第4学年 算数科学習指導案

授業実践期間   平成9年9月11日(木)〜10月6日(月)
授業実践学級   石鳥谷町立石鳥谷小学校第4学年
  男 13 名 女 15 名  計 28 名
授業者   姉 帯 千 津 子  (長期研修生)

1 単元名  四角形(東京書籍「新しい算数 4上」

2 単元について

 本単元は,学習指導要領の内容「C 図形(1)図形を観察したり構成したりすることを通して,基本的な平面図形についての理解を深めるとともに,図形を構成要素及びそれらの位置関係に着目して,考察できるようにする。」のもとに,「ア 直線の平行や垂直の関係について理解すること」,「イ 平行四辺形,台形,ひし形などについて知ること」及び「ウ 四角形について,作図などを通して,それらの相互の関係に着目すること」をねらいとして設定されている。

 児童は,これまでに,1学年で長方形,正方形を「しかく」として扱い,2学年では,それらの図形を頂点や辺などの数,辺の長さや角の大きさに着目して類別し,「正方形」「長方形」の用語を用いてその定義,性質を理解してきている。また,3学年で,角の概念をつかみ,4学年では,角の概念,性質について知り,角のかき方まで学習してきている。しかし,新たな概念や性質,用語を理解し,作図の学習を進めていくことは,児童にとっては,容易ではないと思われる。

 そこで,指導に当たっては,第一小単元で,図形の基本概念である垂直,平行な直線についての学習を身近な校区の道路地図を使って行い,2直線の位置関係の理解を図り,作図の仕方を身に付けさせる。小単元の適用・習熟を図る段階では,身の回りのものの垂直・平行関係を調べる活動を行い,概念を明確でより身近なものとさせたい。第二小単元では,第一小単元で学習した垂直・平行の概念を元に長方形から四角形を切り取ったり,長方形を重ねたりして台形,平行四辺形,ひし形の性質をおさえさせる。小単元の適用・習熟を図る段階では,学習したことを使って,ゲームを行いながら弁別能力を高めさせたい。最後に,単元の適用・習熟を図る段階として,定義や性質などを使って,身の回りにあるものを作る活動を行い,学習したことを生活に結びつけて考える力を育てていきたい。

 3 単元の目標

〔関心・意欲・態度〕・身のまわりから,垂直や平行の関係にある直線,台形,平行四辺形,ひし形などの形を見出そうとする。

〔数学的な考え方〕 ・四角形を対辺の平行,辺の長さや角の相等などの観点でとらえることができる。

〔表現・処理〕   ・図形の定義や性質を用いて,台形,平行四辺形,ひし形などの作図ができる。

〔知識・理解〕   ・直線の垂直や平行,台形,平行四辺形,ひし形などの定義や性質が分かる。

 

4 指導計画   (15時間扱い,*は指導過程試案に基づいた授業実践である。)

第一次  直線の交わり方と並び方・・・・・・・6時間
(1)「垂直」の位置関係の理解・・・・・・・・1
(2)垂直な直線のかき方・・・・・・・・・・・1
(3)「平行」の位置関係の理解・・・・・・・・1
(4)平行な直線のかき方・・・・・・・・・・・1
*(5)同位角の相等についての理解・・・・・・・1(「作る」活動・15分間)
*(6)学習内容の適用と習熟・・・・・・・・・・1(「調べる」活動)






 






 
第二次  いろいろな四角形・・・・・・・・・・7時間
(1)台形の概念の理解と作図・・・・・・・・・1
(2)平行四辺形の概念の理解と作図・・・・・・1
(3)平行四辺形の性質の理解・・・・・・・・・1
(4)ひし形の概念の理解と作図・・・・・・・・1
(5)ひし形の性質の理解・・・・・・・・・・・1
(6)四角形の対角線の性質についての理解・・・1






 






