印刷用紙:A4横 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):108   −−以下 指導案本文−−               第1学年 算数科学習指導案                                   日 時 平成8年9月6日(金)5校時                                   学 級 1年3組 男14名 女16名 計30名                                   授業者 猪 岡  真 貴 子 1.単元名 「 たしざん(2)」(東書1年P60〜P66) 2.単元について  (1)教材について     加法計算は、これまでに1位数と1位数の加法、10+1位数などの計算で、いずれも繰り上がりのない場合を    扱ってきた。本単元では、これらの学習をもとにして、1位数に1位数をたして繰り上がりのある加法計算の方法    について学習する。繰り上がりのある計算はこれがはじめてであり、加法計算の基礎として1学年の重要な内容で    ある。     ここで扱う計算は、被加数、加数ともに1位数であるが、繰り上がるところを「10といくつ」ととらえること    が要点となる。つまり、10に対する補数の見つけ方はどのようにしたらよいかという判断のしかたが重要となる    これは、この時期の児童にとってかなり難しいものである。それは、被加数の10に対する補数を求めること、加    数をその補数と残りの数に分解することの2つの思考が同時に要求されるためである。しかも、既習の学習を基礎    にして新しい内容の計算が進められるので、この段階でつまずきをつくらないためには、これまでの学習内容が十    分に定着していることが必要である。     繰り上がりのある加法計算の学習では、これまで学習してきた繰り上がりのない計算を土台として数学的な考え    方を伸ばしていくことができる。そして、計算方法として加数分解が最も普遍性があり、2学年で学習する筆算に    よる計算では大変有効である等、今後の計算の幅を広げていく基礎づくりになるというよさがある。そのよさを感    じ取らせるためにも、単に技能の習熟へと流れないようにし、計算の意味を理解させるような指導が必要だと考え    る。  (2)児童について     子ども達は、これまでに20までの繰り上がりのない加法について学習してきている。和が10までの加法につ    いては、ほぼ全員がその計算を習得している。しかし、和が10を越えた加法の計算や、和が10以内でも加法の    意味、加法が適用される場の理解、用語や記号の用い方などについては理解が不十分な子がいる。また、1位数+    1位数で繰り上がりのある未習の計算については、半数の子が解くことができなかった。その計算方法は数えたし    がほとんどで、加数分解による計算のしかたを理解している子はほとんどいない。     子ども達は現在、1単位時間の学習の流れに慣れることに取り組んでいる。学習意欲に関しては、問題を解こう    とする意欲がでてきており、解き方の発表も進んで行いたいという子ども達も多い。ただし、練り上げる段階での    発表場面では、自分の考えをわかりやすく説明する点や友だちの考え方のよさを見つける点について不十分であり    教師の支援が必要である。  (3)指導について     本単元は、3つの小単元から構成されている。     第1小単元「9+4のけいさん」では、加数分解の方法を導入する。ここでは10に対する補数がつくりやすい    ように、被加数が9、8、7の場合を取り上げ、計算の仕方を児童に自由に考えさせる。加数を分解して「10と    いくつ」の和として結果を求める計算の手順をつかませたい。     第2小単元「たしざんのもんだい」では、合併の場合と増加の場合に関する文章題を取り上げる。式と答えだけ    でなく、計算のしかたを半具体物の操作や口頭で言う等して確認し、理解を深めたい。     第3小単元「けいさんのれんしゅう」では、計算の習熟を図る。カ−ドやゲ−ムによる練習を通して、ある程度    反射的に答えが求められるようにしたい。     つかむ・見通す段階では、絵を提示し、2つの集合をとらえさせ、分かっていること、求めることを整理する等    して問題の意味をつかませたい。     練り上げる段階では、結果だけでなく、半具体物での操作と結びつけて説明したり、友達の発表に耳を傾け、友    達の考えのよさに気づかせたい。どの計算のしかたでも、答えが正しく求められたことを積極的に認めるようにす    る。 3.単元の目標 +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | 関心・意欲・態度 | 数学的な考え方 | 表現・処理 | 知識・理解 | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |・数の構成や10の補数な|・1位数の構成や10の補|・1位数に1位数をたして|・1位数に1位数をたして| | どの学習経験を生かして| 数に着目して計算のしか| 繰り上がりのある計算が| 繰り上がりのある計算の| | 1位数に1位数をたして| たを考えたり説明したり| できる。 | しかたがわかる。 | | 繰り上がりのある計算の| することができる。 | | | | しかたを進んで考えよう| | | | | とする。 | | | | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ 4.指導計画と評価計画  (全14時間) +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |時| 目 標 | 指 導 内 容 | 評 価 計 画 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ☆診断テスト | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | (1)9+4のけいさん(P.60〜62)・・・5時間 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |3|・1位数+1位数で繰り上が|・9+4の立式 |◎(考え方)(表現・処理) | | | りのある加法(被加数が7|・9+4の計算のしかた | 1位数+1位数で繰り上がりのある計算のし| |本| 〜9)の計算方法を理解す|・加数分解による計算 |かたを半具体物などの操作を通して説明したり| |時| ることができる。 | |加数分解によって計算することができたか。 | |1 |・被加数が7〜9の場合の加|・計算練習 | | | 3| 法計算が確実にできる。 