小学校6年 社会(のうそんに住む武士の世) 指導案 仁王小学校 用紙は A4 縦  1行 90字(半角) 1ページ 49行に設定してください。 第6学年  社 会 科 学 習 指 導 案 指導者 小 向 和 秀  .単元名  農村に住む武士の世 ー源頼朝と鎌倉武士ー  .単元について  〇 子どもたちは、前単元「貴族の世の中ー奈良時代・平安時代」において、東大寺の大仏建立、   都の様子、華やかな貴族のくらし、租・庸・調・防人などの重い税負担に苦しむ農民、他氏を排   斥し天皇と娘の婚姻関係をもとに摂関政治を行った藤原氏、地方の政治の乱れの中で発生した武   士等について学習した。その過程で、子どもたちは、天皇や貴族の力の大きさや農民の貧しさに   驚くとともに、新しく台頭してきた武士に対し、「どんなくらしをし、どんな政治を行うのだろ   う。」と関心を示すようになってきた。 そこで、本単元では、貴族にかわって力を伸ばしてきた武士の武芸に励む様子や主従関係に焦   点をあてながら、武家社会の人々のくらしの様子をとらえさせたい。 〇 1185年、壇ノ浦で平氏を全滅させた頼朝は、1192年には征夷大将軍に任命され、鎌倉に幕府を   開いて武士による政治を開始した。しかし、幕府の支配は全国に及ばず、関東御領、関東御分国、   関東御口入地、全国に散在する御家人を支配するにすぎず、非御家人に対しては支配権はなかっ   た。政治の上でも朝廷は強い発言権をもち、いわゆる公武二元支配であった。 頼朝は、平氏との戦いで功労のあった者に対して、本領安堵し新しい恩賞地を与えた。在地領   主である武士は、何よりも荘園領主や国司の束縛から解放され、所領を守り、新しい所領を得る   ことを望んでいたのである。また、頼朝は御家人を守護や地頭の役職に任命すること等により、   御家人を保護した。一方、御家人は平時軍時を問わず主君に対し忠誠を誓い、軍役、公事などの   負担を負いここに土地を仲介として「御恩」と「奉公」という封建的主従関係が成立したのであ   る。 この当時の武士は、幕府等に勤務する御家人以外は、一般に農村に居住して農業を営んでおり、   武士と農民の区別がつけにくい兵農一致であった。有力名主である武士の住居は、周囲の濠や土   塁をめぐらし、外敵の攻撃に備えた屋敷であった。武士は日常、犬追物、流鏑馬、笠懸等の武芸   に励み武力の向上に努めた。 頼朝の死後、幕府内で権力抗争があり、頼朝の正統は、わずか三代、27年の短期間で断絶した。   その後、北条氏が実権を握り8代目の時宗の時、元が二度にわたって襲来してきたが、幕府は苦   戦しながらも元軍を敗退させた。しかし、戦勝による土地の獲得は一片もなく、御家人に対する   恩賞を打ち切らざるを得なかった。また、元の三度目の襲来に備える戦時態勢が長く続いたため   幕府や御家人の経済的負担が大きく窮乏化が問題になった。 このため、幕府と強い主従関係にあった御家人も幕府から離反し始め、幕府の力は衰退しおよ   そ 140年間続いた鎌倉幕府は、足利尊氏らによって滅ぼされた。 〇 多くの子どもたちは、歴史に興味を示し、学習態度も積極的になってきている。しかし、歴史   的事象のとらえかたは、表面的・一面的であり多面的な見方や考え方をする子どもは少ない。ま   た、いくつかの歴史的事象を変遷や因果関係という視点でとらえる力も不足しているため、発言   内容が単なる思いつきで根拠に乏しいものになることが多い。その要因として、子どもたちが興   味・関心をもった問題に対して、その解決のための活動を十分に保障しなかったため、子どもの   追究意欲が低下したことが考えられる。 そこで、指導にあたっては、次のことに留意しながら学習を進めていきたい。 ・ 子どもの考え方や興味・関心に応じて調べる活動を取り入れ、主体的に追究させること      によって子どもの歴史に対する興味・関心や追究意欲をさらに高める。 ・ 調べる活動の際には、資料集、絵、年表、文章資料等を活用させながら具体的に歴史事      象をとらえさせる。  .単元目標 1、源平の戦いの様子や源頼朝が征夷大将軍となって鎌倉幕府を開いたことをわからせる。 2、農村に住む武士の館のつくりや武士が農業経営をし、武芸に励んでいる様子をわからせる。 3、土地所有を仲介として、将軍と御家人の主従関係が強く結ばれていることをわからせる。 4、元冦を契機に御家人の生活が苦しくなり、恩賞打ち切り等から幕府は御家人の信頼を失い、幕   府の勢力が衰退していったことをわからせる。 5、歴史に関する資料を収集し、それをもとに歴史事象のもつ意味を考えたり、絵や図表、文など   に表現できるようにさせる。  .指導計画(6時間) 1、源氏と平氏の戦い    (1) 2、源頼朝と鎌倉幕府    (1) 3、武士のくらし     (2)本時 1/2 4、元冦と鎌倉幕府の滅亡 (2)  .本時の指導 1、教材と子ども この当時の武士は、農村に住み自ら農業にも携わったり、荒れ地を開墾して自分の領地を広げ   たりしていた。武士は、日常の仕事として農作業、館や馬小屋の掃除、馬の世話、そして、領内   の農民の働く様子の見回り、武具の手入れなどをした。また、武芸の練習(犬追物、笠懸、流鏑   馬、剣術、場術等)に励んだり、夜は交代で館の警戒にあたったりした。このような生活をして   いるのは、自分の領地を外敵から守るだけでなく、他の領地を支配するためでもあった。また、   これは「いざ鎌倉」に備えて主君の御恩に報いるためであったり、その戦で手柄をたて恩賞を獲   得するためであったりした。 このような、平安時代の貴族のくらしとは一変した武士のくらしを、子どもたちに具体的にイ   メージ化させるために、当時の武士の館とその周辺を表す絵図を中心資料として提示し、子ども   たちに読み取らせていく。武士のくらしも具体的に資料でとらえさせ、武士のくらしの様子をわ   からせるとともに、「御恩」と「奉公」という主従関係について考えさせる資料としても位置づ   けたい。  2、ねらい     鎌倉武士の館のつくりやその周辺の土地の様子を調べることを通して、農村に住んでいた当    時の武士のくらしの様子をわからせる。  3、展 開 ------------------------------------------------------------------------------------------ 段階  学習内容と学習活動         指導上の留意点           資  料 ------------------------------------------------------------------------------------------    1.