印刷用紙:B4横 1ページの行数:51 1行の文字数(半角で):114   −−以下 指導案本文−−   第4学年 算数科学習指導案                                      日 時 平成8年10月22日(月)  1校時                                      児 童 4年3組 男14名 女17名 計31名                                      指導者 横 田  淳 1 単元名  小数(東書・新しい算数4下 P4〜17) 2 単元について (1)教材について 小数は、連続量の測定に対して整数の単位での端数を処理する必要性から生まれたものである。これは、整数の表し方の仕組 みを1より小さい数に拡張していく考えだといえる。  小数の導入では、3学年で、長さ、重さ、かさなどの測定と関連づけて、端数部分の大きさなどを表すのに小数を用いること を知り1/10の位までの小数の表し方及びそれらの数についても整数と同じように加法、減法ができること学習している。ま た、4学年になってからは億や兆などの単位も扱い、整数はどんな大きな数でも十進位取り記数法で表されることを明らかにし てきた。  4学年では、単位を次々に1/10に分割して端数の処理を繰り返し、小数の範囲を1/100、1/1000の位まで拡張 し、小数が整数と同じ十進位取り記数法の構造となっていることをとらえさせ、加法、減法の計算などを通じて数としての小数 の理解を深めることをねらいとしている。すなわち、測定値としての小数から、抽象数としての小数への概念を高め、小数の表 し方、大小比較、加減計算を整数のそれと比べながら行うことによって十進数としての小数の理解を深めていく。なお、小数の 仕組みや概念をはっきりととらえさせるためには、小数を数直線上に表して整数と同じ系列の中に位置づけたり、数の相対的な 大きさに着目させたりしながら理解を深めさせることが大切である。そうすることによって小数で考え難いときには、0.1、0.0 1などを単位として、それを整数に直して考えるよさにも気づくことができる。加法、減法については、整数と同じ原理、手順 でできることについて十分に理解できるようにさせるが、計算の習熟というよりも、計算を通じて小数の概念の理解を深めさせ ることがねらいとなる。 (2)児童の実態  児童は身体測定やスポーツテストの結果、液量単位で1.8リットルなど、身近なところで小数に触れてきている。また、時計 の表示などデジタル化が進む中、小数を見聞きする機会が増えてきており、小数で表すことのよさにいくらかは気づいてきてい る。 3年生では、1/10の位までの小数の意味や簡単な加減計算を学習してきた。レディネステストの結果を見ると、数直線上 の小数の読みとりについては高い正答率をおさめた。しかし、0.1を単位とした時の小数構成、1/10の位までの小数の加減計算、 4桁までの整数の加減計算では正答率がおよそ80%となり、小数についての1/10の位までの意味理解や加減計算の定着が不十分 な児童も数名見られた。  これまでの学習から、今日の学習課題は何かを前時と比較させながら考え、課題意識をもって学習に取り組む児童が増えてき た。また、学習過程の解決の計画の段階では、既習内容の何を使って考えていけばよいのか、それをどのように操作すればよい のか見通しをもてるよう指導してきた。しかし、この段階で、見通しを明確にとらえられない児童もかなりいる。そこで、解決 の計画の段階では、全体で既習内容をもとに話し合い、自分のたてた見通しが明確になるように進めている。また、学習の振り 返りの段階では、観点を与えて自己評価を記述式で行ってきており、一時間ごとの学習の成果に気づき満足感をもつ児童が徐々 に増えている。 (3)指導にあたって  本単元は、「小数の表し方」「小数のしくみ」「少数の加減計算」「まとめ」の4つの小単元から構成されている。単元の導入では、 液量を使って小数を必要とする端数部分の表し方の具体的な場面に直面させ、その解決に最も有効な方法として小数を導き理解 させるように配慮する。  「小数の表し方」では、測定値をもとにして0.1より小さい端数に視点をおき、小数の範囲を1/10の位から1/1000の位まで拡 張させて小数の表し方を理解させていく。その際、表した小数を数直線でとらえさせながら「小数のしくみ」の学習に関連させ る。 「小数のしくみ」では、端数部分の処理として10等分した図や位取りの表を活用して、小数も整数同様に10等分するごとに 位が1つ右に進むことを押さえる。このことから、小数も十進位取り記数法のしくみで表されていることに気づかせたい。また 、小数を0.01がいくつ分とみる考え方から、抽象数としての小数への概念を高め、小数の相対的な大きさや大小比較、数直線上 への表示などを理解させる。  「小数のたし算ひき算」では、全学年で学習した範囲を拡張して小数第3位までの計算を扱う。小数の筆算の仕方では、だだ 計算の手順を学習するのではなく、既習の内容から考えた方法で、小数も整数のときと同じように位をそろえれば計算できるこ とをおさえ一般化していく。  本単元では、既習内容を活用して、未習である小数のしくみや計算の方法を自ら見つけ、問題解決を図るようにする。