印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):98   −−以下 指導案本文−−   第2学年算数科学習指導案 期 日 9月13日 (金) 1校時   児 童 1組 男17,女16 計33名 指導者 山 内 一 枝 場 所 2年1組 教室 1 単元名 「10.三角形と四角形(東京書籍 2年 下)」 2 単元について (1) 教材観  第1学年で児童は,身の回りにある具体物について,観察したりそれを用いた形作りなどの操作活動    を通して,基本的な立体図形や平面図形について目を向けさせ,初歩的な理解を深めてきている。その    活動の中で,「さんかく」「しかく」「まる」といった日常語で図形に名称を与えることも学習してき    ている。  本単元では,前学年の初歩的な学習を基盤にして,三角形,四角形などの図形を構成する要素と数に    着目させ,基本的な平面図形を弁別する観点を与え,それによって三角形,四角形などを定義し,それ    を用いて図形を弁別できるようにする。  さらに,直角の概念を導入し,辺の長さを比較するなど図形を弁別する観点を広め,長方形,正方形,    直角三角形を定義する学習を積み重ねることによって,基本的な平面図形の概念を明確に理解させる    ことが主たる学習内容である。  このあと第3学年では,角の概念をもとにした二等辺三角形,正三角形,第4学年では,平行,垂直    をもとにして平行四辺形,ひし形,台形の学習へと発展していくことになる。したがって,本単元の学    習は,第1学年での経験的な学習を基盤にした,本格的な図形学習の第一段階と位置づけられる。 (2) 児童観  事前テストの結果をみても,児童は生活の中で「さんかく」とか「しかく」という言葉を,頻繁に使    っていることがわかる。また,具体的な形としても見慣れている。だが,それらにはっきりした定義が    あるわけではない。「さんかくのおかし」とか「さんかくやま」のように三角形でないものまで「さん    かく」と呼んでいる。「しかく」についても同様である。  したがってここでは,三角形,四角形とは,どんな形をいうのかということについて,はっきり約束    することによって三角形,四角形とそうでないものとをはっきり弁別できるようにすることが,主とし    た学習のねらいとなる。  この学級の児童には,算数が好きだという反応が多くあり,学習に対しては一生懸命になって取り組    んでいる。しかし,やや恥ずかしがるところがみられ,自分の考えをみんなの前で発表することは,十 分育っているとはいえない状況である。 (3) 指導観  いろいろな図形を組み合わせていくと何ができあがるであろうかという提示によって,本単元の学習    に対する児童の興味と関心を高めるような導入にしたい。次に,タワーを構成している図形を仲間分け    するという具体的な活動を通して図形の定義の必要性を知らせる。そのうえで,三角形,四角形を構成    する要素に着目させてそれらの図形を定義し,それに基づいて弁別したり,作図したりする学習を通し    て,三角形,四角形の概念の理解を明確なものにしていく。  教科書のかどや三角定規の直角を用いて,教室内で直角になっている部分を探す活動を通して,直角    の理解を確実なものにしていく。それに続いて,四角形の構成要素である直角と辺の長さに着目させて    長方形,正方形を定義し,方眼を活用して指定された図形を作図する活動を通して,概念理解が確実な    ものになるようにしていく。     それらの図形を対角線に沿って切ったときできる図形ということで関連づけて直角三角形をとらえさ    せてそれを定義する。さらに,合同な直角三角形を2つ,あるいは4つ合成すると長方形や正方形がで    きることを操作活動を通してとらえさせ,段階的にではあるが,図形を対角線で切って部分としてとら    えたり,いくつかの図形の総体としてみる見方を理解していけるようにもしたい。  本時の指導にあたっては,3つの点を直線で結んだ形が三角形,4本の直線で囲まれた形が四角形で    あると教え,それらを正しく弁別できるようにさせることは比較的容易にできることである。しかし,    ここで大事にしたいことは,自分が思っていた三角形や四角形と友達のそれとの間にずれがあるという    事実を知ることである。そのことによって,日常用いてきた言葉のそういうあいまいさを解消する必要    を児童に感じとらせたい。そのあとで,図形を概形だけにとらわれて観察したり,とらえたりするだけ    ではなくて,それを構成している要素としての辺や頂点に着目させて,それらを用いて図形を明確に表    した約束の言葉を知らせるような指導の流れで展開したい。     事前調査の結果を見ると、図形を概形でとらえ,それを日常使用している用語さんかく,しかく,ま    ると答えることはできている。     また,三角形と同じ形を見つける2(1) については,安定した位置のみ答えたり,開いた図形をあげ    た誤答がみられた。     四角形2(2) については,一般の形の四角形が答えられていない誤答が多くみられた。     同じ大きさの図形を作図することについては,同じということを相似形と考えている誤答や直線を同    じ傾きにとれていない誤答がみられる。    児童のこのような事前の反応をしっかりとらえておいて,該当する個所の指導の際に配慮していきたい。 3 単元の目標 (1) 単元の主目標 @ 平面図形に興味をもち,三角形,四角形について,これらの図形を構成する要素に着目して,その概    念を理解するとともに,身の回りのものの中から三角形や四角形を見つけだそうとする。 A 直角の概念を理解する。 B 長方形,正方形,直角三角形の概念とその性質を理解するとともに,身の回りのものの中からそれら    の図形を見つけだそうとする。 C 図形に関する用語について理解し,それらを正しく用いることができるようにする。 D 三角定規を使った長方形,正方形,直角三角形の,方眼を利用した書き方になれる。 (2) 学習指導要領との関連 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | @ 目標 | | 図形を構成する要素に着目して,基本的な図形の概念について漸次理解できるようにする。 | | A C 図形 | | ものの形について具体的な活動を通して考察し,基本的な図形の概念について漸次理解できるよう| | にする。 | | イ 図形を構成する要素に着目して,三角形,四角形などについて知ること。 | | ウ 正方形,長方形,直角三角形などについて知り,それらをかいたりつくったりすること。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 4 本時の指導 (1) 本時の目標  辺や頂点に着目して三角形,四角形,そのどちらでもない図形に分類することができる。 (2) 指導上工夫したこと ・ 学習課題を提示する際に,教師がいろいろな図形のカードを一枚ずつはっていって最後にタワーとな るようにすることで,これから何が始まるのだろうという,本時の学習に対する意識化と意欲化を図り たい。 ・ 児童が実際に仲間分けをしたり,図形の共通点やちがいを発見するため操作活動ができるように,タ ワーを構成しているカード12枚を個々に持たせることにする。図形のカードを実際に手に取って観察し たり,動かしたりして仲間分けをしていく活動を取り入れることは,学習の意欲を高め,理解を確かに すると考えるからである。 ・ 三角形,四角形を定義することを急がずに,まず,自分が今まで考えていた三角形や四角形と友達の ものとの間にはずれがあるということに気づかせるようにしたい。そのあいまいさを解消する必要性を 知らせることが,図形を定義することのよさの理解につながると考えるためである。 (3) 本時の活動 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |段 階| 学習活動と主発問 | 予想される児童の反応 | 活動への支援・評価 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |1 問題をとらえる | いったい何ができるのだ|○多様な思考を促す問題解決のた| | | | +−−−−−−−−−−−+|ろう |め,子供の学習意欲を高める問題| | | | | || |内容の構成と提示を工夫する | |つ|つ| | || | | | | | | || わかった,テレビ塔です| 何ができるだろうかと意識を集| | | | | || タワーだと思います |中させ,親しみを持たせるような| | | | | || 水族館だと思います |題材を提示して,本時の学習内容| | | | | || |対して興味と意欲をもたせる | | | | | || | | | | | | || | | |か|か| | || | | | | | +−−−−−−−−−−−+| | | | | |◎タワーは,いろいろな形から|まるとか,四角とか,三角| 名称は,日常使用してる言葉で| | | |できていますが,どんな形があ|です |表現させる | | | |るでしょう |半円とか,斜めになった四| | | | |2 学習課題を考える |角とかを使っています |○既習内容を経験を想起させなが| | | |◎今日は,どんなことを勉強し| いろいろな形について調|ら図形を観察させて,学習課題を| |む|む|ていきたいですか |べたいです |明確にする | | | |・いろいろな形があるので,ま| 三角や四角について調べ| | | | |ず,仲間分けをしてみましょう|たいと思います | 多く含まれている三角や四角に| | | | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+|注目させて学習課題が予想できる| |7|7| | タワーを作っているいろいろな形を仲間分けしよう ||ようにする | |分|分| +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+| | | | | |仲間分けの勉強をするんだ| | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |み|3 予想する | かどのかくっとした曲が|○既習内容を想起させ,課題解決| | | |◎どんなところを見て分けたら|り方や丸いところを見ると| の見通しを立てさせる | | |と|いいでしょうか |いいと思います | 自由に発表させる中から,頂点| | | | | おなじかどやまっすぐな|の数や辺に着目して図形を見るこ| |し|お|◎分けたら,どんな仲間ができ|線や曲がった線を見たらい|とに気がつくようにする | | | |るでしょうか |いと思います | 結果について,大まかな見通し| | |す| | 三角や四角やまる,半ま|をもたせてから,一人学びに取り| | |5| |るの仲間があると思います|組ませる | | |分| | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | |た|4 ひとり学びをする | |○各自が,見通しに基づいて,カ| |ら| |◎12枚のカードを仲間分けしま| 初めに三角をやって,次|ードを操作しながら思考実験に取| | | |しょう |に四角の仲間を作ろう |り組んでいけるよう支援する | | | |・分けたら,用紙にはってそれ| 仲間は全部でいくつでき| 机間指導によって,一人一人の| | | | | − san2-1 3 − | | | |し|がどんな仲間か名前を付けて書|るのかな |解決状況を把握し,学び合いに活| | | |いておきましょう | どんな名前を付けようか|かすようにする | | | | | 2や11はどの仲間に入れ| 曲線の混じった図形をどこに分| | | | |たらいいのかな |けたらいいかで迷うと思われる | | |か|5 学び合いをする | | | | | |◎どんな仲間に分けましたか,| | | | | |結果を発表してください。 | | 児童の解決結果を受容的に受け| |べ| |(1) (2) (3) |止める | | |め| さんかく(4,5,6|さんかく(4,5,6 |さんかく(4,5,6 )| うまく発表できない児童には,| | | | 11)| )| |発表が完結できるように援助する| | | | しかく(2,8,9,|しかく(8,9,10, |しかく(8,9,10,12 | | | | | 10,12,)| 12)| )|◇ 評価 | | |る| まる( 1 ) |まる( 1,2,3,7, |まる (1,11) |〈1次〉発表を聞き,自分の解決| | |13| はんまる(3,7)| 11) |はんまる (3,7) |と同じ発表にネームプレートをは| | |分| |ることができる | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |6 まとめをする | |○練り上げの視点 | | | |◎三角の仲間を比べて見ましょ| 4と5と6がどれにも入っ | 妥当性,関連性の視点から3つ| |る|ま|う。どの発表にも入っている形|ています |の解決の仕方を検討し合う | | | |はどれでしょう。 | はじめの発表にだけ11が| 厳密に検討を進めていくのでは| | | | |入っています |なくて,まず,いつも使っている| | | |・ 4,5,6は,どこが似ているで| どれも3本の直線で囲ま|言葉の意味だとあいまいなこと,| | | |しょうか |れています |これから学習ではっきりさせれば| | |と|・ 11はどのようになっていま | 曲がった線が1本ありま|いいことを確認しておく | |33| |すか |す | | |分| | | 直線の数が違っているの| 明瞭性,一般性については,今| | | | |で仲間には入らないと思い|まで図形を概形でとらえていたこ| | | | |ます |とによるあいまいさが,辺や頂点| | |め|◎四角についても,同じように| 8,9,10,12がどれにも入 |に着目したことによって,はっき| | | |調べてみましょう |っています |りさせることができたというよさ| | | | | どれも4本の直線で囲ま|と結びつけてとらえられるように| | | | |れています |したい | | | |・2 はどのようになっているで| 2 は,直線が3本で,曲| | | |る|しょうか |がった線が1本あります | | | | | | 2 は仲間に入らないと思| | | | | |います | | | |15|◎三角形,四角形についてまと| |○三角形,四角形を関連付けてと| | |分|める | |らえられるようにする | | | |+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | | | | || 3本の直線で囲まれた形を三角形といいます | | 辺が途中で切れた図形やかどが| | | || 4本の直線で囲まれた形を四角形といいます | |丸くなっている図形を提示し,理| | | |+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |解を確実にする | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ |ひ|ひ|7 振り返りをする | | 授業全体を振り返り,感想や印| |ろ|ろ|◎ 今日の学習を振り返って | 図形を動かして考えたの |象をまとめ学習への価値付けを図| |め|め| みましょう |で,楽しかった |る | |る|る| | 三角や四角の形をはっき |◇ 評価 | |5|5|・次時の学習内容を知る |りさせることができてよか|@ 学習の感想 A 自分の努力 | |分|分| |った |B 友達のよさ | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ 5 成果と課題 (1) 成果 問題提示の工夫によって,児童の学習への集中力と課題解決意欲を高めることができた。また,個々に図  形を与えて操作活動を行わせたので,一人一人が自分の解決を見つけだすことができた。 (2) 課題 提示した図形の数と種類が多く,学習課題も「いろいろななかまわけ」と広げたので,本時の課題である  三角形,四角形それぞれの共通性と他の図形との相違に対する意識がやや薄らいだ。低学年では,「さんか  くのなかま」「しかくのなかま」という課題にし,それに注目させた方がよかったのではないかと思われた。 6 板書計画 +−−−−+ +−−−−−+ |もんだい| | け っ か | +−−−−+ +−−−−−+ +−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ |(1) |(2) |(3) | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+ 〈 −−−− ネームプレートをはる −−−− 〉 +−−−−+ +−−−−+ |か だ い| |ま と め| +−−−−+ +−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | いろいろな形をなかまわけしよう | | 3本の直線でかこまれた形を | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 三角形といいます | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−+ |よ そ う| +−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ・ か ど ・ さんかく | 4本の直線でかこまれた形を | ・ しかく | 四角形といいます | ・ まっすぐなせん ・ まる +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ・ はんまる