印刷用紙:B4縦 1ページの行数:60 1行の文字数(半角で):108             第3学年  算数科学習指導案                              日時 平成6年9月14日(水)1校時                              児童 3年2組 29名(男子15名 女子14名)                              指導者 山根 一志 1,単元名   分数 2,単元について  ・分数は第3学年で初めて扱われる。しかし、児童はこれまでの日常生活の中で、“紙を半分に分ける”、“10個の おはじきを2個ずつ分ける”といった経験を積んできている。また、前学年では1や1獅ノ満たない端数部分を表す のに、それぞれを10等分して、新しい小さな単位や〓〓を使って表すことを学習してきている。本単元ではこれら の経験を踏まえて、数量の大きさを整数では正しく表せないときなどに用いると都合が良い表し方として分数を導入 し、分数の意味について理解させ、また、分数の表し方、大小関係も理解させ、簡単な場合についての加法や減法の計 算ができるようにさせることも、重点としている。 ・児童は、算数の学習を好み、特に考えて解くという問題を意欲的に取り組んでいる。しかし、挙手して発言しよう とする態度は積極性に欠け、いつも同じ児童が挙手する傾向にある。よって友だちの意見をよく聞き、それについて考 えるように促し、間違っても平気だという雰囲気の中で授業を進めて行くことが必要である。   意識調査の結果では、みんなと勉強して良かったと思っている児童が24人と多く、比較検討の場面のように、みん なで話し合うことを好んでいる。しかし、反面、課題をきちんと把握ができていないと思っている児童が12人と多く、 課題把握や課題設定の場面でもっと全員に掘り下げて、学習する必要がある。   また、計算がもっと速くなりたいと思っている児童が多く、授業の中で適用問題を多く解かせ、正確に速く解くこと を目標として、児童を励ましながら、取り組ませる必要がある。  ・指導に当たっては、具体物を分割する操作や長さなどの量の測定と結び付けるなどして、一方の量を基準にして他方 の量が分数で表せることや、端数部分の大きさが基準量を基にして理解させるようにしたい。また、分数は単位分数に 当たる大きさのいくつ分を表すことに着目さえすれば、分数も整数と同じに扱えることを理解させることも重要である。 具体的にはテ−プや水とうといった具体物を用いて展開していきたい。ある大きさを等分したものが、基の大きさの  であると言えるためには、aこに分けたものがどれも同じ大きさになっており、基の大きさは分けた1つ分のa倍にな っていることを、自力解決や比較検討の場面に十分時間をとり、しっかりとおさえさせたい。しかし、児童の分数に対 する意識が、全体を分割したいくつ分といった割合的なものに固定されると、数としての分数意識を育てにくいという 面もある。そこで等分して表された数(分数)は、大小関係ができ、数直線に表示できることを学習させることにより、 整数の外に「分数」という「数」のあることに気づかせたい。また、興味を引くような問題提示をして、児童が具体的 操作をすることによって、授業に成就間を持たせ、情意面を配慮するとともに、座席表を活用して個に応じた指導をし ていきたい。 3,単元の目標  (1) 単位量に満たない量を表すのに分数が用いられることを知るとともに、分数を用いた表し方とそのよさを理解し、 進んでこれを用いようとする。  (2) 用語「分数」「分母」「分子」などの意味を理解する。  (3) 単位量より小さい数量の大きさが、分数を用いて表せることを理解する。  (4) 分数も数直線で表せることを理解すると共に、その構成についての理解を深める。  (5) 分数についても、加法、減法ができることを知るとともに、簡単な場合について計算の方法を理解する。 4,教材の系統      《1年生》           《3年生・本単元》          《4年生》 +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ ・色紙を2等分、4等分したり| → ・単位量より小さい量の大きさ| → ・真分数、帯分数、仮分数の意| |すること | |を分数を用いて表すこと | |味 | | | ・「分数」「分母」「分子」の| |・分数の数直線への表示 | +−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |意味 | |・帯分数と仮分数の相互関係| | | +−−−−−−−−−−−−−+ |・簡単な分数の加法、減法 |   ↓ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ ・同分母分数の加法、減法の計| |算 | +−−−−−−−−−−−−−+ 5,指導計画と小単元の設計  (1)指導計画(8時間)   1. 分けた大きさのあらわし方−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−3時間     ・分数(単位分数)の意味理解−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1     ・分数の意味理解−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1     ・液量についても分数で表せることの理解−−−−−−−−−−−−−−−−−−1   2. 分数の大きさ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2時間     ・分数の数直線表示、大小を比較する−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1     ・液量を表す分数の数直線表示、単位のつかない分数の理解−−−−−−−−−−1   3. 分数のたし算とひき算−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2時間     ・同分母分数の加法計算の理解−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1(本時)     ・同分母分数の減法計算の理解−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1   4. まとめ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1時間     ・学習内容の適用と習熟−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1  (2)小単元   1. 