印刷用紙:B4縦 1ページの行数:51 1行の文字数(半角で):116   −−以下 指導案本文−−    第6学年  算数科学習指導案                                日 時  平成8年10月22日(火)1校時                                児 童  6年3組 男19名 女18名 計37名                                指導者  高 橋 美 奈 子 1.単元名   立体 (東書・新しい算数6年下p30〜p43) 2.単元について   1教材について     図形教育のねらいのひとつに、基本的な図形の概念形成と共に、空間概念を豊かにすることがあげられる。     空間概念は、具体的にいうならば、3次元の図形である柱体や錐体を、展開図や見取図、立体図や平面図という2次元    の図形でとらえたり、逆に展開図から柱体や錐体をとらえたりするという活動の経験を与えることによってつちかわれる    ものである。児童は、立体図形については、低学年では、ものの形についての観察や、箱の形を作ったり分解したりする    操作を通して、構成要素(面、辺、頂点の数、面の形や大きさ)に着目することを学習してきている。4学年では、直方    体、立方体についての基本的な性質を理解させるとともに、辺や面の平行、垂直関係などに着目させ、それら二つの図形    を弁別したり、作ったりするなどして理解を深めてきている。5学年では、体積の学習を通して、単位立方体の積み木を    すき間なく積み重ねることで、体積とは、縦や横の方向だけではなく、上にも広がっている(3次元の量)という空間と    しての広がりを意識づけてきた。     6学年では、これらの既習事項を前提に、角柱(直角柱)、円柱(直円柱)及び角錐(正角錐)、円錐(直円錐)を取    り上げ、これらを構成している要素(底面、側面)や、要素間の関係、高さなどについて理解させる。また、立面図や平    面図による立体図形の表現や考察を通して、立体図形としての特徴をとらえさせ、3次元の図形に対する理解を一層深め    ようとしている。   2児童の実態     レディネステストの結果を見ると、立方体と直方体の構成要素(面、辺、頂点)については理解しているが、「直方体」    を「長方体」と回答した児童が半数近くいた。また、面の位置関係は正答率が高かったが、辺の位置関係については、平    行な辺や垂直な辺を全て見つけることができない児童が多かった。特に、垂直な辺は正答率が21%と低く、接していな    い辺どうしを垂直の関係にあると回答している児童も数名見られた。これは、既習事項が定着していないこと、3次元で    の位置関係をうまくとらえられないことが原因と考えられる。また、対称な図形や図形の拡大、縮小の学習では、既習の    学習内容を想起しながら見通しをもち、自力で解決にあたろうとする児童が多かった。しかし、既習事項が定着していな    いために方法の見通しが困難な児童や、作業の速さの点で個別指導を要する児童もいる。方法の見通しに関しては、既習    事項をもとに自力で見通しを持つことができない児童がいるため、全体の場で具体的な方法を出し合い、一人一人に見通    しをもたせ、意欲を高めるように授業を組んできた。     自力解決の段階では、いく通りかの解決方法に取り組もうとする児童が多いが、自分の考えや解決方法を順序よく筋道    を立てて説明する力は、個人差が大きい。また、見通しは持っていても、自力解決の段階になって既習事項が定着してい    ないために解決に戸惑う児童が数名いる。自己評価に関しては、本時の課題からまとめまでの流れを振り返った上で、評    価の観点を与えて記入させてきた。その結果、本時で学習したことをもとに「次の時間にはこんなことを学習したい」と    いう意欲を持てるようになってきている。     以上のことから、本単元に入る前に、既習の立方体や直方体の概念や平面や直線の平行・垂直関係、展開図について十    分に想起させ、補充指導をする必要がある。また、本単元では、具体物を観察したり、分解したり構成したりという活動    を重視することが大切であると考える。   3指導にあたって     本単元では、柱体・錐体などの模型を観察しながら立体図形の構成要素や位置関係を理解し、展開図の読み方、かき方    についても作業を通して学習するので、児童は意欲的に学習に取り組むと思われる。     しかし、本単元の学習の前提となる既習事項が定着していなければ、見通しを持つことも自力で解決にあたることも困    難である。そこで、次の4点を既習内容として押さえ、習熟を図り学習を進めていきたい。      @立方体、直方体の概念と性質が分かること。      A展開図から立方体、直方体を想像したり、立方体、直方体の展開図をかいたりすることができること。      B立方体、直方体の面や辺の位置関係が分かること。       C三角形、四角形を作図できること。     また、この単元で重要なことは、立体図形の構成要素や性質などを、単に記憶させるだけでなく、それらを調べる方法    を学ばせることである。したがって、実際の観察など具体的な立体に即して、実証的に学習を進めていかなければならな    いと考える。