第5学年社会科学習指導案

期 間 平成13年9月3日〜10月1日
場 所 一関市立一関小学校5年1組
授業者  小野寺 清(長期研修生)
児童数  男子20名、女子16名、計36名

1 単元「公害を防ぐ努力」 

2 単元について

本単元は、学習指導要領の第5学年の内容(4)「我が国の国土の自然などの様子について、地図その他の資料を活用して調べ、国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを考えるようにする。」のイ「公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さ」の学習に基づいて設定されたものである。本単元のねらいは、廃棄物などの適切な処理を怠ってきた結果として人々に有害な影響を及ぼす公害が発生し、国民の健康や生活環境が脅かされてきたことを具体的事例をとおして調べ、公害防止の大切さを考えるようにするとともに、産業がもたらした公害の多くは、関係の諸機関をはじめ人々の努力によって改善されてきたことを理解できるようにすることである。四大公害病の原因とその克服へ向けての人々の努力、現在へつながるその教訓は公害を防ぐ努力の大切さを学ぶうえできわめて大切であると考えるが、更に地域教材として北上川の清流化を取り上げることで、児童の課題追究の意欲を一層喚起するものととらえる。また、学習したことを生かして自分のテーマを設定して、調査し、まとめることが発展的な学習の構想の一側面として有効であると考え、本単元を構成した。
児童は、国語科や総合的な学習の時間で、環境問題を扱った教材に出会っており、環境への関心は高いものと思われる。しかし、自分達の身近にも公害をはじめとする環境にかかわる課題があることに気付き、意欲的に追究しようとしているわけではない。
そこで、本単元の指導にあたっては、各種の公害の事例を網羅的に取り上げることは避け、公害が国民の健康や生活環境に及ぼす影響、公害防止の取り組みなどについて、事例をもとに具体的に調べる活動を重視したい。また、その成果をポートフォリオにまとめながら振り返り、次の学習に生かすような自己評価活動を工夫した学習活動をとおして、課題追究の意欲を高め、発展的な学習の構想ができる力を高めていくようにしたい。

3 単元の目標

(1) 公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さに関心をもち、意欲的に調べ、考えながら追究することができる。          〈社会的事象への関心・意欲・態度〉
(2) 公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さについて、学習の見通しをもって追究、解決し、調べたことをもとに、公害を防ぐことが大切であることを考え、適切に判断している。       〈社会的な思考・判断〉
(3) 公害と、国民の健康や生活環境とのかかわりを、地図その他の基礎的資料を活用して具体的に調べ、調べた過程や結果を目的に応じた方法で表現している。

     〈観察・資料活用の技能・表現〉
(4) 公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さが分かっている。
   〈社会的事象についての知識・理解〉

4 学習指導計画(11時間)
(1) つかむ 公害や環境問題について調べるめあてをもち、学習計画を立てる・・・1時間 
(2) 追究・発展
@ 公害にかかわる事象を追究し、まとめる・・・・・・・・・・・・・・・・・4時間
A 自分のテーマを設定して調査し、まとめる・・・・・・・・・・・・・・・・3時間
B 調査内容を発表し、交流する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間
(3) ひろげる 公害についての学習を振り返り、多面的な視点から考察する・・・・1時間

                  (注)○ おもな活動  Pポートフォリオの活用
                       ◎ 評価項目 ゆさぶりをかけ思考を発展させたい場面

段階 時間 ねらい 活動の流れ 評価項目とポートフォリオによる活動 指導上の留意点
つ か む 水俣病の被害の様子を知り、公害や環境について調べるめあてをもつことがで
きる。
○ 写真資料から、水俣病 がどんな病気か、なぜ起きたか、をつかむ。
○ 公害と環境を関連させた学習課題を設定する。
○ 学習活動の計画を立て事象にかかわる予想を立 てる。
 (写真資料)
P 学習課題を明記 し、資料を貼付する。▼◎ 水俣病の特徴と原因を自分の思いとともにまとめようとしている   (関・意・態)▼◎ 事象にかかわる予想を立て、学習に期待することイメージしている。   (関・意・態)
・写真資料を効果的に提示し、 考えをひきだす。  ▼▼       ・ポートフォリオの目的と方法を伝える。▼

