印刷用紙:B4縦 1ページの行数:51 1行の文字数(半角で):116   −−以下 指導案本文−−                      第1学年 算数科学習指導案                                  期 日:平成8年10月22日(火)2校時                                  児 童:1年1組 男16名 女17名 計33名                                  指導者:佐 藤 典 子 1単元名    どちらがおおい(東書・新しい算数1 P67〜68) 2単元について  (1)教材について      子供たちは、日常生活の中で、いろいろな量(長さ、かさ、広さ、重さなど)について、その大小を意識したり比べた     りする経験をしている。「量と測定」領域の主なねらいは、子供たちの生活に関係の深い様々な量について、その概念及     び原理と方法について理解できるようにするとともに、測定についての能力を伸ばすことにある。「量と測定」の指導で     は、いろいろな量のもつ特性を理解し、いくつかの量を用いることによって身近な事物や事象を的確に把握できることを     理解することが量の概念を正しく理解するために大切である。そのためには、目で見て直観的に比べたり、並べたり重ね     たりして比べたりする経験を大切にしながら量概念を養い、初歩的な測定の方法を理解させていくことが大切である。さ     らに「量と測定」の指導では、次の4つの段階を通して、測定の意味を明らかにし、量の概念を確かなものにしていく。      @直接比較 (同形、同大の入れ物に入っている液量は、その高さで多少を比較することができる。)      A間接比較 (形や大きさの違う入れ物に入っていて直接比較ができない液量は、同形、同大の入れ物に移しとって             比べることによって、その多少を比較することができる。)      B任意単位による比較 (容器の中の水をコップで何杯分ととらえるように、液量をある量を単位にとって「いくつ                  分」と数値化することによって比較することができる。)      C普遍単位による比較 (第2学年で、普遍単位であるデシリットル、リットル、ミリリットルを知り、これらの単                  位を用いて液量を測定し、比較することができる。)      いろいろな量のうち、長さは視覚的にとらえやすく、操作もしやすいので、測定して数値化しやすい。そのうえ量の基     本的な性質(比較性、連続性、保存性、加法性)はすべて持っているので、長さの測定は他の量の測定の模範となること     ができる。そこで、第1学年では、長さの学習を初めに行い、次にかさ、そして広さと学習を進めることによって、量概     念を養っていく。かさの中でも、液量は、子供たちにとって最も身近であり、また、量の基本的性質も備えている。そこ     で、本単元では、入れ物の大きさを液量によって比較することを通して、かさの基本的な概念を理解させていく。      子供たちは、第9単元「どちらがながい」の学習でも、直接比較・間接比較・任意単位による比較と、測定の基になる     具体的な操作活動を通して、長さの概念や測定についての理解の基礎となる経験をしてきている。かさ(液量)は、長さ     に比べて入れものの見かけに左右され、直観的にとらえにくい面がある。したがって、長さの学習と同じように3つの段     階を通して、具体的に液量を比べるなどの視覚に訴える操作活動をさせたり、カップなどに入れかえることによって数値     化する過程を経験させたりして体験的にとらえさせていくことが必要である。      本単元で学習する場面は、日常の生活の中で経験することが多い。学習したこともそのまま生活の中で生かされる事柄     ばかりである。机上の学習で終わらせずに、実生活に密着した内容としてとらえていくことが大切である。      なお、普遍単位については、2学年以降の指導内容であり、ものさしやますなどを使った測定についても2学年以降で     の指導内容である。  (2)児童の実態      子供たちの多くは、就学以前に液量の大小比較や計量的な操作を遊びなどの日常生活の中で経験はしている。しかし、     レディネステストの結果からも分かるように、どちらの水が多いかを目で見て判断したり、底面の広さとは無関係に液面     の高さによって、多い少ないを決めたりと、視覚的であり感覚による判断によるものである。また、一定量の水を、別の     容器に入れ替えた場合、水面の変化によって水の量が増えたり減ったりしたと勘違いする子供も中にはいる。      このような子供たちは、直観や視覚的なとらえ方でかさや液量の大小を予想することはできるが、根拠を明らかにしな     がら説明できるまでにはいたっていない。      量の学習に関して既習事項の少ない1年生は、日常の生活経験が見通しを大きく左右すると思われる。長さでの学習を     想起してかさ(液量)の比較の方法や測定についての見通しを立てる子もいると思われる。     自力解決に関しては、既習事項を整理して、何を使ってどのようにやっていけばよいかと丁寧に見通しを持たせることに     よって、自力で解決できるようになってきている。自分の言葉で考えを説明することはかなり難しいが、教師の助けを得     ながら自分の考えを発表している段階である。終始、課題解決への興味と意欲を持続させることによって、かさや液量の     大小をきめたり、比較したりという操作活動をしながら自力解決できると思われる。      学習の振り返りでは、観点を絞って自己評価させることによって、達成感や満足感を発表できるようになり、次時への     意欲化にもつなげることができるようになってきている。  (3)指導にあたって      子供たちは、毎日の給食でびんに入っている牛乳やカップのスープの量を見て、多少についての会話を自然にしている。     しかし、大きさの同じ牛乳びんとカップであることについては無意識である。比べる容器の形が互いに違ってくると多少     の判定は難しくなり、同じかさでも容器が変わると一方が他方より多い(少ない)と判断してしまうことがある。それは、     量の保存性の認識が未熟なためである。そこで身近にあるもので、比べたい、知りたいという目的意識をもてるような場     面を設定したい。