印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):78   −−以下 指導案本文−−          第5学年社会科学習指導案                          期 日 9月13日(金)2校時                          児 童 1組 男23,女 14  計37名                          指導者 清水 貞美                          場 所 5年1組教室 1 単元名  2 工業生産をささえる人々 (教育出版5上)           伝統に生きる工業          「水沢市の南部鉄器づくり」 2 単元について  (1)教材観      本単元は,小学校学習指導要領5学年の内容(2)「我が国の工業生産の現状にふれ,     工業に従事している人々が生産を高める工夫をしているようにする」のイ「我が国の伝     統的な技術を生かした工業について,それが盛んな地域や生産物を地図や資料などで調     べて,原料や土地の利用,技術などを生かして生産していることを理解するとともに,     伝統的な技術を生かした工業製品の意味を考えること」に基づいて設定されたものであ     る。身の回りには,大量生産されたものばかりでなく伝統的な技術によって手作りで生     産されたものもあることを理解させるとともに,原料や土地の条件,技術などを生かし     て長年生産されていることを理解させ,その製品の持つ意味を考えさせる。      ここでは,南部鉄器作りを取り上げる。水沢市の東側水沢江刺駅のある羽田地区には,     鋳物工場が60余り分布し鋳物産地を形成している。南部鉄器の歴史は古く900年前,     平安時代の末期藤原清衡が豊田の館におったころ当時活躍していた近江の鋳物師を招い     て民間の需要品である鍋や釜を鋳させたのが起源とされる。平泉全盛時代にはその保護     を受けて鍋や釜のみならず寺院等の備品など鋳造し,平泉文化の一翼を担った。藤原氏     滅亡後も細々と技術を継承していくが,砂鉄,砂と粘土,木炭などの原料が容易に手に     はいった事が当地方に定着した条件と考えられる。      今から600年前,室町時代に千葉正頼という人が領主葛西家に鋳物師として抱えら     れこの地に定着している。江戸時代には気仙郡より及川掃部が移住し,その子及川喜右     ヱ門が鋳物に力を尽くし中興の祖といわれている。その後,伊達藩の保護を受け発展し,     明治中期には,鍋・釜・日用品鋳物の生産地として東北一を誇っていた。      太平洋戦争中は,日用品鋳物・南部鉄瓶・工芸鋳物は統制され軍事産業に転換,軍事     ブームに乗り鋳物工業産地として全国にその名を知られた。戦後,日用品鋳物・南部鉄     瓶・工芸鋳物が復活し軍需産業鋳物を製造していた工場は機械鋳物の生産に転換し幾多     の技術導入と研鑽を重ね,今では水沢鋳物の生産額の80パーセントを占めるに至って     いる。      昭和29年には水沢鋳物工業共同組合を組織し,昭和50年には国の伝統工芸品とし     て指定を受けている。そして,優れた鋳物師たちによって伝統的技術が受け継がれてい     る。  (2)児童観      南部鉄器について事前調査をした結果どんなものが伝統工業なのか聞いたところ17     名はどんなものが伝統工業なのか知っていた。そこで伝統工業について話しをして伝統     工業で作られるものを聞いてみた。すると鉄器・和紙・焼き物・塗物があげられた。      次に水沢の伝統工業について聞いたところ南部鉄器と答えたのは16名であり,もっ     と知っているかと思ったが以外と知られていなかった。岩手の伝統工業についても聞い     たところ南部鉄風鈴器・岩谷堂箪笥・秀衡塗り・浄法寺塗り・小久慈焼きがあった。南      部鉄器を見たことがある子は26名であった。また南部鉄器にどんな製品がある聞い     たら,鉄ブックスタンド4・瓶14名・風鈴13名・鍋7名・ブックスタンド4名・置     物4名・文鎮4名・湯釜3名・灰皿2名置物・鉄板3名・花瓶2名・箪笥の金具1名な     どがでてきた。また,水沢のどこに工場が多く集まっているか分からない子が多かった。      このように子供たちの身近に伝統工業の工場や製品があるのですが意識してみていた     子供は少なかった。したがってこの単元を通して南部鉄器についての理解を深めさせ伝     統工業について考えさせていきたい。      子供たちは前単元までに、食料生産をささえる人々についての学習してきた。その中     で働く人々の工夫や努力についてまとめてきている。社会科の授業時間の話し合い活動     については,自分の考えを根拠だてて話し合える児童は少ない。  (3)指導観      指導にあたっては伝統工業は長い歴史があることを知るとともに,その発展に尽くし     た人々の努力も押さえる必要がある。