追  究  ・  発  展 水俣病の原因、患者の苦悩や願いに共感し、再生への努力を理解することができるようにする。
○ VTRを視聴し、資料 をもとに原因と工場の態度について話し合い、患 者の苦しみや願い、再生への努力をまとめる。

(VTR、写真、文書資料)
◎ 水俣病の原因、 社会に及ぼした影響、再生への努力を表そうとしている。     (技・表)
P イメージマップに表す。    ◎ 水俣病の今後の課題について考えたことをまとめようとしている。      (思・判)
P 考察としてまとめる。
・企業の意図、 政治の大切さに気付かせる。▼・病気や差別とたたかう人々の生きる姿から、現在の水俣の姿は様々な人々の犠牲と努力の結果▼ であることを理解させる。▼・今後に残された課題についても考えさせる。

国内のおもな公害について知り公害を生み出す元にあるものをとらえることができる。 ○ 資料から全国でたくさんの公害があることを知り、工業の発展と関連があることをとらえる。 (地図、文書、統計資料) ◎ 人々の生活より工業生産優先の考え方に対する自分の考えをまとめようとしている。      (思・判)
P 考察としてまとめる。
・話し合いを十分に行い、水俣のポートフォリオも振り返らせながら▼ まとめさせる。▼

北九州市の取り組みから、国際協力の必要性を理解することができるようにする。 ○ 資料をもとに大気汚染から星空を取り戻せたわけを考える。     ○ 国際的な取り組みについて知る。
(文書、統計資料)
◎ 町ぐるみの運動の過程や国際協力のメリットをまとめようとしている。     (技・表)
P 内容を整理してまとめる。
・人々の強い願 いが具体的な 活動になり、 改善につながったことに気付かせる。▼・国際協力へ発展していったわけについても考えさせる。

北上川の公害の歴史を知り郷土の人々の努力に共感することができるようにする。 ○ 資料から汚れがひどかった時代の川の様子や松 尾鉱山など、時代背景を理解し、清流化のための努力を理解する。

(VTR、統計資料、文書 資料、川の水のサンプル)
◎ 事実、背景、清流化について考えたことをまとめようとしている。      (技・表)
P 内容を整理してまとめる。
・岩手でも公害があった事実とその背景、今後も続く清流化の努力について考えさせる。
公害について更に調べるめあてをもつことができるようにする。 ○ 調べたい対象を絞り込んで調査計画を立てる。
○ 「どこで」「何を」「どのようにして」調べるのか構想を立てる。
◎ 今までのポートフォリオを振り返って自分のテーマと対象を決定し、具体的な調査計画を立てようとしている。        (関・意・態)P 調査テーマと計 画を立案する。 ・調査の対象がなかなか決まらない児童には対話をもとに視点を与え▼る。





定めた評価の観点に沿って調査活動ができるようにする。
(個人、グループ)
○ 調査・発表の評価の観点を話し合いをとおして設定し、それぞれの方法で調査する。

(取材・記録に必要なもの)
◎ ポートフォリオ を活用しながらコミュニケーションを図って調査に役立てようとしている。   (関・意・態)
P 調べた情報を整理、蓄積する。
・調査する際に留意することを評価の観点をもとに助言指導する。
ひ ろ げ る

10
資料を工夫してまとめ、発表し、相互評価したことをもとに学習を振り返ることができるようにする。 ○ グループ発表会に向け発表資料を揃え、練習し、 発表する。
            

○ 発表を自己採点し、互いの発表を評価し合う。

(付箋)
◎ 発表について構想を練り、自分にとってよりよい方法は何かを吟味し発表しようとしている。 (技・表)P 発表の構想を練る。P 発表について自己採点した内容や相互評価した内容を記録する。
・付箋に、評価の観点を意識した感想を添えて、評価を交流できるようにさせる。
11 今までの学習を振り返り、公害についての考察をまとめることができるようにする。 ○ 公害についてわかったこと、これからの社会のありかたや私たちの意識のありかたについて自分の考えをまとめる。 ◎ ポートフォリオを読み直して学習 を振り返り、考察へつなげようとしている。(思・判)P 学習過程全体を振り返り考察文を書く。 ・相互評価をもとに発表会の成果を振り返り、いままでの学習から多面的な視点で考察へ導く。▼

