印刷用紙:B4縦 1ページの行数:51 1行の文字数(半角で):120   −−以下 指導案本文−−   第3学年  算数科学習指導案                                日 時 平成8年10月22日(火)2校時                                児 童 3年3組 男21名 女12名 計33名                                指導者 鎌 田 達 也 1 単元名 わり算のひっ算 (東書 新しい算数3下P15〜53) 2 単元について  (1)教材について      除法は、数学的には乗法の逆演算ととらえることができる。乗法は「基準量」Aから「基準の何倍かにあたる量」     BをA×m=Bとして求める操作である。そこで除法をその逆操作としてとらえると、除法には次の2つが考えら     れる。       @A×m=BでmとBが与えられていてAを求める場合。すなわち、ある数量を等分した時の1つ分の大きさ        を求める場合(等分除にあたる)。       AA×m=BでAとBが与えられていて、mを求める場合。すなわち、ある数量がもう1方の数量の何倍であ        るかを求める場合(包含除にあたる。)。      除法についての学習に関連するものとしては、1学年で色紙を2つ折り、4つ折りにして切るといった活動を通     して等分割の操作を経験したり、12枚の正方形の紙を使っていろいろな形の長方形を作るという活動で数を除法     的(乗法的)にとらえる学習をしてきている。また、2学年では除法指導に不可欠な乗法九九とその基本的性質に     ついて学習してきている。そして3学年では、第3単元で乗法九九を1回適用してあまりが生じない場合の計算を     等分除で導入し、包含除へと発展させてきている。さらに第6単元ではあまりが生じる場合の計算について学習し     てきている。その中で、乗法九九を1回適用してできる除法計算(あまりなし、あまりあり)の意味と計算方法、     及び簡単な筆算形式を理解してきている。つまり、これまでに、除数、被除数、商、部分積、あまりなどを書く位     置の理解を通して、わり算の筆算の計算手順(1)商を立てる、(2)部分積を求める、(3)それを被除数から     ひく、といった基礎的な操作について理解してきているのである。      本単元では、その発展として、除法による筆算形式の原理と手順を再確認しながら、@2〜4位数÷1位数の筆     算形式による除法が正確にできること、Aある数がもとにする数の何倍にあたるかを求めるには除法が適用される     ことを知り、除法の意味を拡張すること、B2位数÷1位数=2位数の除法の暗算のしかたを理解し、その計算が     できることをねらいとしている。これらの学習を通して、1位数でわる除法計算の一応の完成が図られることにな     る。      ここでの学習をもとに、4年生では除数が2位数以上の筆算の仕方を学習していくことになる。  (2)児童の実態      計算問題に対して苦手意識のある子供は少ないが、乗法に比べて除法では抵抗を感じる子供が多い。あまりのあ     るわり算についてはさらに困難さを感じている。レディネステストの結果を見ると、九九を一回適用する除法計算     (あまりのない場合)と等分除の文章問題については大部分の子供が理解している。しかし、あまりのある除法計     算の理解が不十分であった。これは筆算になっても同じ傾向が見られた。特に、商を立てて、部分積を求めた後、     被除数から引く時に間違うことが多かった。これは、繰り下がりの減法が確実に身についていないことが原因と考     えられる。      見通しの持ち方についての結果の予想については、おおよその数を直感でとらえることができる子供が多い。し     かし、被除数が大きくなってくると抵抗感が増し、根拠のない当て推量で考える子供が多くなってくる。方法の予     想については、既習の経験から図や筆算を想起して考える子供が増えてきている。自力解決については、ほとんど     の子供が意欲的に取り組んでいる。筆算ができなくても、図を使って考えたり、数カ−ドを使って考えたりしよう     としている。しかし、2年生の乗法九九の理解が十分でなく、商を立てられなかったり、立てていてもその商を間     違えていて、筆算を正確にできない子供もいる。学習の振り返りについては、観点に沿った内容をかける子供が増     えてきている。次時への期待を記述し、意欲的な内容を書くようになってきている子供が少しずつ増えてきた。  (3)指導にあたって      本単元では、既習の筆算形式をもとにして学習を進めていくが、筆算形式の理解が浅いと、乗法九九の2回適用     に困難を感じると思われるので、わり算の筆算形式を機械的に覚えさせるのではなく、まず、「2(3、4)位数     ÷1位数=2(3、4)位数」の筆算では、色紙などの具体物を使いながら具体的な操作と「たてる、かける、ひ     く、おろす」の筆算形式を対応づけることによって計算手順を理解させ、その形式に従うことが最も能率的である     ことを子供に気づかせていきたい。そして、わられる数が3,4位数になっても同じ手順で計算できそうだという     ことに気づかせていく。さらに、この手順が商に空位のある場合についても活用できることを理解させていく。こ     れらの手順を次の学習の「3(4)位数÷1位数=2(3)位数」にも生かし、ここでも色紙などの具体物を使い     ながら商が首位に立たない筆算の仕方を理解させていく。また、何倍かを求める計算では数量関係をテ−プ図や線     分図に表すことによって、もとにする大きさと何倍かにあたる大きさを視覚的に理解させていく。以上のように、     授業では既習内容を重視しながら具体物や半具体物を操作しながら筆算に結びつけていくことで、意欲的に学習に     取り組めるようになると考えた。 (4)教材の関連と発展 +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ | 2年 | |3年 | |4年 | +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ |・倍の概念 | |・乗法九九の習熟 | |・2〜5位数÷2,3の計算と| |・乗法の意味と記号 +−−+・積と乗数の変化の規則性 |+−+ 「商」の用語 | |・一〜九の段の九九の構成と記| | || |・除法の検算のしかた | | 憶 | +−−−−−−+−−−−−−−+| +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−−−−−−+−−−−−−−+| +−−−−−−+−−−−−−−+ |・除法の意味 || |・末尾に0のある除法の計算 | |・九九を1回適用する除法計算|| | | |(あまりなし) || +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+| | | | +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+| |・整数,小数÷整数 | |・九九を1回適用する除法計算|| | (商が小数の計算)| |(あまりなし) || | | |・除法の筆算形式 || +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+| | | +−−−−−−+−−−−−−−+| |本単元 || |・2〜4位数÷1位数の筆算形|| | 式による除法 ++ |・除法の意味の拡張 | |・1位数でわる除法の暗算 | +−−−−−−−−−−−−−−+                                                           3 単元の目標   ○関心・意欲・態度    ・除法の筆算形式によるよさを知り、進んでそれを用いようとする。   ○数学的な考え方    ・筆算形式による除法の計算は、上位から位ごとに計算を進めていけば良いことに気づく。   ○表現・処理       ・2〜4位数÷1位数の計算を筆算で正確にできる。    ・乗除2段階、または、除法2段階の計算ができる。    ・2位数÷1位数=2位数,及びこれに帰着できる除法の暗算ができる。   ○知識・理解   ・2〜4位数÷1位数の筆算のしかたが分かる。    ・何倍かを求めるのに除法を用いることができる。                                                           4 指導計画(別紙 目標分析表)  (1)わり算のひっ算(1)………………………………………………………………8時間(本時5/8時間)   (2)わり算のひっ算(2)………………………………………………………………4時間             (3)何倍かを求める計算 ………………………………………………………………3時間          (4)まとめ       ………………………………………………………………1時間          (5)暗算        ………………………………………………………………2時間 5 本時の指導  (1)ねらい   <表現・処理>   3位数÷1位数の場合も4操作を繰り返して正確に筆算で計算することができる。   <知識・理解>   3位数÷1位数=3位数の筆算のしかたを理解する。  (2)本時の指導について      本時では、前時までの2位数÷1位数の筆算のしかたをもとに被除数が3けたになっても除法の筆算の4操作     「たてる→かける→ひく→おろす」を繰り返すことによって答が求められることを理解させることが主なねらい     となる。      そこで、次のような手だてを取ることによって見通しを持って自力解決できるのではないかと考えた。       ・答の見当づけの段階でまずどの位から分けていけばよいか考えさせる。前時に十の位から分けたことを想        起させ、本時は一番大きな百の位からを分けていけばよいことに気づかせていく。       ・自力解決では、既習の筆算形式の「たてる、かける、ひく、おろす」を想起させながら計算に取り組ませ        る。      また、自己評価では感想の視点を、「どんなことが分かりましたか。次はどんなことをやってみたいですか。」     とし、次の学習への関心を高めるようにする。      このような手だてを取ることにより、自分なりの見通しを持ち、意欲的に問題に取り組むのではないかと考え     る。  (3)展開 +−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ |過 程|学習活動 | 主な発問と予想される反応 |教師の支援・評価 |資 料| +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |1.問題を把握する。 | | | | | | | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | 627まいの色紙を5人で同じ数ずつ分けます。 | | | | |課| | |一人ぶんは何まいになって、何まいあまりますか。 | | |紙板書 | | | | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |つ| |○分かっていること、求めることは何ですか。 | |色紙の図| | | | |・分かっていること…色紙を627枚を5人で同| | | |題| | | じ数ずつ分ける。 | | | | | | |・求めること…一人分の枚数とあまり | | | | |か| |○どんな式になりますか。 | | | | | | |・627÷5 | | | |の| | |○今までとちがうところはどんなところですか。|・既習事項とのちがいを課| | | | | |・わられる数が627というように3けたになっ| 題に結びつけていく。 | | | |む| | たことです。 | | | |把| | | | | | | | |2.課題をつかむ。 | | | | |握| | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | | | |5| |3けた÷1けたの計算のしかたを考えよう。 | | | | | |分| +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | | | | | | | | |3.課題解決の見通しを持| | | | |解| | つ。 | | | | | | | ・答の予想をする |○一人分はだいたい何枚ぐらいになるでしょう。|・○○枚より多い、少ない| | | | | |・500 ÷5=100 だから100 枚より多い。 | 程度のおさえにする。 | | |決| | |・600 ÷5=120 だから120 枚ぐらい | | | | | | | | | | | | | | | | | |の| | ・方法の予想をする。 |○どうやって答を見つけていきますか。 | | | | | | |・前の時間にやった筆算で見つけます。 |・2位数÷1位数の筆算の| | | | | |・一けた増えても同じやり方でできそう。 | しかた(4操作「立てる| | |計| | |・「たてる→かける→ひく→おろす」を1回多く| →かける→ひく→おろす| | | | | | 繰り返すとできそう。 | 」)を想起させる。 | | | | | | | | | |画|考| |○どの位から分けていったらいいですか。 |・前時は十の位から分けた| | | | | |・百の位です。 | ことから、一番大きい位| | | | | | | から分けるということを| | | | | | | 類推させる。 | | | | | | | | | +−+ +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | |え|4.自力解決をする。 |○自分の方法でやってみよう。 | | | |解| | |<筆算で考える> | | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+| | |決| | || @ A B || | | | | || 1 12 125 || | |の| | || 5)627 5)627 5)627 || | |実| | || 5 5 5 || | | | | || 1 12 12 || | |行|る| || 10 10 || | | | | || 2 27 || | | | | || 25 || | | | | || 2 || | | | | || <百の位>に <十の位>に <一の位>に || | | | | ||・6÷5で1を たてる ・2を おろす ・7を おろす|| | | | | ||・5と1を かける ・12÷5で2を たてる ・27÷5で5を たてる| | | | | ||・6から5を ひく ・5と2を かける ・5と5を かける|| | | | | || ・12から10を ひく  ・27から25を ひく | | | | || || | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+| | | | | | | | | | | | | 627÷5=125あまり2 |・解決し終わった子には、| | | | | | | 計算の仕方を言葉で書か| | | | | | | せておく。 | | | | | |答え 1人ぶんは125まいで、2まいあまる。| | | | | | | | | | | | | | |+−−−−−−−−−−+| | | | | | ||筆算の四操作で問題を|| | | |15| | ||解くことができたか。|| | | |分| | ||(挙手) || | | | | | |+−−−−−−−−−−+| | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |5.自分の考えを発表し、|○計算のしかたを発表しましょう。 |・「たてる→かける→ひく| | |解| | 解決方法をまとめる。 | |→おろす」の4操作の言葉| | | | | | |を使いながら、位ごとにゆ| | | |確| | |っくり発表させる。 | | |決| | | |・計算の仕方を発表させた|数カ−ド| | |か| | |後、数カ−ドを使って具体| | | | | | |的に理解させる。 |計算の仕| |の| | | | |方を書い| | | |6.3けた÷1けたの計算|○計算の仕方についてまとめよう。3けた÷1け| |た紙 | | |め| について話し合う。 |たの計算はどうすればよいですか。 | | | |検| | |・2けた÷1けたの筆算のしかたと同じように | | | | |る| |「たてる→かける→ひく→おろす」を繰り返す。| | | | | | | | | | |討| | | | | | | | | | | | | | | | |○予想で考えた方法が使えましたか。 |・計算する前に立てた見通| | | | | |・使うことができた。 |しと結果を照合し、4操作| | | | | |・3けたになってもやり方は同じだった。 |の手順を繰り返す方法で良| | | | | | |いことを確かめ、見通しを| | | | | | |立てる良さを実感させる。| | | | |7.類題を解く |○ほかの問題でもやってみましょう。 | | | | | | | | | | | | | | 3)715 | | | | | | | | | | | | | |・715÷3=238あまり1 | | | | | | | |+−−−−−−−−−−+| | | | | | ||筆算の手順を理解でき|| | | |15| | ||たか。 || | | |分| | |+−−−−−−−−−−+| | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |8.学習のまとめをする。| | | | |一|ま| +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | | | 3けた÷1けたのひっ算も、「たてる、かける、ひく、おろす」のく|| | | |般| | |りかえしで計算できる。 || | | | |と| +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |化| | | |+−−−−−−−−−−+| | | |め|9.適用問題を解く。 |○プリントの問題を解きましょう。 ||筆算の手順を理解し、||プリント| |・| | | ||この方法を使って答を|| | | | | | ||出すことができたか。|| | |発|る| | |+−−−−−−−−−−+| | | | |10. 自己評価をする。 |○今日学習したわり算の仕方で分かったことや次| | | |展| | |の時間やってみたいことを書きましょう。 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |11. 次時の学習内容を知 |○次の時間は、数の大きな数のわり算の筆算を勉| | | | | | る。 |強します。 | | | | |10| | | | | | |分| | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+