印刷用紙:B4縦 1ページの行数:63 1行の文字数(半角で):90 第1学年 図画工作科学習指導案 平成3年9月10日(火)2校時 指 導 者  鈴 木 敏 彦 T.題材名      とばして あそうぼう  (つくりたいものをつくる) U.題材について  低学年の子どもたちは,絵を描いたりものをつくったりという造形活動に大きな興味を示す。そ の行為は,発達上の特徴から,自己中心的であり,興味本位なところが見られる。しかし,既成の 概念にとらわれることなく柔軟な想像力をはたらかせるので,子どもらしいダイナミックな作品が 出来上がることが多い。また,活動にあたっては,作品の出来のよしあしにこだわることよりも, 絵を描くことやものをつくること,素材にかかわることなど活動そのものを楽しむ傾向にある。実 際,学級の子どもたちに,教師が絵の描き方やもののつくり方を指示しない場合,実に多種多様な 作品が生まれてくる。これは,子ども一人一人の描画材料や表現方法,色,形などの好みの違いや 発達段階の差異からくる表現の違いなどによるものと思われる。そして,子どもは描きたいつくり たいという自分の思いで活動している限り,自分の描き方やつくり方で満足しているように見える  第1学年及び第2学年の「つくりたいものをつくる」の目標は,「表したいこと,つくりたいも のを自分の表現製作の方法でつくりだす喜びを味わうようにする。」である。これは,表したいこ とやつくりたいものを自分のつくり方で思いのままにつくりだすことを楽しみ,その喜びを味わう ようにすることをねらいとしている。また,第1学年の「つくりたいものをつくる」の内容は,「  生活を楽しくするものや飾るもの,想像したものをつくることができるようにする。」となって おり,「つくりたいものの形や色,つくり方などを考えながらつくること。」「紙などの身近な扱 いやすい材料,はさみやのりなどを使い,手を十分に働かせてつくること。」が造形課題となる。  この時期の子どもたちの生活は遊びが中心であるので,「生活を楽しくするもの」としての題材 は遊びに使われるものが中心となる。その観点から,本題材では,飛ばして遊ぶことのできるもの をつくっていくことにする。これは,トイレットペーパーの芯などをもとにして「飛ばすもの」を つくり,割箸と輪ゴムを使った簡単な仕組みの発射台を使って,飛ばして遊ぶものである。本題材 は,子どもが好きな材料で好きなものをつくることができ,つくり終わった後の遊びも自由にでき るなど,自分の思うがままにできる幅をもっている。また,動きのあるおもちゃづくりであるので 活動的なこの時期の子どもたちにとって,意欲的に取り組むことができ十分に楽しむことができる ものである。  指導にあたっては,細かな制約をあまり与えず,子どもの自主性を大切にし,子ども一人一人の 思いが製作活動に生きるようにしたいと考える。はじめに,トイレットペーパーの芯や空き箱など を発射台で自由に飛ばして遊ばせ,その子なりの「飛ぶもの」をイメージさせる。次に,そのつく り方をそれぞれ考えさせ,好きな材料を用いさせ,つくらせていく。製作においても,つくっては 飛ばし,つくっては飛ばしといった試しながら活動を進める子,一気につくりあげてしまう子など それぞれの製作方法を認めてやるようにしたい。最後に,出来上がったら,自分たちが考えた遊び 方で自由に遊ばせ,自分たちがつくったもので遊ぶ楽しさを十分に満喫させたい。「『飛ばしたい の』がなかなか決められない」「どの材料を選んで良いかわからない」といって活動の流れが滞るよ うな子どもに対しては,教師がその都度個別にかかわり支援の手を差し延べていきたい。はさみの 扱いやのりづけの仕方については,それだけを取り立てて練習するようなことはさせず,つくりた いものを楽しんでつくっていく中で基本的な技能が身につくようにさせていきたい。 V.目 標 1.輪ゴムを使って飛ばすものをつくる楽しさと,それを使って遊ぶ楽しさを味わうようにする。 2.飾りをつくるときの色の組み合わせや発射台の棒の長さ,輪ゴムの取りつけ方を工夫してつく   るようにする。 3.はさみやのりの扱いに慣れるようにする。 W.学習計画と学習内容 第1次(45分) 発射台をつくり,トイレット  ・発射台のつくり方 全4時限扱い(本時3/4) ペーパーの芯などを飛ばして ・飛ばしっこ  自分の飛ばしたいもの 遊ぶ。 ・飛んでいる芯からの発想 を工夫してつくる楽し 第2次(20分) さと発射台を使って飛 飛ばしたいものを決め,その ・話し合いによる想の交流 ばして遊ぶ楽しさを味 つくり方を考える。 ・作品の方向性決定・つくり方 わうようにする。    第3次(70分) 形や模様を考え,飛ばすもの ・はさみ,のりの扱い をつくる。 ・色画用紙,身辺材などによる装飾 第4次(20分) 実際に飛ばしてみて,飛ばす ・飛ばしっこ ものや発射台を修正改良する。 ・修正改良 第5次(25分) 遊びを考え,友だちと飛ばし ・飛ばしっこ・工夫点発見 て遊ぶ。 ・感想発表 ・ゲームの考案 X.準 備 教 師:色画用紙,色紙,セロテープ,ホチキス,ラジオペンチ(割り箸を適当な長さにおるとき     の折り目をつけるためのもの), 児 童:トイレットペーパーの芯・空き箱など,割箸,輪ゴム,のり,はさみ Y.本時の指導 1.本時のねらい 自分の思いに合わせて飛ばすものの形や装飾を考え,はさみの扱いやのりづけの仕方に気をつけな  がら丁寧につくることができるようにする。 2.展 開     (本時は学習活動の4〜8)    学   習   活   動      指  導  上  の  留  意  点  1.一斉               ・前時につくった発射台を使って,教師がトイレットペ   作例を見て話し合う        ーパーの芯や空き箱を飛ばす様子を見せながら,「飛ぶ                    もの」あるいは「飛ばしたいもの」について思いつくも                     のを発表させる。                    ・次に,装飾のついたものを飛ばして見せ,楽しい飾り                     の「飛ばすもの」をつくろうとする意欲を喚起したい。 2.一斉              ・教師が「飛ばすもの」をどのようにしてつくったかを   「飛ばすもの」のつくり方を    考えさせることにより,「飛ばすもの」づくりの材料や   考える。             簡単な手順を考えさせたい。 3.個別              ・自分で準備したものを自由に飛ばしてみさせながら,   「飛ばすもの」の形や模様を    これからつくる「飛ばすもの」の形や模様のイメージを   考える。             持たせる。なかなかイメージのわかない子に対しては,                    活動1でだされた「飛ぶもの」「飛ばしたもの」を想起                     させその中から選んだり,そこから連想させたりしなが らつくりたいもののイメージをもたせたい。   4.個別               ・はさみの正しい使い方,のりの丁寧なつけ方に気をつ   自分で考えた「飛ばすもの」   けさせながらつくらせる。   をつくる。           ・飛び出た部分などに使う色画用紙は小さく切ったもの                    をグループ毎に準備し,好きな色を協力しながら使うよ                    うにさせる。                   ・必要に応じてホチキスやセロテープを使っても良いこ                とにするが,安易な使い方は避けさせ,できるだけのり による接着をさせたい。 ・「飛ばすもの」が完成するとすぐに飛ばしてみたくなる 5.個別             が,のりが乾くまで時間がかかるので,その間に「飛ば 図工カードに記入する。 すもの」づくりの感想を図工カ-ドに記入させる。 6.個別  ・のりが乾いたことを確かめてから自由に飛ばしてみさ つくった「飛ばすもの」を飛   せ,飛び具合を確かめさせる。   ばしてみる。          ・装飾の仕方によっては,思ったように飛ばないことが                   考えられる。その場合は原因を考えさせ子どもなりの修                     正・改良をさせたい。原因が分からずに思い悩んでいる                     子に対してはグループで考えさせたり教師が相談にのっ                     てあげることにより修正・改良をさせていきたい。発射                     台の方を改良しなければならない場合も考えられるので                     必要なときに子どもたちが自由に使えるように割箸を準                     備しておきたい。 7.一斉              ・「飛ばすもの」の名前を考え,簡単な説明をつけて飛   お互いの作品を見せ合う。     ばさせながらお互いの作品を見せ合わせ,友だちの作品                    のよいところを見つけさせる。 8.個別              ・飛ばしてみた感想や,友だちの作品の感想を図工カー   図工カードに記入しながら表   ドに記入しながら表現過程を振り返るとともに,発射台   現過程について振り返る。    の飾りの工夫や発射台の工夫など次時への意欲化を図り                     たい。