 
*(7)学習内容の適用と習熟・・・・・・・・・・1(「遊ぶ」活動)
第三次  まとめ・・・・・・・・・・・・・・・2時間
*(1)学習内容の適用と習熟・・・・・・・・・・1(「作る」活動)
(2)学習成果の評価・・・・・・・・・・・・・1
 






 




 

5 本時の学習

*〔第一次 5時間目の終末15分間〕・・・定義や性質などを使って,身の回りにあるものを作る活動

(1)目標

〔関心・意欲・態度〕・1時間目から本時までの学習をとおして習得した考え方,技能,知識を使って,もよう作り,形作りをしようとする。

〔知識・理解〕   ・平行な直線は,他の直線と等しい角度で交わることが分かる。

 

(2)展開(『小さなひろげる』)




学習活動と内容
 

指導上の留意点や評価など  (評は,評価を表す)
 






1 学習問題を知る。

 
2 学習の方向を確認する。

三角定規の30°,45°,60°を使って平行な直線をかいてみよう。
 







 


 

評 平行な直線は,他の直線と等しい角度で交わることが分かったか。            (知・理)
6 学習のまとめをする。

平行な直線は,ほかの直線と等しい角度で交わります。
 














15

 

7 平行な直線や垂直な直線のかき方を
使って,もよう作り,形作りをする。
・直角を使って  ・・同位角の
・直角以外を使って・・  考え
・身の回りにあるものから
・今までに学習した形から









 

・平行,垂直な直線のかき方の練習を思い出させる。
「もよう」「形」を意識させることによって,身の回りのものや既習の図形に目を向けることができるようにする。
◎自己の生活を振り返らせ,学習したことの中から,どれが使えるか,何が必要かなどを考えさせる。
◎想起したものの中から,当面する問題と似ている点に着目しながら関係づけを行い,解決の方向性を見出させる。
◎問題の解決にふさわしいと思われる方法で解決させる評 本時までの学習をとおして習得した考え方,技能,知識を使って,もよう作り,形作りをしようとしたか
(関・意・態)
・次の小単元の学習に意欲がもてるように作品紹介を行い,工夫した点などを褒めるようにする。

 
































 

 

*〔第一次 6時間目〕・・・教室の内外にあるものの定義や性質などを調べる活動

(1)目標

〔関心・意欲・態度〕

・第一次の学習を通して習得した考え方・技能・知識を使って,身の回りから垂直や平行の位置関係のものを探し出そうとする。

〔数学的な考え方〕

・身の回りのいくつかのものについて,垂直や平行の位置関係の観点でとらえることができる。

 

(2)展開(『大きなひろげる』)


段階

 学習活動と内容
 

  指導上の留意点や評価など  (評は,評価を表す
 










 






















45
 






 

1 第一小単元での学習を想起する。
・垂直な直線とは・・・直角に交わる2本の直線であること
・平行な直線とは・・・1本の直線に垂直に交わる2本の直線であること
・平行な直線の幅はいつも等しい

