印刷用紙:A4縦 1ページの行数:69 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−   第6学年 社会科学習指導案 平成8年10月22日(火)2校時 男子15名 女子22名 計37名 指導者 瀬 川 健 1.単元名 15年も続いた戦争 2.単元について 1 教材について     第6学年の指導要領の目標に「国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化    遺産について、関心と理解を深めるようにし、我が国の歴史や伝統を大切にする心情を育てる。    」とあげられている。また、指導要領内容1のシには、「日華事変、我が国にかかわる第二次世    界大戦、日本国憲法制定などについて調べて、戦後は民主的な国家として出発したことを理解す    ること。」とあげられている。本単元では、満州事変を契機として日中戦争を勃発させ中国を侵    略していったこと、さらにはその戦争をアジア・太平洋へと拡大し15年という長い歳月に渡っ    て続けられた一連の経過をつかませるとともに、それぞれの戦争の原因や戦況・被害、当時の人  人の生活をつかませながら第6学年の目標・内容に迫ろうとするものである。     当時、日本は世界恐慌のあおりを受け不景気な世の中が続いていたのだが、その不況から立ち    直るために満州を侵略し、戦局を拡大していった。そのため、昭和初期から終戦まで15年にわ    たる長い戦争の時代となり、世の中の全てが戦争との関わりの中で揺れ動きとても混乱した時代    となってしまった。そして、それらの戦争において中国をはじめとする諸国の国民に対して多大    な損失と犠牲を与えると同時に広島・長崎の原爆投下などに代表されるように日本の国民も多大    の犠牲を強いられる形となってしまった。戦争中は、軍部の厳しい統制のもとに国民が軍部の方    針に対して非難できるような時代ではもちろんなかった。自由に自分の考えを言ったり行動する    こともできない世の中になり、戦局が悪化していくにつれて物資は欠乏し、次第に国民も窮乏生  活に追い込まれていくことになってしまった。     6年生の児童にとって、戦争という歴史上大きな出来事がとても興味深いものであり、戦争と    いう行為の問題点や人々の暮らしに及ぼす不幸について深く考えることができるものと思われる    戦争勃発に至った時代背景を確実にとらえさせながら、二度と悲惨な戦争を起こさないためにも    戦争のために数多くの命が失われていったこと、多大な損失・被害があったことを現実の問題と    して受け止めさせ、今後平和な世の中を築いていくためはどうしたらよいのか自分なりの考え方  をしっかりと持てるようにしていきたい。 2 児童について     子どもたちは、前単元の「二つの戦争と日本・アジア」の単元で明治から大正時代へと変遷し    民主的な考え方が台頭してきたことや日清・日露戦争という二つの戦争があったことを学習して    きた。これまでの歴史学習を通して、自分たちで学習問題を作ることや調べる活動、調査結果を    発表し合う活動にもだいぶ慣れ、積極的に活動できるようになってきている。ただし、発表活動    においては、友達の発表を聞いて自分の意見を付け足したり、深めたりする力はまだ十分とは言    えないので、本単元では友達の発表に関連付けながら補足できるような機会を意図的に設けてそ  の力を伸ばしていければと考える。     以前は、関心・意欲の面では個人差が大きく見られたが、近代に世の中が移行し世の中の動き    が身近な単元に入ってだいぶその差が小さくなった。特に、日本が歩んできた戦争の歴史に対し    て興味・関心を持っている子どもが多い。前単元では日清・日露戦争において多大な命が失われ    たり、大きな損失があったことを学習し、戦争は「怖い」「恐ろしい」「嫌だ」などという強い    認識は持ったものの、まだ戦争の本当の意味での悲惨さや恐ろしさまで十分にとらえているとは    言えない。本単元での学習で改めて戦争に対する認識を深めさせ、平和な世の中を築き上げてい  くために必要なことを考えさせていきたい。 3 指導にあたって     学習問題をつかむ段階においては、戦争中の人々の悲惨な生活の様子が分かる一枚の写真を手    がかりとして共通の学習問題を設定させる。さらに、その問題の予想をさせることによって調べ  る観点を整理し、自分の追究していく学習問題へと結び付けさせたい。     調べる段階においては、それぞれの計画にしたがって調べていくわけであるが、戦争体験のな    い子ども達に戦争の悲惨さや生活の苦しさを実感させるために、戦争を体験した祖父母への聞き    取り調査を行わせたり、地域の戦没者の墓碑を調べさせるなど戦争による被害や影響が身近なと    ころであったことをつかませていきたい。また、それぞれが調べたことを発表し合いながら、当    時の人々の生活の様子を具体的につかませていきたい。さらに、それぞれの調べたことに対して    補足し合いながら深めさせ、ゲストの戦争体験者の方に直接話を聞くことによって当時の人々の  気持ちにまで気付かせていきたい。     まとめる段階においては、本単元で学習した内容についてしっかりつかませるために新聞作り    に取り組ませたい。戦争の恐ろしさ、悲惨さだけにとどまらず平和な世の中にしていくためにし  ていくためのそれぞれの考えがきちんとまとめられるようにさせたい。 4 研究主題とのかかわり     本単元では、満州事変勃発から太平洋戦争終結までの一連の流れを学習していくわけであるが    当時の国民の生活に焦点を絞り共通の学習問題を設定し、それぞれの学習問題へと発展していく    形になる。つかむ段階での資料の提示に工夫を図りながら子ども達の追究意欲を高めていきたい    それぞれの問題を調べる際には、身近な地域の体験者の聞き取り調査、地域資料の調べ学習を  中心にしてより身近な問題として子ども達にとらえさせられるようにしていきたい。     