印刷用紙:B4横 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):124   −−以下 指導案本文−−                          第6学年 算数科学習指導案                                            日 時 平成8年9月27日(金) 5校時                                            児 童 6年D組 男17名 女18名 計35名                                            指導者   遠 藤  伸 枝 1 単元名 立体の体積と表面積 2 単元の目標        [関心・意欲・態度]・立体図形の体積や表面積に着目し、それらを求めようとする。        [数学的な考え方] ・既習の立体の体積の求め方をもとに、角柱や円柱、角錐や円錐の体積を求めることができる。       [表現・処理]   ◎角柱や円柱、角錐や円錐の体積や表面積を求めることができる。        [知識・理解]   ・角柱や円柱、角錐や円錐の体積や表面積を求め方が分かる。 3 単元について  (1)教材について   立体の体積については、5学年で直方体や立方体の体積の求め方を中心として、体積の概念とその単位の理解から体積公式を導い   ている。また、立体については、4学年での直方体、立方体の概念および、直方体、立方体の面や辺や頂点に関する性質を学習し、   それらを元にして、6学年で角柱や円柱、角錐や円錐の概念とその基本的な性質を学習してきている。    これらの学習を基盤として、この単元では、角柱や円柱、角錐や円錐の体積の求め方や公式について学習する。    角柱、円柱の体積の求め方では、求積公式を覚えて体積を求められればよいのではなく、どのように考えて公式を導き出していく   かということをしっかりと理解させる段階を踏む。円柱の体積については、角柱の体積の求め方をもとにして考えを進めていく。こ   うした学習を進めたあとに、角柱、円柱の体積が計算によって求められることを押さえ、2つを合わせた公式としてまとめていく。    角錐、円錐の体積の求め方では、既習の角柱や円柱にその拠りどころを求め、等底、等高の角柱や円柱と対比し、それらの体積   のどれだけの割合になるのかという予想をさせたあとに、実験、実測を通して等底、等高の角柱や円柱の3分の1となることを理解   させ、ここでも単に公式を覚えてそれを適用するだけで終わらせないようにしている。    表面積の求め方は、5学年での平行四辺形、三角形、台形の面積の求め方、さらに円周や円の面積の求め方、及びおうぎ形の概念   とその周りの長さや面積の求め方、また、6学年での角柱や円柱、角錐や円錐の展開図の理解とその書き方の学習をもとにすれば、   それほど難しくなく進められるものである。側面積、表面積という用語をしっかりと理解させ、それらを求める学習を進めるなかで、     さらに立体図形についての理解をも深めていけるようになっている。    角錐や円錐の表面積の求め方も角柱や円柱のときと同様に、見取図から展開図を常に想起させ、面積を求めるのに必要な長さがど   れだけになっているかを、見取図と対比しながらおさえさせ、どのような手順を踏んでいけば正しく表面積が求められるかを考えさ   せるようになっている。      (2)児童について   児童は5年生のときに既に直方体、立方体の体積の求め方を学習しているが、事前テストでその定着度をみると、半数以上の児童   がその概念を忘れていることが分かった。三角形の面積の求め方も定着度は低く、それでも式らしいものは書いており、うろ覚えの   公式に数をあてはめていこうとしている様子がうかがえる。このことは、児童は公式を便利なものと受け止め、進んで使っていこう   としてはいるが、その公式がどう導き出されたかという点にはあまり関心がないことを裏づけている。    また、未習である円柱の表面積の求め方では、正解は20%であった。誤答80%のうち、「まったくわからない」が24%「側   面積の求め方は合っていたが計算ミス」が56%であった。展開図を書くときに、側面の底面と接する部分の長さは底面の円周と同   じ長さになることは確認済みだが、それを適用できないでいる児童がいることが分かった。    児童は6年生になってから、「誤りやつまずきも含めた比較検討」を取り入れた授業を数回経験しており、誤答だったり、途中で   つまずいてしまったりしても、どこを間違えたのか、どこが分からなかったのかが分かり、修正していく中できちんと理解していけ   ばいいという気持ちが育ちつつある。そのため、誤りやつまずきに対する抵抗感が弱まり、自分の考えを伸び伸びと展開するように   なってきている。  (3)指導にあたって   体積を求める学習では、事前テストで5年生のときに学習した直方体や立方体の体積の求め方の概念があまり定着していないこと    が分かったので、5年生のときの復習にもなる「高さ1pの四角柱がいくつあるのか」「高さ1pの四角柱の体積は底面積と同じ数   値になる」「四角柱の体積は底面積×高さで求められる」という手順をもう一度踏み、これをもとにして未習である角柱の体積の求   め方を考え、解決していくことができるのだということを児童自身が納得できるように学習を進めていきたい。また、角錐や円錐の   体積の求め方については示範の実験を見せたり、実際に立体を作らせたり、それを用いて実験させたりと、体験を通して等底、等高   の角柱や円柱の3分の1になることを理解させていく。    表面積を求める学習では、必要な長さを見取図・展開図から正しく読み取り、既習の公式を用いて効率よく求めさせるようにした   い。事前テストで公式を使える児童の割合が低かったので、その復習も兼ねて練習問題に多く取り組ませたい。    本時の指導にあたっては、側面の底面に接する部分の長さが底面の円周と同じ長さであることに気づくかどうかに焦点を当て、そ   れに気づいたらどの長さを使って、どの公式にあてはめてその長さを求めるのかを話し合いの流れとしたい。そのため、つまずきの   例として側面の横の長さが分からないために途中で終わっているものを取り上げる。