印刷用紙:B5縦 1ページの行数:37 1行の文字数(半角で):80 第 1 学 年 生 活 科 学 習 指 導 案 日 時 平成4年2月14日 9:20 〜10:05 対 象 花巻市立南城小学校 1年1組(男13、 女14)27名 場 所 総合教育センタ−体育館 指導者 総合教育センタ−研究員 熊谷幸一 1 単元名 「むかしの遊びをしよう」 2 単元のとらえ方 生活科の学習内容として「遊び」が取り入れられた意義については、次のようなこ とがあげられる。 ・ 具体的な活動や体験を通して思考するという低学年児童の心身の発達上の特徴 に応じて、直接体験を重視した学習活動を展開することは、教育上有効である。 ・ 「遊び」は、運動能力の向上や健康の増進、創造性や社会性の育成など、児童 の心身の発達に有効である。 ・ 最近の児童は、手足や身体を使って遊ぶことが少なく、不器用になってきてい る。また、友達と一緒に集団で遊ぶ機会も減っており、人間関係が希薄になりが ちな現状が見られる。 そこで、遊びの持つこのような意義を積極的に生かすために、身近な社会や自然と のかかわりの中で遊びを学習活動として展開していくことが大切になってくる。 「遊び」は、子どもにとって生活の一部といってもいいくらい日常的なものであ る。何かを作ってそれで遊んだり、「〜ごっこ」と呼ばれる遊びをしたり、さまざま な遊びが見られる。 いずれの場合も、子どもが「自分を表出して遊ぶ」「熱中して遊ぶ」「友だちや自 然とふれ合いながら遊ぶ」「工夫したり発展させたりしながら遊ぶ」などの姿が見ら れる学習ができる。 本単元では、冬の室内での遊びの中から、お正月などにみられる伝承的な遊びを取 り上げる。かるた、すごろく、福笑いなどの遊びは、家族みんなで楽しめる遊びでも あり、子どもたちにも十分興味を引きつけるものといえる。このような遊びの中で、 友達とかかわりながら遊びを楽しみ、遊びを発展させていくことを活動の中心とす   る。 導入では、冬休み中の正月の遊びを発表させながら、伝承遊びの楽しさを思い出さ せ、「楽しかった昔の遊びを、今度はみんなでやってみたい」という願いや意欲を引 き出したい。思い思いの遊び道具を用意させ、遊ぶなかで友達とのかかわりを広げさ せていく。そこでは、グル−プを作って楽しく遊んだり、新しいル−ルを工夫したり しながら、積極的に遊ぶ姿を期待する。 そのために、自分のやりたい遊びに十分満足できるように時間的保証をすること、 「もっと楽しく遊べないかな」という視点を与えて、子どもの遊びに自由な発想と願 いを生かすことが大切である。 次に、むかし遊びを十分に楽しんだ子どもたちは、身の回りにある素材を使ってお もちゃを作って遊ぶ活動へと発展するだろう。子どもたちは、作っては遊び、遊んで は作る活動を繰り返しながら、自分の思いを材料や作り方に工夫を加えていくだろ う。それぞれが作ったおもちゃでみんなで遊ぶ楽しさは、自分の思いを実現させたこ とへの満足感につながるであろう。友達と紹介し合い、友達のよさに気付いたりする かかわりの中から、遊びの活動の広がりと深まりが生まれると考える。 このように、自由に思いきり遊ぶ活動を通して、「ぼくたちにもこんな活動ができ た」「みんなと遊ぶと楽しいな」という満足感や充実感、「休み時間にまたやってみ たいな」という遊びの日常化・生活化への意欲も持たせてやりたい。 3 指導にあたって 1. 子どもたちが安心して思いきり遊べるように、教師が、まず考えなければならない ことは、「場の構成」である。子どもの興味・関心を刺激し、自発的な活動を促すた めに、遊ぶ場所の雰囲気作りを工夫したい。遊び道具の確保と保管方法の工夫や活動 のスペ−スの準備を効果的に行っていきたい。 2. 遊び方がわからない、友達の中に自分から入れない、どの遊びをしたらよいか決め られないなど、遊びへの期待や意欲は持っていても、なかなか遊びに熱中できない子 どもがいる。そういう子どもに対しては、個々の実態把握をもとに、認めたり励まし たりするなど、一人一人に応じた援助・助言を与えていきたい。 3. 一つの遊びに満足した子どもは、もっと他の遊びもしたいという願いを持つであろ う。子どもの興味・関心は一つにとどまることなく広がり、発展することが多いから である。そこで、子どもの遊びを広げていく工夫として、「回数券」のアイデアを取 り入れてみたい。子どもたちの経験の中には「遊び回数券」という発想があり、これ までの一部の子どもたちの遊びの中にも見られた。本単元の指導にあたって、全体に 示しみんなの工夫として認めてやりたい。 4 単元のねらい (1)むかしの遊びに関心を持ち、遊びのおもしろさに気付くことができる。 (2)みんなで教え合いながら、むかしの遊びを楽しむことができる。 (3)むかしの遊びをしたり、身の回りの材料を使った遊びを作り出していく活動を通 し、友達と協力して、工夫しながら遊ぶ喜びを味わうことができる。 5 単元の活動計画 +-----+-------------------------+-----------------------------------------+ | | 小単元のねらい | 主な活動と | +-----+-------------------------+-----------------------------------------+ | む| ○ 正月のできごとや冬休 | ○ お正月の楽しかったことを紹介し合う。 | | 遊か| みの楽しかった思い出を | | | びし| 振り返り、昔の遊びのよ | ○ みんなで持ち寄ったものを使って、昔の遊 | | をの| さやみんなで遊ぶ楽しさ | びをし、楽しく遊ぶ。 | | し | を味わいながら、楽しく | | | よ | 遊ぶ。 | ○ 遊んだ感想や、遊び方について紹介し合 | | う 2| | い、これからも楽しく遊ぼうとする。 | +-----+-------------------------+-----------------------------------------+ | 作| ○ 身近にある材料を使っ | ○ 身の回りにある材料を使っておもちゃを作 | | ちっ| て、簡単なおもちゃを作 | る。 | | ゃた| り、手作りのもので遊ぶ | | | でお| 楽しさや、工夫して作り | ○ 作ったおもちゃを使って、楽しく遊ぶ。 | | 遊も| あげる喜びを感じながら | | | ぼ | 楽しく遊ぶ。 | | | う 2| | | +-----+-------------------------+-----------------------------------------+ 6 本時の指導 (1)ねらい みんなで持ち寄った遊び道具を使い、友達と教え合いながら、むかしの遊びを楽 しむ。 (2)本時の展開 +-----+-----------------------+--------------------------------------------+ | 過程| 学習活動 | 教師の援助や助言 | +-----+-----------------------+--------------------------------------------+ | | 1 学級全員でかるた遊 | ・担任と連携して、学級全員でかるたを使って楽 | | | びをする。 | しく遊ばせる。 | | つ | | | | | | | | | 2 本時の学習のめあて | ・学級の子ども達の活動を高く評価して、本時も | | | をつかむ。 | 楽しく遊ぼうという意欲を高める。 | | か | +-------------------+ | | | | | みんなで教え合って | | | | | | 楽しく遊ぼう。 | | | | | +-------------------+ | | | む | 3 持ってきたものを紹 | ・どんなものを持ってきたか自由に発表させ、い | | | 介し合って、どんな遊 | ろいろな遊びができることに気付かせる。 | | | びをしたいか発表す | | | | る。 | ・遊び券(回数券)の工夫を説明させながら、遊 | | | | び方の共通理解を図る。 | | | | | | | | ・音楽で合図をすることを知らせる。 | +-----+-----------------------+-------------------------------------------+ | | 4 持ってきたものを使 | ・遊びたいコ−ナ−で自由に遊べるようにし、教 | | | って、楽しく遊ぶ。 | 師もその中で遊ぶようにする。 | | 活 | | | | | ・けん玉 | ・すぐに活動に移り、熱中している子に対しては | | | ・こま | 黙って見守る。 | | | ・福笑い | | | 動 | ・ビ−玉 | ・周囲の状況に応じて活動スペ−スを確保してや | | | ・あやとり | る。 | | | ・お手玉 | | | | ・めんこ | ・安全について配慮する。 | | す | ・おはじき | | | | | ・友達同士教え合っている態度をほめる。 | | | | | | | | ・途中で迷っている子には、他の子どもの様子に | | る | | 目を向けさせ、遊びの中に加われるように助言す | | | | る。 | | | | ・うまくできた子はほめてやりながら、友達にも | | | | 教えてあげるように意欲付けをする。 | | | | | | | 5 後片付けをする。 | ・後片付けの仕方がよかった子を認める。 | +-----+-----------------------+-------------------------------------------+ | | 6 遊びを振り返る。 | ・がんばった人を紹介し、認めてやることで、自 | | 振 | | 信を持たせる。 | | | | | | り | 7 次時の学習の見通し | ・次時には、みんなで何か工夫して作って、遊ぶ | | | を持つ。 | ことを知らせる。 | | 返 | | | | | | ・教師がいくつかの作品を提示することにより、 | | る | | 「作ってみたい」「遊んでみたい」という意欲を | | | | 持たせる。 | +-----+-----------------------+-------------------------------------------+ (3)評価 ・遊び道具を持ち寄って、むかしの遊びを楽しむことができたか。 ・自分たちで工夫した遊びをしてみようという意欲がもてたか。