このよ うな学習の過程を繰り返し体験することで、既習内容に着目して見通しを立てたり、自分なりの判断でよりよい方法を見つけた りする力が身に付くと考える。また、自分の発見や問題解決できた満足感に気づかせるため、学習の成果を振り返る場面を位置 づけるようにする。このような取り組みから、自分なりの見通しをもち意欲的に問題に取り組めるようにしたい。 (4)教材の関連と発展 +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ | 3年 | | 4年 | | 5年 | +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ |第16単元 | |第1単元 | |第1単元 | |・小数の意味(1/10の位) | |・億、兆の位の数 | +−+・十進数(整数、小数)の組み| |・小数の表し方、読み方、仕+−+ |・十進位取り記数法の意味 | | | 立てと表し方 | | 組み | | +−−−−−−+−−−−−−+ | |・10倍、100倍、1/10、1/100| |・小数の加減計算 | | | | | の数 | +−−−−−−−−−−−−−+ | +−−−−−−+−−−−−−+ | +−−−−−−+−−−−−−+ | |本単元 | | | | |・小数の意味の拡張(1/100、| | +−−−−−−+−−−−−−+ +−+ 1/1000の位) +−+ |第11単元 | |・小数も十進数であること | |・分数、小数、整数の相互関| |・小数の加減計算 | | 係 | +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ | | +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ |第13単元 | |第6単元 | |・小数×整数の計算 +−−−+・小数×小数、小数÷小数の| |・小数(整数)÷整数の計算 | | 意味と計算の仕方 | | (商が小数となる場合) | |・小数の乗法、除法の意味と| +−−−−−−−−−−−−−+ | 拡張 | +−−−−−−−−−−−−−+ 3 単元の目標 ○関心・意欲・態度 ・小数を使って表すことのよさに気づき、進んで小数の仕組みや表し方を学ぼうとする。 ・既習の整数の計算の仕方を生かして、小数の加法、減法の計算の仕方を考えたり身につけたりしようとする。 ○数学的な考え方 ・小数も整数と同じ十進構造になっていること、及び小数の加減計算も既習の整数の加減計算をもとに考えられることに気づく。 ○表現・処理 ・複名数で表された測定値を小数による単名数で表すことができる。 ・小数を数直線に表したり、大小を比べたりすることができる。 ・小数の加減計算ができる。 ○知識・理解 ・小数の表し方や位取りの原理、及び小数の加減計算のしかたがわかる。 4 指導計画(別紙 目標分析表) (1)小数の表し方・・・・・・・・・・・・・・・3時間 (2)小数の仕組み・・・・・・・・・・・・・・・4時間 (3)小数のたし算とひき算・・・・・・・・・・・6時間(本時4/6) (4)まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間 5 本時のねらい (1)ねらい <数学的な考え方> ・小数の減法計算の仕方を既習の計算をもとに考えることができる。 <表現・処理> ・小数第2位までの減法計算ができる。 (2)本時の指導について    本時では、次のような手だてを取ることで自分なりの見通しをもち、自力解決ができるのではないかと考えた。    ・問題要素を整理し課題を明確にする。    ・答えの見通しでは、まず既習内容の1/10位までの減法計算や概数的な考えから答えは1より小さくなるという見当をつ    ける。    ・方法の見通しでは、小数の減法計算も加法計算と同じような方法でできるのではないかと考え、@筆算 A位取りの表    B0.01を1とみて Ckgをg(単位)にかえて、解決方法を見通すようにさせる。    ・自力解決後、解決方法を全体の場で練り上げることにより、減法計算の筆算を価値づけ、筆算の仕方についてまとめる。    ・学習の成果を振り返る場面では、自分の学習の取り組みについて感想を記述して自己評価を行い、自分の力で問題解決     ができたという満足感をもたせたい。    このような手だてを取ることにより、自分なりの見通しをもち、意欲的に問題に取り組むのではないかと考える。 (3)展開 +−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |過 程|学 習 活 動| 主な発問と予想される反応 | 教師の支援・評価 | 資 料 | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |課|つ|1.問題を把握する。 | |・前時までの学習を想起し|・紙板書 | |題|か|+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|本時では、重さの減法に関|・学習プリ| |の|む|| 3.64kgあったさとうのうち、2.76kg使いました。