・既習で扱ってきた学習カードや図を示しながら,確認していく。
・平行な直線については, どの直線とどの直線の関係を指しているか, 操作しながら確認する。

 
2 本時の課題を知る。

 身の回りで,垂直な2本の直線や行な直線をさがそう。
 

3 垂直や平行な直線をさがす。
・垂直・平行探検隊のみなさん,探検を始めましょう。
1 教室コース


机の縦と横の辺,向かい合った辺
↓              など
2 廊下・階段・特別教室コース

廊下の白線と端の線,理科室の机
↓              など
3体育館コース

床板の縦と横,黒板の向かい合う
↓ 辺など
4 外コース

ジャングルジムの縦と横,向かい合う棒など
 

・あらかじめ希望していたものをもとに,他の児童の調べたいものを紹介するなどして,調べるものが増えていくようにさせる。
・生活班での活動を基本とし,自分の考え・友達の考えをそれぞれ大切にさせる。
・今まで学習で使ってきた学習カード・算数ファイルなどの活用を促す。
・児童用三角定規のほかに,大きなものを調べる場合など,必要に応じて教師の準備した大きな三角定規を使ってよいこととする。
◎自己の生活を振り返らせ,学習したことの中から,どれが使えるか,何が必要かなどを考えさせる。
◎想起したものの中から,当面する問題と似ている点に着目しながら関係づけを行い,解決の方向性を見出させる。
◎問題の解決にふさわしいと思われる方法で解決させる
評 第1次の学習での考え方・技能・知識を使って,身の回りから垂直や平行の位置関係のものをさがし出そうとしたか。           (関・意・態)

評 身の回りのものについて,垂直や平行の位置関係の観点でとらえることができたか。    (考え方)
・4つの場所をコースと考える。コース内の調べるものを各自の選択とする。

4 自分の学習を振り返る。
・この時間の自分の学習の仕方や、学習して分かったこと・思ったことを書きましょう。

5 次時の学習について知る。
 

・学習態度・学習事項・友達との関わり方などについて自己評価させる。
・数人に発表させ,友達の考え方・感じ方を伝える。


・四角形の学習に進むことを知らせ,意欲をもたせる。
 














































 

 

*〔第二次 7時間目〕・・・学習事項を利用した遊びの要素を取り入れた活動

(1)目標

〔関心・意欲・態度〕・第二次の学習を通して習得した考え方,技能,知識を使って,ゲームをしようとする。

〔数学的な考え方〕 ・四角形のそれぞれの定義や性質をもとにして形を弁別し,ゲームを進めることができる。

〔表現・処理〕   ・三角定規やコンパスを使って,四角形の仲間を調べたり,ゴムでそれぞれの四角形を表現することができる。

 

(2)展開(『大きなひろげる』)


段階

 学習活動と内容
 

  指導上の留意点や評価など  (評は,評価を表す)
 



































45












 

1 第二小単元での学習を想起する。
・台形は・・・向かい合った1組の辺が平行な四角形
・平行四辺形は・・・向かい合った2組の辺が平行な四角形
・ひし形は・・・4つの辺の長さがみな等しい四角形
 

・既習で扱ってきた学習カードや図を示しながら,確認していく。
・平行四辺形と長方形,ひし形と正方形の相互関係や,四角形の対角線の性質,一般的な四角形については,ジオボードなどを用いて確認する。


 
2 本時の課題を知る。       

  いろいろな四角形について,学習したことを使ってゲームをしよう。
 

3 ゲームを行う。
・1コースは,「わたしはだれでしょう」→「なかま合わせ」と進みます
2コースは,「なかま合わせ」→「わたしはだれでしょう」と進んでください。

・「わたしはだれでしょう」
1つのグループが,四角形の定義または性質を問題として出す。
もう1つのグループは答えと思われる図形を床のジオボードを使いゴムで表現する。
交互に問題を出し合い,図形を表現していく。

・「なかま合わせ」
21枚の様々な四角形が描かれたカードについて,何という名前の四角形か調べた後,2枚ずつカードめくりをして,同じ仲間の四角形を捜す。たくさんカードを集めた者を勝ちとする。






 

・あらかじめ希望していたコースをもとにグループを編成し,構成メンバーを知らせる。
・ゲームについてのルール説明は,口頭で行うほかに,掲示しておき,児童が必要なときに確かめながらゲームを進められるようにする。
・今まで学習で使ってきた学習カード,算数ファイルの活用を促す。
・自分の考え,友達の考えを大切にさせる。
・「わたしはだれでしょう」では,ジオボードに見立てた床の印が等間隔であることを利用させる。
・「なかま合わせ」では,個人毎にカードにかいてある四角形の名前を調べた後,グループのみんなで確認作業をすることを指示する。
・活動内容についてのコース選択とする。
◎自己の生活を振り返らせ,学習したことの中から,どれが使えるか,何が必要かなどを考えさせる。
◎想起したものの中から当面する問題と似ている点に着目しながら関係づけを行い,解決の方向性を見出させる。
◎問題の解決にふさわしいと思われる方法で解決させる

