印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):106   −−以下 指導案本文−−                  第5学年算数科学習指導案                           日 時  平成8年10月22日(火) 2校時                           児 童  5年3組 男15名 女18名 計33名                           指導者  西 村 祥 子 1.単元名 整数の見方(東書・新しい算数下p4〜p16) 2.単元について (1)教材について   本単元で指導する主な内容は、5学年の内容A1整数のア「整数は、観点を決めると奇数、偶数などに類別される  ことを知ること。」とイ「約数、倍数などについて知ること。」である。   整数については、1学年では、整数の概念を具体的な操作を通して学習してきた。2年生以降では、数の範囲を段  階的に拡張し、十進構造について理解を深めてきた。その中で、単位量で数をとらえたり、1つの数を他の数の和や  差、積などとしてみることも経験してきている。そして、4年生では兆の位までの整数の十進記数法についての学習  を完了している。   本単元では、「整数に、1、2、3、…をかけた数が倍数」、「ある整数で割りきれる数が約数」、「2で割って  割り切れるか割り切れないかによって偶数と奇数とに分ける」、というように、整数をある観点からいくつかの集合  に類別する見方ができるようにすることを通して、整数の集合に目を向けさせるようにしている。このようにして、  整数の理解を次第に深めていくことを目指している。この学習は、次の分数の加減計算の学習や、中学校の学習の基  礎となっていく。 (2)児童の実態   算数の学習に意欲的に取り組もうとする児童が多い。四月段階では自力解決の段階ではなかなか取り組めない児童  もみられたが、見通しをもたせる段階で図や数直線などを用いることにより解決のてがかりをつかませたり、解決に  向けて方法を確かめながら進めたりすることにより意欲的に解決に取り組めるようになってきている。しかし、解決  方法の見通しを持てなかったり、自分の考えを話したり、文章や図などで表現することを苦手とする児童も少なくな  い。   レディネステストの結果では、ある数を割り切れる数を、いくつかの数の中から見つけることは2/3の児童がで  きている。しかし、36を割ったときに余りが0になる数をすべて求めることができたのは数名である。また、0か  ら60までの範囲で、9の倍数(問題では倍数という言葉は用いていない)をすべて求めることは、ほとんどの児童  ができている。児童にとって、ある数を何倍かした数やわりきれる数を計算で求めること自体は比較的容易であるが、  複数の解をすべて求めるということは不慣れだと考えられる。   結果の見通しに関しては、自分なりに見積もることはできるが、その根拠を説明できないことが多い。方法の見通  しに関しては、自力では見通しを持てない児童も多いので、全体の場で方法を出し合いながら進めてきている。学習  のふりかえりの段階では、観点を与えて自己評価を記述式で行ってきており、学習の成果を確かめたり次時への課題  を持ったりすることができるようになってきている。 (3)指導にあたって   この単元は、3つの小単元から構成されている。ここでのねらいは、これまで量や順序を表すものとして扱ってき  た整数の見方から離れて、倍数、公倍数、約数及び公約数の観点から見ることを通して、整数についての理解を深め  ることにある。これは児童にとって新しい内容であり、公倍数や公約数の意味を理解するのは容易ではないと考えら  れる。   倍数、公倍数の指導の導入では、色板を敷き詰める具体的な問題場面を設定していく。解決においては数だけで処  理するのではなく、作図や操作活動も解決の手段とする。そして、求めた倍数は表や数直線に表すことにより視覚的  にとらえさせていく。このような活動をしっかりと行うことで、公倍数の意味や求め方をより明確にしていくことが  できると考える。   約数、公約数の学習でも具体的な問題場面を設定し、解決においては数だけで処理するのではなく、作図や操作活  動も解決の手段とする。解決の過程では、約数を順序よく表し見落としのないようにするために、表や数直線を活用  していく。   さらに、偶数、奇数の指導では、2で割って割り切れる(余りが0)か、割り切れない(余りが1)かによって、  偶数と奇数に分けるというように、観点を決めると整数はいくつかの集合に類別できるという、整数の基本的な性質  を理解させていく。   これらの活動を通して、自分なりの課題や見通しを持って問題解決ができるとともに、よりよい解決方法について  考えたり、自分なりの表現で学習したことをまとめることができるようになり、整数についての興味を持って意欲的  に学習に取り組む児童が育つであろうと考える。 (4)教材の関連と発展      4 年               5 年               中 学 +−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ |第1単元 | |本単元 | |・整数、小数、分数に関す| |・億、兆の位に及ぶ大きな| |・倍数、公倍数、最小公倍数| | る四則計算の可能性 | | 数 | | の意味とその求め方 | |・素数の意味 | |・十進数の意味 | |・約数、公約数、最大公約数| |・無理数、有理数の意味 | |・大きな数の加減計算 | | の意味とその求め方 | +−−−−−−−−−−−−+ |・3位数の乗法 | |・偶数、奇数の意味 | +−−−−−−−−−−−−+ |・整数の類別 | +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ |第12単元 | +−−−−−−−−−−−−−+ |・資料の分類整理と表し方| |第10単元 | +−−−−−−−−−−−−+ |・分数の相等関係 | |・通分、約分の意味とその方| | 法 | |・異分母分数の加減計算 | +−−−−−−−−−−−−−+ 3.単元の目標  ○関心・意欲・態度 ・倍数、公倍数、約数、公約数、偶数、奇数などの性質を、既習の整数の性質をもとにして調べようとする。  ○数学的な考え方 ・倍数、公倍数、約数、公約数などを求めたり、整数を偶数、奇数に類別したりするには、既習の整数の性質をも  とにして考えればよことに気づく。  ○表現・処理 ・倍数、公倍数、最小公倍数、約数、公約数、最大公約数を求めたり、整数を偶数と奇数に類別したりすることが  できる。  ○知識・理解 ・倍数、公倍数、最小公倍数、約数、公約数、最大公約数の意味とその求め方や、偶数、奇数の意味と、整数は偶  数と奇数に類別できることが分かる。 4.指導計画(別紙 目標分析表) (1)倍数と公倍数   ……3時間 (2)約数と公約数   ……3時間(本時2/3) (3)偶数と奇数    ……3時間 (4)まとめ      ……1時間 5.本時の指導 (1)ねらい   〈数学的な考え〉    ・約数の集合の共通部分に着目することによって、公約数を求めることができることに気づく。   〈知識・理解〉    ・公約数の意味とその求め方が分かる。 (2)本時の指導について   本時は、公倍数を求めた手順や約数の意味と求め方をもとにして、公約数の意味と求め方を考えていく。   問題把握では、2つの数をそれぞれ同じ数ずつに余りがないように分ける問題であることをとらえる。   結果の見通しでは、答えはいくつかありそうだということと、そのすべてを求めるのだということを確かめ、約数  を見落としのないように調べていくことを意識づけたい。そして、公倍数を見つけたときに用いた方法をもとにして、  まず、2つの数の約数を全部調べて、そのどちらにもある数を見つけていけばよいのではないか、という解決方法の  見通しを持って、自力解決に取り組んでいくようにする。   自力解決をしていくためには、手順の見通しを持たせるほかに、既習内容である約数の意味が理解できていること、  2つの整数について、それらの約数をすべて表記できていることが必要である。そこで、約数についての理解が不十  分な児童には、個別的に指導していきたい。   確かめの段階では、それぞれの約数を順番に並べていくと共通の数が見つけやすいことに気づかせていきたい。こ  のような手立てを取ることによって、自分なりの見通しを持って意欲的に問題解決に取り組むのではないかと考える。 (3)展開 +−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ |過 程| 学習活動 | 主な発問と予想される反応 | 教師の支援・評価 |資 料| +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |1.問題を把握する。| |・前時を想起し本時の学|問題文 | | | | 【問題】 | | 習の流れを確認する。| | | | |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |課|つ|| 鉛筆12本とノート16冊を、それぞれ同じ数ずつ何人かの子|| | | | | ||どもに分けます。 || | | | | || 鉛筆もノートもあまりがでないように分けられるのは、子ども|| | | |題|か||の人数が何人のときでしょうか。 || | | | | |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | | |○何を求める問題ですか。 | | | |の|む| |・ノートと鉛筆をあまりのないように分けら| | | | | | | れる子どもの人数 | | | | | | |○前の時間の問題とどんなところが違います| | | |把| | | か。 | | | | | | |・前の時間は1つのものを余りなく分ける問|・2つの数を、同じ数ず| | | | | | 題でしたが、これは2種類のものを分ける| つに分ける問題である| | |握| | | 問題です。 | ことを確認する。 | | | | | | | | | | | |2.課題をつかむ。 | | | | | | |+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | | ||2つの数をあまりがでないように分けるには、どんな数で分けれ|| | | | |5||ばよいか考えよう。 || | | | |分|+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |3.解決の見通しをも|○どんな数になるでしょう。 |・12と16両方の数の| | |解| | つ。 |・2、4 | 約数になる数を見つけ| | | | | |・約数 | ることが本時の課題で| | | | | |○どうやって見つけますか。 | あることを把握させる| | |決| | |・12と16の両方の約数を調べる。 |・公倍数のときと同じ手| | | | | |・12と16の両方の約数になっているもの| 順で求めればよさそう| | | |考| | を見つければよい。 | だということを見通さ| | |の| | | | せる。 | | | | | |○それぞれの約数はどんな表し方をしていき|・約数の求め方を想起し| | | | | | ますか。 | て、すべての約数を見| | |計| | | @12の約数と16の約数を順に書いてい| 落としなく求めて、表| | | | | | く。 | す方法を考えさせる。| | | | | | A数直線を使って、それに印を付けていく|・解決方法をプリントに| | |画| | | | 書き、自分の取り組む| | | |え| | | 方法をはっきり持たせ| | | | | | | る。 | | +−+ +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |4.自力解決をする。|@12の約数 |《解決の見通しをもたな|ヒントカ| | | | | 1、2、3、4、6、12 | い子供への指導》 |ード | |解| | | 16の約数 |・わり算で、12、18| | | | | | 1、2、4、8、16 | を割り切れる数を求め| | | | | | 答え 1人、2人、4人のとき | させ、数直線に印を付| | |決|る| | | けさせる。 | | | | | | |《解決ができた子どもへ| | | | | |A12の約数 | の指導》 | | |の| | |0 1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12 13 14 15 16 |・自分の考えを説明でき| | | | | |+++++++++++++++++++++ | | | | | | | るように、言葉や図な| | | | | | 16の約数 | どで表現させる。 | | |実| | |0 1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12 13 14 15 16 |+−−−−−−−−−+| | | | | |+++++++++++++++++++++| || | | | | | ||既習の方法を使って|| | | | | | 答え 1人、2人、4人のとき ||それぞれの数の約数|| | |行| | | ||を求め、2つの数の|| | | | | | ||公約数を見つけるこ|| | | |15| | ||とができたか。 || | | |分| | |+−−−−−−−−−+| | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |5.自分の考えを発表|○どのようにして答えを見つけましたか。 |・自分の考えと比較し、|画用紙 | |解|確| し合い、確かめ合う| | それぞれの考えのよさ|マジック| | | | |@12の約数と16の約数を順に書いて、ど| を見つけながら発表を| | |決| | | ちらの約数にもなっている数を見つけまし| 聞きかせる。 | | | |か| | た。 | | | |の| | | 12の約数 |・問題の答えは1、2、| | | | | | 1、2、3、4、6、12 | 4であり、12も16| | |検|め| | 16の約数 | もわりきれる数である| | | | | | 1、2、4、8、16 | ことを確かめる。。 | | |討| | | 答え 1人、2人、4人のとき | | | | |る| | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | | |A数直線に12の約数と16の約数を印を付|・共通の約数を探すには| | |解|確| | けて、どちらの約数にもなっている数を見| 数直線などを用いて、| | | | | | つけました。 | 約数を順番に並べると| | | | | | 12の約数 | 分かりやすいことに気| | |決|か| |0 1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12 13 14 15 16 | づかせる。 | | | | | |+++++++++++++++++++++ | | | | | | | | | | | | | 16の約数 |・どちらの方法でも、そ| | |の|め| |0 1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12 13 14 15 16 | れぞれの約数をもれな| | | | | |+++++++++++++++++++++ | | | | | | | く見つけることが大切| | | | | |答え 1人、2人、4人のとき | なことをおさえる。 | | |検|る| | | | | | | | |○それぞれの求め方で似ているところはどこ|・12と16の約数を求| | | | | | でしょう。 | め、両方に共通する数| | |討| | |・12の約数と16の約数を調べて、どちら| を求めたことを確認す| | | | | | にもある数を見つけているところが同じ。| る。 | | | | | | | | | | | | 用語「公約数」を知|○1、2、4は、12の約数にも16の約数| | | | | | る。 | にもなっている整数です。このように、い| | | | |15| | くつかの整数の共通な約数を、これらの整| | | | |分| | 数の公約数といいます。 | | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ | | |6.学習のまとめをす|○2つの数をあまりがでないように分けるに|+−−−−−−−−−+| | |一|ま| る。 | は、どのようにすればよかったですか。 ||公約数の意味を理解|| | | | | |・2つの数の公約数を求めればよい。 ||できたか。 || | |般| | | |+−−−−−−−−−+| | | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |化| | |2つの数をあまりがでないように分けるには、公約数を使う || | | | |と| |とよい。 || | | |・| | |いくつかの整数の共通な約数を、これらの整数の公約数という。| | | | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |適| | | | | | | | | | | | | |用|め|7.適用問題を解く。|@6と9の公約数を全部書きましょう。 |・早く終わった児童には|数直線 | | | | |A18と24の公約数を全部書きましょう。| 他の問題も練習させる| | |・| | | | | | | | | | | | | |発| |8.本時の学習をふり|○今日の学習の感想をかきましょう。 |・本時の学習の流れを振| | | | | 返る。 | | り返り感想の視点を与| | |展| | | | える。 | | | |10|9.次時の学習につい|○次の時間は公約数を使っていろいろな問題|・次時の学習への意欲づ| | | |分| て知る。 | を解いていきましょう。 | けをする。 | | +−+−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−+ (4)板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+| |問題 | |課題 | |いくつかの整数の共通な約数を、|| | | | 2つの数をあまりのでないよう| |これらの整数の公約数といいます|| | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |に分けるられるのは、どんな人数| | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |のときか考えよう。 | |まとめ || +−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+ | || | |2つの数をあまりのでないように|| |見通し 答え |分けられるのは、人数が12と16の|| ・それぞれの約数→共通の数 |公約数のときである。 || | +−−−−−−−−−−−−−−−+| | ・計算 | | ・順番に | | ・数直線 | | | | 適用問題 | | +−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−+ | | |児童の考え | |児童の考え | 数直線図 | | | | | | | | |@ | |A | | | +−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−+ | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+