印刷用紙:A4縦 1ページの行数:45 1行の文字数(半角で):90   −−以下 指導案本文−−   第3学年 社会科学習指導案 平成8年10月22日(火)1校時 男子13名 女子15名 計28名 指 導 者 田 頭 仁 1.単元名 工場のしごと 2.単元について 1 教材について     第3学年の指導要領の目標2に「地域の人々の生活は、自然環境と結び付いて営まれており    地域によって消費生活や生産活動に特色があることや人々の生活の様子は変化していることを    理解できるようにし、地域社会を大切にする態度を育てる。」とあげられている。また、具体    的な内容として、指導要領の内容4「自分たちの村を中心とした地域の重要な生産活動は自然    環境を生かしながら営まれていること及び原料の入手や生産品の販売などの面で工夫がなされ    ていることについて調べて、地域の生産活動の特色と工夫について理解できるようにするとと    もに、自分たちの地域は生産活動を通して広く国内の他地域などとかかわりがあることに気付    くようにする。」とあげられている。本単元では、村の代表的な産業活動であるブロイラー加    工工場を取り上げ、原材料の入手や働く人の往来、生産物の流通などを通して、他地域と結び    付いていることを具体的にとらえることができるようにするとともに、ブロイラー加工工場で    働く人の様子に目を向け、働く人の工夫や努力に共感し、地域社会を大切にしようとする態度 を育てることで第3学年の目標・内容に迫ろうとするものである。     学区内にある従業員50名ほどのブロイラー加工工場「A商店」は、焼き鳥、鶏ガラ、ミン    チなどブロイラーを余すことなく加工している。製品の約90%は関東方面へ送られており、    多い日には5万本の売り上げがある東京ドームの焼き鳥は、この工場でつくられたものである。    串刺し、焼きなどの工程は機械化されているものの肉の選別、味付けなどは従業員が手作業で    行っている。従業員には3年生の保護者もおり、普段よく口にする製品でもあることから、子 供たちとも関わりが深い。     子供たちにとって、自分たちの地域で生産され、東京ドームで5万本も販売される「焼き鳥」    は興味・関心を持ちやすい教材である。そこで、「原材料はどこからくるのか。」「工程はど    うなっているか。」「働く人の様子はどうか。」などの視点で学習問題をつくり、工場の見学    を通して一人一人が工場の生産物とそこで働く人の様子などを調べ、働く人の工夫や努力につ いても追究していくことができるようにしたい。 2 児童について     子供たちは、前単元「店をしらべにいこう」の学習で実際に学区の店に見学に行き、店の様    子をよく観察したり店の人にインタビューをしたり品物に触れたりして、五感を使って意欲的    に活動した。見学活動を好み熱心に調べることができる子供たちであるが、自分の学習問題を    しっかりと持てずに、調べる内容や見学の視点が不明確な子供もなかには見られた。また、調    べ学習は意欲を持って行うが、その後の表現活動まで意欲が継続しない子供もいるので、本単    元ではどんな表現でまとめるのか活動の見通しをもたせて、最後まで意欲を継続させていきた い。 3 指導にあたって     本単元は、自分たちの地域社会の生産活動について学習を進めていくわけであるが、体験的    な活動を重視して、生産活動に携わっている人への共感的な理解を深めさせ、働く人を通して 追究の意欲を高めていきたい。    学習問題をつかむ段階では、グラフなどの資料から九戸村にはブロイラー加工工場が多いこ    とに気付かせ、自分たちと地域の生産活動を結びつけたい。さらに、「A商店」の焼き鳥が東    京ド−ムで販売されていることに驚きを持たせたり、串刺しなどの体験を通して疑問をふくら ませたりして工場についての関心を高め、学習問題へとつなげていきたい。    調べる段階では、子供一人一人が自分なりに問題解決へ向けて、積極的に情報収集ができる    ように、見学を通した具体的な観察や聞き取りなどの体験的な活動を重視したい。さらに、わ    かったさまざまな事実をもとに、その事実の関連を考えさせたり理由を考えさせたりして、働 く人の工夫や努力についても気付かせたい。     まとめる段階では、工場の見学をしたり、話し合ったりしてわかったことを自分なりの方法    で表現する活動を通して、自分たちの地域の生産活動の発展を願う態度を高めていきたい。具    体的には工場のCM作りを通して、自分なりに自由に表現する力を育てたり、工場の発展を願 う態度を高めていきたいと考えた。 4 研究主題とのかかわり     本単元では、串刺しや工場の見学などの体験的な活動を中心に学習過程を組み、追究意欲を    高めていくわけであるが、工程や働いている人の様子などについて具体的に調べてみたいこと    を一人一人に明確に持たせ、自分の学習問題を意欲を持って追究できるようにしていきたい。    