学習指導略案

時間 教師の発問・指示・支援 児童の学習活動・予想される反応 留意点・資料
 写真資料提示▼「この写真を見て気付いたことを発表しよう。」▼              水俣病について概略をつかませる(どんな病気なのか)▼▼▼ さらに知りたいことを吸い上げ、学習課題を設定する。▼「このような病気はそれまでどこの国でもなかったのですが、もっと知りたいと思うことを書いてみよう。」▼              事象にかかわる予想を立てさせ、学習計画を提示し、学習への期待感をもたせる。▼「予想を立てたら、学習計画をみて自分が強く興味をひかれることを書いてみよう。」▼▼「今日の学習で、自分が一番大事にしたいと思う言葉、印象に残った言葉は何ですかと聞かれたらどう答えますか。その言葉を書いてみよう。」
▼○体の様子が健常者とは違うことに気付く。○何かの病気であることを推測する。  ▼▼○写真や教科書の資料からわかることを話し合う。▼ 症状  かん者の分布現在の様子▼▼○知りたいことをノートに書き出してみる。
・なぜこのような病気が広がったか▼・水俣病の他にどんな公害病があるのか▼・公害をなくすためにはどうすればよいのか
▼                    ○学習課題をテーマ欄に視写する。▼○公害の原因、解決の方法を予想し、学習計画をみて、この学習で自分が興味をもって 勉強したいと思うことをノートに書く。▼                                                                                ○本日のキーワードを書く。▼○資料を貼付する。(資料・付箋)▼ 三種類の付箋(わかったこと、友達の良い点、更なる疑問)
写真資料2点▼▼▼▼資料p87▼▼▼▼フリースペースに記入▼(拡大ノートのサンプル で使い方を説明しなが ら)▼ ゆさぶりをかけ、水俣病からその他の公害病についても想起させる。▼テーマ欄▼ 予想をフリースペースに、期待することをコメント欄に記入▼           学習計画予定図                          キーワード欄▼ 付箋ボックスは4つのコーナーに配置しておく 写真資料をフリースペースに貼付
 VTRを視聴し、感想の交流を図る。▼▼ 学習課題を確認させる。
水俣病の被害や解決に向けた取り組みについて調べよう
 資料をもとにさらにくわしく調べさせ、イメージマップにまとめさせる。▼「水俣病の症状の原因、水銀の特徴、工場の態度を線でつなげながらまとめてみよう。」▼「水俣病にかかった人たちの苦しみや裁判でのたたかいを調べよう。」▼             「裁判に勝ったのに泣いているのはどうしてだろう。」 ▼             「もやい直しには人々のどんな気持ちがこめられているのだろう。」▼▼ キーワードと本日の学習の感想を書かせ、振り返りをさせる。
○病気の悲惨さ、工場側の態度、患者の苦しみなどについて感じたことを交流する。▼▼○課題をテーマ欄に視写する。▼ ▼                                           ○フリースペースに、原因、水銀の作用、工 場の態度を図に簡単にまとめていく。▼▼○身体的な苦しみだけでなく、差別や生活苦があったことに気付く。▼▼                    ○裁判をとおしての長いたたかいとこれからの取り組みについて考える▼ ・裁判に勝ってうれしい▼ ・苦しみは終わらない▼ ・幸せにくらせる社会であってほしい                                          ○キーワードとコメントを書く。▼○資料、付箋貼付
原因  症状  水銀▼▼ 工場
自由に感想を交流し合えるようにする。

テーマ欄
           資料A−1・2・4
 児童とともにイメージマップにまとめながら、その表現方法に慣れさせる。
 資料「ここは極楽」「みんなと生きていきたい」
拡大年表
写真「判決の日」
資料A−9
p89「浜本さんの話」
            ゆさぶりをかけ、涙の意味やもやい直しについて考えさせる。
 地図資料提示▼「この地図からどんなことがわかるだろう。」▼             ▼ 学習課題を確認させる。公害の被害が広がってしまったのはなぜだろう   ▼              四大公害裁判について調べさせる。         「どんな病気がいつ、どこで起きたのだろう。また、原因は何なのだろう。」   ▼▼「一つだけでもかなりの被害がでるのに、なぜ、これほどたくさんの公害が発生したのだろう。」▼「工業が悪いのか、それともほかに何か大きな理由があるのだろうか。」▼▼▼▼▼▼ 振り返りをさせる。