小単元の目標    第3小単元    《関心・意欲・態度》・分数の表し方のよさに気づき、進んで分数を用いようとし、計算しようとする。    《数学的な考え方》 ・単位の分数に着目すれば、分数も加法、減法ができることを説明できる。    《表現・処理》   ・具体物や数直線を用いて簡単な同分母分数の計算ができる。    《知識・理解》   ・同分母分数の計算ができることが分かる。   2. 小単元の設計 +−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |   第1時 |      第2時 | +−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |目標 | | 簡単な場合の同分母分数のひき算の計算| | | |ができる | +−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |つかむ | |1,問題把握 | | |  本 |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |    時 || 水が 〓あります。 〓使うと何〓残| | |    展 ||りますか | | |    開 |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |    案 |2,課題把握 | | | に |+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |    示 || − の計算ができるか考えよう| | | | す |+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |考える | |3,見通す | | | | ・前時のたし算の場面を思い出す | | | |4,自力解決 | |深める | |5,比較検討 | | | |6,類題 | |まとめる| |7,まとめ | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | ||  − のような計算では、 がいくつ| | | ||なくなったかで考えます。 | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |8,適用問題 | | | |9,ふり返る | +−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 6,本時の指導  (1)目標    ・具体物や数直線を利用して、簡単な同分母分数のたし算ができる。  (2)下位行動目標    1. がいくつあるか考えて計算する、ということを言うことができる。    2.同じ考え方で類題を解くことができる。    3. 〓ごとに分けて考えていることに気づくことができる。    4. + = と答えを言うことができる。    5.いろいろな方法を知り、自分の考えも言うことができる。    6.図や数直線を用いて答えを求めることができる。    7.図や数直線を用いて解くことができると言うことができる。    8. + の計算ができるか考えよう、という課題を言うことができる。    9.提示された問題から題意をつかみ、求めるものが何であるか言うことができる。    R1単位の分数のいくつ分かを考えて、分数で表すことができる。    R2「分数」「分母」「分子」という用語を正しく使うことができる。  (3)本時の指導の方向性     分数の計算について学習するのは本時が初めてである。本時では、分数を用いて表された2つの量の合併量を考 えるが、図や数直線を活用しながら指導を進める。そして結果的には、ある大きさの分数を単位とすると、それ のいくつ分かという考えで計算できることに気づかせ、計算の考え方を習得させたい。     事前テストにおいて、本時に関わる問題では、無答の児童が非常に多く、答えだけが当たった児童が4名であっ た。そこで本時では、問題から、求めることは何であるかを把握させ、足し算の問題であることを確認し立式さ せる。答えはどのくらいになるのか、求答の方法はどうするかということに見通しを持たせ、考え方を書かせる ようにしたい。考え方の方法としては、数直線や図で考えると思われる。比較検討の場面では、どのように計算 しようと考えたのかを振り返らせ、どれも 〓ごとに分けて考えているということに気づかせたい。単位の分数 のいくつ分かで考えていることに気づくことが本時のまとめとなるので、時間をとってしっかりととらえさせる ようにする。     自力解決ができていない児童には、ヒントカ−ドを準備して机間指導しながら配布して、それを基に考るように 促す。各自が問題を解いたという成就間を持つよう配慮し、振り返りカ−ドもしっかりと書かせ、次時への意欲 を高めるようにしたい。  (4)展開 +−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−+−−−− |段|学習|         学習活動| 時|  指導上の留意点 |備考 | | +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+| | |階|内容|   教師の働きかけ | 児童の予想される反応 間| | +−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−+−−−− | | | | || | | | | | |+−−−−−−−−−−−−+ |つ|問題|1,問題を提示し把握させる 4|・日常的な問題であること |学習プリント    | | || | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ || | |か|把握|| 水が大きいビン | ||に興味をもたせ、学習意欲 |紙板書 |む| ||に 〓、小さいビ | ||を高めさす。 |(問題文) | | || | |+−−−−−−−−−−−−+ | | ||ンに 〓入ってい | || | 9. | | ||ます。 | || | | | || 水は合わせると | || | | | ||何〓になりますか。 | || | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | | || | | | |・分かっていることは何です|・ 〓と 〓ビンに水が入っ |・分かっていること、求める | 評価1 | | |か。 |ています。 |ことを切り離して質問し、題 |たし算の問題| | | |・求めることは何ですか |・2つの水を合わせた量です ||意をつかませる。 | であることを| | | |・どんな計算をしますか。 |・たし算です。 || | 理解している| | | |・式はどうなりますか。 |・ + です。 || ||か | | | | | || |+−−+ | | | | ||      | | |課題|2,学習課題をつかませる | 3| | |把握|・今までの学習と何が違いま |・たすことが違います。 |・合わせた量を求めることで | | |すか。 | ||あることを再度確認する。 | | |・課題をたてましょう。 |・発言させ児童の言葉でまと | 紙板書 | | | +−−−−−−−−−−−−−−+ ||める。 | 8. | | | |+ の計算はできるか考えよう| || | | | | +−−−−−−−−−−−−−−+ || | |考|見通|3,解決の見通しを持たせる。 3| | |え|し |・答えはどのくらいになるで |・ だと思います。 |・答えの予想を立てさせ、自 | |る| |しょうか。 | ||力解決へつなげる。 | | | |・何を使って考えますか。 |・図を書きます |・前時までの内容を思い出さ | 7.  | | | |・数直線に書きます |せ、図や数直線を使って考え | | | | | |ればいいことに気づかせる。 | | | | | ||       | | |自力|4,自力解決させる。 | || | 6. | |解決|・考え方と答えを紙に書きま |・図、数直線で考える。 10・机間指導をして、解決が進|ヒントカ-ド | | |しょう。 | |まない児童には、ヒントカ−| 評価2 | | | | ||ドを配布する。 | 自分の考えで | | | | |・早く終わった児童には違う| 答えを求めよ | | | | ||方法でも考えさせる。 | うとしている | | | | || ||か | | | | | || |+−−+ | | | | || | |深|比較|5,比較検討させる。 |《図で考える》 14| | 5. |め|検討|・考えたことを発表しましょ |+−+ +−+ +−+ |・自分のものと比べさせるよ|  | | | |+−+ +−+ +−+ || | |る| |う。 |+−+ +−+ +−+ ||うにする。 |  | | | |+−+ +−+ +−+ || | | | | |+−+ +−+ +−+ || | | | | |  〓   〓   〓 || | | | | |式  + =  答え  〓 || | | | |             | || | | | | |《数直線で考える》 || | | | | 0             1|| | | | | || | | | | | || | | | | |+−+−−+−+−−+−+| | | | | | |+−+−−+−+−−+−+| | | | | | |+−+−−+−+−−+−+| | | | | | |式  + =  答え  〓| | | | | | | || | | | |・答えを確かめましょう。 |・ 〓です。 || | 4. | | |・計算の仕方で似ているとこ |・1〓を5つに分けて考えて |・計算した過程を振り返らせ | 3. | | |ろはどこですか。 |いるところです。 |どう考えると 〓になったの | | | | |・ 〓ごとに区切って考えて ||かを発表させる。 | | | | |いるところです。 |・単位の分数のいくつ分かで | | | | | |考えていることに、自力解決 | | | | | ||した紙から気づかせる。 | | | |・どのような計算をするとい |・ は が3つで は が1 |・言葉で考え方を説明させる。 | | |いでしょうか。 |つで、合わせると が4つだ || | | | | |から です。 || | | | | | || | | |類似|6,類似問題を解かせる。 | 3| | 評価3 | |問題|・ + と + の問題を解 |・ + = |・分母が5以外のものでも計 | 加法の仕方を | | |いてみましょう。 |  + =1 |算できることを理解させる。 | 理解できたか | | | | || |+−−+ | | | | |・ =1であることを確認さ | 2. | | | | ||せる。 | | | | | || |  |ま|まと|7,まとめをする 3・発言をさせ児童の言葉でま| 1. |と|め |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||とめる。 | 紙板書 |め| || + のような分数のたし算では、 がいくつあるかを| || | |る| ||考えて計算します。 ||| | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | |8,適用問題を解かせる | 3| | 学習プリント | | | || | | | |・次の問題を計算してみまし| |・図は書かせずに、答えだけ |   | | |ょう。 | |を書かせ、学習内容の習熟を | | | | | ||する。 | | | | | |・解けない児童には個別指導 | | | | | ||する。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−+ | |ふり|9,本時の学習をふり返らせ | 2|・分数のたし算を学習した | | |返る| る | ||喜びと達成感を発表させ、 | | | |・ふり返りカ−ドを書きまし | ||次時への意欲を持たせる。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−+ | | |ょう。 | || | | | |・発表しましょう。 | || | +−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−+−−−−