小学校1年 図画工作(ちびっこカメラマン) 指導案 仁王小学校 用紙は A4 縦  1行 90字(半角) 1ページ 49行に設定してください。 第1学年図画工作科学習指導案 指導者 柳 村  栄 T 題材名  ちびっこカメラマン「あさがおと遊んだ記念写真」(絵で表す) U 題材について  ・この学年の子どもたちは、知っていること、経験したこと、想像したことなどを自己中心的に表  現する傾向がある。例えば、友だちのこと、休み中のこと、好きな動物、お話に出てくることなど  印象の強いもの、興味のあるものだけを表す。また、主題のとらえ方も比較的漠然としており、「   表したいなあ」「かきたいなあ」などと思う程度で、表現の過程において表そうとするものが変  わることも多い。  ・1年生の「絵で表す」ことの目標は、「初歩的な造形活動の楽しさを味わわせるとともに、感じ  たことや考えたことを絵で表す喜びを味わわせる」である。「感じたことや考えたこと」とは、知  っていること、経験したこと、想像したことなどを意味し題材の範囲を示したものである。「絵で  表す」では、クレヨン、パスなどの好きな色で思いのままに表す活動内容が含まれている。「おも  いのままに表す」は、表し方の上手下手を気にせず、積極的に表すことを意味している。そのため  には、子どもたちに表現の喜びを高めるよう、常に励ましの気持ちをもって指導するとともに、友  だちの良さを素直に認め合える学級の雰囲気づくりが大切である。  ・想像の絵をかく活動は、子どもの想像・空想をもとにして、素晴らしい無限の願いや夢を絵に表  現することを通して、創造することの喜びを育てようとする学習である。本題材は、小さくなった  自分が、育てたあさがおで遊んでいる様子を表現するものである。あさがおは子どもたちが毎日心  を込めて育ててきたものであり、愛情と親しみを感じているものである。自分達が小さくなってそ  のあさがおと遊べるという条件設定は、この時期の子どもの空想心を十分に刺激しできるものであ  る。本題材のちびっこカメラマン「あさがおと遊んだ記念写真」は、空想の世界を楽しませながら  意欲的に取り組ませることのできる題材である。さらに、この表現活動のなかで、造形活動の基礎  となる想像力や表現力を高めることができる題材でもある。   学級経営の中で、身近な自然や社会に対する継続的な働きかけを通して、自然を見つめる目、自  分の生活を見つめる目を育てることをねらいとして「自分のカメラで写そう」という活動を日常生  活の中に位置付けてきた。回りの事物をただ単に見るよりもカメラを通して見つめることのほうが  子どもの興味をそそり、新鮮な目で事物を見ようとすることができると考える。子どもたちは、こ  れまでの「写す活動」の中ですっかりカメラマン気分になってきている。今回は、空想しているこ  とを頭にカメラをあてて写すという新しい試みを行う。大人が持っている本物のカメラでは不可能  なことも「ちびっこカメラマン」には可能なのである。子どもたちは、この素晴らしい機能を持つ  カメラで、楽しみながら頭の中を写し出すであろう。  ・指導にあたっては、これまでのあさがおを育てて来た活動を振り返りながら、あさがおに意識を  向けさせたい。そして、自分が小さくなるということを想定させ空想の世界へと導き、さらに、あ  さがおの拡大模型で空想の世界へ浸らせて行きたい。動作化等により、それぞれの遊びの想を交流  させ、よりイメージの深化拡充を図っていきたいし、カメラであさがおを写し、同じフィルムで頭  の中を写し出すことにより想の焦点化を図りたい。表現の段階では、まず、形をとることに中心を  置き一本一本の線を大切に表現させたいので水性ボールペンを使用させる。水性ボールペンは子ど  もにとって初めての描画材であり興味を引き付けることにもなる。彩色には、手軽に使用できるこ  と、細かな部分の彩色が容易なことから色鉛筆を用いる。また、表現の過程では重ね塗りによって  新しい色ができたり深まりのある色合いになったりすることにも気付かせたい。また、絵の具につ  いては、色鉛筆の彩色を補充する程度に使用させるが、その際、初期の指導として、絵筆の扱いを  中心に指導しながら水彩絵の具の取り扱いに慣れさせたい。 V 指導目標  1.空想の世界にひたり、育てたあさがおと遊ぶ自分を楽しく表現させる。  2.遊んでいる自分とあさがおの大きさを考えて表すことができるようにさせる。  3.色鉛筆の重色による色の変化に気付かせる。また、水彩絵の具の初歩的な扱いに慣れさせる。 