなしが落ちてきたとき|いては、数人まとめて発表さ| | | | | | の音「トブン」から、あま|せ、言葉の持つ語感や響きか| |め| | | | り大きくないもの、自然に|ら想像したことをふくらませ| | | | | | 落ちてきたものだと分かる|ていけるようにさせたい。 | | | | | |・「ぼかぼか流れていく」様| | | | | | | 子から、ゆったりと、浮い| | | | | | | たり沈んだりしながら流れ| | |る| | | | ているようだし、それを追| | | | | | | っている蟹はうきうきしな| | | | | | | がらついて行っている。 | | | | | | |・「にじがもかもか集まる」| | | | | | | という表現から、やまなし| | | | | | | のまわりから光と匂いが辺| | | | | | | りに広がっているのが分か| | | | | | | る | | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ |過|時| 学 習 活 動 |教 師 の 働 き か け |予 想 さ れ る 反 応|指 導 上 の 留 意 点| |程|間| | (○主発問) | | (◇評価) | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |17|・やまなしとかわせ|・やまなしが落ちてきたところ|・トブンという音から、かわ|・前の場面でかわせみがやっ| | | |みの現れ方の違いか|の様子は、どんな感じがします|せみがやってきたときみたい|てきたところを思い出させ、| |ふ| |ら、両者を比べ、や|か。 |に、いきなりという感じでは|両者の登場の場面の様子を対| | | |まなしの象徴してい| |ない。 |比させたい。 | | | |るものを想像する。| |・かわせみは.くちばしの先| | | | | | |が黒くコンパスのように尖っ| | | | | | |ていたから、蟹にとって怖い| | | | | | |もの。やまなしは、黒く丸い| | |か| | | |という表現からやさしい感じ|・かわせみは、蟹の兄弟にと| | | | | |がする。 |っては恐ろしい存在であるこ| | | | | | |と、場面に緊張感をもたらす| | | | | | |ものであったことを確認する| | | | | | | | | | | |○やまなしは、蟹の親子に何を|・おいしい果実を与えてくれ| | |め| | |与えてくれたのでしょう。 | る。 | | | | | | |・自然が与えてくれる恵み | | | | | | |・喜び | | | | | | |・静かで平和な世界 | | | | |・場面の情景を味わ|・作者独自の表現に注意させ、| | | | | |うことができるよう|情景を思い描かせながら読ませ|※指名読み | | |る| |朗読する。 |る。 | |◇場面の情景をイメ−ジをふ| | | | | | |くらませて読み取り、作者の| | | | | | |描きたかった世界を想像する| | | | | | |ことができたか。 | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |8 |4.学習のまとめをす| | | | |ま| |る。 | | | | | | |(1) 学習のまとめを|・本時の学習を板書で振り返っ|・十二月の場面は、やまなし|◇課題にそって、まとめを | | | |書く。 |たあと、十二月の場面で作者が| が登場してかにの親子に恵|書くことができたか。 | | | | |描きたかったことをまとめさせ| みを与えるところだ。静か| | |と| | |る。 | で平和な世界を見せてくれ| | | | | | | る。 | | | | |(2) まとめを発表さ| |※ 指名による発表 | | | | |せる。 | | 1.2名 | | |め| |(3) 自己評価する。| | |・単元を通した評価カ−ドを| | | | | | |用意し、学習について評価さ| | | | | | |せる。 | | | |5.次時の学習につい|・作品の主題について考えてい| | | |る| |て確かめる。 |くことを確認させる。 | | | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+   「やまなし」 教材構造図 〔主題〕   ・厳しさ、悲しみ、安らぎ、そして喜びが交錯する自然のなかで、美しい光彩を放ちながら、精一杯 生きている生命の姿。 