印刷用紙:B4縦 1ページの行数:45 1行の文字数(半角で):116 第5学年 理科学習指導案 日  時  平成7年2月17日(金)       9時30分〜10時15分 授業学級 矢巾町立煙山小学校・・・・・・       第5学年4組 35名・・・・・ (男子16名 女子19名) 授 業 者 研 究 員 金 子 康 宣 1 単元名 「10 おもりのはたらき」 東京書籍5下 2 単元について  第5学年の理科の「B 物質とエネルギー」の目標は、「物の溶け方や物の動きなどを量的変化に目を向けながら調べ、見いだ した問題を意欲的に追究する活動を通して、物の変化の規則性についての見方や考え方を養う。」である。したがってここでは、 量的変化に目を向けながら調べる活動に重点を置き、物の状態はそのときの条件に応じて規則的に変化することをとらえられる ようにすることがおもなねらいとなる。  本単元は、おもりを使い、おもりの重さや動く速さを変えて、物の動きを調べることができるようにすることを目標とし、その 内容は、「ア 糸につるしたおもりが1往復する時間は、糸の長さによって変わること。」「イ おもりが他の物を動かす働き は、おもりの重さや動く速さによって変わること。また、この性質を利用して物を動かす物が作れること。」である。  「ア 糸につるしたおもりが1往復する時間は、糸の長さによって変わること。」の指導では、糸におもりをつるし、おもりが 1往復する時間を、おもりの重さや糸の長さを変えて測定し、糸につるしたおもりが1往復する時間のきまりをとらえられるよ うにする。  また、「イ おもりが他の物を動かす働きは、おもりの重さや動く速さによって変わること。また、この性質を利用して物を動 かす物が作れること。」の指導では、運動するおもりを他の物に衝突させ、おもりの重さや速さを変えると、衝突された物の動 き方などが変わることをとらえる。  さらにこの性質を利用して、物を動かす物を製作する。  これらの活動を通して、物の運動やそれに伴う、変化の規則性についての見方や考え方を養うとともに、物の運動を興味・関心 を持って意欲的に追究する態度を養うことができる。 3 児童の実態  これまでに子どもは、3年生で、物には、固有の性質があることをとらえるとともに、はたらきかけるものの性質についてとら え、これらによって起こる現象を通して、物の性質についての見方や考え方を養ってきている。  4年生では、物の状態の変化を、熱・電気など変化にかかわる要因と関係づけて調べ、物の変化やはたらきのきまりについての 見方や考え方を養ってきている。この深くかかわっているものとしては、「物の重さ」の学習でてんびんのつくり、そのつりあ いを利用して物の重さの違いを調べる活動を通して、物にはそれぞれ固有の重さがあるという見方や考え方ができるようになっ てきている。  また、5年生「てこ」の学習では、てこを使い、力の加わる位置や大きさを変えて、てこのしくみやはたらきを調べる活動を通 して、てこを傾けるはたらきやてこのつりあうときの規則性についての見方や考え方が身についてきている。 4 具体目標 (1)自然事象への関心・意欲・態度 1) ブランコが1往復する周期の違いに関心を持ち、進んで往復する時間が違うわけを調べようとする。 2) おもりのはたらきで物を動かせることに関心を持ち、進んでそれらを利用したおもちゃをつくろうとする。 (2)科学的な思考 1) ブランコが1往復する周期の違いは、支点からおもりの重心までの距離によるのではないかと考えることができる。 2) ふりこが1往復する時間は、ふりこの糸の長さによって変わると考えることができる。 3) おもりが他の物を動かすはたらきは、おもりの重さや動く速さによって変わると考えることができる。 (3)観察・実験の技能・表現 1) ふりこが1往復する時間を糸の長さを変えて調べ、結果を記録することができる。 2) おもりが他の物を動かすはたらきを、当てるおもりの重さや動く速さを変えて調べ、結果を記録することができる。 3) おもりが他の物を動かすはたらきを利用したおもちゃを工夫してつくることができる。 (4)知識・理解 1) 糸につるしたおもりが1往復する時間は、糸の長さによって変わること。 2) おもりが他の物を動かすはたらきは、おもりの重さや動く速さによって変わること。また、この性質を利用して物を動   かす物がつくれること。 5 指導計画 (11時間扱い) 第1次 「なぜ速さが違うのか」 (1時間) ・のり方によってブランコの往復する周期が違うわけを考える。