そこで,どうしてここで南部鉄器作りが始まった     のか。製品ができ上がるまでの工程を調べたりして,伝統的な技術を生かして手作りで     生産された製品の持つ素晴らしさに気付かせ,これからも伝統技術を大切に守り続ける     必要があるという意識を育てたい。それだけでなく新製品の開発や大量によい製品を造     るために,機械化をして現在にいたっていることもとらえさせたい。その中で,伝統的     な工業を守っていこうという人々の工夫や努力をつかませたい。      水沢市の南部鉄器を取り上げることにより,水沢市の伝統工業に興味や関心を持たせ,     自分たちの住んでいる郷土に誇りを持たせたい。見学など体験学習については社会科の     時間のだけではできない部分は,教育過程全体の中で時間の確保をはかり実施していく。 3 単元の目標  (1) 単元の主目標    ア 南部鉄器など伝統工業に関心を持ち進んで調べようしする。    イ 伝統工業で働く人々の工夫や努力について考えることができる。    ウ 資料をもとに南部鉄器作りについて自分なりにまとめようとする。    エ 南部鉄器作りの歴史や原料・土地の条件を生かして生産していることが分かる。  (2) 学習指導要領との関連 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |目標 | |(1)我が国の食料生産,工業生産の特色及び運輸,通信などの産業の様子| | やこれらの産業と国民生活との関連について理解できるようにし,我が| | 国の産業の発展に関心を持つようにする | |(3)地図,年表,統計などの基礎的資料を効果的に活用することができる| | ようにするとともに,社会事象の意味についても考えるようにする | | | |内容 | |(2)我が国の工業生産の現状にふれ,工業に従事している人々が生産を高| | める工夫をしているようにする | | イ我が国の伝統的な技術を生かした工業について,それが盛んな地域や生| | 産物を地図や資料などで調べて、原料や土地の利用,技術などを生かし| | て生産していることを理解するとともに,伝統的な技術を生かした工業| | 製品の意味を考えること | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5 本時の展開  (1)本時の目標      水沢市の南部鉄器作りの問題点を出すことを通して,伝統的な技術を守るために働い     ている人々がさまざまな工夫や努力をしていることについて考えることができる。  (2)指導上工夫したこと    ア 郷土の伝統的な製品である,南部鉄器を取り上げることにより,伝統工業に興味と関      心を持たせるとともに,郷土の生み出したすばらしい南部鉄器について理解し,郷土      にほこりをもたせたい。    イ 自分の考えや調べたことを進んで発表する児童が少ないが話し合いの段階ではより多      くの子供たちに発表させ,友達のよい点に気付いたり,自分の考えを深めさせたい。    ウ 自分の考えたこと,話を聞いたことなどについて,学習の終末に感想を書くことによ      って自分の学習を振り返り,次の学習への意欲付けをはかれるようにしていきたい。  (3) 展開 +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ |段階 学 習 活 動 |予想される児童の反応|活動への支援評価|資料 | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ |つ|1 課題をとらえる | 課題を明確にし|紙板書| |か| |て,しっかり把握| | |む| 南部鉄器造りを守るため南部 |できるようにする| | | | 鉄器を作っている人々は,どん |・機械化をはかる| | | | な工夫や努力をしているのだろ |・新製品開発 | | | | う |・後継者問題難し| | | | | い | | |(|2 予想を立ててみ ・働く人が少なくなっ| 予想を立てさせ|前に使| |5| よう ているのではないか|学習への意欲を高|った資| |分|・今まで学習してき ・受け継ぐ人が少ない|めさせる |料 | |)|たことを参考にして のではないか | | | | |南部鉄器を作る工場 ・売れないのではない|(評) 問題点を自分 | | |の人達の抱える問題 か |なりに考えること| | | |点を予想して見よう ・材料にお金がかかる|ができたか | | | | のではないか | | | | | ・作るのが難しい | | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ | |3 調べる | | |グラフ| |展| 働く人が少なくな|・働く人達の作業が大| 労働力不足・販|図 | |開|っているのか | 変だ |路が増えない・後|写真 | |(| 売れないのではな|・受容に応じて製品を|継者問題に絞って|資料 | |30|いか | 造っている |問題点であるかど| | |分| 受け継ぐ人が少な|・伝統工芸職人の人数|うか調べさせる | | |)|くなっているのかに| は少ない | | | | |ついて調べる問題点| | | | | |について工場の人達| 問題点について工夫| 問題点について| | | |がどんな工夫や努力|や努力について考える|工場の人達がどの| | | |をしているか考えて| |ような工夫や努力| | | |みる | |をしているか考え| | | | | |させる | | | | | | | | | |4 話し合う | | | | | | どんな工夫や努力|・新しい機械を入れる|(評) 進んで自分の | | |をしているか話し合|・工場が熱くないよう|考えを述べたり,| | | |う | にする |友達の考えを聞い| | | | |・ほこりをとりのぞく|たりしているか | | | | |・百貨店で売る | | | | | |・新製品を開発してい| | | | | | る | | | | | |・伝統産業会館で昔の| | | | | | 人の南部鉄器の作り| | | | | | 方を展示することに| | | | | | よって伝統技術をみ| | | | | | んなに伝え残す | | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ |ま|5 まとめる | | 自分の考えと比|講師 | |と| 南部鉄器を作って| |較しながら聞き,|及川源| |め|いる工場で抱えてい| |さらに考えるよう|悦郎さ| | |る問題点やそれを克| |に励ます |ん | |(|服するためにしてい| | | | |10|る工夫や努力につい| | | | |分|て実際に話を聞き考| | | | |)|えを深める | | | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ | | 今日の学習で自分| 自分の感想を書く | 本時を振り返ら| | | |で考えたことと,実| |せ自分の言葉でま| | | |際に工場を経営して| |とめさせる | | | |いる方のお話を聞い| | | | | |たことなどから分か| | | | | |ったことや感想を書| | | | | |く | | | | | |・2名ぐらい感想を| 自分の感想を発表す| 次の学習に生か| | | |発表する |る |すようにさせる | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−+ 4 活動の概要及び目標と評価 +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ |次|時| 学 習 の 流 れ |資 料|興味関心態度 |社会的思考判断|技能・表現 |知識・理解 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ |第| | 身の回りにある南部鉄器の製|伝統工| 身の回りの南| 他の工業製品| 南部鉄器を| 水沢で作ら| | |1|品についてさがし感じたことを|芸品 |部鉄器について|との違いを考え|触ったりして|れている伝統| | | |発表する |(風鈴|目を向けようと|ることができる|調べて発表す|工業製品につ| |一| |・南部鉄器の特徴はどんなとこ|・鉄瓶|する | |る |いて知る | | | | ろですか |など)| | | | | | | |・水沢のどこで作られています|寿庵ロ| 寿庵ロードを| | 寿庵ロード| いろいろな| |次| | か |ード |歩いて鉄器を探| |で鉄器を探す|製品があるこ| | | | 寿庵ロードにある南部鉄器を|写真 |し関心を持たせ| | |とが分かる | | | |調べてみよう | |る | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ | |2| 南部鉄器について関心を持ち|資料 | 自分なりの予| 南部鉄器の課| それぞれの| | | | |学習課題を設定する | |想を持つことが|題を考えること|考えを出し合| |  | | |・資料をもとに,南部鉄器の歴| |できる |ができる |って課題をま| | | | | 史,生産工程,製品の送り先| | | |とめていく | |  | | | 南部他っ木造の問題点や働い| | | | | |  | | |ている人々の工夫や努力につい| | | | | |  | | |て調べる計画を立てる | | | | | |  | | |・調べ方や必要な資料などを書| | | | | | | | | き出し話し合う | | | | | |  | | |・話し合いの後に修正をする | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ |第|3| 水沢で南部鉄器が作られるよ|資料 | 南部鉄器作り| 資料から南部| 資料を使っ| 南部鉄器が| | | | うになったのかまとめよう |ビデオ|の歴史について|鉄器の発展した|てノートに南|水沢で作られ| | | |・鋳物工業が発展したわけを調|写真 |進んで調べる活|わけに気付く |部鉄器作りの|るようになっ| |二| | べよう | |動をおこなう | |歴史をまとめ|てきたわけが| | | | 原料の確保 製品の輸送 | | | |る |分かる | | | | | | | | | | |次| |・南部鉄器の歴史について資料| | | | | | | | | を使って読み取りまとめる | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ | |4| 南部鉄器作りの手順を資料に|資料 | 南部鉄器作り|南部鉄器の作り| 資料を使っ| 南部鉄器の| | | | より調べてみよう |ビデオ|の手順を進んで|方を理解し,そ|て南部鉄器の|作り方がわか| | | |・南部鉄器作りの順序をビデオ|写真 |調べるようとす|の工程の大変さ|作り方の手順|る | | | | オなどを使って調べる | |る |を考えることが|をまとめて表| | | | |・順序と内容をまとめる | | |できる |す | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ | | | 現在の鋳物の作りの手順を資|ビデオ| 手作りの鉄器| すべて手作り| 資料を使い| 手作りの製| | | |料を使って理解させ手作りの南|集めた|と大量生産され|の製品と機械化|それぞれの製|品と大量生産| | | |部鉄器との違いを考えてみよう|資料 |た鉄器を見せて|されて作られる|品の違いをま|の製品などい| | |5|・違いはどこだろうか |写真 |違いを感じとら|製品についてそ|とめる |ろいろな製品| | | |・どんな物を作っているか。 |グラフ|せる |れぞれのよさを| |があることや| | | |・それぞれの製品の違いはどこ| | |考えることがで| |それぞれの製| | | |・原料はどこからくるのか | | |きる | |品のよさが分| | | |・それぞれの製品の販売はどう| | | | |かる |  | | | なっているのだろうか | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+  | |6| 南部鉄器作りの問題点や工夫|資 料|今まで学習して| 問題点を解決| 資料をも都| 南部鉄器作|  | | |や努力をとめよう |集めた|きたことをもと|するために努力|に自分の考え|りの問題点や|  | | |・今まで学習してきたことを参|資料 |にして南部鉄器|していることを|が正しいか確|工夫と努力に|  | |(| 考にして南部鉄器作りの問題| |を作る人々の問|の考え予想する|かめる |ついてわかる| | |本| 点を考える | |題点を考えよう|ことができる | | |  | |時| | |とする | | | | | |)| | | | | | | | | |・それらの問題点を解決するた| | | | | | | | | めにどんな工夫や努力をして| | | | | | | | | いるか考える | | | | | | | | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+ |第|7| 学習したことを新聞にまとめ|資料 | 資料やイラス| 調べたことや| 自分なりの| 伝統工業で| | |・|る |集めた|トなどをつかい|学習したことを|まとめ方を工|作られている| | |8|・これまでの学習を振り返って|資料 |ながらわかりや|進んで新聞に書|夫して表現す|南部鉄器のよ| |三| | 南部鉄器の歴史 |メモ |すくまとめよう|こうとする |ることができ|さがわかる | | | | 南部鉄器ができるまで |ビデオ|とする | |る | | | | | 南部鉄器作りの問題点や工|写真 | | | | | |次| | 夫と努力 | | | | | | | | | 製品の送り先など | | | | | | | | |・自分の考えをまとめる | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+    南部鉄器作りを守るために働いている人々は,  南部鉄器作りを守るためにさまざまな    どんな工夫や努力をしているのだろう      工夫や努力を続けている     問題点                    工夫・努力      働く人が少なくなってきている         機械化をはかる                             工場の環境を整える      売れないのではないか             毎年展示会を開く                             百貨店で売る      受け継ぐ人がすくない             新しい製品を開発する                             伝統技術を伝える