また、当時の生活の様子をよりとらえやすくするために、当時の服や防空頭巾を用意したり、   当時の食べ物を試食してみたりする体験的活動も取り入れていきたい。 3.単元の目標 1 15年戦争について関心を持ち、当時の国民の生活の様子や人々の思いについて進んで調べよ うとする。 (社会的事象への関心・意欲・態度) 2 戦争や平和について自分なりに判断し、考えることができる。 (社会的な思考・判断) 3 資料や聞き取りなどから15年戦争における当時の人々の暮らしについて調べ、工夫してまと めることができる。 (観察・資料活用の技能・表現) 4 戦前から終戦に至るまでの社会情勢や当時の人々の苦しい生活について理解することができる (社会的事象についての知識・理解) 4.指導計画及び評価項目(時数 8時間) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |時| 主 な 学 習 活 動 | 資 料 | | | (※体験的活動) | (※地域素材) | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |5|《学習問題を作る》 | | |3|1.年表を見て15年も戦争が続いていることに気|年表 | | | が付き、戦争の原因や経過・結果を調べる。 |写真 | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|教科書 | | | |どうして15年もの間戦争を続けていたのだ||資料集 | | | |ろう。 ||VTR | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | ・満州事変 | | | | ・日中戦争 | | | | ・太平洋戦争 | | | | ・日本の大きな被害(沖縄での戦い、原爆) | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |1|2.戦争中のくらしの写真を見て、気付いたことを|※戦争中のくらしの様子| | | 発表し合い、共通の学習問題を設定する。 |が分かる写真 | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | ||戦争中、人々はどんなくらしをしていたのだろ|| | | ||う。 || | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |1|3.学習問題に対する予想を考え、学習計画を立て| | | | る。 | | | | ・食べ物にかかわって困ったこと | | | | ・服などの生活用品にかかわって困ったこと | | | | ・ふだんの生活の中で困ったこと | | | | ・学校の様子にかかわって困ったこと | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |2|《調べ学習をする》 | | |1|4.聞き取りなどで「自分の学習問題」について調|教科書 | | | べ、発表資料を作る。 |資料集 | | | |辞典 | | | |写真 | | | | | |1|5.調べたことを発表し合い、当時の国民の生活に|児童自作資料 | |本時 ついて深める。(※当時の食べ物の試食) |写真 | | | @食べ物にかかわって困ったこと |※当時の食べ物 | | | A生活用品にかかわって困ったこと |※コミュニティーゲスト| | | Bふだんの生活の中で困ったこと | | | | C学校の様子で困ったこと | | | | | | | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |1|《学習のまとめをする》 | | |1|6.学習したことを新聞にまとめる。 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 教 師 の 支 援 | 評価項目と方法 | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |〈関心・意欲・態度〉 | |・年表から満州事変を契機として以後15年もの|15年もの長い間戦争が続いたことに関心| | 長い期間に渡って戦争を続けていることに疑問|を持ち、進んで調べようとする。 | | を抱かせたい。 |(態度、発言) | | |〈思考・判断〉 | | |自分の学習問題を作り、問題解決の方法を| | |考えることができる。 | | |(ノート、発言) | | |〈技能・表現〉 | | |資料から満州事変、日中戦争、太平洋戦争| | |などの原因や経過、結果について調べるこ| | |とができる。(発言・ノート・態度〉 | | |〈知識・理解〉 | | |資料から満州事変、日中戦争、太平洋戦争| | |などの原因や経過、結果について調べるこ| | |とができる。(発言・ノート・態度〉 | | |〈知識・理解〉 | |・戦争中のくらしの様子が分かる写真からその当|15年も続いた戦争の原因や経過、結果に| | 時の生活の悲惨さをとらえさせ、しっかりとし|ついて分かりその戦争における被害の様子| | た問題意識を持たせたい。 |を理解することができる。 | | |(ノート、発言) | |・当時の人々の生活の様子を予想させ、これから| | | 調べていく内容の大まかな観点を示すとともに| | | それぞれの学習問題を設定させる。 | | | | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |〈関心・意欲・態度〉 | |・家族などへの聞き取りなどを中心に調べさせた|戦争中の国民のくらしについて関心をもっ| | い。ただし、実際に自分の家族で戦争体験者が|て調べようとする。(態度) | | いない場合は、資料集などから適切に調べられ|〈思考・判断〉 | | るように支援していく。 |戦争中の人々の苦しい生活の様子を当時の| | |人々の気持ちになって考えることができる| | |(発言、ノート) | |・当時の人々の生活の様子を児童の発表を関連づ|〈技能・表現〉 | | けながら考えさせ、当時の人々の気持ちまで気|戦争中の人々の暮らしの様子を適切な資料| | 付かせたい。