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |1|・1位数+1位数で繰り上が|・4+8の計算のしかた |(関心・意欲・態度) | | | りのある加法(被加数が6| | 10の合成・分解の学習計算を生かし、1位数| | | 以下)の計算方法を理解す|・被加数分解による計算 |+1位数で繰り上がりのある計算方法を進んで| | | ることができる。 | |考えようとしているか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |1|・被加数が6以下の場合の加|・計算練習 |(表現・処理) | | | 法計算が確実にできる。 | | 1位数+1位数で繰り上がりのある加法計算| | | | |を、被加数分解によってすることができたか。| +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | (2)たしざんのもんだい(P.62)・・・2時間 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |2|・文章題解決を通して、加法|・文章題解決 |(表現・処理) | | | の意味を理解することがで| | 1位数+1位数で繰り上がりのある加法を適| | | きる。 | |用して問題を解決することができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | (3)けいさんのれんしゅう(P.63〜67)・・・7時間 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |5|・計算カ−ドを使って繰り上|・計算練習 |(関心・意欲・態度) | | | がりのある計算に習熟する| | 意欲的にカ−ドによる練習に取り組もうとし| | | ことができる。 | |ているか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |2|・れんしゅうやゲ−ムを通し|・「れんしゅう」 |(表現・処理) | | | て繰り上がりのある計算に|・ゲ−ム「たしざんどっじぼ| 1位数+1位数で繰り上がりのある加法計算| | | 習熟することができる。 | うる」 |をすることができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5.本時の指導  (1)本時の目標     9+4のような1位数+1位数で繰り上がりのある加法の計算方法を考えることができる。  (2)本時教材のよさ     子ども達はこれまでに、繰り上がりのない加法計算を習得してきた。その学習をもとにして、1位数に1位数を    たして繰り上がりのある加法計算を指導するわけだが、本時の9+4という数値は、加数分解のアイディアが子ど    も達から自然に出やすいと考えられる。10に対する補数を見つけながら計算するということは、この時期の子ど    も達にとってかなり難しいことなので、本時のように加数分解から入ることは計算の流れが自然でとらえやすい。    また計算方法としては加数分解がもっとも普遍性があることも、子ども達にとってかなり扱いやすく慣れやすい方    法となるであろう。  (3)本時指導の工夫    @「確実な問題把握と見通しを」     本時の課題である答えが10より大きくなる場面について関心を向けることができるように、発問や提示のしか    たを工夫したい。そのために絵をもとに場面について話し合い、問題解決に必要な数値や文に注目し、求答事項と    条件を明確にしたうえで自力解決を図りたい。    A「意欲的な発表と練り上げを」     本時の指導は、子ども達が意欲的に発表し練り上げていくことが重点である。発表は、小黒板に書いたうえで半    具体物での操作と結びつけて問題解決の手順を説明させたい。また、聞き手には、それぞれの考え方のよさにも気    づかせたい。そして、「どの考え方がわかりやすいですか」という中心発問をもとに本時のねらいに迫っていきた    い。  (4)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |段階 学 習 内 容 ・ 活 動 | 子どものよさを生かす工夫(◎評価) |備 考| +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |1.問題の把握と課題の設定 | | | | |(1)問題を把握する。 | |学習プ| | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |リント| |つ| | あかいあさがおが9こ、あおいあさがおが4こさいています。| |絵 | | | | あわせてなんこさいていますか。 | |紙板書| |か| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | | | ・何の問題かを考える。 |・絵を見て、自由な話し合いの中からあかいあさがおと| | |む| | あおいあさがおの数に着目できるようにする。 | | | | ・立式をする。 | | | | | |・「あわせる」の意味を吟味し、課題につなげていく。| | | |(3)課題を設定する。 | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | | | |かだい: 9+4のけいさんのしかたをかんがえよう。| | | |7| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | |分| |◎本時の学習課題を把握できたか。(挙手・発表) | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |2.見通しの設定 | | | |見| ・課題解決の見通しをたてる。 | | | |通| ≪結果の予想≫ 10より大きくなる。 | | | |す| | | | | | ≪方法≫ 図、ブロック、ことば |・いろいろな方法でやってみるように呼びかける。 |ブロッ| | | |◎課題解決のための見通しをもつことができたか。 |ク | |5分 | (挙手・発表) | | +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |3.自力解決|+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | ・見通しに|| 自力解決からまとめまでの流れ | | | | | 従って問|+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | 題を解く||ア.数えたし |イ.10のまとまりで|・ひとつの方法がおわ| | | | |+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ ったら、別の方法で| | |た| ||・1からがぞえて|・9にひとつずつ|・10のまとまりを| も解いてみるように| | | | || | たして | つくって | する。 | | | | || | | | | | |め| || | | |・早く終わった子には| | | | || | | | 解き方の説明もでき| | | | || こたえ 13こ| こたえ 13こ| こたえ 13こ | るように準備を促す| | |す| |+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | || 解き方の根拠となる考え | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | ||・繰り上がりのない加法計算で学習し|・加数4を1と3に| | | | | || たようにする。 | 分解する。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | |+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | || 予想される子どものつまずき | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | ||・20までのかずを正確に数えること|・加数分解のしかた| | | | | || ができない。 | をまちがえて計算| | | | | || | してしまう。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+・発表する子には、自| | | | || 解き方別による教師の支援 | 分の考えを説明でき|ヒント| | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ るように準備をさせ|カ−ド| | | ||・半具体物を用いて数え直させたり、|・ヒントカ−ドによ| る。 | | | | || 個別的に支援する。 | り、加数分解を正|◎見通しに従って問題| | | | || | しくできるように| を解き、答えを求め| | |13| || | 支援する。 | ることができたか。| | |分| |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ (学習プリント) | | +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |4.練り上げ|+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+・発表の時には、なぜ| | | |(1) 方法別に|| それぞれの解き方のよさ | そのような方法で解| | | | 発表する。|+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ いたかを説明できる| | |練| ||・半具体物や図で数えるので、簡単で|・わかりやすい。 | ように支援する。 | | | |(2) 練り上げ|| ある。 |・数が大きくなって| | | |り| をする。 || | もまちがえにくい| | | | |+−−−−+|+−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ | | |上||中心発問++−−−−−−−−−−−−+ ・聞き手には、友達の| | | ||どの考え方がわか−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ 考えのよさを見つけ| | |げ||りやすいですか。 練り上げでの検討 | るように促す。 | | | |+−−−−+|+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | |る| ||・1から順番に数えたり、9から数え|・10のまとまりを| | | | | || たしていくのは数え間違えたりする| つくるとわかりや| | | | | || こともある。 | すい。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | |10のまとまりをつくって計算するとわかりやすい。| | | | | | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+◎繰り上がりのある加| | |15| ||まとめ:10のまとまりをつくってけいさんする。 | 法計算のしかたがわ| | |分| || @ 9に4のなかの1をたして10 9+4 | かったか。 | | | | || A 10と3で13 13 | (挙手・発表) | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |振|5.学習内容のまとめ | | | |り| ・「わかったこと」「できるようになった|・自己評価をさせ、一人ひとりの授業でのがんばりを認| | |返| こと」等について振り返る。 | め、次の学習の意欲化を図りたい。 | | |る| ・次時の学習について知る。 | | | | | |◎友達の考えのよさや学習内容のよさをふりかえること| | |5分 | ができたか。 (発表・学習プリント) | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+  (5)評価     9+4のような1位数+1位数で繰り上がりのある加法の計算方法を考えることができたか。    A:ブロック操作やことばで説明したりしながら、繰り上がりのある計算をすることができる。    B:ブロック操作で、10のまとまりをつくって計算することができる。    C:数えたしではあるが、計算することができる。  (6)板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |+−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ||もんだい | |かだい | | || | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | || | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+ ほうほう | | しき | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |+−−−−−−−++−−−−−−−+ |まとめ | +−−−−−−−+ | ||子どもの考え ||子どもの考え | | | |子どもの考え | | || || | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | || || | | | | || || | | | | |+−−−−−−−++−−−−−−−+ +−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+