W 指導計画と指導内容                    ・感動の発表、交流               第1次(15分)         ・動作化                          小さくなった自分があさがお   ・想の深化拡充                       の葉で遊ぶ様子を想像する。   ・主題の焦点化                      第2次(50分)          全2時限扱い(本時1/2)  小さくなった自分があさがお   ・水性ボールペン、色鉛筆の   自分が小さくなって、あ   の葉で遊んでいる様子を絵で    扱い方            さがおの葉で遊んでいる   表す。             ・色鉛筆の重色         空想の世界を、楽しく表                   ・絵筆の扱い方、タッチ     現できるようにさせる。  第3次(10分)                                作品を見せ合い友だちの作品   ・作品発表                         の良さを発表し合う。      ・作品の鑑賞                       第4次(15分)                         できた作品を6月の台紙には   ・画面構成                         りつけカレンダーを完成させ   ・のりづけ                         る。              ・感想の発表         X 準備  教師  画用紙(36切)、絵の具、カレンダー、作例、拡大模型  児童  色鉛筆、水性ボールペン、絵筆、雑巾、自作カメラ、 Y 本時の指導 1.題材と子ども (1)題材と子どもとのかかわり   学級経営の中に自作のカメラで写真をとる(写したものを絵で表す)活動を位置付け、1年間の  季節や生活の様子を表す絵をかき、それをもとに来年度のカレンダーを作ろうとしている。写真を  写すことにより季節を感じ、季節の移り変わりに感動し、また、身近な生活に感動する心を育てた  いと考えたからである。カレンダーが少しずつできあがっていくことにより、学級の友だちと生活  して来た日々を思いおこし、また、作品が集積されていく喜びと、来年度は自作のカレンダーが使  えるという期待感がふくらんでいくであろう。そして、このような喜びや期待感が更にこの表現活  動を活発に展開していく原動力になると考える。自作のカメラで写した写真をもとにしたカレンダ  ー作りは、子どもたちにとって楽しく充実した活動になっていくと考える。   これまでに子どもたちは、あさがおの「種蒔き」「双葉が出たとき」「本葉が出たとき」と成長  の節目にかかわるときに、その感動とともに成長の記録をカメラで写してきている。そして、台紙  にはりつけカレンダーを作ってきている。子どもたちは、種を蒔くときから「あさがおの種が喜ぶ  ように、柔らかいおふとんを作りましょう。」と一生懸命土作りをしたり、「お水をあげるから早  く芽を出してね。」と言いながら毎日水かけをしたり、「おおきくなってね。」と声をかけたりし  ながら自分の思いを込めてきている。このように心を込めながら見守ってきたあさがおが土を持ち  上げて芽を出したときの感動は大きかった。と同時に、自分達の思いが通じたと友達同士喜び合っ  ていた。また、本葉が出たとき、双葉と形が違うことに驚きを感じていた。その後も毎日あさがお  の成長を自分のことのように感じながら育ててきている。   自分のカメラで写真を写す活動と、心を込めながら大切に育ててきたあさがおと遊べるという空  想とを結び付けた活動は、子どもたちの遊び心と空想心をくすぐり、楽しみながら表現活動できる  ものである。 (2)予想されるつまずきと指導の手だて    どんなことをして遊んだらいいか想が浮かばない子   ・個別指導により、あさがおの拡大模型で、もう一度動作化をさせ考えさせる。     ・一斉の学習活動で出された遊び以外に遊び方を広げてやり、自分の気持ちにあった遊びをさが    させる。    形が思うようにかけずにいる子   ・アイディアボードで自由に試しの表現をさせる。   ・葉の形にこだわっている子には、実物の葉を型紙にして描かせる。    絵の具のふくませかたが思うようにできない子   ・試し紙で絵の具のふくみ具合を確かめさせる。 2.本時のねらい   指導目標1〜3に同じ 3.展開          ( 公開授業では学習活動5まで進めたい) ------------------------------------------------------------------------------------------    学  習  活  動        指  導  上  の  留  意  点 ------------------------------------------------------------------------------------------  1.