のこりは何kgで||わる問題であることに着目|ント | |把| ||ですか。 ||させる。 | | |握| |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | | |○式はどうなりますか。 |・問題文の求答事項から、| | | | | |・3.64ー2.76 |小数の減法計算として立式| | | | | | |してよいことを確認する。| | | | |2.学習課題をつかむ。|○今日は、何を勉強していきますか。 |・立式から減法計算につい| | | | |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ |ての課題を明確にする。 | | | |5||小数第2位までのひき算のしかたを考えよう。 | | | | | |分|+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |解|考|3.課題解決の見通しを|○答えは、およそいくらぐらいになりそうです|・既習事項の1/10の位まで| | |決|え|もつ。 |か。 |の減法計算や概数をもとに| | |の|る|・答えの予想をする。|・だいたい1kgくらいです。 |答えの予想は1kgよりも小| | |計| | |・1kgより小さくなりそうです。 |さくなる見当をつける。 | | |画| | |・3.64を3.6、2.76を2.8とみると、0.8kgくら | | | | | | |いになりそうです。 | | | | | |・方法の予想をする。|○どのような方法で解けそうですか。 |・小数のたし算の学習から|・小数のた| | | | |・(小数のたし算で学習したように)筆算で解け|ひき算でもそれらの方法を|し算の仕方| | | | |そうそうです。 |用いて解けそうだという見|をまとめた| | | | |・(位取りの)表を使って解けそうです。 |通しをもたせる。 |紙板書 | | | | |・0.01を1とみて計算すると解けそうです。 | | | | | | |・kgをg(単位)にをかえて計算すると解けそう | | | | | | |です。 | | | +−+ +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |解| |4.自力解決をする。 |○自分の方法で解いてみましょう。解き終わっ|・まず、自分の解いてみた| | |決| | |た人は、その方法でよいわけをかきましょう。|い方法で自力解決を行うよ| | |の| | | |うにする。 | | |実| | |@筆算 3.64 |・解決につまづいている児| | |行| | | −2.76 |童には、分銅の図を用いた| | | | | | −−−−−−− | | | | | | | 0.88 答え 0.88kg |ヒントカードを提示して個別指 | | | | | | −−−−−− | | | | | | |A(位取り)表 |導にあたる。 | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+ | | | | | | | | 一の位 1/10の位 1/100の位 | | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+ | | | | | | | | 3.| 6 | 4 | | | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+ | | | | | | | −| 2.| 7 | 6 | | | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+ | | | | | | | | 0.| 8 | 8 | 答え 0.88kg | | | | | | +−−−+−−−+−−−−+−−−−−+ | | | | | |B0.01を1とみて計算 | | | | | | | 3.64は、0.01が364個集まったもの | | | | | | | 2.76は、0.01が276個集まったもの | | | | | | | したがって 364-276=88 0.01が88個だから 答え 0.88kg −−−−−−+| | | | | | −−−−−+| || | | | | |Ckgをg(単位)とみて計算 ||既習の計算をもとにし|| | | | | | 3.64kg=3640g ||た計算の仕方に気づい|| | | |12| | 2.76kg=2760g 3640ー2760=880 ||ているか。 || | | |分| | したがって 880g=0.88kgだから 答え 0.88kg −−−−−−−−−+| | | | | | −−−−−−− | | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |解|確|5.自分の考えを発表し|○どのようにして解いたのか発表しましょう。|・見通しでたてた答えの予|・小数のた| |決|か|合い解決方法をまとめ| (@〜Cまでの考えを発表する。) |想が妥当であったことを確|し算の自力| |の|め|る。 | |認する。 |解決で用い| |検|る| | |・@〜Cの方法は、小数の|た図 | |討| | | |たし算で学習した方法と似| | | | | | |ていることに気づかせる。| | | | | |○小数のたし算で解いた方法でひき算でも解け|・小数のひき算であっても| | | | | |ましたね。小数のひき算の計算でも気をつけな|位をそろえて計算している| | | | | |ければならないことはどんなことですか。 |こと、整数の計算のように| | | | | |・位をそろえて計算することです。 |して解けることから、筆算| | | | | |・整数のひき算と同じようにして計算できるこ|で求答すると便利であるこ| | | | | |とです。 |とに気づかせる。 | | | | | |(・答え(差)の小数点をうつこと) | | | | | | | | | | | | |6.類題を解く。 |○練習問題を解きましょう。 |・中間まとめとして | | | | |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|@位をそろえる。 | | | | ||8.35ー6.57 をひっ算で解きましょう。 ||A整数のひき算と同じよう| | | | |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|に計算する。 | | | | | | |B上の小数点にそろえて差| | | | | | |の小数点をうつ。 | | | |15| | |以上のことを共通理解し類| | | |分| | |題に取り組ませる。 | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |一|ま|7.学習のまとめをする| | | | |般|と|+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |化|め|| 小数第2位までのひき算は、位をそろえて整数のひき算と同じよ|| | | |・|る||うに筆算の計算すればよい。(答えの小数点もそろえてうつ。) || | | |適| |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |用| |8.適用問題を解く。 |○次の問題にチャレンジしてみよう。 |+−−−−−−−−−−+|・適用問題| | | | |@8.68ー0.59(8.09)  A6.2ー1.9(4.3) ||1/100の位までの小数 ||を記した紙| | | | |B39.12ー12.08(27.04) C5.73ー3.63(2.1) ||の減法計算ができたか||板書 | | | | |D4.85ー2.3(2.55) E5.73ー3.63(2.1) |+−−−−−−−−−−+| | | | | |F2.354ー1.16(1.194) | | | | | |9.自己評価する。 |○今日の学習の感想をプリントに書きましょう|・本時の学習を振り返り、| | | | | |○感想を発表しましょう。 |学習の成果に気づかせる。| | | | |10.次時の学習内容を |○次の時間は、小数点以下のけたがそろってい|・次時の学習への意欲づけ| | | |13|知る。 |ない小数のひき算の計算をしてみます。 |をする。 | | | |分| | | | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 問題 児童の反応(3.64ー2.76の計算例) | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−++−−−−−−++−−−−−−++−−−−−−+| | | 3.64kgあったさとうのうち、2.76kg| | || || || || | |使いました。のこりは何kgですか。 | | || || || || | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | || || || || | 課題 | || || || || | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | || || || || | | 小数第2位までのひき算のしかたを| +−−−−−−++−−−−−−++−−−−−−++−−−−−−+| | | 考えよう。 | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ・位をそろえてひき算 | | 式 ・整数のひき算と同じように計算 | | 3.64−2.76 ・小数点にそろえて差のをうつ まとめ | | +−−−−−−−−−−−−+| | 見通し | 小数第2位までの引き || | 1、 0.8、 0.9、 0.7 (練習問題) | 算は、位をそろえて整数 || | ・筆算 8.35 | のひき算と同じように筆 || | ・表 −6.57 | の計算をすればよい。 || | −−−−−−− | || | ・0.01を1とみて 1.78 +−−−−−−−−−−−−+| | ・kgをgにかえて | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+