印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):106   −−以下 指導案本文−−   第6学年 算数科学習指導案                                  日時 平成8年 9月4日(水)2校時 児童 男子15名 女子13名 計28名 授業者 金 野  治 1 単元名 場合の数(新しい算数6年上 東京書籍 P88〜96) 2 単元設定の理由 本単元ではあることがらの起こる可能性を,どのようにして調べたらよいかについて,具体的な手続きを考察する。 いわゆる順列や組み合わせの考えの初歩である。 これまでの学年でも,分類整理する能力を伸ばすように努めてきているが,本単元では,特に,起こりうるすべての 場合を適切な観点から分類整理して,順序よく列挙することができるようにすることをねらいとしている。したがっ て,取り上げることがらも身近にある簡単なものを素材として扱うことにした。そしてここでの学習をもとに,中学 校で順列,組み合わせの樹形図などによる求め方をより一層深めていく。 児童の実態は,算数の授業において自ら進んで学習しようとする態度が高まりつつある。問題を解決するときに自分 なりの考えがいくつか持てるようになり,個人の中で検討し,それを班や全体で発表する自信もついてきている。そ して友達の考えを自分の考えや班でまとめた考えと比較して,よりよい考えを見出だす力もついてきている。本単元 に関わる事前調査の結果をみると,未習内容である,3人の並び方の順序を落ちや重なりがなく全部答えることがで きた児童が全体の9割であった。ほとんどの児童が思いつきで解いていたわりにはよい結果がでた。しかし,4人か ら2人選ぶ組み合わせの問題ではA・BとB・Aを同じものだと考えずに重ねたまま考えた児童が約半分もいて,5 割の児童の正解であった。この結果から組み合わせの問題ではA・BとB・Aは同じことだということをとらえさせ ,組み合わせの意味をしっかり理解させるようにする。そして順列の問題も組み合わせの問題も思いつきでは落ちや 重なりが出てくることに気づかせ,それぞれの考え方のよさを理解するとともに,共通した合理的な調べ方を考えさ せていく。 本時で取り扱う問題は,前時まで学習してきた順列の問題と区別されるが,その区別することを本時のねらいとせず に,これまでと同じように,起こりうる可能性のある事柄をすべて考えるところからはじまり,A・Bの取り組みと B・Aの取り組みがまったく同一であることを知り,完全に整理された組み合わせに仕上げていく過程の学習に重点 をおいて指導する。 また,順列の場合と同じように,思いつく組み合わせを書き出すのでは落ちや重なりがでてしまうので,ここでも, 表に表すよさを感じることができるようにする。また,多角形の図を用いると,組み合わせが直観的にとらえられる ということも大事にしていく。 本時の指導と仮説との関わりは,仮説1(3)多様な考え方を持てるようにするための手立てを取り上げる。その具 体的な手立てとして,A,B,C,Dの相手になるチ−ムが書き出せるような表がかいてあるヒントカ−ドの用意や ,組み合わせを作りやすくするためにA,B,C,Dのカ−ドを5枚ずつ与える。また,児童のつまずきに応じた机 間指導もしていく。 仮説2に関して(1)<発表のさせ方>では,アの全部の発表が終わってから全体を検討する。そうすることによっ てそれぞれの考え方の比較検討ができ,自分なりによりよい方法を選ぶことができるのではないかと考える。また( 2)<話し合いの観点>ではオのそれぞれの考えの関連性を中心に練り上げる。ここでの学習は多様な考えが,ある 観点からいくつかのグル−プにまとめることができ,更にそれぞれのグル−プ間に関連性があり、全体としてひとつ の体系にまとめられると考えたからである。そして(3)<話し合いの形態>ではウの生活班で→全員でを取り上げ る。その理由は,・友達はどのような考え方をしているのかを知ることもできる。・それぞれの考え方を似ている点 からまとめることができる。・それぞれの考え方を比較検討して,ある程度しぼり込むことができる。・全体で発表 できない児童も自分の考えを発表することができる。・全体の前で発表する前に,自分の考え方を振り返ることがで きる。の以上の5点である。 3 教材の関連と発展 +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ |4 年 | |6 年 | |中 学 | +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−+ +−−+ +第12単元+−−−−−−+ +本単元+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ |+−−−−+ | |+−−+ | | | |・資料を落ちや重なりが | |・順列や組み合わせの考 | |・順列,組み合わせの樹 | | ないように項目を整理 +−+ え方の初歩 +−+ 形図などによる求め方 | | して表にまとめること | | | | | +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ 5 本時の学習  (1)目標   ・組み合わせの場合についての調べ方を理解する。  (2)おもな評価規準   ・落ちや重なりがないように分類整理して,順序よく筋道をたてて調べる方法に気づく。(数学的な考え方) ・組み合わせを調べるとき,図や表に表すことをとおして,落ちや重なりがないように処理することができる。  (表現・処理) (2)前時の展開(4時間目/6) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ | | 学 習 内 容 |教師の手だて及び指導上の留意点 | 評 価 |準備 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ |1|問題を把握する。   |・総当たりのリ−グ戦の試合をした経|・サッカ−の組み|紙板書| | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+|験を話し合ってから問題を提示する。|合わせに興味を持| | |つ||A,B,C,Dの4チ−ムでサッカ|| |ち全部の試合を調| | | || −の試合をします。 ||・問題文から分かっていることや求め|べてみようとして| | |か||どのチ−ムもちがったチ−ムと1回||ていることは何かを児童から出させ,|いるか。 | | | ||ずつ試合をすると,試合はぜんぶで|| しっかりと題意をつかませたい。 |観察から | | |む||何とおりありますか。 || | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | | | | | | |2|学習課題をつかむ。  |・今まで学習したことと同じように,| | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+|この問題で起こりうるすべての場合を| | | |15||全部の組み合わせを調べるよい方法||考えていくことを確認する。 | | | |分|を考えよう。 || | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | | | | | | | | | +−−−−−−−+| | |3|方法の見通しをもつ。  |・前時で学習してきた順列の調べ方を|すべての組み合|| | | | ・図にかいて考える。 |生かして考えさせたい。 |わせについて,|| | | | ・各チ−ムごとに試合を表にまとめて| |落ちや重なりが|| | | | みる。 | |ないように分類|| | | | ・各チ−ムごとに相手チ−ムをかき | |整理して順序よ|| | | | だしてみる。 | |く筋道たて調べ|| | |4|自力で解く。  |・進んだ児童には,何回も考え直し,|る方法に気がつ||ヒント| |と| |落ちや重なりがないことを確かめさせ|いたか。(数学||カ−ド| | | |る |的な考え方)ノ||考えシ| | |                  |・組み合わせを調べることにとまどっ|−トへの記入の||−ト | |く| |ている児童には,まずA,B,C,D|仕方と発言から|| | | | | +−−−−−−−+| | | | | の|組み合わせを調|| | | | |相手になるチ−ムをそれぞれ書き出し|べるとき,図や|| | |30| |てみるよう助言する。 |表に表すことを|| | |分| |また,A,B,C,Dのカ−ドを5枚|通して落ちや重|| | | | |ずつ与え,組み合わせを作りやすくす|なりがないよう|| | | | |る。(仮説1(2) ) |に処理すること|| | | | | |ができているか|| | | | | |。(表現・処理|| | | | | |)考えシ−トに|| | | | | |かかれている内|| | | | | |容で || | | | | +−−−−−−−+| | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |5|今日の感想を発表する。   |・意欲をもって課題に取り組めたか | | | | | |・自力解決を振り返って | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ 本時の展開(5時間目/6) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ | | 学 習 内 容 |教師の手立て及び指導上の留意点 | 評 価 |準備 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ |6| 自力解決をもとに班で解決方法を話し|・一人一人自分で検討したことを短く|・互いの考えの共| | |く| 合う。 |,ポイントをしぼって発表させる。 |通点、相違点など| | | | |・お互いの考えのよさにふれながら,|をみつける活動を| | |ら| |班で効率性を考えながらまとめさせた|通して,友達の考| | | |   |い(仮説2(3)<話し合いの形態>|えのよさを認めよ| | |べ| |ウ) |うとしているか。