そこで、単元の導入では、模型を実際に観察させながら、いくつかある立体図形の相違点や共通点に着目し    て分類させる活動を重視する。その際、柱体と錐体の区別はとんがっている、まっすぐだという直感的な把握にとどまら    ずに、4年生で学んだ平行、垂直を想起させながら、底面と側面が垂直に交わっているかどうか、二つの底面が平行であ    るかどうかなどを調べさせ、その違いを言葉でまとめられるようにしていきたい。その後、柱体(角柱、円柱)について    取り上げ、模型を観察しながら、側面や底面などの図形の構成要素や要素の形や数、および相互関係などについて実証的    に理解させるとともに、高さの意味や展開図の読み方、かき方などについても指導していく。続いて取り上げる錐体(角    錐、円錐)についても、柱体の学習と同様に進め、空間における図形としての特徴をつかませていきたい。さらに、立面    図、平面図を組み合わせて立体図形を表現したり、その表現された図から立体を読み取ったりする活動をするなどして、    立体図形についての理解を深めさせたい。     見通しの段階では、自力で解決の見通しを持てるように、常に既習内容と関連づけて考えさせていく。     自力解決の段階では、念頭操作のできない児童へは立体模型や助言を与え、自力で解決するための手立てとしたい。ま    た、自分の発見や考えを自分の言葉で説明できるように、プリントに文章で表現させる。振り返りの段階では、学習の流    れを振り返り自力で解決できたことを認め、成就感、達成感を味わわせるようにする。     以上のことに留意した学習を継続することにより、自分なりの見通しを持ち、意欲的に問題に取り組めるようになると    考える。   4教材の関連と発展    《4年》               《6年》               《中学》 +−−−−−−−−−−−−−−+   +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ |第14単元 | |本単元 | |・多面体、正多面体の概念 | |・直方体、立方体の概念 | |・柱体の概念、性質 | |・角柱や円柱は、多角形や円を| |・面や辺、頂点に関する性質 | |・柱体の展開図の見方、かき方| | それと垂直な方向に平行移動| |・直方体、立方体の大きさの決| |・錘体の概念、性質 | | してできた立体ととらえるこ| | 定要素 | |・錘体の展開図の見方、かき方| | と | |・直方体の見取図 | |・立体の立面図、平面図の初歩| |・円柱、円錐を回転体としてと| |・直方体、立方体の展開図 | +−−−−−−−−−−−−−−+ | らえること | |・直方体の辺や面の位置関係 | |・多面体の頂点、辺、および面| | (垂直、平行) | | の間の関係 | |・平面上や空間にある点の位置| +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ | の表し方 | |第12単元 | +−−−−−−−−−−−−−−+ |・柱体の体積、表面積の求め方| |・錘体の体積、表面積の求め方| +−−−−−−−−−−−−−−+ 3.単元の目標  ○ 関心・意欲・態度   ・身のまわりから、柱体や錐体の形をしたものを見出そうとする。  ○ 数学的な考え方   ・角柱や円柱、角錐や円錐などの構成要素に着目すると立体が分類できることに気づく。   ・図形の性質を、構成要素に着目して見つけ出すことができる。  ○ 表現・処理   ・角柱や円柱、角錐や円錐などの展開図や簡単な場合の投影図をかいたりするとともに、それから立体を組み立てたり、そ    れぞれの立体を類別したりすることができる。  ○ 知識・理解   ・角柱や円柱、角錐や円錐の概念やその性質が分かる。 4.指導計画 (別紙 目標分析表による)   1角柱と円柱       ・・・・・6時間(本時4/6)   2角錐と円錐       ・・・・・6時間   3真正面、真上から見た形 ・・・・・2時間   4まとめ         ・・・・・1時間 5.本時の指導   1ねらい   〈関心・意欲・態度〉 角柱の性質を活用して展開図をかき、角柱をつくろうとする。   〈表現・処理〉    角柱の展開図をかいたり、それを組み立てたりすることができる。   2本時の指導について     立体図形の理解を深めるために、展開図をかいたり組み立てたりする活動を通して、展開図から立体を想像したり、逆    に立体から展開図を想像したりすることを大切にしたい。そこで、見通しの段階で、フリーハンドでおよその展開図を予    想させ、どんなことに気をつけてかいたのかを問うことで、前時までに学習した三角柱の構成要素(底面や側面の形、数)    に着目させる。自力解決の段階では、切り取った展開図を組み立てたり分解したりする活動をさせ、面と面、辺と辺の関    係をとらえさせる。また、確かめる段階で、三角柱を作ることができる展開図を、底面と底面、底面と側面の位置関係か    ら判断させる。さらに、自己評価の手立てとして、自分のかいた展開図で見取図と同じ三角柱を作ることができたという    成就感をもたせる。     