印刷用紙:B4縦 1ページの行数:63 1行の文字数(半角で):90 第5学年  特別活動(学級活動)指導案 指導者 小野寺 正 彦 T.題材名 教生の先生を迎える会をしよう U.題材について 2学期の初めに学級活動で,「2学期をむかえて」の活動を行った。活動後に子どもたちから「今 年はどんな先生が来るの。」とか「先生,今度来る教生の先生の名前はもうわかっているの。」など という質問が相次いだ。子どもたちにとって教生の先生との学校生活は大きな関心事である。このこ とがきっかけとなり,学級活動の2学期の計画には「教生の先生を迎える会」が組み入れられること になった。 本題材の中心になる「教生の先生を迎える会」を学級活動の中の文化的な集会活動に位置つけた。 集会の目的を明確にさせ,その目的に迫らせるために,事前の活動の中で一人一人に自分の考えを出 させ,話し合わせていくことにより,「より目的に沿ったよい活動をしよう。」という意識を育てる ことができると考える。子どもたちはこれまで4年間も教生の先生との出会いの場をもち,ほとんど の子どもが教生の先生を迎える会を経験して来ているので,題材そのものの目新しさはない。しかし ,子どもたちは教生の先生と一緒に遊んだり勉強したりするのを実に楽しみにしているのである。本 題材は発達段階や活動の経験を重ねることによる活動の深まりを期待できる好題材であり,年間を通 した活動題材の中でも指導上大いに留意し,注視していきたい題材であると考える。また,子どもた ちにとっても,5週間にも及ぶ教育実習生との生活は,学習だけでなく学校生活全般に直接的にかか わることであり興味・関心は大きい。したがって、本題材は学級全員が意欲的に参加し得る題材であ り,活動の目的を明確にもたせることにより実践への見通しをたてながら対処し,解決していける題 材である。 子どもたちにとって教生の先生は,いつも一緒に遊んでくれたり話を聞いてくれたりすることから ,たいへん親しみのある存在である。また,担任と子どもたちとの学校生活のリズムの中に一つの変 化が生じることから,教育実習生との生活は楽しみにしていることのひとつである。子どもたちは教 生の先生に早く自分の存在を認めてもらい,早く親しくなりたいと願っているのである。子どもたち の話によると,これまで4年間の「教生の先生を迎える会」は,自己紹介という形式をとりながら実 施してきたということである。そこで,ここでは,さらに一歩深めて,「教生の先生方に早く学級と 個々をわかってもらって親しくなろう。」という目的を持たせていきたい。そして,その目的に沿っ て多様な内容や方法をつくり出していかせたい。またその過程で,係で協力しあったり友達の考えを 大切にしあったりしながら,より自治的,実践的な態度を育てていきたい。 5年生になり,新しく学級編成された子どもたちは,4月の「学級目標をつくろう」の活動で,そ れぞれの願いを出し合い,その願いを実現させるために「心」という学級目標を決定して学校生活に 取り組んできている。これまでの学級活動で子どもたちは,前までの学級の枠がはずれ,学級一つに なって話し合いや係の活動や集会の活動ができるようになってきている。しかし,活動の一つ一つの 結び付きが弱く,話し合いで決まったことが次の活動に移ったときに生かされないでしまうことが多 かった。これは,目的意識が薄れてしまったり,一つの意見に安易に同調してしまったり,話し合い への参加意欲に偏りがあったりすることや自己中心的な行動をとる子に振り回されてしまっているこ とが原因であると考えている。 そこで,事前に話し合う内容を伝えて,自分の考えを持ち寄るように指導したり活動の目的を常に 教室に掲示したりするなど,機会をとらえて随時指導をおこなってきた。しかし,まだ十分とはいえ ない現状である。したがって,子どもたちの自治的な活動を促しながらも,機会をとらえては指導助 言を行い,活動を見守っていきたい。 V.本題材にかかわる活動の経過 8月20日 班長会(課外・・昼休憩) ○ 次の学級活動の時間の計画          ・ 21日の学級活動の時間の使い方について 「2学期の学級活動の時間にやりたいこと」,「係活動」  ・ 帰りの会で予告 21日 学級活動(3校時)          ・ 「2学期にやりたいこと」についての話し合い  ・ 係毎の活動 21日 班長会(課外・・放課後) ○次の学級活動の時間の計画  ・ 「教生の先生を迎える会をしよう」の提案   日 時 9月11日(水)3校時   場 所 教 室   その他 実行委員会を組織する。  ・ 実行委員選出  ・23日の帰りの会で予告 26日 帰りの会         学活カード(心カード)配布 28日 学級活動(3校時) ○ 班長会からの提案  ・ 「教生の先生を迎える会をしよう」の承認  ・ 実行委員選出 28日 実行委員会(課外・・放課後) ○ 「教生の先生を迎える会をしよう」の計画立案  ・ ねらい ・ 内容 ・ 係 30日 実行委員会から計画案の提案(帰りの会)があり,承認される。 