鎌倉武士が住んで ・ 武士の館の絵図を提示し、表現されている事実か   絵     いた館について調べ  ら分かること、気付くことノートに書かせる。    「武士の館     る。                                  とその周辺」  問 ○守られている館   ・ 発表の際は、K・KやH・Sも指名し、発表内容       -堀  -板塀     を認めることにより、学習への関心を高めさせたい。   題   -見張り台 -柵                               -屋敷の回りの木                             の   -二重三重の館の塀 ・ 平安貴族の寝殿造りと比較させ、武士が農村に住     ○武芸に関した施設   み、戦いにかかわりのある生活をしている様子を読   把   -馬 -厩舎      み取らせたい。                      -弓や剣術用広場                             握 ○館の回りの農耕地  ・ 館には、住人が描かれていないことに気付かせ、     ○神社         住人に対する関心を高める。そして、館の様子と関      館に住んでいる武士  係付け、館における武士のくらしの様子に疑問を持     は何をしていたのだろ  たせ、本時の追究問題を把握させる。           う。                                   ------------------------------------------------------------------------------------------    2.鎌倉武士のくらし                               について話し合う。                            問  (1) 考えたことをノ ・ 机間巡視により、つまずいている子には館の様子       ートに書く。    と関連させて考えさせるようにする。                                                 題  (2) 考えたことを発 ・ 発表の際は、考えた根拠も話させる。            表する。     ・ 馬、弓、広場等から武芸に関係したくらしに気付      ・ 武芸のけいこ    かせる。                      の  ・ 館の防衛     ・ 水田、畑、馬、牛等から、農業に関係したくらし      ・ 戦い        に気付かせる。                      ・ 農作業の仕事   ・ 館の防衛については、館の造り等から気付かせる。   追  ・ 馬や牛の世話   ・ 戦いについては、館のつくりが絵のようになって                       いる理由から考えさせる。                                 ・ その他、考えたことをできるだけ多く発表させ、   究             (3)への布石とする。                              ・ 発表された内容は、板書で整理し、くらしの様子                 を考えつかない子どもの思考を助ける。          (3) 発表された内容    武芸のけいこ       館の防衛・戦い    ・資料集      について調べて確   ・流鏑矢 ・犬追物   ・館のつくり       ・読み物      める。        ・笠懸         ・土地を守る      「一所懸命」                ◎資料集で3つ内容に  ◎館のつくりについて考                  ついて調べさせる。   えさせる。                                   ◎読み物資料から武士の                              心構えを読み取らせる                          農作業の仕事          ・武士のく                ・武士のくらし                  らし                ◎武士の日課表から農作業や開墾の仕事があること                  をとらえさせる。                                    ・ 自分の調べてみたい内容から調べさせ、調べたこ     とを発表させる。               ・ 館とその周辺の絵に、住人の切り抜きを貼付し、                 武士のくらしの様子を具体的にとらえさせる。    ・絵               ・ 「流鏑馬」「犬追物」「笠懸」については、絵を  「流鏑馬」                提示し、説明を加える。              「犬追物」               ・ 当時の人の食事の回数にも気付かせ、補説して武  「笠懸」 士のくらしへの理解を深めさせる。               ・ 以上のことから、当時の武士は平安貴族とは異な                 る生活をしていたことに気付かせる。              ------------------------------------------------------------------------------------------    3.本時の学習内容を ・ 本時の学習内容や学習の仕方について自己評価さ   ま  まとめ、次時の学習  せる。                       と  の方向をつかむ。  ・ 発表させ、追究の様子を把握し   め             その内容を認めることによって次時への意欲化を図                 る。                       ------------------------------------------------------------------------------------------