▼○気付いたことを交流する。▼ ・公害は日本全国で起きている。▼ ・水、大気、土など広くよごれている。▼○課題視写▼▼▼                    ○教科書や資料をもとに調べ、ワークシート にまとめる。▼ ▼▼▼▼○原因が工業に関係していることをつかむ。▼ ・太平洋ベルト地帯など工業地帯に多い。▼▼▼○工業優先の考え方が人々の生活を犠牲にしてきたことをつかむ。▼ ・汚してはいけないという決まりがなかった。▼ ・公害防止にはばく大なお金がかかる。▼ ・もうけるのが大事。▼ ・自然は誰のものでもないので汚してもいい。▼○キーワード、コメントを書く。▼○資料、付箋貼付
拡大地図資料
 日本列島のほとんどの地域で発生していることに気付かせたい。
テーマ欄


           ワークシート(地図資料)

 発生から判決までかなりの年月がかかることに気付かせる。





 ゆさぶりをかけ、工業優先の考え方の背景も考えさせる。
 教科書の資料から北九州市の公害について知る。▼▼ 課題確認
北九州市の人々は、公害をなくすためにどんな努力をしたのだろう
▼ 北九州市の人々の努力について調べさせる。▼「三つの努力のどれか一つが欠けていたらどうなっていただろう。」▼▼「外国まで行って環境を守る取り組みをしていることをどう思いますか。」▼▼ 振り返りをさせる。
○2枚の写真の違いをとらえ、大気の汚れに気付く。
・以前はけむりがすごい。
・高いえんとつの工場が多かった。
・空がきれいになったのはなぜだろう。
○課題視写


○市民の運動、工場の取り組み、市の取り組みについて具体的に調べる。
・市民の強い願いが工場、市の取り組みへつながったのだろう。
・市民も工場も市もきれいな空をとりもどしたいと思って協力できたのだろう。
○国際的な取り組みについて知る。
・地球サミットで表彰されたのはすごい。


○キーワード、コメント、付箋貼付。
P92写真資料







資料 北九州市の公害対策
P93 年表
 ゆさぶりをかけ、三者の協力と連携が解決への原動力であり、国際協力への礎となったことを考えさせる。
 北上川のイメージ喚起させる。                         VTRを視聴し、北上川は人工的に清流化されていることを知らせる。▼課題確認
北上川が人工的にきれいにされているのはなぜだろう
▼ 北上川の清流化の歴史について資料をもとに調べさせる。▼▼▼             「今後もずっと続けなくてはならない清流化についてどう思いますか。」▼             「私たちにできることはどんなことでしょう。」▼▼ 振り返りをさせる。
○自分達がもっている北上川のイメージについて話し合う。             ・広くて大きく、きれいな川      ○なぜ人工的に清流化されているのか疑問をもつ。

○課題視写



○事実と背景についてまとめる。



                    ○清流化について考える。
・お金がかかる。
・休まずやらないとまた死の川になる。

 ・川の汚れの原因になるものを流さない。
・川に関心をもって気をつける。

○キーワード、コメント、付箋貼付
中和処理場VTR
一関付近VTR
川下りVTR







資料 よみがえる北上川
松尾鉱山鉱毒事件
合流地点写真
県知事コメント
水のサンプル
 今までの学習の振り返りをさせる。▼             「関心をもって考えることが大切でしたね。いろいろな公害のことを学習してきましたが、もっとくわしく知りたい、もっと別なことを調べたいと思うことを書き出してみましょう。」▼▼▼ 調査テーマをいくつか考えさせて吟味させ、決定させる。▼                           調査計画を立てさせる。▼▼▼ テーマと計画を発表させる。▼▼振り返りをさせる。
○ポートフォリオのキーワードやコメント、 資料、付箋などを見直して学習してきた内 容を振り返る。▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼○フリースペースに考えられるテーマを書い てみる。               ○最終的に決定したテーマ欄に自分のテーマを書く。▼○計画カードに「どこで」「何を」「どのよ うにして」調べるのか構想を立てる。▼▼○互いの計画についてを交流を図る。▼▼○「友達付箋」を中心に振り返る。
大気  水   土▼ 日本  世界▼ 昔   今   未来▼ 人間  生き物▼ 工業  農業  漁業▼ くらし いのち▼ 中和処理  公害を防ぐ技術▼
今までの資料を提示