9月 2日 学級活動(3校時) ○ 係決定と迎える会の係活動 3日 実行委員会(係長を含む)(課外・・放課後) ○ 次の学級活動の時間の計画          ・ ゲーム係からゲーム内容を全員で話し合ってほしいと要望が出される。   ・ 司会や書記を決め,学活(心カード)を作成する。 4日  帰りの会(実行委員会)           ・ 次の学級活動の時間の計画について  ・ 学活カードの配布 7日 学級活動(3校時) 《 本 時 》 ○ ゲーム係からの提案で,ゲームの内容を話し合う。  ・ 係活動 [ 9日,10日 係活動(課外) ] 11日 学級活動(3校時)          「教生の先生を迎える会」実施 11日 実行委員会(課外・・放課後) 「教生の先生を迎える会」の反省 12日 帰りの会          「教生の先生を迎える会」の反省の報告 W.題材と子ども 子どもたちは,教育実習にかかわるアンケートの中で教育実習に対する思いを「教生の先生が来る と,一緒に遊んでくれるからうれしい。」とか「楽しく勉強できるから楽しみだ。」「思い出ができ るからうれしい。」と記述している。このことから,教生の先生が来ることを,学級の子どもたちは 全員楽しみにしていることがわかる。これは,これまで4年間のうちに楽しい思い出やうれしい思い 出がたくさんつくられたことを物語るものであろう。したがって,子どもたちの興味・関心は高く, 意欲的な活動の展開が期待できると考える。 しかし,これまでの活動の状況をみていると,自分の考えをもっていても出せないでいたり目的か らそれて自分自身の興味・関心に走ってしまったりすることが多く,十分に話し合う力が育っている とはいえない。 本時は,ゲームで何をやるかを議題にし,話し合い,決定する活動である。自分達がやりたいから やらせるというのではなく,目的に沿った会にするためにはどんな内容をどのように実施していけば よいのかを考えさせていきたい。活動にあたって,目的に沿った会に向けての話し合いがうまくいか ない場合には,子どもの話し合いにおける実態(表1)をとらえておき,それぞれにあった助言を加 える(表2)などして,指導にあたっていきたい。 (表1)話し合いにおける子どもの実態(は女 子) X.本時の指導 (1)ねらい  ・ 早く仲良くなるためにはどんなゲームをすればよいかをみんなで話          し合う。         ・ 会を成功させるために,係毎に協力し合って,会の準備のための係          活動をする。 (2)本時の流れ   活    動    子 ど も の 活 動       留    意    点   1.話し合い  ○実行委員の合図で話し合い  ・活動のねらいは,紙板書させて黒板         活動     を始める。          に掲示させ,話し合いの中で常に意               ○ゲーム係からの議題につい   識させる。           て話し合う。        ・提案はゲーム係の係長にさせ,提案                 《話し合いの流れ》     理由も言わせる。           1.はじめのことば     ・司会や書記は事前に実行委員会で決                2.議題の提案        めさせておく。           3.議題についての話し合  ・話し合いの中で,目的意識がずれて                  い            きた場合は,司会者に時間をもらい,               4.決定したことの確かめ   目的を意識して話し合うことの大切さ               5.感想           に気付かせたい。特に,A,B,Cのタ               6.先生からの話       イプに応じた指導を行っていきたい。               7.実行委員から      ・時間のめやすはおよそ30分ぐらい                8.おわりのことば      とし,話し合いが終わらない場合は,               ○各係からの連絡事項等を,  本時の中で時間を延長する。           聞き合い,係の活動に協力す ・あらかじめ,実行委員が把握してお                る。             き,効率的に行う。  2.係毎の活動   ○話し合いをもとに,各係毎 ・先生からの際には,会のねらいに沿                の活動を再開する。      っての発言をした子を紹介し,よさ                ○活動をおわる。       を学級のみんなに広めていきたい。