〔理解の目標〕・優れた表現を読み味わい、その表現効果に関心を深め、物語のイメ−ジを豊かに広げることができ る。(理 カ、キ、コ) 〔表現の目標〕・聞き手にも内容がよく味わえるように、抑揚や強弱などを工夫して朗読することができる。        (表 ウ) 〔言語事項〕 ・色彩を表す語や擬音語、擬態語、比喩表現などに着目し、その役割や効果について理解することが できる。(言語 エ(ア)) +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | 場面の内容 | 育 て た い 技 能 |言語事項| +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | 一 五月 |◇谷川の情景を読み取る。(理カ)|◇魚やかわせみの出現の様子とそれを| | |@蟹の兄弟は水に漂| | 見ている蟹の兄弟の気持ちを読み取| | |うクラムボンを見な| ・青白い水の底 | る。 (理カ) | | |がら楽しそうに話し| ・「クラムボンは笑ったよ。」| ・つうと銀の色の腹をひるがえして|かぷかぷ| |ている。そのクラム| ・青く暗く鋼のように | ・「クラムボンは殺されたよ。」 |青く暗く| |ボンを蹴散らすよう| ・なめらかな天井をつぶつぶ暗い| ・そこらじゅうの黄金の光をまるっ|つぶ |にして魚がやってく| あわが | きりくちゃくちゃにして、おまけ| つ| |る。 | | に自分は鉄色に変に底光りして | | | | | ・水にだけ流されながらお口を輪の|つうと | | | ・ゆれながら水銀のように光って| ように円くして | | | | ・日光の黄金は、夢のように | ・そのかげは黒く静かに〜すべり | | | | ・波から来る光のあみが、〜ゆら| ・青光りのまるでぎらぎらする鉄砲| | | | ゆらのびたり縮んだり | 玉のようなもの | | | | ・まっすぐなかげの棒が、ななめ| ・先がコンパスのように黒くとがっ| | |Aぎらぎらする鉄砲| に水の中に並んで | て | する | |玉のようなものがい| | ・白い腹がぎらっと光って一ぺんひ| | |きなり飛び込んでき| ・あわといっしょに白いかばの花| るがえり〜それっきり〜見えず | | |て魚を連れ去る。兄| びらが | ・二ひきはまるで声も出ず、居すく| | |弟の蟹は恐ろしさに| ・花びらのかげは静かに砂をすべ| まって | | |ふるえる。 | り | ・「こわいよ、お父さん。」 | | +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | 二 十二月 |◇十二月の谷川の情景を読み取る。 (理カ、キ、コ)|青白い火| |B季節は冬。生き物| | | |の活動が停止したか| ・白いやわらかな丸石 | | |のように思われるが| ・小さなきりの形の水晶のつぶや金雲母のかけらも流れてきて | | |川底には平穏が戻る| ・水の底までラムネのびんの月光がいっぱいにすき通り | | |蟹の兄弟は、あわの| ・天井では波が青白い火を燃やしたり消したりしているよう | | |大きさ比べに興ずる| ・辺りはしんとして、ただ、いかにも遠くからというように、その波の音| | | | がひびいてくるだけ | | | | | | |C突然のやまなしの|◇やまなしが落ちてきたときの様子、蟹の兄弟の期待感を読み取る。 |トブン | |落下に、兄弟はかわ| (理カ、キ、コ)| | |せみが現れたかと驚| ・そのとき、トブン | | |くが、そんな二人に| ・黒い丸い大きなものが、天井から落ちてずうっとしずんで、また上へ | | |父はやまなしは恵み| のぼって | | |をもたらすものだと| ・きらきらっと黄金のぶちが光り | | |話して聞かせる。期| ・そこらの月明かりの水の中は、やまなしのいいにおいでいっぱい |ぼかぼか| |待に胸ふくらませて| ・ぼかぼか流れていくやまなしの後を追い | | |ねぐらへ戻る三びき| ・その横歩きと、底の黒いかげ法師が、合わせて六つ、おどるようにして| | | | やまなしの円いかげを追い |サラサラ| | | ・水はサラサラ鳴り、天井の波は、いよいよ青いほのおを上げ、やまなし| | | | は横になって木の枝に引っかかって止まり、その上には、月光のにじが|もかもか| | | もかもか集まり | | | | ・波は、いよいよ青白いほのおをゆらゆらと上げ〜金剛石の粉をはいてい| | | | るよう | | +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+