評 第二次の学習での考え方,技能,知識を使って,ゲームができたか。         (関・意・態)
評 四角形のそれぞれの定義や性質をもとにして形を弁別し,ゲームを進めることができたか。 (考え方)
評 三角定規やコンパスを使って,四角形の仲間を調べたり,ゴムで四角形を表現することができたか。
(表・処)
 

4 自分の学習を振り返る。
・この時間の自分の学習の仕方や,学習して分かったこと,思ったことを書きましょう。

5 次時の学習について知る。
 

・学習態度,学習事項,友達とのかかわり方などについて自己評価させる。
・数人に発表させ,友達の考え方,感じ方を伝える。
・どんな考え方を使うとよいか確認する。

・単元全体のまとめの学習について意欲をもたせる。
 




















































 

 

*〔第三次 1時間目〕・・・定義や性質などを使って、身の回りにあるものを作る活動

(1)目標

〔関心・意欲・態度〕

 ・単元の学習を通して習得した考え方・技能・知識を使って,身近な道路について思い出しながら横断歩   道をつくろうとする。

〔数学的な考え方〕

 ・広い場所に、垂直や平行な直線などを使って道路や横断歩道を描くには、どうすればよいか考えようと   する。

〔表現・処理〕

・必要な道具を使って,直線の位置関係を表すことができる。

 

(2)展開(『大きなひろげる』)


段階

 学習活動と内容
 

 指導上の留意点や評価など  (評は,評価を表す)
 




































45







 

1 単元「四角形」の学習を想起する。
・直線の交わり方と並び方について
  垂直な直線,平行な直線
・いろいろな四角形
  台形・平行四辺形・ひし形
それぞれの四角形の対角線
四角形の相互関係など
2 本時の課題を知る。
おうだん歩道づくりのプロになろう。              ・

既習で扱ってきた学習カードや図を示しながら,確認していく。
・第一次の学習で扱った「もようづくり・形づくり」の児童の作品の中から,「横断歩道」を取り上げることを知らせ,今までの学習のとの関わりを再確認させたい。






 

3 横断歩道づくりに取り組む。
・どんな場所にある横断歩道をつくりたいですか。
・交差点・・・十字路・T字路
・十字路にある横断歩道をつくってみたい人
・T字路にある横断歩道をつくってみたい人
・それぞれグループに分かれて始めましょう。












 

・3回目の活動であるので,この場で,どちらかの道路をコースとして選ばせ,3〜4グループとなるようにする。
・必要に応じて1M物差し,大きな三角定規,巻き尺を利用するように指示する。
・学習カード・算数ファイルの活用を促す。
・自分の考え・友達の考えを大切にさせる。
・平行な直線のかき方について確認させる。
◎自己の生活を振り返らせ,学習したことの中から,どれが使えるか,何が必要かなどを考えさせる。
◎想起したものの中から,当面する問題と似ている点に着目しながら関係づけを行い,解決の方向性を見出させる。
◎問題の解決にふさわしいと思われる方法で解決させる評 単元の学習での考え方・技能・知識を使って,身近な横断歩道をつくろうとしたか。  (関・意・態)

評 広い場所に,道路や横断歩道(垂直・平行な直線)をかくにはどうすればよいか、考えることができたか(考え方)

評 必要な道具を使って,直線をかくことができたか。
(表・処)

4 つくった道路や横断歩道を鑑賞し合う。
5 自分の学習を振り返る。
・この時間の自分の学習の仕方や、学習して分かったこと・思ったことを書きましょう。
 

・完成していなくても,つくる過程でのよかった点などを取り上げ,称揚するようにしたい。
・学習態度・学習事項・友達との関わり方などについて自己評価させる。
・数人に発表させ,友達の考え方・感じ方を伝える。