 キーワードをもとにゆさぶりをかけ、自分の関心事を想起する。

キーワードを選ばせ関連させながら考えさせる。


 予め資料コーナーを整備しておき活用させる。                      計画カード
対話をとおして吟味する。

・8
調査・発表の評価の観点を話し合いをとおして決定させる。



 調査の注意事項を確認させてから活動にあたらせる。
 同じテーマや調査方法が同じであれば共同で調査するのも可能であることを指示する。
○調査・発表をするときに気をつけたほうがよい点や工夫したほうがよい点を考えて決定する。
・くわしく、具体的に調べているか。
・資料をみやすくまろめているか。
・わかりやすく発表しているか。
○調査の注意事項に気をつけて調査活動をする。
○文献調査、インタビュー、記録等、安全確実に調査活動を進める。
○ポートフォリオも活用して調査の成果を蓄積する。
○付箋貼付
詳細すぎず、大まかな観点にする。




 調査の注意事項プリント児童が赴く公的機関には事前に依頼しておく。

児童の安全には十分配慮する。
発表会向けて資料をまとめ、発表の準備をしよう。」

 次第、役割分担の確認をさせる。
 振り返りをさせる。
○自分にとってよりよい発表の方法を考え資 料を作成する。
・新聞  ・壁新聞  ・報告書



○コメント、付箋貼付
対話をとおして指導助言する。


 次第を示し、役割分担する。
10 「お互いの発表を聞いて、すごいとおもったことやよくわかったことを交流し合おう。」


振り返りをさせる。
○「友達付箋」にコメントしながら発表を交 流する。
○友達からの付箋を読みながら自分の発表を 自己採点し、発表内容を振り返る。

○コメント、付箋貼付
友達付箋」

 評価の観点を意識して相互評価させる。
11 「今までの学習を振り返り、公害についての自分の考えをまとめてみよう。」

「これからの社会や私たちの考え方は今のままでいいのだろうか。今のままなら100年後はどうなっているだろうか。今のままでだめだとしたらどうしたらいいのだろうか。」
○ポートフォリオのキーワードやコメント欄 を中心に読み直して学習したことを振り返り、自分の視点から考えたことをまとめる。▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼○キーワードをヒントに、多面的な視点から 考察し、ポートフォリオにまとめる。
大気  水   土▼ 日本  世界▼ 昔   今   未来▼ 人間  生き物▼ 工業  農業  漁業▼ くらし   いのち▼ 中和処理  公害を防ぐ技術▼ 未来の地球 私たちにできること
ゆさぶりをかけ、これからの社会のありかたや私たちの意識のありかたについて自分の考えをまとめさせる。

単元の目標に照らした判断基準
発・観(発表・観察) (ポートフォリオ)

