印刷用紙:B4縦 1ページの行数:65 1行の文字数(半角で):100 第 4 学 年 算 数 科 学 習 指 導 案   指 導 者  熊 谷 達 也 T 単元名    四角形 U 単元について   4つの直線で囲まれた平面を四角形と定義する。四角形には4つの辺と4つの角,4つの頂点がある。四角  形の主なものには,長方形,正方形,台形,平行四辺形,ひし形があり,辺や角の相等関係,平行や垂直など  の辺の位置関係で考察していくと,それぞれ次のように定義される。   (1) 4つの角がみな直角である四角形を長方形という。   (2) 4つの角がみな直角で,4つの辺の長さがみな等しい四角形を正方形という。 (3) 向かい合っている1組の辺が平行な四角形を台形という。 (4) 向かい合っている2組の辺が平行な四角形を平行四辺形という。 (5) 4つの辺の長さがみな等しい四角形をひし形という。   子どもたちは,第1学年で長方形,正方形を「しかく」として扱い,第2学年では頂点や辺などの数,辺の  長さや角の大きさに着目して類別し,その定義と性質を理解してきた。また,第3学年では,二等辺三角形や  正三角形について辺の長さなどの相等に着目し,その概念をとらえてきた。本単元では,平行や垂直など辺の  位置関係に着目し,台形,平行四辺形,ひし形などの定義や性質を学習する。そのことにより,特徴的な性質  をもった四角形個々の概念が確立され,第6学年における各種四角形の相互関係の学習に発展していくことに  なる。 子どもたちは,いろいろな形を類別をする際に,図形を直観的にとらえることはできるが,図形を構成して  いる各要素に着目し分析的にとらえ,その根拠を筋道立てて説明することは得意ではない。技能面では,定規  を使って長さを測定することはよくできるが,きちんと直線をひくことができないときがある。また,コンパ  スの使い方がうまくできなかったり,分度器を正しく用いることができず作図に時間がかかる子も見られる。  四角形については興味・関心があり,長方形や正方形についてはよく理解しているものの,台形や平行四辺形,  ひし形についてはあまり意識していない。   指導にあたっては,具体的事象をもとに作図や具体的操作を通し,視覚的にとらえられるようにする。図形  を調べていく観点として,辺の数や長さ,角の数や大きさ,頂点の数はもちろん,辺の位置関係としての平行  ・垂直を大切にしていく。また,既習の長方形の紙を,切ったり重ねたりして台形や平行四辺形,ひし形を導  くとともに,それらの相互関係についても考えさせるようにする。作図にあたっては,個に応じて個別指導や  作業時間を配慮し,確実にできるようにさせる。さらに,用語や記号を適切に用いてことばで説明する機会を  できるだけ多く持つようにし,論理的な思考力を伸ばしていきたい。 V 単元の目標  ・ 「平行」,「垂直」の関係,および「台形」,「平行四辺形」,「ひし形」などの四角形の定義や性質が   理解できる。  ・ 垂直,平行の関係を調べたり,台形,平行四辺形,ひし形などの四角形を作図したりできる。 ・ 四角形の定義や性質を,角の大きさや辺の長さの相等関係,および平行や垂直などに着目しながら,筋道   立てて考えることができる。  ・ いろいろな四角形に関心をもち,進んで調べたり身のまわりから見つけたりすることができる。 W 指導計画  13時間  第1次  「垂直」,「平行」の概念と構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5時限  ・ 「垂直」の概念と弁別のしかた (1) ・ 垂直な直線の構成 (1) ・ 「平行」の概念と弁別のしかた (1)       ・ 平行な直線の構成 (1) ・ れんしゅう・1 (1)  第2次  「台形」「平行四辺形」「ひし形」の概念と構成・・・・・・・・・・・・・・・・7時限       ・ 「台形」の概念と弁別,構成のしかた (1)       ・ 「平行四辺形」の概念と弁別,構成のしかた (1) ・ 平行四辺形の性質と長方形や正方形との相互関係 (1)       ・ 「ひし形」の概念と弁別,構成のしかた (1) 本時       ・ ひし形の性質と平行四辺形との相互関係 (1)       ・ 「対角線」の意味と各種四角形の対角線の性質 (1)       ・ れんしゅう・2 (1)  第3次  まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時限 X 本時の指導   1 教材と子ども  本時の学習では,「ひし形」の概念を理解することがねらいである。問題は,幅の同じ長方形を重ねてでき  た四角形を2つ提示する。幅が同じことの意味や,問題文の指す四角形がどれなのかを理解させ,どちらも同  じ構造になっている四角形であることをつかませる。これをもとにして学習課題は,その四角形の性質を調べ  ることとする。 解決にあたっては,「辺の長さに目をつけること」,「角の大きさに目をつけること」,「辺の関係に目を  つけること」を大切な考え方として確認したのち,各自に解決に取り組ませる。台形や平行四辺形の学習を通  し,図形の性質を調べていく観点はだいたい身についていると思われるが,解決の実行の段階では次のような  個に応じた手だてを考える。 (ア)うまく性質が見つけられない子には,「辺の関係の調べ方」,「同じ長さの  辺の見つけ方」,「同じ大きさの角の見つけ方」についての補助カードを与える。 (イ)平行の,長さや角度の  測り方のわからない子には,個別指導を加える。自分なりに調べられた子には,ほかに方法がないか,いつで  もいえそうか見直させ,自分の考えをみんなに説明できるように準備させる。   話し合いの段階では「向かい合った2組の辺が平行であること」,「4つの辺の長さが等しいこと」,「向  かい合った角の大きさが等しいこと」が意見として出されるだろうが,平行四辺形の定義や性質と十分に比較  しながら,この四角形にだけいえるものとして,「4つの辺がどれも同じ長さの四角形を,ひし形という。」  とその定義をまとめる。   さらに,この定義にもとづいて,ひし形の弁別や作図をさせ,その理解を深めさせる。問題の数については,  個に応じて増やしていくよう配慮する。また,比較検討では,2年生で学習した正方形(4つの角がどれも直  角で,4つの辺の長さがみな同じになっている四角形を,正方形という。)