見学の際には見るだけではなく、嗅ぐ・味わうなど五感を使って活動ができるように援助し、    さらに、見学カードを用いることにより見学の目的をはっきりさせ、より意欲的な活動につな がることを期待したい。     また、「A商店」という身近な地域素材を教材化することにより、子供たちは、地域の生産    活動をより身近なものとして感じるようになるとともに、地域社会を大切にする態度を高めて いくことができるであろうと考えた。 3、単元の目標    1 工場の仕事に関心を持ち、製造工程や働く人の様子などを進んで調べようとする。     (社会的事象への関心・意欲・態度)    2 工場の生産物は、販売や輸送を通していろいろな地域と結び付いていることを考えること がことができる。 (社会的な思考・判断) 3 工場の仕事について、自分たちが調べたことを工夫してまとめることができる。 (観察・資料活用の技能・表現)    4 よりよい製品を作るために、働く人たちはさまざまな工夫や努力をしていることを理解す     ることができる。 (社会的事象についての知識・理解) 4.指導計画及び評価項目 (時数11時間) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |時| 主 な 学 習 活 動 | 資 料 | | | (※体験的な活動) | (※地域素材) | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |3|《学習問題をつくる》 | | |2|1.九戸村にはどんな工場があるか資料を|副読本「くのへ」 | | | 調べ、ブロイラ−工場が多いことに気付|農業生産額のグラフ | | | く。 |九戸村のおもな工場の表 | | | | | | |2.製品(焼き鳥)を見たり、串刺しなど| | | | の体験を通し、ブロイラ−工場に関心を|※焼き鳥などの製品 | | | 持ち、学習問題を設定する。 | | | | (※串刺し) | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |ブロイラ−工場のひみつをしらべ| | | | | |よう。 | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |1|3.学習問題に対する予想を考え、学習計|計画表のプリント | | | 画を立てる。 | | | | ・工程について | | | | ・働いている人の様子 | | | | ・製品の流通について | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |6|《調べ学習をする》 | | |2|4.工場を見学して、自分の学習問題につ|見学カード | | | いて調べる。 | | | | (※工場の見学) | | | | | | | | | | |4|5.見学してわかったこと整理し、工場の|※VTRや写真 | | | 仕事について話し合い、まとめる。 | | | | ・わかったことをプリントに整理する| | | | ・工程について話し合う。 | | | | ・働いている人の様子について話し合|※コミュニティーゲスト | | | う。(本時3/4) | | | | ・製品の流通について話し合う。 | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |2|《学習のまとめをする》 | | |2|6.見学したり、話し合ったりしてわかっ|自作の発表資料 | | | たことをもとに、ブロイラー工場のCM| | | | を作って発表し深める。 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 教 師 の 支 援 | 評 価 項 目 と 方 法 | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |・資料から読み取ったことを発表させ、問題にせ|<関心・意欲・態度> | |まらせる。 |工場の仕事に関心を持ち、意欲的に調べよう| | |とする。 | | | (態度・評価カ−ド) | | | | |・製品を見せたり、東京ドームで販売されている|<思考・判断> | |ことを知らせたりして、活動への意欲を高める。|製造工程、働いている人の様子、製品の流通| | |についてなど自分の調べたいことを考えるこ| |・実際に串刺しなどをして、体験的な活動をもと|とができる。 | |に問題意識を持たせたい。 | (発言・計画表のプリント) | | | | | |<技能・表現> | |・前時までの学習や体験からさらに調べてみたい|資料から九戸村の工場の様子を読み取ること| |ことを話し合わせ、自分の学習問題を設定させる|ができる。 | |・予想をもとに、調べる内容や方法を考えさせ、| (発言・ノート) | |追究の見通しを持たせる。 | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |<関心・意欲・態度> | |・五感を使って見学することやインタビュ−活動|自分の学習問題を進んで調べようとする。 | |なども取り入れることを助言する。 | (態度・見学カード) | | | | |・工場見学の際は、後の活動に生かすため働いて|<思考・判断> | |いる人の様子や作業工程などをVTRに録画して|製造工程、働いている人の様子、製品の流通| |おく |についてなど自分の学習問題を調べることが| | |できる。 | | | (発言・ノ−ト) | |・わかったさまざまな事実をもとに、その事実の| | |関連を考えさせたり理由を考えさせたりして、働|<知識・理解> | |いている人の工夫や努力についても気付かせたい|九戸村の工業生産は、地域の自然環境を生か| | |していることや、人々はよい製品を生産する| | |ために様々な工夫や努力をしていることが分| | |かる。 | | | (発表・ノート・評価カ−ド) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |<関心・意欲・態度> | |・いろいろな表現方法を取り入れさせながら発表|意欲的に発表したり聞いたりする。 | |の資料をまとめさせる。 | (態度・発表) | | | | |・調べたことを深めるために、発表時間に余裕を|<技能・表現> | |持たせる。 |工場の仕事について、自分たちが調べたこと| | |工夫してまとめることができる。 | | | (態度・作品) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5.本時の学習 1 目標    見学したことをもとに、ブロイラー工場で働く人の様子をとらえるとともに働く人の工夫や努 力に気付くことができる。 2 本時での仮説とのかかわり    本時は、工場を見学してわかったことを整理し、さらに深めていく段階の学習である。学区に   ある工場を教材化して取り上げ、動作化などの活動を行わせることにより、工場の仕事を身近な   ものとして子供たちにとらえさせていけるのではないかと考えた。(仮説2)また、見学してわ   かった働いている人のさまざまな事実を出し合い、その事実の関連を考えさせ、そこから働いて いる人の工夫や努力についても子供たちに気付かせていきたい。(仮説1) 3 展開 +−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |段階| 学習活動と内容 |資料・準備| 教師の支援 | 評価の観点 | | | (※体験的な活動) | (※地域素材) | | +−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |つ |1.本時の学習問題を確認す|・作業工程|・これまでの学習の過程|資料などから工場で| |か | る。 | の図 | がわかるように学習し|働く人の工夫を考え| |む |+−−−−−−−−−−+| | た資料を掲示し、学習|ようとしているか。| | || 工場ではたらく人は|| | の流れや本時の位置付| (態度) | |5分||どんな工夫をしている|| | けを確認させたい。 | | +−−++のだろう。 ++−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |+−−−−−−−−−−+| | | | | |2.見学カードをもとに、工| |・動作化を取り入れたり|働く人の様子を具体| | | 場で働いている人の様子| | 写真や実物で確かめた|的に想起することが| |調 | を発表する。 | | りしながら、働いてい|できたか。 | | |+−予想される発表−−+| | る人の様子を具体的に|(発言・見学カード)| | ||・白衣を着ていた。 ||・白衣 | 想起させる。 | | | ||・すごい速さで肉を || | | | | || 機械に入れていた。|| | | | | ||・日付のシールをはっ|| | | | | || ていた。 など|| | | | |ベ |+−−−−−−−−−−+| | | | | | | | | | | |3.工場で働いている人の様|・工場の |・VTRを見て新たに気| | | | 子を振り返ったり、事実| VTR| 付いた点があったら発| | | | を確かめるためにVTR| | 表させる。 | | | | で確認する。 | | | | | | | | | | | |4.働いている人の様子から| |・わかった事実をもとに|働く人の工夫や努力| |る | どんな工夫や努力をして| | 共通点などに着目させ|に気付くことができ| | | いるか話し合う。 | | 工夫を考えさせたい。|たか。 | | |+−予想される発表−−+| | | | | ||・白衣、長グツ、手洗|| | | | | || い→えいせいの工夫|| | | | | ||・分担、時間を決めて|| | | | | || 仕事をする→たくさ|| | | | | || ん作る工夫 || | | | | ||・味付けをする、焼き|| | | | | || 方をみる、検査する|| | | | | || →おいしい焼鳥を作|| | | | |30|| る工夫 || | | | | 分|+−−−−−−−−−−+| | | | +−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |ま |5.工場の人の話を聞き、工|※コミュニ|・実際に働いている人を|工場の人の話を聞き| |と | 夫や努力についてまとめ|ティーゲス| ゲストに招き、仕事に|工夫や努力に気付く| |め | る。 |ト | ついて話してもらうこ|ことができたか。 | |る | | | とにより、働いている| | |10|6.次時の予告をする。 | | 人の工夫や努力に共感| | | 分| | | させたい。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 4 評価   ・ 見学したことをもとに、ブロイラー工場で働く人の様子をとらえるとともに働く人の工夫や 努力に気付くことができたか。 5 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 工場のしごと | | <学習問題> | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | || 工場ではたらく人はどんな工| | ||夫をしているのだろう。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |<工場のしごと> <はたらいている人の様子> <くふうやどりょく> | | | |・肉をわける ・くしにさす | | +−−−−−−+ +−−−−−−+ | | | 写 真 | | 写 真 | ・白衣を着ていた | | | | | | ・白長グツ →えいせいに気を付けている | | +−−−−−−+ +−−−−−−+ 手をよくあらう | | | |・やく ・ふくろにつめる ・部屋ごとにわかれて | | +−−−−−−+ +−−−−−−+ しごとをしていた | | | 写 真 | | 写 真 | ・すごいスピードで →やき鳥をたくさん作る | | | | | | 肉をわけていた | | +−−−−−−+ +−−−−−−+ | | ・味付けをする人 | | ・やきを方調べる人 →おいしいやき鳥にする | | | | | | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 6 よさを生かす評価の在り方 1 基本的な考え方     これまでの評価は、指導する側に立ち、共通的に身に付けさせようとした知識や技能を子供 がどの程度身に付けたかを把握することに重点が置かれていた傾向にあった。     そこで、これからは新学力観のもとに、子供一人一人のよさや可能性を積極的に見出し、そ れを認め伸ばすよう子供の側に立った評価を行うことが必要であると考えた。     そのためには、子供の様々な考えや表現のよさに共感し、一人一人が最適に楽しく学習活動 に取り組むことができるよう、評価と指導の一体化を図ることを基本に取り組んでいる。 2 評価の具体的方法 @ 実態把握     新しい単元学習を進めるにあたって、単元(小単元)の指導前に学習する内容や教材に対 する関心などを把握するためにおこなう。 A 評価項目と評価の方法     年間指導計画に観点別目標を設定し、それに基づいて単元の学習の各段階ごとに評価項目 と方法を位置付けた。さらに、学習活動の流れに即して評価のポイントを具体化した。 C 支援によるよさの評価     子供の活動を見守ったり、発言に対して助言したり、作品を賞賛したりして、子供のよさ     を積極的に伸ばす支援を心がけている。さらに、子供のちょっとした動き、表情、つぶやき などにその子の思いを読み取っていくことも大切であると考える。 B 自己評価・相互評価     子供が自分自身の考えを確かめたり、学習を振り返ったりすることにより、自分の達成状 況を知り、次への学習意欲を持つことができるよう自己評価を取り入れた。     また、子供がより客観的な立場から互いの活動を見つめ、友達によって賞賛や励ましを与 え合うことができるよう、主に生活科において相互評価も取り入れた。 C よさの評価から支援へ     子供の活動を見守ったり、発言に対して助言したり、作品を賞賛したりして、子供のよさ     を積極的に伸ばす支援を心がけている。さらに、子供のちょっとした動き、表情、つぶやき などにその子の思いを読み取っていくことも大切であると考える。