印刷用紙:B4縦 1ページの行数:63 1行の文字数(半角で):90 第3学年  音楽科学習指導案      指導者  小 原 貞 子 T.題材名  ふしの流れを感じて U.題材について 中学年では,旋律の聴取と表現が重要事項となっており,「旋律の流れの中で拍感やフレーズ感  を育てること」及び「主な旋律とその変化及び反復に気をつけて聴くこと」が大切であるとされて  いる。  そこで,本題材の学習では,次のような能力及び態度を培っていきたいと考える。  @ 手拍子や身体表現をしながら聴いたり歌ったりする活動を通して,拍感を身につけさせる。  A フレーズを意識した身体表現や交互唱及び交互奏を通して,旋律のフレーズ感を育てる。  B 歌ったり楽器で演奏したりする活動を通して,楽曲の中心となる主な旋律をとらえさせる。  C 旋律の流れの中での,主な旋律の繰り返しや再現,あるいは変化を感じ取らせて聴く活動を通   して,楽曲の構成にも目を向けて演奏したり聴いたりしようとする態度や能力を育てる。  本題材で扱う曲は,次の3曲である。  曲  名   速 度   調  拍  子 音 域 演奏形態  作 詞 者  作 曲 者 風がリンロン 120 ハ長 4分の3 ニ〜ニ 斉  唱 村田 さち子 直居 隆雄 星の詩 Andantino ト長 4分の4 ト〜ニ 二部合奏 平島 勉 メヌエット Aregretto ト長 4分の3 独  奏 ベートーベン V.指導目標 1 旋律のまとまりを感じ取りながら,拍の流れにのって演奏するようにさせる。 2 主な旋律の特徴や変化を感じ取りながら,メヌエットに親しむようにさせる。 W.指導計画  (7時間) 次 1           2           3 時 1 2 3 4 5(本時)  6 7 教 風がリンロン                                        星の詩                                         材 メヌエット                                       学 習 内 容 ・曲趣の把握 ・フレーズの把握 ・音色の感 ・イメージ ・主旋律唱,主題の把握 ・主な旋律の反復と変化 得 の表現 ・情景の想像  の感得 ・拍の流れ 「星」 ・二部合奏 の体得 「風」 指 導 事 項 拍の流れ  拍子打ち フレーズのまとまり 音色,音高 音色,奏法  ( は,個に応 演奏形態 歌詞唱 歌声,唱法,旋律の流れ 息づかい 強弱,速度 じた指導) 旋律,歌詞 身体表現 曲の構成,身体表現 二声の響き 音量のバラ 拍子 メヌエット 視奏,リコーダーの奏法 模擬演奏 ンス X.本時の指導 1 教材について 曲は,A(a,a)B(b,b)の二部形式である。 旋律はト〜ニまでの5音だけで,しかも平易なリズムで作られているが,流れが大変美しく, 「星の詩」という題名をよく表している。 Aの部分は,a,aともに,前半2小節のS1の旋律を後半2小節のS2の旋律が受け継ぐ ようになっている。 一方,Bの部分は,bではS1の旋律をS1とS2が反行して,bではS2の旋律をS1と S2が平行して受け継ぐようになっている。 したがって,ふしの流れを感じ取りながら演奏するのに,大変適切な曲であると考える。  2 子どもについて                   どの子どもも,第3学年で初めて取り扱ったソプラノリコーダーでの演奏に対して意欲的であ   る。しかし,「音を出すこと」で満足していることが多く,「美しい音色をめざそう。」とする意識   はあまりないように思われる。運指は徐々にスムーズになってきているが,息づかいやタンギン   グの大切さに気づいている子どもが少ないため,ピッチが高くリズムや音色もそろっていない。    子どもたちは,これまでに,リコーダーによる簡単な旋律奏や,オブリガード奏は経験してい   るが,リコーダーによる二声の演奏は今回が初めてである。  3 指導にあたって 「星の詩」の学習では,どの子どもも自分のパートを確実に演奏できた上で,ふしの流れや,二   声の響き合いを感じ取りながら,アンサンブルを楽しめるようであってほしいと考える。 そこで,指導にあたっては,次のような点に留意したい。   〈 パート奏を確実なものにするために 〉 @ bとbの第1・第2小節は,リズム打ちを通してリズムを正しくとらえさせた上で,タン ギングをきちんとさせることにより,正しいリズムでレガート奏をさせる。 