印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):88   −−以下 指導案本文−−   第4学年 学級活動(保健・歯)指導案                     期 日 平成8年11月 1日(金)1 校 時                     場 所 4年1組教室及びオープン・スペース                     対 象 4年1組 29名 男16名 女13名                     指導者 講 師 平 野  敬 子  (T1)                         歯 科 医 藤 澤 雅 人  (T2) 1 題材名  「歯肉炎について知ろう」 2 指導にあたって  1 題材について    本題材は、第4学年学級活動年間計画の11月に位置付けられている。    むし歯と歯周疾患は口腔の二大疾患とされ、歯を失う主な原因となっている。歯周疾患   の始まりは歯に接している歯肉が赤く腫れる状態として観察される。この初期段階を歯肉   炎という。放置すると長い経過の間に歯を支える骨まで炎症が進み、成人してからの歯周 炎に移行することもあり、ついには歯を失ってしまう。    歯肉炎は小学校中、高学年から急増し始め、年令とともに増加する。痛みは感じられな   いので自覚しにくく、気付かず放置していることが多い。    歯肉炎の直接的原因である歯垢を取りのぞくことによって炎症は消退し健康な歯肉を取   り戻すことができる。この点は、一度かかればもとどおりに回復することのないむし歯と   の大きな違いである。自分の努力で歯肉を改善し、健康を取り戻すことができることを理   解すれば生涯にわたる健康の基礎作りをしようとする児童が育成できるものと考え、本題   材を設定した。  2 児童について    4月の検診でむし歯の治療を要する子は6名いたが、1学期中に全員治療を完了してい   る。毎月の歯みがきチェックカードから歯みがきに対する児童の取り組みを見ると、家庭   での朝晩の歯みがきが十分なされているとは言い難く、みがき残しのある児童もまだ多い    事前のアンケートによれば、歯肉という言葉は知っていても歯肉炎がどんな病気である か、原因は何なのか、どうすれば予防できるか等の知識を持っている子は少ない。また、 普段、鏡で歯肉を意識的に観察している様子もみられない。現段階で、歯肉炎を身近な病 気ととらえるのは難しく、切実感を持てないのが実状である。  3 指導について    本時の指導では、歯肉炎が自分たちにとって身近な病気で、また放置しておくと歯が抜   けるという怖い病気であることを理解させ、歯肉の健康観察の仕方を身につけ予防しよう とする意欲を持たせたい。    そこで、始めに歯を失う原因の割合を示したグラフを提示し、歯肉炎による歯の喪失が   多いことに気付かせ、次にVTR、写真によって歯肉炎の怖さを実感させたい。また、そ の後で自分たちの歯肉を観察させ、グループで歯肉炎を予防するための歯みがきの仕方や 健康観察の仕方を話し合い、まとめて発表させたい。また、歯肉炎についてのお話を歯科 の先生にしていただき歯肉炎を予防する方法を確かめ、これからの歯肉炎予防の意欲を持 たせたい。 3 研究主題との関連   本時において歯肉炎が自分たちにとって身近な病気であることに気付かせ、歯肉炎の症状  や原因を理解させるとともに、歯肉を子どもたちどうしで観察しあうことによって児童は歯  肉の健康に関心を持つようになり、歯肉を大切にしようとする意欲が高まるであろう。 4 本題材に関連する指導内容 +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | 月 | 内    容 | ね     ら い |評 価 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |4月|給食後に歯をみがこう (S) 毎食後の歯みがきの大切さがわかり、自分からすすんで歯をみがき、みがき残しを舌や鏡で確認できる。 意欲・態度 +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |5月|自分の口の中の様子を知ろう(S) 健康診断の結果から、自分の歯の状態について理解を深めさせむし歯の予防に努めさせるようにする。 関心 +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |6月|歯に良いおやつ | (S) 歯によいおやつを考えることができる。 |関心・意欲・理解 +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |7月|生え変わった小臼歯を守ろう(L) 小臼歯をきれいにみがくことができる。 意欲・知識 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |8・9月 むし歯の進み方を知ろう (S) むし歯の進行と症状がわかり、早期治療の大切さがわかる。 知識・理解 +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |10月|歯の役割を知ろう| (S) 歯の3つの役割がわかる。 |知識・理解 | +−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ 5 指導計画 +−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |月・日 活動単位 | 活  動  内  容 | 取 り 扱 い 時 間 評   価 | +−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ | 7/22 学級全体 |歯肉炎に関してのアンケート | ゆ と り 関   心 | +−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ | 9/30 個人・全体|歯の地図を書こう。 | ゆ と り 関心・意欲 | +−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |10/ 8 係・リーダー|歯みがき後のリーダー活動 | 歯みがきタイム 関心・意欲 | +−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |11/ 1 学級全体 |歯肉炎について知ろう。 | 本時 (学級活動・L) 理解・関心・意欲 +−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ |事 後 学級全体 |歯肉の観察、ブラッシング指導 | 歯みがきタイム 意欲・態度 | +−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−+ 6 本時の活動  1 ねらい    歯肉を観察し合う活動を通して、歯肉炎について理解し、歯肉の観察や予防の仕方が分   かり、自分の歯肉の健康状態に関心を持つことができる。  2 工夫点   @友達の発表を聞くことにより、歯肉炎を改善、予防しようとする意欲を高める。   A写真、VTR等を使い、児童の視覚に訴えることにより、学習意欲を高める。   B歯科医師の話を通して、歯肉を改善、予防しようとする意欲を高める。   C児童一人ひとりが自分の歯肉を観察することにより、自分の歯肉の健康状態に関心を持    つことができる。  3 準備物   教師用  スライド  写真  OHP  VTR  紙板書   児童用  学習カード  鏡  赤えんぴつ  綿棒 4 評  価   @歯肉の健康状態に関心を持つことができたか。           《 関 心 》   A歯肉炎を改善、予防しようとする意欲を持つことができたか。    《 意 欲 》   B歯肉炎について理解し、歯肉の健康観察や予防の仕方がわかったか。 《 理 解 》 5 展  開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |段| 学    習 活    動 |○ 学習支援上の留意点 |指導者| | +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+・ 資 料 +−+−+ |階|教師の働きかけ| 予想される児童の反応 |※ 評価(項目、方法) |T1|T2| +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+++−+ | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|・歯を失う原因とその割合の||| | |つ|| 歯を失う原因として、むし歯より歯肉の ||グラフ ||| | | | 病気が大きい割合を示すことを理解する。 ||○歯を失う原因としてむし歯||| | |か|+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|を挙げる子が多いと思われる||| | | ・歯を失う原因 ・なんだろう。 |が、歯肉炎、歯周病患も歯を||| | |む| で最も多いの ・やっぱりむし歯が第1位だ |失う大きな原因となっている||| | | | は何だと思い | と思うよ。 |ことに気づかせる。 ||| | |10| ますか。 ・むし歯以外にいったいどん | ||| | |分 ・実は、歯肉炎 | な原因があるのかな。 | ||| | | | が多いのです。 ・歯肉炎が多いなんて意外だ。| ||| | | | ・歯肉炎てどんな病気かな。 | ||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ ||| | | | 写真やスライドを見て歯肉の様子をとらえる。|・健康な歯肉と歯肉炎に罹っ||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+た歯肉の写真 ||| | | ・2枚の写真の ・色が違う。はれているよ。 |○歯肉の違いに気づかせ、全||| | | | 違いは? ・歯肉炎って怖いなあ。 |体で確認する。 ||| | | | | |※歯肉炎の学習に意欲をもつ||| | | | | |ことができたか。 ||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+| (《 意欲 》 挙手・発表)|| | | || 歯肉の観察をして、歯肉炎をみつけよう ||・紙板書 ||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+| ||| | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+++−+ | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|○健康な歯肉と歯肉炎に罹っ||| | | || 自分の歯肉の様子を観察する。 ||た歯肉をしっかり押さえさせ||| | |解|+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|る。(歯肉の色、形、はれ、出血)||| | | ・自分の歯肉の ・赤くなっている。 |・鏡 ||| | | | 健康観察をし ・ここは歯肉炎かもしれない。|○ポイントに沿って観察でき||| | |決| てみよう。 ・これは、健康な色かな。 |るように机間巡視をして支援||| | | | | |する。 ||| | | | | |・学習カード・OHPシート||| | | | | |※歯肉の健康観察を記録でき||| | |す|+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|たか。 (《関心》 学習カード)|| | | ||グループのともだちとチェックしあう。 ||○リーダーの自覚を高める場||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|ととすると共にお互いの歯肉||| | |る ・リーダーと一 ・ここは、赤いよ。 |の健康に関する意識を高める||| | | | 緒に確かめを ・少し腫れているよ。 |ように励ます。 ||| | | | しよう。 ・まだ大丈夫。健康なピンク |・鏡 ||| | |30 ・自分の歯肉の | 色だよ。 |・綿棒 ||| | |分| 様子をカード | |○机間巡視をして、分からな||| | | | に記録しよう。| |い子や遅れている子に助言を||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|する。 | | | | ||歯肉炎の原因、進行のしかたを知る。 ||・VTR、スライド | ||| | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+| (歯肉炎の進行、怖さの分| ||| | ・歯科の先生か ・歯肉炎をそのままにしてお | かるものを準備する。) | ||| | | ら歯肉炎のお | くと歯が抜けてしまうんだ。|◯歯垢の中の細菌が原因で歯| ||| | | 話を聞きまし ・歯肉炎はどんどん進むんだ |が抜け落ちてしまうことを押| ||| | | ょう。 | な。 |さえさせ、歯みがきの重要性| ||| | | ・歯肉炎って怖いなあ。 |を実感させる。 | ||| | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+| | | | | || 歯肉炎の治し方、予防方法を考える。 ||◯歯肉炎は、自分の努力で治||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|すことができることを知り、||| | | ・歯肉炎になら ・歯肉を観察する。 |意欲化につなげる。 ||| | | | ないためには ・歯をていねいにみがく。 | ||| | | | どうしたらい ・歯と歯肉の間を気を付けて | ||| | | | いか、グループ | みがく。 |※歯肉炎の予防の方法を考え、 || | | | で話し合って ・歯垢をきちんと落とす。 |まとめることができたか。 ||| | | | まとめよう。 ・歯肉を傷つけないようにみ | (《 理解 》 挙手・発表) || | | ・発表しよう。 | がく。 | ||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+| ||| | | || 歯肉炎の原因は歯垢なので、正しいブラ|| ||| | | ||ッシングをして予防する。 || ||| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+| ||| | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+|| | | |+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+| ||| | |め|| 歯肉炎にならないためのめあてを決め、 || ||| | |ざ||実践への意欲を持つ。 ||※歯肉炎を治そう、予防しよ||| | |す|+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+|うとする意欲を持つことがで||| | | ・これからどん ・ていねいに歯をみがく。 |きたか。 ||| | |5| なことに気を ・歯肉を時々チェックする | (《 意欲 》 学習カード)|| | |分| つけるか。 ・堅いものを食べる。 | ||| | | ・感想発表しよう | ||| | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+++−+   6 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−−+ | | め あ て | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | ||歯肉の観察をして歯肉炎を見つけよう| | |+歯肉炎の原因−+ |+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | || | | +−−−−−−−−−−−+| | | +−健康な歯肉−++−−−− 病気の歯肉 −−−−−−−−−−+| | | | ||+−−−−++−−−−−++−−−−−+ || | | | 写 真 |||歯 肉 炎|| 歯 周 炎 || 歯 周 炎 | || | | | ||| || (軽 度) || (重 度) | |+−−−−−−−+ | | ||+−−−−++−−−−−++−−−−−+ | | | +−−−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | ・ピンク色−−−−色−−−−・赤 い +− 予防するには・・・ −+ | | ・はりがあり−−−はれ−−−・ブヨブヨ |・ 正しいブラッシング | | | ひきしまっている。 |・ 歯肉の観察 | | | ・しっかりついている ・丸く ・ 堅いものを食べる | | | Vの字−−−−−形−−−−−厚みがある。 +−−−−−−−−−−−−+ | | ・な い −−−−−出血・−− あ る | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+