印刷用紙:B5縦 1ページの行数:41 1行の文字数(半角で) :76 小学校5年理科指導プログラム    対 象 学 級 花巻市立湯本小学校 5年 組                    (男子 名、女子 名、計 名)    指導年月日 平成5年 月 日、第 校時   指 導 者 阿 部 伊佐美  1.単元名 「 月 と 太 陽 」 2.単元設定の理由  本単元は、月は太陽と同じように、東から出て南の空を通り西の空に沈むこと、月 の形の変化(満ち欠け)は、太陽との位置の違いによって起こることを、上弦の月や 満月の動きの観測やモデル実験を通じて発見させ、資料をもとに太陽と月の表面の様 子の違いについて調べさせ、月の「満ち欠け」や「表面の様子」を太陽との関係で考 えさせることで天体は規則性を持って変化するという科学的な見方や考え方の育成す ることを目的として設定した。 また、本単元のねらいとその学習内容は、文部省「学習指導要領」(理科 第5学年) に掲げられている目標の(3)および内容C(2)に基づいて設定した。  (1) 第5学年では時間とともに変化するものの量的な状態の変化を調べること     を目標として設定している。とりわけ、条件そのものにも着目して、変化す     るものとの関連を見るようにしている。その条件を第4学年までは、そのも     のを見ればわかるような明かなものが多かった。しかし、第5学年では、変     化をもたらす条件を、これまでの学習や生活経験などを使って明らかにでき     るようにすることをねらいとしている。 (2) 児童はこれまでに、「気温と天気の変化」の学習の中で気温、雲、風など     を観測したり映像などの情報を活用したりして、天気の変化を調べ、客観的     な事実や関係を見いだしていく活動を行ってきた。  (3) さらに、気象の変化の規則性については、「気温と天気の変化」の学習で     「1日の気温の変化は、太陽高度や雲、風、降水などと関係があること」      「天気の変化は、観測の結果や映像などの情報を用いて予想できること」を     身につけている。    本単元は、これらの学習経験を基底にして設定されている。  (4) 本単元ではこのような児童の実態をもとに、太陽と月の形や位置などを観    測し、それらの動き及び位置の関係を調べながら、太陽や月は絶えず動いてい    て東の空から出て南の空を通り西の空のはいること、太陽や月は球形をしてい    るが、月は日によって形が変わって見え、月の輝いている側に太陽があること、    月の表面の様子には太陽と違いがあることという天体の変化の規則性を把握さ    せることをねらいとしている。    その際、これまでの学習と同様に児童が太陽や月の観測という具体的な自然に   直接かかわる場を用意し、対象である自然の事物・現象を児童に意識化させたい。   また、直接経験することのできない深夜の月の動きや太陽や月の表面の様子につ   いてはマルチメディア教材を活用することで学習意欲を喚起することができる。    このように、観測・実験を意図的、継続的に積み重ねることによって、問題    を解決する能力や自然を愛する心情を育てるとともに、自然の事物・現象につい   ての理解を図り、科学的な見方や考え方を養うことも、本単元の指導のねらいの   一つとして取り上げている。 (5) そこで、まず上弦前後の月を夕方から夜にかけて観測することで、月は南東    から西の空へと動くことを理解し、次に東から昇る満月の動きを観測すること    で月は太陽と同じように、東から出て南の空を通り西に沈むことをとらえさせ    る。    このことから、月は太陽と同じように絶えず動いていて、東の方から出て南の    空を通り西の方に入ることを気づかせるように展開したい。 (6) 月の形は日によって変化することを、球形のものに光を当てると、明るい部    分と暗い影の部分ができることから、ボールを用いたモデル実験を行い、資料    映像を見ることで、月は、太陽の光が当たっている部分が明るく見え、太陽の    位置によって形が変わるということを理解させ、月の満ち欠けが起こる理由を    考えさせたい。 (7) 太陽と月の表面の様子の違いについては、マルチメディア教材からどちらも    球形をしているが、太陽は表面から強い光を放ち、月は太陽の光で明るく見え    ること、太陽と月の表面では違いがあることを理解させ、天体に対する興味・    感心をもたせたい。 3.単元の指導目標  <自然現象への関心・意欲・態度> (1) 昼間の月の動きに関心を持ち、進んで夕方から夜の月の動きについて調べ     ようとする。  (2) 日によって月の形が違って見えることに関心を持ち、進んでそのわけを調     べようとする。  (3) 太陽と月の表面の様子の違いに関心を持ち、進んで資料をなどで調べよう     とする。  <科学的な思考>  (1) 月が太陽と同じように動くことを、半月と満月の動きの観察結果をもとに     考えることができる。  (2) 月は太陽の光が当たった部分が輝いて見えることを、朝・夕の月と太陽と     の位置関係や実験結果をもとに考えることができる。 <観察・実験の技能表現>  (1) 月の位置を方位と高さで調べて記録することができる。  (2) 月が太陽との位置関係によって満ち欠けして見えることを、ボールを用い     て実験することができる。 <自然現象についての知識・理解>  (1) 太陽や月は絶えず動いていて、東の方から出て南の空を通り西の方に入る     こと。  (2) 太陽や月は球形をしているが、月は日によって形が変わること。  (3) 月の明るく輝いて見える側には太陽があること。  (4) 月の表面の様子には、太陽と違いがあること。 4.単元の教材構造 +−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+   |半 月 の 動 き| |満 月 の 動 き| +−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+ +−−−−−−+ +−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−+ |気温と天気の |−−| 月  の  動  き | |変化 | +−−−−−−−−−−+ |太陽の1日の動 | | |き | +−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+ |月 の 満 ち 欠 け | +−−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−+ |太 陽 と 月 の 比 較| +−−−−−−−−−−+ 5.単元の指導計画 (8時間)    第1時   授業に関するアンケート          P1テスト 第1次 < 月   の   動   き >   3時間 第2時   半月の動き 第3時   満月の動き 第4時   月の動きのまとめ 第2次 < 月 の 満 ち 欠 け >   2時間 第5・6時 月の満ち欠け 第3次 <  太 陽 と 月 の 比 較  > 1時間 第7時   太陽と月の比較 第8時   P2テスト 6.本時の学習指導(第5・6時) (1) 主題 「 月 の 満 ち 欠 け 」 (2) 指導目標  日によって月の形が違って見えることに関心を持ち、映像資料や実験から、月は 球形をした天体で太陽との位置関係によって光って見える部分が変わることを理解 させる。 (3) 目標行動  月は球形をした天体で太陽との位置関係によって光って見える部分が変わること を映像資料と実験(ボールに光を当てて光って見える部分を調べる)から得たデー タをもとに説明できる。 (4) 下位目標行動  1R 半月から満月までの月の変わり方を説明できる。   2R 太陽の沈む方角がいえる。   3  太陽が沈んだ後に見える月は太陽より南の位置にあることを指摘できる。   4R 太陽の昇る方角がいえる。   5  朝早く見える月は太陽より南の位置にあることを指摘できる。   6  太陽の方向と月の光っている部分との関係を説明できる。   7  映像資料から、球体に光があったときの見え方をいえる。   8  球体に光があったとき、見る位置を変えると見える部分が変わることを指    摘できる。   9  半月や満月の位置と形を太陽の位置と関係づけて、月の形が変わるわけを     予想することができる。 10R 月が地球の周りを回っていることをいえる。  11  光とボールとの位置関係が変わると、ボールの光っている部分が変わるこ     とを実験で確かめることができる。 12  ボールの光っている部分が満月や半月、新月状になったときのボールと光     との位置関係を記録することができる。 13  自分の見たところ(地球)からの太陽と月の位置関係を指摘することがで     きる。 14  月の光っている部分は太陽の光が当たっている部分であることを指摘でき     る。 15  明け方見える月の形と位置を太陽の位置と関連づけて指摘できる。  16  夕方見える月の形と位置を太陽の位置と関連づけて指摘できる。 17  月の写真を見ながら、それぞれの月の形の時と太陽との位置関係、見える     方位、およその時刻を指摘できる。 (5) 形成関係図とグループ分け(省略) 6.本時の学習指導(第7時) (1) 主題 「 太 陽 と 月 の 比 較 」 (2) 指導目標     今までの観測結果や映像などの情報を活用して、太陽と月の特徴や表面の様 子の違いをとらえ、天体としての太陽と月に関心を持ち、科学的な見方や考え 方を養う。 (3) 目標行動    今までの観測結果や映像資料などから、太陽と月の表面の様子の違いを説明   することができる。 (4) 下位目標行動   1R 太陽はいつも形が変わらないこといえる。   2  太陽は球形をした大きな天体であることを指摘できる。   3  太陽は光を発していることを指摘できる。   4  太陽の周りにはコロナやプロミネンスがあることを指摘できる。   5  太陽の表面にも温度の低いところ(黒点)があることを指摘できる。  6R 月は満ち欠けをすること天体であるといえる。   7  月は満ち欠けをすることから、光を出さない球体であると説明できる。   8  月は30日を周期として、形の変化を繰り返すといえる。  9R 満月の明るい部分と暗い部分があるといえる。  