小学校 算数指導プログラム

指導年月日
学校名 盛岡市立仙北小学校
児童 第6学年
指導者 蛭川隆一郎

1 単元名  「場合の数」

2 単元設定の理由

(1) 教材観

 これまでに児童は第3学年で、身の回りにある事象について、目的に応じて観点を決めて資料を分類整理して、表やグラフに表したり、読んだりすること、第4学年では、資料を2つの観点から分類整理して、表やグラフなどに表すこと、そして2つの事柄に関して起こり得る場合を、二次元の表などに表したり、落ちや重なりがないように考えたりすることを学習してきている。
 ここでは、簡単な事象に対して、起こり得る全ての場合を、落ちや重なりがないよう、順序よく列挙することができるようにすることがねらいである。そのための手段として、図表化や記号化が効果的であることに気づかせるようにする。
ここでは、樹形図を活用する。樹形図の活用が、落ちや重なりがないように分類整理するために有効であることとともに、そのよさを理解させる。樹形図については4つのものの並べ方のときに扱うことにする。
 学習指導要領では、算数第6学年の目標に「また、資料の分布を調べるなど、統計的に考察したり表現したりすることができるようにする。」とあり、その内容の「D数量関係(4)」では「簡単な事柄について、起こり得る場合を順序よく整理して調べることが漸次できるようにする。」とある。本単元はこの内容の教材である。

(2) 児童観

 第4学年の「資料の整理」についての前提テストでは、落ちや重なりのないように二次元の表に整理したり、二次元の表から読みとる問題ができている児童が全体の約4分の1であった。誤答例としては、落ちや重なりを考慮せずに、表を作成したり、計算している児童が多かった。学習してからの時間がかなり経過しており、観点を決めて整理することの定着が十分ではないと考えられる。
 コンピュータを利用した学習は初めてであるが、意欲や関心は高い。

(3) 指導観

 本単元は、順序の考えの初歩の指導ではあるが、場合の数を形式的に求める方法を指導するのではなく、具体的な事実に即して、落ちや重なりがないように分類整理し、順序よく列挙することができるようにするためのものである。そこで取り上げる事柄は、身近にある簡単なものが児童にとって考えやすく、有効であると考える。そして順序よく挙げていくことが、なぜ大切なのかを操作活動をとおして体験させたい。
 本単元の操作活動では、カードやおはじきなどを用いて行う場合が多い。しかしそのような場合、3つのものの順列を考える時で、1人あたり18個、4つのものの順列の場合96個を用意しなければならない。この方法は順序よく列挙することを考えることはできるが、用意が大変であり、また児童の作業するスペースが足りなくなる。またそれぞれ1組のものを用意して、並べたものを記録する方法にすると、順序よく列挙することが困難になり、落ちや重なりがでやすくなると考えられる。
 そこでコンピュータを使って、1人1人に操作をさせ、記録もできる教材で指導することにより、落ちや重なりがないように分類整理して順序よく列挙することの大切さを理解させたい。
本単元の指導において、いくつかのものを落ちや重なりのないように並べる並べ方を考えるのに、3つのものと4つのものを並べる方法を学習させたい。3つのものを並べる方法を先に学習させることにより、落ちや重なりがないように並べることや、順序よく並べることの見通しが深まり、4つのものを並べる学習に対する見通しにもなると考えたからである。また、コンピュータ教材の操作方法も習熟が図られると考える。

3 単元の指導目標

(1) 具体的な事実に即して、起こり得る場合の数を調べることに興味を持つ。(興味・関心)<情意的領域>
(2) 落ちや重なりがないように分類整理して順序よく列挙するためには、起こり得る場合を適切な観点を決めて並べればよいことに気づくことができる。 (考え方)<技能・能力的領域>
(3) 並び方や組み合わせを調べるとき、図や表に表すことをとおして落ちや重なりがないように処理することができる。 (表現・処理)<技能・能力的領域>
(4) いくつかの順序の決め方があるとき、落ちや重なりがないように全部の場合を調べる方法がわかる。 (知識・理解)<認知的領域>

4 単元の教材構造 (略)

5 単元の指導計画

第1時 3人のリレーチームの走り方の順番の決め方を調べる方法 (本研究で行った実践)
第2時 4人のリレーチームの走り方の順番の決め方を調べる方法
第3時 2種類のものをいくつかとる並べ方を調べる方法
第4時 いくつかの中から2つをとる組み合わせ方を調べる方法
第5時 表や図形の対角線を利用による処理の仕方
第6時 学習内容の適用と習熟

6 本時の学習(第2時「4人のリレーチームの走り方の順番の決め方を調べる方法」)

(1) 主題 「4人のリレーチームの走り方の順番の決め方を調べる方法」

(2) 指導目標

4種類のものの並べる順序を適切な観点から、落ちや重なりがないように分類整理して順序よく並べる方法を理解する。

(3) 目標行動

4種類のものの並べる順序を適切な観点から、落ちや重なりがないように分類整理して順序よく並べることができ、並べた方法をワークシートに記入できる。

(4) 下位行動目標(注 Rはレディネス)

@樹形図の意味や使い方がわかる
Aワークシートに記入する。
B観点を持って並べる。
RC3つのものを並べる順序は6通りあることがわかる。
RDでたらめに並べる。
RE落ちや重なりの意味がわかる。
RFABCとACBは違う順番であることがわかる。
RG2人の場合の順列が2通りであることがわかる。
RH資料を項目ごとに整理して二次元の表にまとめることができる。

(5) 形成関係図とグルーピング

@ ← A ← B RC ←RD ←RE← RF← RG RH

(6)本時の展開過程

時間 主な学習内容 展開のながれ/教材・教具と留意点

・主題をつかむ
・問題
4人のリレーチームで、走る順番は何通りありますか。
RC RD RE
RF RG RH
・答の予想


・自力解決
A B RD

・集団解決
A B RD

・本時のまとめをする
@
並び方を考えるときには
・落ちや重なりのないように並べること
・先頭を決めたりして、並べるものを固定することが大切

・自己評価をする
・次時の予告をする