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1時間 第2次 「ふりこのふれる時間はなにで変わるか」 (4時間) ・振り子のおもりの重さや振れ幅、糸の長さを変えて1往復する時間を調べ、そのきまりをまとめる。・ 2時間 (本時2/2) ・振り子どうしのおもりを衝突させて、動きを調べる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2時間 第3次 「おもりで物を動かそう」 (3時間) ・おもりの重さを変えて、当てられたおもりが動く距離を調べる。・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2時間 ・おもりの動く速さを変えて、当てられたおもりが動く距離を調べ、おもりの衝突についてまとめる。・ 1時間 第4次 「おもりを当てて動かす物をつくろう」 (3時間) ・当てるおもりの重さや速さによって動き方が変わるおもちゃを工夫してつくる。・・・・・・・・・・ 2時間 ・単元のまとめをする。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1時間 6 本時の学習指導 (1) 本時の目標  糸につるしたおもりが、1往復するのにかかる時間はおもりの重さに関係なく、糸の長さによって変わることがわかる。 (2) 本時で使用する教具について  振り子が1往復するのにかかる時間を測定するには、これまではストップウォッチを用いて目測で計測していた。このような測 定方法で精度のよい測定を行うには、1回ごとの測定誤差を平均化するために、数多く測定する必要があった。本来振り子は、 1周期にかかる時間は同じであるから、1周期、1周期を正確に測る測定装置があれば、精度のよい実験を行うことができる。  本時で使用する装置は、これらの条件を満たすためにパソコンを用いて手軽に、実験できるものであり、この装置は、部品数が 少なく、安価で手軽に製作できるため、小学校においても容易に製作できるものと思う。  振り子に使用する糸は太めのたこ糸を用い、おもりには円形のフェライト磁石を使用した。円形のフェライト磁石を縦にたこ糸 に取り付けると重心を変えずにつけ変えることができる。  また、たこ糸の光を遮る部分には、遮蔽用の紙を巻き付け、フォトトランジスタを確実に遮光するようにした。  なお、この装置を、動かすために測定用プログラム「FURIRN.EXE」が必要である。 ※本実践で使用している「FURIRN.EXE」は、本センター研究発表会で発表したものと若干違いがあります。(小学校の授業用に一 部内容を表示などを変えてあります。) ※本装置は本センター互野研修主事の指導のもとに作成したした。また、測定用プログラムは、同じく互野研修主事の製作による ものです。 (3 ) 本時の展開 +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | 学習過程 ・・| 学習活動 ・・・・・・・・・・・・ | 予想される児童の反応(○は主な発問) | 指導上の留意点 ・・・・・・・・・・・・| +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1,問題提示|○前時を想起し、本時の学|○前の時間は、振り子の振れ幅を変えて1|○前時の振り子の振れ幅と周期| | | | 習内容をとらえる。 | 往復する時間をはかりましたが、結果は| の関係を調べる実験を想起さ| | | | | どうでしたか。 | せ、振り子の周期は振れ幅に| | |2,課題把握| |・振り子の振れ幅を変えても1往復にかか| よらないことを確認する。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | る時間は変わりませんでした。 | | |と||ふりこが1往復する時間は、何によ| |  | | | ||って変化するのだろうか。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |ら|3,予 想 |○課題の結果について予想|○振り子が1往復するのにかかる時間を変| | | | | する。 | えるにはどんな条件を変えていけばよい| | | | | | ですか。 | | |え| | |1)振り子のおもりを重くすれば、振り子の| | | | | | スピードが速くなり、1往復する時間が| | | | | | 短くなると思う。 | | |る| | |2)振り子の糸の長さを短くすれば、1往復| | | | | | する時間が短くなると思う。 | | +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |4,準 備 |○予想を確かめるための実| |○振り子が光センサーを遮ると| | | | 験の手順を知り、実験の| | 時間を測りはじめ、1往復し | | | | 準備を行う。 | | て再度(2回目)遮ると時間を| |た| |(1) パソコンを使った実験| | 測り終わることを演示実験で | | | |  の仕組みを確認する。| | 示す。 | | | |(2) 振り子が1往復するの| |○短時間に準備ができるように | | | |  にかかる時間の測り方| | プリントを準備し、手間取っ | |し| |  を確認する。 | | ているグループには机間巡視 | | | |(3) 実験の準備を行う。 | | の際に援助する。 | | |5,実 験 | | | | | |(1) 振り子の|○グループで振り子の長さ|○振り子の長さを一定にして、1往復にか |○児童一人一人が重さを変えて | |か| おもりの重| と振れ幅をを一定にして| かる時間を測ってみよう。 | 周期を計測し、グループごと | | | さを変えて| おもりの重さを変えて1|○1往復にかかる時間はどのように変わり | に結果をまとめて発表させる | | | 周期が変わ| 往復にかかる時間を測定| ましたか。 |○振り子の長さを測るときおも | | | るか調べる| する。 |・重いおもりでも、軽いおもりでも1往復 | りの重心から測ることを気を | |め| | | にかかる時間は同じでした。  | つけさせる。 | | |(2) 振り子の|○児童個々におもりの重さ|○振り子の長さを変えて、1往復にかかる |○振り子の糸の長さについては | | | 長さを変え | と振れ幅を一定にして、| 時間を測ってみよう。 | 特に指示しないで測らせる | | | て周期が変 | 振り子の長さを変えて1|○1往復にかかる時間はどのように変わり | (時間の関係で)。 | |る| わるか調べ | 往復にかかる時間を測定| ましたか。 | | | | る。 | する。 |・振り子の糸の長さを短くすると1往復に | | | | | | かかる時間が短くなり、糸の長さを長く | | | | | | すると時間が長くなりました。 | | +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |6,まとめ |○振り子の周期の変化が振|○振り子が1往復するのにかかる時間は、 |○まとめる場合は、振り子の周 | | | | り子の長さによって変わ| 何によって変わりますか。 | 期はおもりの重さや振れ幅に | | | | ることをまとめる。 |・振り子が1往復するのにかかる時間は、 | 関係ないこと。振り子の長さ | | | | | おもりの重さや振れ幅で変わるのではな | が長くなれば周期が長くなる| |ひ| | | く、振り子の長さによって変わります。 | ことがおさえられていればよ | | | | |・振り子の糸の長さが長くなると1往復す | しとする。 | | | | | るのにかかる時間は長くなり、糸の長さ | | | | | | を短くすると短くなります。 | | |ろ| | | | | | |7,まとめの|○長さ1mの振り子を使っ|○最後に長さ1mの振り子の周期を測って |○振り子の長さが長くなれば周 | | |  実験 | て1周期にかかる時間を| みよう。1往復するのに何秒ぐらいかか | 期が長くなることを再度確認 | | | | 測定して振り子の等時性| るだろうか。 | する。 | |げ| | についての理解を深める|・3秒ぐらい。 |○振り子の長さが4倍になると | | | | |・25cmで1秒だから4秒ぐらいかかる | 周期が2倍になることに気づ | | | | | と思う。 | いた児童がいたら取り上げて | | | | |○では、やってみよう。 | 周期を3倍にするには振り子 | |る| | |○結果はどうでしたか。 | の長さを何倍にすればよいか | | | | |・ぴったり2秒でした。 | 考えさせていきたい。 | | | | |・何回やっても2秒です。 | | | | | |・振れる幅はだんだん小さくなるけれど1 | | | | | | 往復する時間は変わりませんでした。 | | +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+