10  月にはクレーターがあるといえる。  11  月のクレーターの影の様子から、表面がでこぼこしていると指摘できる。 12  月のクレーターの影の様子から、太陽の光が当たっていることを指摘でき      る。 13  満月にみられる黒い部分が海であるといえる。  14  アポロ計画の月面活動の映像から、月には水や空気がないことを指摘でき     る。 15  太陽と月の形や表面の様子で、似ているところ、違うところを対比表に書     くことができる。 (5) 形成関係図とグループ分け(省略) (6) 本時の展開過程の振り付け表 +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+ |段|指導事項・評価事項 |下位目|  学習教材 | 学習方法 | 形態 | |階|    |標行動| | | | +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+ |導|・今まで見たことのあ|20R|※静止画   |発表 |集団 | | | る月の形の発表   | | (スライド)| | | | |・月の形の呼び方 |19 |学習プリント |説話・作業 |集団・個| |入|・学習課題の確認 | |学習プリント |説話 |集団 | +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+ |展|・地球上での方位 |18R|※教材提示 |説話・作業 |集団・個| |開| |17R|学習プリント | |別 | |1|・宇宙の中の地球 |16 |※教材提示 |説話 |集団 | +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+ |展|・日の出、日の入りの|15 |※教材提示 |説話 |集団 | | | 方角 | | | | | |開|・太陽が見える位置と|12 |※教材提示 |説話・発表 |集団 | |2| 地球上の自分の位置|13 | | | | | | |14 | | | | +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+ |展|・月が光って見えるわ|11 |ボール・スポッ|問答 |集団 | |開| け | |トライト | | | |3|・月の満ち欠けがおこ|10 | |発表 |個別 | | | るわけ(予想) | | | | | +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+ |展|・実験方法の確認 |9 |学習プリント |問答 |集団 | | |・実 験 |7、8|ボール・スポッ|作業 |集団・個| |開| | |トライト | |別 | | |・実験結果のまとめ |3、4|学習プリント |作業 |集団・個| |4| (班ごと)|5、6|※教材提示 | |別 | +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+ |終|・実験結果のまとめ |1、2|学習プリント |発表・説話 |集団 | |末| 全 体)| | | | | | |・与謝蕪村の俳句の月|G |※教材提示 |作業・発表・|個別・集| | | の形 | |学習プリント |説話 |団 | +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+ | |・感 想 | |学習プリント |作業 |個別 | | |・次時の予告 | | |説話 |集団 | +−+−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−+                     ※はマルチメディアを利用 (7) 教授=学習過程(プロセスフローチャート) +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |時間|おもな学習内容  | 教 授 = 学 習 過 程 |教材・教具、 | |  |         |                |機器と留意事項| +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |< 導 入 > |   は  じ  め | | | | | | | | | |1.今まで見た月の|  いろいろな月の形を示す |静止画(スライ| |8分| 形(20R) | | |ド)で提示する| | |2.月の形の名称 |/満月、三日月、上弦・下弦の/|学習プリントに| | | (19) |/月の呼び方を知らせる。 /|記入させる。 | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |< 展 開 > |/地球上の方位についてまとめ/|学習プリントに| |12|3.地球上の方位 |/させる。   /|記入させる。 | | 分| (18R) | | | | | |4.宇宙の様子 |銀河系→太陽系→太陽、月、地球|2つの教材提示| | | (17R、16)|→地球という流れでつかませる。|(宇宙の様子・| | | | 再提示 | |公転)で提示す| | | | −補足 → | |る。 | | | || *太陽と月、地球の位置* | | | | | −*関係がつかめたか * | | | | |NO |YES | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |5.日の出、日の入|太陽が昇る方角、沈む方角を確か| | |10| りの方角 |めさせる。 | | | | 分| (15R) | | | | | |6.日の出、南中、|太陽の昇る方角、南中するときの|教材提示(スラ| | | 日の入りのときの|方角、沈むときの方角を地球上の|イドショー)で| | | 太陽の見える位置|自分の位置との関係からとらえさ|提示する。 | | |  (12、13、|せる。 | | | | | 14) | 再提示 | | | | | | −補足 → | | | | | || *太陽の位置と地球上の* | | | | || *自分の位置との関連が* | | | | | −*つかめたか。 * | | | | |NO |YES | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+ |5分|7.月の光っている|月の光っている部分は太陽の光が|ボール(月)、| | | 部分 (11) |当たっている部分であることをつ|スポットライト| | | |かませる。 |(太陽)を利用| | | | | |して提示する。| | |8.月の満ち欠けが|これまでの学習から、月の満ち欠| | | | おこるわけの予想|けの起こるわけを予想させる。 | | | | (10) | | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |9.実験方法の確認|/実験方法の確認をさせる。 /|学習プリントで| |40| (9) | | |確認させる。 | | 分| | |        |       | |  | |再提示−→ | | | | | || *実験方法を班ごとに確認* |スポットライト| | | | −*することができたか。 * |を使用するとき| | | | NO | |の注意事項を説| | | | |YES |明し、確認させ| | | | | |る。 | | |10.実験 |/満月、上弦の月、三日月、下/|学習プリントに| | | (班ごと) |/弦の月、新月のときの月と太/|従って、実験を| | | (7、8) |/陽の位置関係をとらえさせる/|進めさせる。 | | | | +−−−→| | | | | | 個別指導 | | | | | | +−*正しく実験できたか* | | | | | NO | | | | | | |YES | | | | | | | | | |11.実験結果のま|/実験結果をまとめさせる。 / |学習プリントに| | | とめ、確認 | | |まとめさせる。| | | (班ごと) |/班ごとに実験結果を確認させ/|KiTを利用し| | |(3、4、5、6)|/る。   /|て、確認させる| | | | +−−−→| | | | | | 個別指導 |  | | | | | +−*実験結果が正しいか* | | | | |NO   |  | | | | | |YES | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |10|< 終 末 > |/月の満ち欠けは、太陽と月の/|学習プリントに | | 分|11.まとめ |/位置関係で決まるということ/|まとめさせる。 | | | (全体) |/をつかませる。 /| | | | (1、2) | | | | | | | +−−−→ | | | | | | 再提示 | | | | | | | | | | | | | |*月の形と見える方位* | | | | | |*をつかむことができ* | | | | | |*たか。  * | | | | | +−−−− | | | | | | NO | | | | | | | YES | | | | | | | | | |12.演習 (G) |/与謝蕪村の俳句からそのとき/|教材提示(スラ | | | |/の月の形と時期を考えさせる/|イドショー)で | | | | | |問題及び解説を | | | | | |提示する。 | | | | +−−−→ | | | | | | 再提示  |  | | | | | +−*月の形が分かったか* | | | | |NO   |  | | | | | |YES | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |13.感想 |/  感想を書かせる /|学習プリントに| | | | | |書かせる。 | | |14.次時の予告 |太陽と月の表面の違いについての| | | | |学習を予告する。 | | | | | | | | | | | お わ  り | | | | |   | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ <注>=================================  ‖ 端子、処理は囲みなし 判断は *  手作業は/ で表している。‖  ==================================