印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):94   −−以下 指導案本文−−   第6学年社会科学習指導案     期 日 9月13日(金)1校時     児 童 4組 男子17,女子21 計38名     指導者 尾崎 光則     場 所 6年4組 教室 1 単元名 ++ 1|人々のくらしの歴史 (教育出版 6上) ++ 7 力をつける農民・町人 「幕末をかけぬけた蘭学者 高野長英」 2 単元について (1)教材観 本単元は小学校学習指導要領第6学年の目標(1)「国家・社会の発展に大きな働きをした     先人の業績や優れた文化遺産について関心と理解を深めるようにし,我が国の歴史や伝統を大     切にする心情を育てる。」を柱に,内容(1)のア「身近な地域や国土に残っている遺跡や文     化財などを調べて,自分たちの生活の歴史的背景に関心をもつとともに,我が国の歴史を学ぶ     意味について考えること。」ならびに,ケ「歌舞伎や浮世絵,国学や蘭学などについて調べて     江戸時代の人々の暮らしの様子や新しい学問が起こったことを理解すること。」に基づいて,     設定したものである。そして,地域の偉人を取り扱うことによって,関心・意欲を高めながら     歴史学習に取り組み,歴史的事実をもとに調べ,時代背景をおいながら生き方や考え方などに     触れ,当時の人々になりきって自分なりに想像しながら学習を進めていくことから,ものの見     方や考え方の基礎を培うことをねらいとしている。 南小三偉人(木村栄・後藤寿庵・高野長英)の中から,蘭学を通して世界に目を向け,時代     の先駆者となった高野長英を取り上げている。今からおよそ200年ほど前,水沢藩の武士の     子として育った長英は,幼少のころから学問に励み17歳の時に江戸に出て蘭学を学んだ。そ     の後,長崎に渡りシーボルトに学び力をつけた。モリソン号事件の時に書いた「夢物語」が幕     府批判であるとして捕らえられたが,火事によるお解き放ちで逃亡者となり,最後は自害して     果てた。武士の身分を捨ててまでも蘭学者として,そして医者として人々のために力を尽くし     逃亡者になってからも日本の夜明けを願って走り続けた先人である。その偉業について,歴史     的事実を基に調べ,時代背景を押さえながら自分なりの想像も加えて生き方や考え方を探ろう     とするものである。 (2) 児童観 児童はこれまでに4年生で後藤寿庵,5年生で木村栄について学習してきている。そして今     年度は南小三偉人の3人目である高野長英について学習することにしている。高野長英につい     ては,「ふるさと学習」を通して学んだり,高野長英講演会でいろいろなお話を聞いたりして     いるので,興味や関心も高く,高野長英という人物についてもある程度の知識はあると思われ     る。事前調査で「どんなことを知っているのか」の問いに対して,「蘭学や医学を熱心に勉強     した」(34人),「夢物語を書いた」(27人),「牢屋に戻らずに逃亡した」(16人),     「幕府に捕まった」(14人)と答えている。また,「高野長英という人をどう思うか」の問     いに対して,「自分の考えをしっかりともっていて,夢物語などを書いて日本のことを考えて     いた人」(15人)と答えていることから,「高野長英」と「夢物語」を結び付けながら理解     している児童が多い。 歴史学習においては,歴史的事実を資料を適切に選択しながら調べ,まとめることについて     はだいぶ身についてきている。しかし,調べたことを基に自分なりに想像し,根拠だてて考え     を発表しながら話し合いを行うことについては不十分と言える。 (3) 指導観 本単元の指導にあたっては,教化外の時間も使いながら,教育課程全体を通して学習を進め     ていきたい。そして,事前調査の結果から「高野長英と夢物語」にスポットを当て,「なぜ,     高野長英が夢物語を書いたのか」ということを中心に調べ,当時の時代背景や長英を取り巻く     人間関係などを探り,自分なりの想像もまじえながら長英の生き方や考え方に触れ,その人物     像に迫りたい。 自分なりの「高野長英」に迫るためにも,一人調べでは各自がしっかりと課題をもてるよう     に指導したい。また,課題について十分に調べることができるように,高野長英記念館の見学     を取り入れたり,副読本の活用や子孫の方や詳しく知っている方からお話を聞いたりできる機     会を設けるなどして,自分の考えを膨らませながら学習を進めるようにしたい。そして,その     ための手段としての視聴覚機器も効果的に利用していきたい。学習したことについては,「高     野長英事典」を作ることによってまとめとする。 3 単元の目標 (1) 単元の主目標 ア 社会の発展につくした祖先の業績や文化遺産について関心と理解を深め,我が国の歴史や伝      統を大切にすることを考える。 イ 歴史に関する各種の資料を効果的に活用して,歴史的事象や歴史的背景などを論理的に追究      し,同時に感性を生かして創造的に,歴史的な見方・考え方をつかむ。 (2) 学習指導要領との関連 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 1 目標 | (1) 国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について関心と理解| | を深めるようにし.我が国の歴史や伝統を大切にする心情を育てる。 | (3) 地図,年表などの各種の基礎的な資料を効果的に活用することができるようにするとと| | もに,社会的事象の意味をより広い視野から考えるようにする。 | 2 内容 | (1) 我が国の歴史は,大和朝廷による国土統一が行われてから,政治の中心地や世の中の様| | 子などによって幾つかの時期に分けられることに気づき,それぞれの時代の歴史上の主な| | 事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に理解できるようにするとともに,| | 我が国の歴史や先人の働きについて関心を深めるようにする。 | | ア 身近な地域や国土に残っている遺跡や文化財などを調べて,自分たちの生活の歴史的| | 背景に関心をもつとともに,我が国の歴史を学ぶ意味について考えること。 | | ケ 歌舞伎や浮世絵,国学や蘭学などについて調べて,江戸時代の人々の暮らしの様子や| | 新しい学問が起こったことを理解すること。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 4 活動の概要及び目標と評価 +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |次|時| 学 習 の 流 れ | 資 料 | 興味・関心・態度 | 社会的な思考・判断 | 技 能・表 現 | 知 識 ・ 理解 | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |第| | 高野長英について知って|写真 | 高野長英について興| 高野長英の生き方や| 高野長英について,| | |一| |いることを発表する。 |副読本 |味関心をもち,進んで|考え方に疑問をもとう|調べたいことをまとめ| | |次|1|・知っていることについて| |調べようとする。 |とする。 |ることができる。 | | | | | 発表し合う。 | | | | | | | | |○高野長英について詳しく| | | | | | | | |調べてみたいことは何です| | | | | | | | |か。 | | | | | | | | |・なぜ,夢物語を書いたの| | | | | | | | | か。 | | | | | | | | |・当時はどのような時代だ| | | | | | | | | ったのか。 | | | | | | | | |・長英の人間関係はどうな| | | | | | | | | っていたのか。 | | | | | | | | |・長英はどんな性格だった| | | | | | | | | のか。 | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |第| | 高野長英について,課題|副読本 | 高野長英記念館の見| 課題に従って調べた| 課題解決に向けて適| 調べたことから,長| |二| |に従って調べる。 |高野長英|学や様々な資料から,|ことや友達の考えを聞|切な資料集めをし,調|英が夢物語を書いた理| |次|2|○高野長英は,なぜ夢物語|記念館見|課題に従って調べよう|きながら,長英が夢物|べたことをまとめるこ|由が分かる。 | | | | を書いたのだろうか |学 |とする。 |語を書いた理由や長英|とができる。 | 長英の生き方や考え| | |・|・当時はどのような時代だ|提示資料| 調べたことを基に,|の生き方や考え方につ| 自分の考えを根拠だ|方について自分なりに| | | | ったのか。 |ビデオ |長英が夢物語を書いた|いて自分なりに考えを|てて発表することがで|理解することができる| | |3|・長英の人間関係はどうな| |理由や,長英の生き方|もつ。 |きる。 | | | |∧| っていたのか。 | |や考え方について自分| | | | | |本|・長英はどんな性格だった| |なりに考えようとする| | | | | |時| のか。 | | | | | | | |∨|・調べたことを基に,長英| | | | | | | | | がなぜ夢物語を書いたの| | | | | | | | | か発表し合う。 | | | | | | | | |・長英の生き方や考え方を| | | | | | | | | どう思うか。 | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |第| | 高野長英事典を作り,学|副読本 | 調べたことや分かっ| 学習したことを振り| 学習したことを高野| | |三|4|習のまとめをする。 |提示資料|たことなどをまとめ,|返り自分なりの考えを|長英事典にまとめるこ| | |次| |○高野長英事典を作ろう。| |高野長英事典を工夫し|もてる。 |とができる。 | | | | |・調べたことや分かったこ| |て作ろうとする。 | | | | | | | となどをまとめて,高野| | | | | | | | | 長英事典を作る。 | | | | | | | | | | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ 6 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−−−−+ | | | | | | |高野長英は,なぜ,夢物語を書いたのだろう | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | ☆高野長英記念館の館長さんのお話しから−+| | | | ・当時の時代の流れから | || | | | (鎖国政策と高野長英) | || | | | | || | | | ・高野長英の交友関係から | || | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | (尚歯会と高野長英) | | | | | | | | ・高野長英の性格から ◎高野長英の生き方や考え方について | | | | (モリソン号事件と高野長英) どう思うか | | | | | | +−−−−−−−−−−−+ | | (高野 長英) | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5 本時の指導  (1) 本時の目標      高野長英が,なぜ夢物語を書いたのかを調べることを通して,その生き方や考え方に迫る。  (2) 指導上工夫したこと      ア 地域教材を取り上げることによって,学習への意欲を高めるようにした。      イ 自分の考えの根拠となることを多様に表現できるようにした。      ウ 友達の考えを聞く場面を設定することによって,友達のよい点に気づいたり,自分の考       えを深めることができるようにした。      エ 自己評価として,本時の学習で分かったことや感想を書くことによって,自分の学習を       振り返り,次の学習への意欲づけを図るようにした。  (3) 展開 ++−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ 段階 学 習 活 動 | 予想される児童の反応 | 活動への支援・評価 |資 料 | ++−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ つ1 学習課題をとらえ | | 課題を明確にし,それを 紙板書 | か| る | 調べることによって,長英 | | ||+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | | | む|| 高野長英は,なぜ,夢物語を書いたのだろう | の生き方や考え方に迫る時 | | ||+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | | | 5| | 間であることをとらえさせ | | 分| | る。 | | ++−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ |2 調べる | | 提示資料 | ||・予想を基に調べる |・予想を基にいろいろな面 | 課題について自分の予想 ビデオ | || 当時の時代背景は | から課題について調べる を基に調べることができる コンピューター | || どうであったのか | ように支援する。 副読本 | し| 長英の人間関係は | | できるだけ多面的に調べ | | || どうであったのか | られるように声がけをする | | ら| 長英はどんな性格 | | | | || であったのか | (評)課題について,適切に | | べ| | | 資料を選び,意欲的に | | || | | 調べることができたか。 | る3 発表する | | | | ||・課題について調べ |・当時の日本は鎖国をして | 自分が調べたことについ 提示資料 | || たことを発表し合 | 外国との交流を制限して て資料を提示しながら,分 ビデオ | || う | いたが,蘭学を学び外国 かりやすく発表できるよう コンピューター | ||・当時の時代背景を | のことに詳しかった長英 にする。 | | || 調べた結果から, | は,このままでは日本が | 当時の日本が鎖国政策を | | || 長英が夢物語を書 | 危ないことをとを感じて とっていたことと,蘭学を | | || いた理由について | 危険を承知で夢物語を書 学び外国の様子を詳しく知 | | || 発表する | いた。 っていた長英のことを関連 | | ||・長英の人間関係を |・尚歯会のメンバーであっ づけて発表させ,鎖国をし | | || 調べた結果から, | た長英は,モリソン号事 ていたのでは日本が危ない | | || 夢物語を書いた理 | 件をきっかけに日本はも という考えから夢物語を書 | | || 由について発表す | っと外国のことを知るべ いたということに気づかせ | | || る | きであると考えて,同じ たい。        | | ||・長英の性格を調べ | 尚歯会のメンバーであっ | 長英が活躍していた「尚 | | || た結果から,夢物 | た渡辺華山の「慎機論」 歯会」の活動内容や「渡辺 | | || 語を書いた理由に | と同様に夢物語を書いた 華山」との交流に目を向け | | || ついて発表する |・長英は小さいころから正 させると同時に,「モリソ | | || | 義感が強く,しかも自分 ン号事件」がきっかけで夢 | | || | が正しいと思ったことに 物語が生まれたことに気づ | | || | は,どんどん突き進む性 かせたい。 | | || | 格だったので,モリソン | 長英の性格を調べること | | || | 号事件を知って日本の対 によって,「モリソン号事 | | || | 応のまずさや日本の危機 件」を知った長英が危険を | | || | 感じ,外国を様子を知ら 承知で夢物語を書いたこと | | し| | せることが,蘭学を学ん に気づかせたい。 | | || | できた自分の使命ではな | | | ら| | いかと思い,危険を承知 | | | || | で夢物語を書いた。 | | | べ4 お話を聞く | | 長英が夢物語を書いた理 高野長英記念館館長 ||・高野長英が夢物語 |・高野長英が夢物語を書い 由について児童が調べた観 | | る| を書いた理由につ | た理由についてのお話を 点に触れながら,お話をし | | || いてお話を聞く | 自分の調べたことと比較 ていただく。 | | || | しながら聞く。 (評)友達の発表やお話を, | | || | | 自分の調べたことと比 | | || | | 較ながら聞き,考えを | | || | | 深めることができたか。 | |5 話し合う | | | | ||・高野長英の生き方 |・長英は,蘭学を一生懸命 | 調べたことや聞いたこと | | || や考え方について | 勉強して,それを人々の を基に,長英の生き方や考 | | || 話し合う | ために生かしたので偉い え方について根拠だてて自 | | || | と思います。 分の考えを発表し,長英の | | || |・長英は,自分の考えを何 人間像に迫れるようにする | | || | にも負けずに堂々と言っ | | | || | たり書いたりしたので, (評)自分なりに考えたこと | | || | すごいと思います。 | や友達の考えを聞いて, | || |・長英は,自分のことでは | 長英の人間像に迫るこ | | || | なく,人々のことや国の | とができたか。 | | || | ことを考えて一生をささ | | | || | がた立派な人だと思いま | | | || | す。 | | | || |・長英は,今のことよりも | | | || | 先のこと,将来のことを | | | 30| | 考えていた人だと思いま | | | 分| | す。 | | | ++−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+ ま6 まとめる | | | | と|・今日の学習で分かっ|・今日の学習で分かったこ (評)今日の学習を振り返り | | め| たことや感想などを| とや感想などをノートに | ながら,分かったこと | | る| まとめる。 | まとめる。 | や感想などをまとめる | | 10| | | ことができたか。 | | 分| | | | | ++−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−+