評価方法 A B C
小単元 指導計画 発・観
社会的事象への関心・意欲・態度 @ 水俣病の特徴と原因を自分の思いとともに具体的にまとめている。 水俣病の特徴と原因を自分の思いとともにまとめている。 水俣病の特徴と原因をまとめている。
調べたい対象を絞り込んでテーマを設定し、具体的な調査計画を立てている。 調べたい対象を絞り込んでテーマを設定し、調査計画を立てている。 調べたいテーマを設定し、調査計画を立てている。
7・8 評価の観点を具体的に考え、積極的に調査活動に取り組もうとしている。 評価の観点を考え、積極的に調査活動に取り組もうとしている。 自分のテーマについて調査活動に取り込もうとしている。
A 11  公害について学習したことを振り返り、これからの社会や私たちの意識の在り方について多面的な視点から考察している。
公害について学習したことを振り返り、これからの社会や私たちの意識の在り方について考察している。 公害について学習したことを振り返り、考察している。
社会的な思考・判断 @ 水俣病の原因、社会に及ぼした影響、再生への努力について自分なりの具体的な考えをもっている。 水俣病の原因、社会に及ぼした影響、再生への努力について自分なりの考えをもっている。 水俣病、社会に及ぼした影響、再生への努力の一部分について自分なりの考えをもっている。
人々の生活より工業生産優先の考え方に対して自分なりの根拠のある考えをもっている。 人々の生活より工業生産優先の考え方に対する自分なりの考えをもっている。 人々の生活と工業生産について、自分なりの考えをもっている。
北九州市の市民ぐるみの運動の過程や国際協力のメリットを具体的な根拠をもとに考えている。 北九州市の市民ぐるみの運動の過程や国際協力のメリットを考えている。 北九州市の市民ぐるみの運動や国際協力について考えている。
北上川の公害の事実と清流化の努力について具体的に考え、郷土の人々の努力に共感している。 北上川の公害の事実と清流化の努力について考え、郷土の人々の努力に共感している。 北上川の公害と清流化について考えている。
A 11 公害について学習したことを振り返り、これからの社会生活や産業の在り方について自分なりの根拠をもって考え、判断している。 公害について学習したことを振り返り、これからの社会生活や産業の在り方について考え、判断している。 公害について学習したことを振り返り、これからの社会生活や産業の考えている。
観察・資料活用の技能・表現 @ 水俣病について、特徴、原因、事実に対する因果関係や公害を克服し改善してきた過程を資料をもとに調べ、具体的にまとめている。 水俣病について、特徴、原因、事実に対する因果関係や公害を克服し改善してきた過程を資料をもとに調べ、まとめている。 水俣病について、特徴、原因、事実に対する因果関係や公害を克服し改善してきた過程を調べ、まとめている。
国内の公害は工業の発展と関連があることを資料を吟味してとらえ、具体的にまとめている。 国内の公害は工業の発展と関連があることを資料からとらえ、まとめている。 国内の公害は工業の発展と関連があることをとらえている。
 大気汚染から星空を取り戻せたわけを資料からとらえ、具体的にまとめている。
大気汚染から星空を取り戻せたわけを資料からとらえ、まとめている。 大気汚染から星空を取り戻せたわけをまとめている。
北上川の清流化についてかつての公害の事実と関連させながら資料を吟味してとらえ、具体的にまとめている。 北上川の清流化についてかつての公害の事実と関連させながら資料からとらえ、まとめている。 北上川の清流化についてかつての公害の事実と関連させながらとらえている。
A 7・8 自分の設定したテーマに沿って計画的に調査し、調査内容を具体的に記録している。 自分の設定したテーマに沿って調査し、調査内容を具体的に記録している。
 自分の設定したテーマに沿って調査し、調査内容を記録している。▼
B 9・10 調べた内容を目的に応じた表現方法を工夫して資料を作成し、わかりやすく発表している。 調べた内容を表現方法を工夫して資料を作成し、わかりやすく発表している。 調べた内容を資料にまとめ、発表している。