と比べ,どちらも4つの辺の長さ  がどれも同じだが,正方形には4つの角もみな直角であるという,もう1つ条件が加えられていることを確認  させながら,互いの関係にも着目させる。  2 ねらい   ・ 「ひし形」の定義が理解できる。   ・ ひし形を弁別したり作図したりできる。   ・ 幅の同じ長方形を2つ重ねてできる四角形を,辺の関係や辺の長さ,角の大きさに着目して筋道立てて    考えることができる。     ・ ひし形に関心をもち,進んで調べたり,身の回りから見つたりすることができる。 3 展 開 +-----+-----------+---------------------+-----+---------------------------------------+---------+ | 段階| 学習過程 | 学 習 活 動 | 時間| 留    意    点 | 準 備 | +-----+-----------+---------------------+-----+---------------------------------------+---------+ | | 問題提示 | 1 提示された問題に | | ・ 2つの四角形を同時に提示し,題意 | 問題文 | | 導| |  ついて話し合う。 | 3| を確実につかませる。 | | | | +-------+---------------------+-----+---------------------------------+ | | | | | 下の2つの図のように,2まいの同じはばの長方形の紙を重ねて四角形を | | | | | | 作ります。それぞれ,どのような四角形になるでしょう。 | | | | | | | | | | | | (1)   (2) | | | | 入| | | | | | | | | | | | | | | | | | | +-------+---------------------+-----+---------------------------------+ | | | | 問題把握 | ・何の問題ですか。 | | ・ どちらも2まいの同じはばの長方形 | | | | | | | を重ねてできる四角形を調べる問題で | | | | | | |  あることに気づかせる。 | | | | | ・わかっていることは | | ・ はばが同じことや,どの部分の四角 | | | | | ・聞いていることは。 | |  形であるかを確認し,課題へつなげる。 | | | | 課題把握 | 2 本時の学習課題に | 3| ・ 前時までの学習内容と比較させ,本 | 既習の | | | |  ついて話し合う。 | |  時は,2まいの同じはばの長方形を重 | 問題 | | | | | |  ねてできる四角形の特徴を考えていく | | | | | | |  ことを明らかにさせる。 | | | | 解決の見通 | 3 課題解決の見通し | 5| ・ これまでに学習してきた図形の調べ | 学習プ | | | し |  を立てる。 | |  方をもとにし見通しを立てさせる。 | リント | | 展| | ・大切な考えは | | ・ 辺の長さに目をつける,角の大きさ | | | | | | |  目をつける,辺の関係に目をつける, | | | | | | |  を大切な考えとして確認する。 | | | | | ・方法は | | ・ 方法としては,辺の長さをコンパス | ヒント | | | | | |  や定規で測る,角の大きさを分度器で | カード | | | | | |  測る,辺の関係を2つの三角定規を組 | | | | | | |  み合わせて調べる,がある。これは, | | | | | | |  各自に考えさせるが,見通しが立てら | | | | | | |  れない子には,ヒントカードを与える。 | | | | | ・順序は | | ・ 順序についても自分で決めさせる。 | | | | 見直し | ◆見通しの見直し | | ・ 自分の見通しについて,よりよい方 | | | | | | |  法か,いろいろな方法が考えられたか, | | | | | | |  といった観点で見直しをさせる。 | | | | 解決の実行 | 4 見通しにしたがっ | 15| ・ 見通しにしたがって自己解決をする。 | 学習プ | | | |  て各自課題解決を図 | |  解決にあたっては三角定規,分度器, | リント | | | |  る。 | |  コンパスなどを自由に使わせ,2つの | | | | | | |  図形の共通点を見つけるようにさせる。 | | | | | | | ・ うまく性質が見つけられない子には, | 補助 | | | | | | 観点を示した補助カードを与える。ま | カード | | 開| | | |  た,平行を確認したり,角度を測った | | | | | | |  りできない子には,個別指導をする。 | | | | 見直し | ◆ 課題解決の見直し | | ・ 課題解決を行った後,間違いはない | | | | | | |  か,いつでもいえそうかといった観点 | | | | | | |  で見直しをさせる。 | | | | 一般化 | 5 ひし形の定義をま |  3| ・ 平行四辺形の定義や性質との違いを | 学習プ | | | |  とめる | |  確認し,「4つの辺がどれも同じ長さ | リント | | | | | |  の四角形を,ひし形といいます。」と | | | | | | | 定義をまとめる。 | | | | 適用,定着 | 6 ひし形の定義を適 |  8| ・ 定義をもとにし,弁別や作図に取り | 練習 | | | |  用させる。 | |  組ませ,ひし形の概念の理解を深める。 | 問題 | | | | | |  個に応じて問題の量を増やす。 | | | | 比較検討 | 7 正方形との共通点 |  4| ・ どちらも4つの辺の長さが等しいが, | 正方形 | | | |  相違点を明らかにす | |  正方形には4つの角がみな直角である | の定義 | | | |  る。 | |  というように条件が1つ多いことを確 | | | | | | |  認させる。 | | | 終| まとめ | 8 まとめ |  4| ・ 本時の学習を振り返らせ,感想を発 | 学習プ | | 結| | | |  表させる。 | リント | +-----+-----------+---------------------+-----+---------------------------------------+---------+