一斉               このごろのあさがおの様子に  このごろのあさがおの様子について発表しあい、心を込めて育   ついて話し合う。       ててきたのであさがおが元気に育っていることを確かめ合う。  2.一斉            ・あさがおの精から「一生懸命育ててくれているのでお礼に今   あさがおの精からの手紙を聞  日は皆さんを小さくし、あさがおと遊ばせてあげます」という   き、おまじないで小さくなる。 内容の手紙が届いたことを知らせ、小さくなるおまじないをす  3.一斉            ることによって空想の世界へと引き込みたい。   動作化などを通し、遊びの想  ・あさがおの拡大模型で小さくなった気分に浸らせ、動作化な   を広める。          どを通しあさがおと遊んでいる自分を自由に表現させる。また  4.個別            想の交流をさせることにより、一人一人の想の深化拡充を図る   自分のあさがおのどの部分で  ・カメラのレンズを通すことにより、どの部分で遊ぼうかなと   遊びたいか考え、カメラで写  期待感を持たせながらあさがおをよく見つめさせ、また、焦点   してくる。          化させたい。       5.個別                   動作化やアイディ  ・目を閉じさせ、楽しい音楽を聞かせながら空想の世界に浸ら        アボードにより想  せたあと、想像していることまで写せるすごいカメラを頭にあ        を明確にする。   てて、楽しく遊んでいる様子を写し撮らせ、主題を設定させる  5.個別            主題が設定できない子には、個々にもう一度動作化などを行わ   頭にカメラをあて、考えてい  せるなどして、主題を明確にもたせる。   るあさがおでの遊びを写し撮  ・線描材としての水性ボールペンの使用は、初めての経験であ   り現像する。         るが、あえて名前を紹介する程度にとどめ、体験を通して書き                  味を味わわせたい。                  ・形が思うようにかけずにいる子に対しては、アイディアボー                  ドで、大きさ、位置などを確かめさせるなどして表現に自信を       6.個別       持たせたい。         試し紙で練習する。 ・重ね塗りなどで彩色の工夫をしている子を紹介し、広めて行  6.個別            きたい。   空想的な雰囲気を出すために  ・淡彩の空想的な作例を見せながら、水彩によって空想の雰囲   回りを水彩絵の具でぬる。   気が出せることに気付かせ、水彩で主題の回りを彩色させる。                  その際、絵の具は教師が準備し、子どもたちには絵筆の扱いと                  タッチを中心に指導する。                  ・絵の具の含ませ具合が調節できない子には、試し紙を使用さ                  せながら練習させる。  7.一斉            ・作品を見せ合い、かいた内容を発表し合わせることにより、   でき上がった作品を見せ合い  色々な発想の仕方があることに気付かせたい。また、友だちの   互いの良さを認め合う。    作品で気にいった箇所を発表し合わせたり、努力を認め合わせ                  たりすることにより、表現への自信と喜びを持たせたい。    8.個別            ・作品と数字のレイアウトを考えさせながらカレンダーの台紙   作品を6月のカレンダーの台  に丁寧にのりづけさせ、数字を書き込ませる。4、5月に続い   紙に貼り、数字を書き込む。  て6月のカレンダーができたことの喜びを発表させ、次の活動                  への意欲をもたせる。  9.個別            ・図工カードの項目に従ってこれまでの表現活動を振り返させ   図工カードに記入しながら、  ることによって、自分の努力を意識させ、これからの表現活動   表現過程を振り返る。     への意欲付けになるようにしたい。 ------------------------------------------------------------------------------------------