小単元名 「公害を防ぐ努力」  第5時「北上川の清流化」の授業略案

ねらい  北上川の公害の歴史を知り、郷土の人々の努力に共感し、身近な環境の保全に対する新たな意識をもてるようにする。

【つかむ 1〜8】−【追究する 9〜15】−【まとめる 16・17】

指 導 内 容 発 問 ・ 指 示 予想される反応・活動
1 VTR視聴@ ▼ (ゴムボート下り)▼2 岩手県地図による川の位置確認                3 サンプル水により興 味を喚起する▼ ▼▼4 清流化以前の写真により以前の状況を想起させる  ▼▼5 茶色水を提示し、 ゆさぶりをかける▼▼▼▼▼▼6 VTR視聴A▼ (中和処理施設取材)▼▼7 酸性水を人工的に処理している事実について説明する▼▼▼                      ▼▼▼8 課題設定▼ テーマ記入▼北上川の水が人工的にきれいにされているのはなぜだろう。
「このきれいな川はどこの川だと思いますか?」▼▼・北上川、赤川、松川の確認▼▼「これは北上川支流の赤川の水です。この茶色は何だと思いますか?」▼▼「20年前までは1年中、こんな川だったのですが、どう思いますか。入って遊びたいと思いますか。」▼▼「これは最近とってきた赤川の水です。今もこんな水が流れてくるのですが、ビデオでみたらきれいでしたね。変だと思いませんか?」▼「なぜ、今は流れがきれいなんだと思いますか?」▼▼「みたとおりです。今、茶色くないのはこの中和処理施設できれいにしているからです。」▼・強酸性水について、その作用と 中和について説明する。▼「自然にきれいになったのではなく、人の力できれいにしている、つまり?」          「こんな水が流れている川で遊びたいですか。」▼「なぜ、わざわざきれいにしているのかわかりますか?」▼「キーワードは?」
・北上川?▼▼▼▼              ・どろ? さび?▼▼▼▼・きたなくていや。▼・気持ち悪い。▼▼▼▼▼・たしかにちょっと変だ。▼▼・きたなくなくなったから。(?)▼・何かできれいにしているのかも知れない。▼▼▼▼▼▼              ・人工的にきれいにしている。              ・絶対にいや。▼▼▼・よくわからない。▼・北上川  ・人工的▼▼

9 予想を立てさせる▼ フリースペースに記入▼▼▼▼▼▼10 VTR視聴B▼ (松尾鉱山)▼11 公害といえるかどうか、ゆさぶりをかける▼▼▼▼12 清流化の今と昔をイメージマップに整理さ せる▼13 資料プリントを配布し読み合わせをする▼▼▼ 昔の被害や解決のいきさつについて理解する▼14 中和処理施設にたくされた願いを考えさせイメージマップにまとめる▼▼▼15 清流化のために自分たちにできることは何か、ゆさぶりをかけながら考えさせる▼▼▼▼▼▼▼
「わざわざきれいにしているということは、もしも、きれいにしないでそのまま流すと何か困ることがあるのでしょうか。」▼「こういうことは公害といえるか▼▼ビデオを視て考えてみましょう。」▼▼▼「今までいろんな公害の学習をしてきましたが、昔の北上川の汚れは公害だったといえるでしょうか。」(根拠も)▼・公害の定義確認▼・昔のマップを図示したのち、今 のマップを自力で完成させる。▼▼・指名して読ませる。(3人)▼・図については拡大図により解説を加える。           (酸性水・中和のしくみ)▼▼▼▼「だれの、どんな願いから清流化のための施設がつくられたのだろうか。」▼・建設に100億円▼・維持に年7億円を永久に投じな ければならない事実▼「清流化を中和処理場の人たちだけに任せて、私たちは何もしなくていいのでしょうか。できるとしたらどんなことでしょう。」▼               「それだけ?みなさんが捨てなくても捨てる人はいっぱいいるでしょう。一番大切なことは何でしょうね?」▼▼
・魚が死ぬ。▼・海が汚れる。▼・人に害がある。▼▼▼▼▼▼▼・いえない。今は自然に流れている水だから。▼・いえる。鉱山のせいで強酸性水がでてきたから。▼▼・マップに表す作業▼▼▼・資料から川の汚染の原因や解決に向けての取り組みや補償 について理解する。▼▼▼▼▼・川ぞいの人の ・農民の▼・漁民の    ・県民の▼・もしかしたら他にも?▼▼▼▼                                          ・ごみを捨てない。▼・油を流さない。▼▼▼▼・川に関心をもつこと▼・気をつけて見守ること▼・大切さを訴えること
16 振り返りをさせる

                                                       17 知事のメッセージを配付し家庭学習を課す
・ポートフォリオノートを見直して、コメント欄に課題に対する 考えをまとめさせる。
・キーワードを想起して書き留めさせ、資料を貼付させる。
・自己評価シートへの記入貼付

「これを家の人と読んでみて、北上川の清流化についての意見を聞き、メモしてきて下さい。」
・学習内容を振り返り、考察す る

・事象をイメージさせる重要語 句を想起する。
・本時を振り返り自己評価する。

・家庭での対話をもとに次時へ つなげる。