最後に体験者から実際に話を聞く|から調べ、分かったこと、考えを工夫して| | ことによって考えを深めさせたい。 |イラストや構造図などに表現することがで| | |きる。(児童自作資料) | | |〈知識・理解〉 | | |戦争中の人々の苦しい生活の様子が分かる| | |(ノート、発言) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |・学習したことを分かり易く、工夫させながら新|〈関心・意欲・態度〉 | | 聞にまとめさせる。また、今後のあり方につい|調べたことや学習したことを進んで新聞に| | ても自分なりの考えをまとめさせる。 |書こうとする(態度、新聞) | | |〈技能・表現〉 | | |分かり易く、工夫して新聞にまとめること| | |ができる。(新聞) | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5.本時の学習 1 本時の目標   戦争中の厳しく苦しい生活の様子を理解するとともに、不安を抱きながら生活していた当時の人 々の気持ちに気付くことができる。 2 本時での仮説とのかかわり   本時では、当時の食べ物を調べる段階において、実際に当時の食べ物を試食させてみることによ って、当時の人々の苦しい生活の様子を実感させるとともに当時の人々の気持ちを考えさせる手が かりとしたい。また、実際に戦争体験者の話を聞かせることによって当時の生活の様子をより現実 的なものとして子どもたちにとらえさせていきたい。(仮説2) 3 本時の展開 +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |段階 学習活動と内容 |資料・準備| 教師の支援 | 評価の観点 | | | (※体験的活動) | (※地域素材) | | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |つ|1.本時の学習問題を確認|※写真 |・写真を見ながら学習問題|・本時の学習問題を| |か| する。 |避難警報の| を確認するとともに、避| しっかりつかむこ| |む| |音 | 難警報の音を聞かせ、当| とができたか。(| | | | | 時の生活に興味を持たせ| 態度) | |4|+−−−−−−−−−−+| | る。 | | |分||戦争中、人々はどんな|| | | | +−+|くらしをしていたのだ|+−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | ||ろう。 || | | | | |+−−−−−−−−−−+| | | | | |2.それぞれの問題につい|児童自作資|・児童の調べたことを関連|・友達の発表を聞い| | | て調べたことを発表し合|料 | づけながら当時の生活の| て、当時の生活の| | | い戦争当時の人々の生活|補助資料 | 様子を考えさせる。 | 様子を理解するこ| |調| の様子をまとめる。(※|※当時の食|・調べた観点毎に意図的に| とができたか。(| | | 当時の食べ物の試食) |べ物 | 順番に発表させ、随時、| プリント、発言)| | | ・食料にかかわって困っ|※防空頭巾| 補足の説明をさせながら| | | | た事 |※赤紙 | 当時の生活の様子を深め| | |べ| ・生活用品にかかわって| | させたい。 | | | | 困った事 | |・食べ物を扱う際には、実| | | | ・ふだんの生活で困った| | 際の当時の食べ物を試食| | | | 事 | | させてみることによって| | |る| ・学校の様子はどうだっ| | 当時の人々の気持ちに気| | | | たか | | 付かせたい。 | | | | | | | | | |3.戦争体験者の話を聞き|※ゲスト(|・実際に戦争体験者から当|・ゲストの話を聞い| | | 考えを深める。 |戦争体験者| 時の生活の様子について| て、当時の人々の| | | | | 話してもらうとともに、| 生活の様子や気持| | | | | 当時の人々の気持ちまで| ちを理解すること| |33| | | 話してもらい当時の人々| ができたか。(プ| |分| | | の気持ちを実感させたい| リント) | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |ま|4.学習したことをもとに| |・学習プリントに学習した|・自分なりの感想を| |と| 当時の生活の様子につい| | ことをもとに当時の人々| まとめることがで| |め| て自分の感想をまとめる| | の気持ちにも触れさせな| きたか。(プリン| |る| | | がら自分の感想をまとめ| ト、発言) | |8| | | させる。 | | |分| | | | | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 3 評 価 ・戦争中の厳しく苦しい生活の様子を理解するとともに、不安を抱きながら生活していた当時の 人々の気持ちに気付くことができたか。 4 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |○元冦について +−−−−−−−−−−+ 《全体の学習問題》 | | 1274年 文永の役 | 《室町時代》年表 |+−−−−−−−−−−−+| | 1281年 弘安の役 | ||室町時代にはどのように|| | ↓ | ||世の中が変わっていった|| | +−−−−−−−−−−+| ||のだろう。 || | | 御恩と奉公の関係 || |+−−−−−−−−−−−+| | | || | (予想) | | | || | ・政治のしくみ | | | × || | | | +−−−−−−−−−−+| | | | 幕府への不満 | | ・農民たちのくらし | | ↓ | | | | 鎌倉幕府滅亡 | | | | | | | | | | ・文化 | | +−−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+