このような手立てを取ることにより、自分なりの見通しを持ち、意欲的に問題に取り組むのではないかと考える。   3展開 +−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |過 程| 学 習 活 動 | 主な発問と予想される反応 | 教師の支援・評価 | 資 料 | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | | |1.問題を把握する。 | | | | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | 6cm | | |・問題文 | |課|つ| | −−−−− | | | | | | | | 厚紙で右の図のような 6cm 6cm | | | | |題| | | 三角柱を作りましょう。 15cm | |・見取図と同じ三角柱を自分| | | |か| | | |で作るという意欲を持たせる| | |の| | | | | | | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |把|む| | | | | | | |2.課題をつかむ。 |○三角柱を作るためには、何をかけばよ|・4年生で学習した立方体や|・立方体、| |握| | | いでしょう。 |直方体の展開図を想起させる| 直方体の| | | | | ・展開図 | | 展開図 | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |・展開図とは何かを確認する| | | |5| | どんな展開図をかけばよいか考えよう。 | | | | | |分| +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | | |3.解決の見通しを持つ。|○どんな展開図になるか予想をフリーハ|・根拠(三角柱の構成要素、|・プリント| | | | | ンドでかいてみましょう。 |要素間の関係)をもって展開| | |解| | | |図を予想させる。 | | |決| | |○どんなことに気をつけてかきましたか| | | |の| | | ・底面や側面の形、数 |・前時までの既習事項を想起| | |計| | | ・面と面のつながり方 |させ、三角柱の構成要素、要| | |画| | | ・どの辺で切るのか |素間の関係を確認する。 | | | | | | | | | | | | |○どんな手順で書きますか。箇条書きで| | | | | | | @AB・・・と書いていきましょう。| | | +−+ +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |考|4.自力解決をする。 |○面と面のつながりに気をつけて展開図|〈見通しのたたない児童へ〉|・画用紙 | | | | | をかきましょう。 | 厚紙で作った模型の一部を|・方眼 | | | | |@ A |切り開いて見せたり、立体模| 画用紙| | | | | −−− |型を紙の上に写させたりする|・マジック| | | | | | |・三角柱の| | | | | |〈DEをかいている児童へ〉| 模型 | | |え| | |・底面と底面、底面と側面の|・三角定規| |解| | | |位置関係を想起させる。 |・ものさし| | | | | | |・コンパス| | | | |B C |〈解決ができた児童へ〉 |・はさみ | |決| | | |・かいた展開図を切り取って| | | | | | |組み立て、三角柱ができるか| | | |る| | |どうか確認させる。 | | |の| | | |・組み立てたり開いたりする| | | | | | |操作をさせ、面と面、辺と辺| | | | | | |の関係をつかませると共に、| | |実| | |D E |どの辺で切り開いた展開図か| | | | | | |を明確にさせる。 | | | | | | | | | |行| | | |〈進んでいる児童へ〉 | | | | | | |・ほかの形の展開図を考えさ| | | | | |F |せる。 | | | | | | |+−−−−−−−−−−−+| | | | | | ||・三角柱の展開図を工夫|| | | | | | ||してかくことができたか|| | | |15| | || (プリント)|| | | |分| | |+−−−−−−−−−−−+| | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | | |5.解決の結果の発表をも|○どんな展開図をかきましたか。 |・DEがでない場合は、提示|・掲示用 | | | | とに話し合う。 | ・@〜F |する。 | 展開図| | | | | |・辺の位置関係、高さを確認|・模型 | | | | |○どの展開図で三角柱ができそうですか|する。 |・マジック| | | | | また、それはなぜですか。 |+−−−−−−−−−−−+| | | | | | ・@ABCF ||・三角柱ができる展開図|| | | | | | ・側面が3つ 底面が2つ ||を、底面や側面の数およ|| | |解|確| | ・底面の辺の数と側面の数が同じ ||び位置関係などの角柱の|| | | | | | ・底面が合同 ||性質から判断することが|| | | | | | ・底面が側面の上と下についている ||できる。