| | |7| 全体で各班の考えを発表し合う。 |・班で発表者を選び,班で話し合った|発言から | | |る| |ことを具体的に,簡潔に発表させたい| | | | | | 。(仮説2(1)<発表のさせ方> | | | | | |ア) +−−−−−−−+| | |8| 比較検討する。 | |表や図をつかう|| | |38| @妥当性の検討 |・6組で全部なのか妥当性を検討する|と落ちや重なり|| | |分| 本当に6通りしかないといえるのか| 。 |がなく順序よく|| | | | 調べ方を確かめる。 |・表し方は違うが考え方が同じものを|筋道たてて調べ|| | | | A共通性の検討 |検討する。 |ることができる|| | | | それぞれの方法で似ているものはな|・互いの考えのよさを認めながら、視|よさに気がつい|| | | | いか確かめる。 |覚的なとらえながら,図や表をつかっ|たか。(数学的|| | | | B関連性の検討 |て分類整理するよさを味わわせたい。|な考え方)発言|| | | | |(仮説2(2)<話し合いの観点>オ|から || | | | | ) +−−−−−−−+| | | | 考え方で同じだといえるものがある| | | | | | か確かめる。 | | | | | | | | | | |9| 練習問題で確認する。 |・自分にとってやりやすい方法を選ん| | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+|で問題を解く。 | | | | ||みかん,りんご,かき,なし,バナ|| | |紙板書| | ||ナが1つずつあります。このうちか||・図や表で組み合わせを調べることの|・順序と組み合わ| | | ||ら2つ取るのには,ぜんぶで何とお||よさを味わわせる。 |せの違いに応じて| | | ||りの取り方がありますか。 || |,調べる方法が分| | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+| |かった。 | | | | |   |ノ−トへの記入の| | | | |  |しかたで | | | | |  | | | | | |  | | | |10| 本時のまとめをする。 | | | | |ま|+−−−−−−−−−−−−−−−−+|  | | | | ||図や表を用いて,はじめ1つを決め||・児童の話し合い,そして練習問題 | | | |と||て次の順序を入れかえて考えていく||によって確かめたことをもとにして | | | | ||と落ちや重なりなく全部の組み合わ||,課題についてまとめる。  | | | |め||せを調べることができる。 ||  | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+|  | | | | | |  | | | | | |  | | | |11| 本時の学習を振り返り,次時の学習を|・感想発表の観点として  | | | | | 知る。 |*自分の学習態度でよかったところ | | | |7| |*友達のよかったところ  | | | |分| |*友達から学んだこと  | | | | | |*もっと勉強してみたいこと  | | | | | |*生活の中で生かせそうなこと  | | | | |  |をもとに学習を振り返らせたい。  | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |めあて まとめ | |+−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+ ||全部の組み合わせを調べるよい| |図や表を用いて,はじめ1つを決| ||方法を考えよう。 | |めて次の順序を入れかえて考えて| |+−−−−−−−−−−−−−−+ |いくと,落ちや重なりなく全部の| | |組み合わせを調べることができる| |問題 |。 | |+−−−−−−−−−−−−−−++−−−−++−−−−++−−−−++−−−−−−−−−−−−−−−+ ||ABCDの4チ−ムでサッカ−|| || || || | ||の試合をします。 ||児童の考||児童の考||児童の考||練習問題 | || ||え ||え ||え |+−−−−−−−−−−−−−−−+ ||どのチ−ムもちがったチ−ムと|| || || ||みかん,りんご,かき,なし,バ| ||1回ずつ試合をすると,試合は|+−−−−++−−−−++−−−−+|ナナが1つずつあります。このう| ||全部で何とおりありますか。 |+−−−−++−−−−++−−−−+|ちから2つ取るのには,ぜんぶで| || || || || ||何とおりの取り方がありますか。| |+−−−−−−−−−−−−−−+| || || || | | |児童の考||児童の考||児童の考|| | | |え ||え ||え |+−−−−−−−−−−−−−−−+ |見通し | || || | | | ・図 +−−−−++−−−−++−−−−+ | | ・表 | | ・思いつき | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+