単純な計算ミスや、計算にばかり時間がかかり     すぎることを防ぐために電卓を使わせ、本時のポイントとなる側面積の求め方に児童の意識を集中させたい。また、練習問題をチャ     レンジ問題形式にすることによって意欲化を図り、定着を確かなものにしたい。 4 単元の関連図 +−−−−−−−−−− +−−−−−−−−− +−−−−−−−−− | 5 年 | 6 年 | 中 学 +−−−−−−−−−− +−−−−−−−−− +−−−−−−−−− +−−−+ +−−−+ +−第2単元+−−−−−−−−+ +−第11単元+−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ | +−−−+ | | +−−−+ | | | |・体積、容積の概念 | |・角柱や円柱、角錐や円錐の| |・球の体積、表面積 | |・体積の単位(〓、〓) | | 概念や性質 | | V= S=4 | |・直方体、立方体の体積 | | |・角柱や円柱、角錐や円錐の| | +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ | | 展開図 | | ↓ | +−−−−−−−−−−−−−+ | +−−−+ | | +−第7単元+−−−−−−−−+ | ↓ | | +−−−+ | | +−−+ | |・平行四辺形、三角形、台形、| | +−本単元+−−−−−−−−+ | | | | | +−−+ | | | ひし形などの面積 | | |・角柱や円柱、角錐や円錐の| | +−−−−−−−−−−−−−−+ | | 体積の求め方と公式 | | ↓ | | 角柱や円柱、角錐や円錐の+−+ +−−−+ | | | +−第13単元+−−−−−−−−+ | | 表面積の求め方 | | +−−−+ | | | | |・円周の長さや円の面積 | | +−−−−−−−−−−−−−+ |・おうぎ形のまわりの長さや面+−+ | 積 | +−−−−−−−−−−−−−−+ 5 指導計画 (12時間扱い)       第1小単元  角柱、円柱の体積(3時間)                  ・四角柱の体積の求め方 1 ・三角柱の体積の求め方 1   ・円柱の体積の求め方、柱体の求積公式 1       第2小単元  角錐、円錐の体積(3時間) ・角錐の体積の求め方 1        ・円錐の体積の求め方、錘体の求積公式 1 −−−−−−−−− ・練習問題 1       第3小単元  立体の表面積(5時間) ・角柱の表面積の求め方 1 ・円柱の表面積の求め方 1(本時) ・角錐の表面積の求め方 1 ・円錐の表面積の求め方 1 −−−−−−−−− ・練習問題 1       第4小単元  まとめ(1時間) ・学習内容の適用と習熟 1 6 本時の指導  (1)本時の目標    ・円柱の表面積の求め方を理解する。    [関心・意欲・態度]・円柱の表面積に着目し、それを求めようとする。    [数学的な考え方] ◎円柱の表面積の求め方を、既習の展開図や円の面積の求め方をもとにして筋道立てて考えることができる。    [表現・処理]   ・円柱の側面積や表面積を求めることができる。    [知識・理解]   ◎角柱や円柱の側面積や表面積の求め方が分かる。  (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |段階 学  習  活  動 | 支 援 と 留 意 点 |評価・準備| +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |1 本時の問題を把握する | | | |と| +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | 右の図のような | | | | |ら| | 円柱の表面積を | | | | | | | 求めましょう。 | | | | |え| | | | | | | | | | | | | |る| +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |2 学習課題を把握する | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ |・前時の学習との違いから課題を出させる。 | | |3分 |円柱の表面積の求め方を考えよう。| | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |見|3 解決の見通しを立てる |・円柱の展開図が、円2つと長方形1つであることを想起し、円| | |通| ・円柱の展開図を想起する。 | と長方形の面積の公式をさらう。 | | |す| ・表面積を求めるのにあたって、わかっておか|・フリーハンドで展開図を書かせ、その展開図にマーキングさせ|掲示用展開| |7分 なければならない長さはどこか、調べる。 | る。全体でも確かめる。 |図 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |4 自力解決をする |・フリーハンドで書いた展開図に分かった長さを随時記入させて|電卓 | |考|@底面積 3×3×3.14×2=56.52 | いく。 | | | | +−−−−+ | | | | | 側面積 7×| = | | | | | +−−−−+ | | | |え| 表面積 |・低位児には個別指導をし、つまずいていたら、どこの長さが分| | | | | からないのかはっきりさせておく。 | | |る|A底面積 3×3×3.14×2=56.52 | | | | | 側面積 7×6×3.14=131.88 | | | | | 表面積 56.52+131.88=188.4 | | | |7分 答え 188.4〓 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |5 練り上げる | |ホワイトボ| | | |+−−−−−−−− <練り上げの構想> −−−−−−−−+|ード | | |(1)妥当性について話し合う。 ||(1)妥当性の検討 || | |学| ・@がどこの長さが分からなくてつまずいてし|| ・Aの求め方はあっている。 ||[評] | | | まったのかを明確にする。 || ・@は側面の横の長さがわからないので、途中で終わって||どこの長さ| | | || いる。 ||が分かれば| | | || +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | || →|側面の横の長さがわかれば、@も答えが出る | ||よいか分か| | | || +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | || ||ったか。 | | |(2)有効性・関連性の検討 ||(2)有効性・関連性の検討 ||(ノート)| |び| ・共通しているところはどこか話し合う。 || ・@もAも底面積の求め方は同じ。 || | | | ・側面の横の長さはどこの長さと同じだったか|| ・側面の横の長さは、底面の円周と同じ長さである。 || | | | 話し合う。 || ・円周=直径×3.14 || | | | || +−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | || →|側面の横の長さ=6×3.14 | || | | | || +−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | || || | | |(3)解決方法のまとめ ||(3)解決方法のまとめ ||[評] | |合| ・@の続きを加えていく。 || 底面積 3×3×3.14×2=56.52 ||分からなか| | | || +−−−−−+ || | | | || 側面積 7×6×3.14=131.88 ||った点を付| | | || +−−−−−+ || | | | || 表面積 56.52+131.88=188.4 ||け加えてい| | | || 答え 188.4〓 ||くことがで| | | || ||きたか | | | || ||(ノート)| |う| || +−−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | || | @もAも同じ式・答えになった。| || | | | || +−−−−−−−−−−−−−−−−+ || | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |6 類似問題を解く | | | |10| 右の円柱の表面積を | |電卓 | |分| 求めましょう。 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |7 まとめる | | | |ま|+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |と||円柱の表面積は次の式で求められます。 || | | |め|| 円柱の側面積=高さ×底面の円周 ||・側面の縦の長さは立体に戻すと高さであることを確認し、言葉| | |る|| 円柱の表面積=側面積+底面積×2 || を高さに直す。 | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| |プリント | |18|8 練習問題を解く |・チャレンジ問題。時間の限り解く。 |電卓 | |分|9 自己評価と感想を書く |・発表させる。 |評価カード| +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+  (3)評価     ・円柱の表面積の求め方を理解できたか。(ノート、評価カード)      [関心・意欲・態度] ・円柱の表面積に着目し、それを求めようとしたか。(机間巡視、ノート、発表)      [数学的な考え方]  ◎円柱の表面積の求め方を、既習の展開図や円の面積の求め方をもとにして筋道立てて考えることがで                  きたか。(発表、ノート)      [表現・処理]    ・円柱の側面積や表面積を求めることができたか。(机間巡視、ノート、プリント)      [知識・理解]    ◎角柱や円柱の側面積や表面積の求め方が分かったか。(机間巡視、ノート、プリント) 7 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−+ +−+ +−−+ | | 問題+−−−−−−−−−−−−−+ 課題+−−−−−−−−−−−−−+ まとめ+−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−+ | +−+ | +−−+ || | |右の図のような | |円柱の表面積の求め方を考えよう| |円柱の表面積は次の式で求められます。|| | |円柱の表面積を | +−−−−−−−−−−−−−−−+ | 円柱の側面積=高さ×底面の円周 || | |求めましょう。 | | 円柱の表面積=側面積+底面積×2 || | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−+ +−−−+ | | 学び合う| 類似問題| | | +−−+ +−−−+ +−−−+ | | 見通す| +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−+ | | | | 底面の円周と同じ長さ |底面積 3×3×3.14×2=56.52 | 側面積=5×8×3.14 | 円周=直径×3.14 | | =125.6 | | | +−−−+ | | | +−−−−−−−−+ |側面積 7×6×3.14=131.88 | +−−−−−+底面積=4×4×3.14 | | | | +−−−+ | | | | |高 | | | | | | =50.24 | |さ | | 円の面積=半径×半径×3.14 表面積 56.52×131.88=188.4 | | |表面積=125.6+50.24 | +−−−−−−−−+ 長方形の面積=たて×横 | | +−−−−−+ =175.84 | | | 答え 188.4〓 | | | | −−−−−−−− | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ 答え 175.84〓 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+