(発言・挙手)|| | |決|か| | |+−−−−−−−−−−−+| | | | | | | | | | | |6.三角柱を組み立て、確|○展開図を切り取り、三角柱ができるか|・見取図と同じ三角柱ができ|・セロテー| |の|め| 認する。 | どうか組み立ててみましょう。 |たことを確認させる。 | プ | | | | | | | | | | | |○展開図で高さはどこですか。また、底| | | |検|る| | 面の周りの長さはどこの長さと同じで| | | | | | | すか。 | | | | | |7.類題を解く。 | |・底面を横にした角柱につい| | |討| | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |て底面や高さをとらえさせ、| | | | | | | |角柱の概念をいっそう明確に|・問題文 | | | | | 右の図のような 5cm 3cm | |させる。 |・模型 | | | | |三角柱の展開図を | |+−−−−−−−−−−−+|・展開図 | | | | |かきましょう。 4cm | ||・底面のどの辺が側面の||・プリント| | | | | | ||どの辺につながるかを見|| | | | | | 7cm | ||通しながら展開図をかく|| | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ ||ことができたか。 || | | |18| | || (プリント)|| | | |分| | |+−−−−−−−−−−−+| | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | | |8.学習のまとめをする。| | | | | | | +−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | 三角柱の展開図は、二つの底面が組| | |・プリント| |一| | |み立てたときに平行になるように、側| | | | | |ま| |面の上と下につくようにかく。 | | | | |般| | +−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | | | | |と| | | | | |化| |9.適用問題を解く。 | |・他の角柱の展開図も三角柱| | | |め| +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |の展開図と同様になることを|・問題文 | |・| | | 五角柱ができる展開図はどれですか。 | |模型を切り開いて見せること|・五角柱の| |適|る| +−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |により確認する。 | 模型 | | | | | | | | |用| |10.本時の学習を振り返る|○今日の学習を振り返って、思ったこと|・三角柱を完成させたがんば|・プリント| | | | | を書きましょう。 |りを認める。 | | | | | | | | | | |7|11.次時の学習について知|○次の時間は、円柱の展開図をかいて、|・次時の学習への意欲づけを| | | |分| る。 | 円柱を作ってみましょう。 |する。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+   4板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−まとめ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| || | | 三角柱の展開図は、二つの底面が組み立てたときに平行に|| || | |なるように、側面の上と下につくようにかく。 || || 問 題 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| || | チャレンジ | || | +−−−−−−−+ +−−−−−−−+ +−−−−−−−+| |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | || |+−課題 −−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 児童の考え | | 児童の考え | | 児童の考え || || どんな展開図をかけばよいか考えよう。 | | | | | | || |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−+ +−−−−−−−+ +−−−−−−−+| | 見通し +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| |+−−−−−++−−−−−+ ・底面の形・数 | || ||およその形||およその形| ・側面の形・数 | 練 習 || || || | ・面と面のつながり | || |+−−−−−++−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+