「かさ」についての特徴に気づかせ、測定の基礎になる見方、考え方をさせるのはここでの扱いが最初     であるという点に十分留意するとともに、前述したような4つの指導段階を通して、量として統一的な見方を経験させる     場であることも十分に認識して指導にあたりたい。      本単元では、具体的な操作活動に慣れさせるとともに、各家庭から持ち寄ったペットボトルや給食についたゼリーカッ     プなどの身近な容器などを活用することにより、課題解決への興味と意欲を持続できるようにしていく。結果や方法につ     いても、日常の経験や既習事項に基づいて見通しを持たせ、意欲的に問題に取り組むことができるようにしていく。容器     の大小や相等を液量に置き換えて比べることにより、その比較の方法を工夫させたり、結果の表し方、容器の大きさの表     し方を考えさせたりすることもできる。また、かさの基本的な概念をとらえさせるためにも、実際にかさを比較したり、     カップなどを単位として測定したりという具体的な操作活動を通して、視覚に訴え、数値化する過程を経験させたりして、     体験的にとらえさせながら指導にあたりたい。 (4)教材の関連と発展 3単元の目標   ○関心・意欲・態度    ・身近な入れ物に入っているかさに関心をもち、いろいろな方法を工夫して比べようとする。   ○数学的な考え方    ・単位の大きさを決めてそのいくつ分としてかさをとらえることができる。   ○表現・処理    ・直接比較や間接比較、任意単位による測定などによってかさを比べることができる。   ○知識・理解    ・かさについての基礎的な概念や比較のしかた、任意単位により測定の方法が分かる。 4指導計画  (別紙 目標分析表)   どちらがおおい----------------------------- 4時間(本時3/4) 5本時の指導  (1)ねらい    <数学的な考え方>      単位の大きさを決めてそのいくつ分としてかさをとらえることができることに気づく。    <知識・理解>      かさの多少を比べるのに、コップなどの任意単位による測定の方法があることが分かる。  (2)本時の指導について      本時は、水筒のかさの違いをカップで測りその数で表すという活動を通して、任意単位に気づき、それを使って測定を     するという時間である。かさ比べを、2人組から小グループ、学級全体へと広げることにより、水筒のかさを数値化でき     ることの素晴らしさに気づき、意欲的な活動が展開されるものと思う。そして、その思考過程は、普遍単位を生み出す素     地となるようにしたい。      そこで本時では、次のような手立てを取ることにより、しっかり見通しを持ち、意欲的に自力解決できるのではないか     と考えた。      ・既習事項となる長さの学習を想起させ、任意単位によるかさの測定に気付かせる。      ・プリンカップやゼリーカップなどのように、身の回りにあるもの、自分たちが集めたものを単位として測ることで、     課題解決に意欲を持たせる。      また、自己評価の観点を、      ・今日の学習でどういう比べ方が分かったか。      ・もっとやってみたいことは何か。     に絞って発表させ、次への意欲づけとしたい。  (3)展開 +−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ |過程 | 学 習 内 容 | 主な発問と予想される反応 | 教師の支援・評価 | 資料 | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | |1.問題を把握する。 |・本時の問題を提示する。前時の学|・問題文 | | | | +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | 習を想起させ、どちらに多く入る|・水筒2個 | | | | | みずは どちらに | | かについて確認し、本時の学習へ| | |課|つ| |(別添2) どれだけ おおく | | の意欲を持たせたい。 | | | | | | はいりますか。 | | | | |題| | | | | | | | | | | | | | | |の|か| +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | |○前の時間の比べ方とのちがいは何 |・前時の比べ方と違い、どれだけ多| | |把| | | ですか。 | く入っていたかが分かる比べ方を| | | | | |・「どれだけ」を比べることです。 | することに気づかせ、課題を明確| | |握|む| |○今日は、どれだけ多く入っている | にする。 | | | | | | かを比べることですね。 | | | | | |2.学習課題をつか| | | | | | | む。 | | | | | |7| +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |分| | どれだけおおくはいるか くらべかたを | | | | | | | |かんがえよう。 | | | | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ |解| |3.解決の見通しを|○どれだけおおいかを調べるにはどう|・長さ比べの学習を想起させ、水筒|・紙板書 | |決|考| もつ。 | しますか。 | のかさの違いを比べる比べ方につ| | |の|え| |・同じペットボトルに移しかえて調べ| いて考えさせるようにする。 | | |計|る| | ます。 | | | |画| | |・ゼリーカップで測って調べます。 | | | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | | |○長さ比べと同じように、どれだけ多|・同じ大きさのカップを使ってその|・ゼリーカッ| | | | | いかをいくつ分と数で表すには何を| 「何杯分」と数えて比べればよい| プ多数 | |解| | | 使いますか。 | ことに気づかせる。 |・ペットボト| |決| | |・ゼリーカップを使います。 | | ル | |の|考| |・ゼリーカップの数で比べます。 | | | |計| | |・同じ大きさのカップを使うとできま|・いくつ分と解決の結果が机上に残| | |画| | | す。 | るように、本時は、カップを使っ| | | | | |・ペットボトルに同じカップで1杯、| て比べる方法で確かめていくこと| | | |え| | 2杯・・・・と数えてもできます。 | にする。 | | +−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | |4.自力解決をする|○同じかさのものを使ってその数で調|・2人組で調べさせる。 |・各自の水筒| | | | | べるとよさそうです。まず、カップ|・同じカップを用意して、水筒の水|・同じ大きさ| | | | | でいくつ分あるかを調べて比べてみ| をこぼさないようにいれて、その| のカップを| |解|る| | ましょう。 | 数で比べさせる。 | 多種・多数| | | | | |・学習プリントに何杯分と書かせ、|・机の引き出| |決| | |(あ)〇杯 | カップの絵に色を塗らせる。 | し | | | | | | | | |の| | | |・カップの数のちがいで、水筒のか| | | | | | ■■■■■■■■□□□□ | さの違いを表せることに気づかせ| | |実| | | | る。 | | | | | |(い)〇杯 | | | |行| | | | | | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−+| | | |18| | ■■■■■■□□□□□□ || 単位の大きさを決めて、かさ|| | | |分| | ||をそのいくつ分ととらえること|| | | | | |・(あ)のほうが□のカップで2杯分||ができているか。(自力解決)|| | | | | | 多い。 |+−−−−−−−−−−−−−−+| | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | |5.調べた結果を発|○どちらにどれだけ多く入るか分かり|・調べた結果を発表させる。 | | | | | 表しあい、まとめ| ましたか。 |・違いを何杯分とおさえながら発表| | |解|確| る。 |・(あ)の方に、カップで〇杯分多く| させたり、発表を聞かせたりする| | | | | | 入っていました。 | | | | | | |・カップの数を比べたら、(い)の方| | | |決| | | が〇杯分少なかったです。 | | | | |か| |○何を使って調べたら何杯分多いとち|・同じ大きさのカップを使ったこと| | | | | | がいを比べることができましたか。| を確認し、長さ比べの学習と似て| | |の| | |・同じ大きさのカップで何杯分かを調| いるところをおさえながらまとめ| | | | | | て比べました。 | る。 | | | |め|6.類題を解く。 |○みんなの考えた方法で、次の問題も|・問題文も同じ方法で解決する。 | | |検| | | できるか確かめてみましょう。 | | | | | | +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | | | いちばん おおくはいっていたのは どれですか。||・教科書p68のAの問題をコップの| | |討|る| +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+| に数に着目させながら解かせる。| | | | | |○どのやかんが1番でしょう。 |・コップの数を教科書に書き込ませ| | | | | |・真ん中のやかんです。 | る。 | | | | | |○どのようにして比べましたか。 |・なぜ1番だと分かるのか、その根| | | | | |・コップの数を数えました。 | 拠をしっかり確かめながら発表さ| | | |12| |・1番コップの数が多いのは真ん中な| せる。 | | | |分| | ので真ん中のやかんです。 | | | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | |7.学習のまとめを|○どちらにどれだけ多く入るかをどの|・かさも長さと同じように、何か同| | | | | する。 | ようにして調べましたか。 | じものをもとにして測ればよいこ| | | | | |・同じ大きさのカップで測って調べま| とに気づかせ、その数で比べられ| | |一|ま| | した。 | ることを確認する。 | | | | | |・カップで何杯分と測って、その数 | | | | | | | で比べました。 |+−−−−−−−−−−−−−−+| | | |と| +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ || かさの多少を比べるには、任|| | |般| | |どれだけおおくはいるかをくらべるには | ||意単位を用いる方法があること|| | | | | | おなじおおきさのいれもので なんばいぶんと| ||が分かったか。(挙手・発言)|| | | |め| | かずでくらべる。 | |+−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |化| | | | | | | |る|8.本時の学習を振|○今日の勉強で、どんな比べ方が分か| | | | | | り返る。 | りましたか。 | | | | | | |○次にやってみたいことは何ですか。| | | | | | | | | | | | | | | | | | |8|9.次時の学習につ|○今日の調べ方で、身の回りのものの| | | | |分| いて知る。 | かさ調べをしましょう。 | | | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |+−−−−−−−−−−−−++−めあて−−−−−−−−−+ +−まとめ−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| ||<水筒の絵> <問題文>|| どれだけおおくはいるか | |どれだけおおくはいるかをくらべるには || || ||くらべかたをかんがえよう。| | おなじおおきさのいれもので なんばいぶんと|| || |+−−−−−−−−−−−−−+ |かずでくらべる。 || || | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| || | | |+−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−+ | 児童の考え | |類題 | | | | 解決の見通し | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+