A S1とS2が同時に別の旋律を演奏するbとbの後半2小節は,拍子打ちに合わせて旋律 奏をすることにより,正しいリズムを体得するようにさせる。 〈 アンサンブルを楽しむために 〉   B 強弱表現により,フレーズとしてのまとまりを意識させる。 C 旋律の始まりや終わりの音を大切にして,息継ぎのタイミングを合わせることにより,旋     律の流れを意識させる。 D  二声が重なり合っている部分の速度を落として互いの音を聴き合うことにより,音の重な     りを感じ取らせる。 4 ねらい (1) S2の旋律を覚え,リズムフレーズの拍の流れにのって二部合奏するようにさせる。 (2) 全   タンギングに気をつけて,旋律をなめら A タンギングに気をつけて,正しい 体 かに演奏するようにさせる。 層 リズムで演奏するようにさせる。 5 展 開 段 対象 学  習  活  動 指   導   の   意   図  階 全AC 全         体 導 1.始めの音楽 ・ 当番班が中心となって進めるようにさせる。 入 ・ 風がリンロン ・ 身体表現などを通して,リズムフレーズの拍の流 (8)   ・ 星の詩(S1) れにのるようにさせたい。 2.学習のめあてを確認する。・ 範奏を聴かせた後,めあてを確認する。 2つのふしを覚えて,1のふしと合わせよう。 展 3.S2の旋律を演奏する。 開 (1) 範奏を聴く。 ・ S1の旋律奏に合わせて教師が演奏することによ (30) り,S2の旋律を大まかにとらえさせる。   (2) 視奏する。 ・ 視奏を通して,各自が,自己の課題に気づくよう にさせる。 (3) 各自の課題を発表する。・ 課題のうち,階名やリズムについては,全員で, 階名唱をしたりリズム打ちをしたりして,どの子も 不安なく個人練習に取り組めるようにする。 (4) 自分のめあてを決める。・ 練習の目的を明確にして,取り組ませる。 (5) 個人で練習する。 ・ 小節を単位とした休符の多い曲なので,練習を効 率的に進めるために,2小節ずつの5つの旋律とし て練習させる。       4.S1の旋律に合わせて演 ・ 範奏に合わせながら,タンギングに気をつけて, 奏させる。 なめらかな演奏をするようにさせる。 ・ S1の旋律を歌いながらS2の旋律を演奏するこ とにより,旋律のまとまりを意識させる。 5.二部合奏をする。 ・ S1とS2による2小節ずつの旋律の呼びかけと 応答を,星同士のおしゃべりという設定にして,音 色や奏法の統一を図る。 ・ 二声になっている部分は,オルガンに合わせて, 音の重なりを感じ取らせる。 ・ 伴奏の速度を変えることにより,拍の流れにのっ た演奏ができるようにさせる。 終 6.本時の学習を振り返る。 ・ 範奏と自分たちの演奏を比較することにより,旋 結 (1) 演奏を聴き比べる。 律の流れや音色に留意することの必要性に気づかせ, (7) 次時学習内容につなげる。 (2) 自己評価をする。 ・ 自己評価は,自分のめあてにそって行わせる。 B  フレーズのまとまりを考えて,旋律 A層 タンギングがきちんとできない。 層 をなめらかに演奏するようにさせる。 B層 タンギングや息づかいがきちんとできる。         留    意    点        評 価 の 観 点 資料 ・ 教具    A    層       B    層   ・ タンギングをしっかり ・ S2の旋律を聴きなが ・ 拍の流れにのって 学習予定表 するよう,意識づける。 ら演奏するよう意識づけ  いるか。 リコーダー る。 ・ 旋律の流れを意識 拡大譜 いるか。 範奏テープ 拡大譜 リコーダー 学習カード ・ 運指とタンギングのタ ・ S2の旋律を一通り吹 ・ リズムや指づかい イミングをつかませて, けるようになったら,S を正しくとらえてい リズムを正しく演奏でき 1にだけ旋律がある部分 るか。 ようにする。  を歌いながら演奏するこ ・ タンギングに気を 範奏テープ とにより,フレーズのま つけて,正しいリズ とまりを意識できるよう ムやレガート奏をめ にする。 ざしているか。 ・ タンギングをやさしく ・ のどを開くことを意識 ・ 旋律のまとまりや することにより,そろっ させることにより,柔ら 流れを意識して演奏 た音色をめざさせる。  かい音色をめざさせる。   しようとしているか。 オルガン ・ 拍の流れにのって 演奏しているか。 範奏テープ 学習カード