印刷用紙:B4縦 1ページの行数:70 1行の文字数(半角で):122   −−以下 指導案本文−−                 第5・6学年図画工作科学習指導案                                        日 時 平成8年6月27日(木)5校時                                        児 童 5年 男2名・女2名  計4名                                            6年 男2名・女2名  計4名                                        授業者  佐 藤 謙 司 1、題材名   マンモスを追え(絵に表す)(5年教材) 2、題材設定の理由  (1)題材について 第5・6学年における「絵に表す」についての目標は、「造形的な見方や感じ方を深め、想像力を働かせて主題    の表し方の構想を練り、技法などを工夫して表し、造形的な創造表現の能力を高める。」 である。「絵に表す」の内容は、「見た    こと、感じたこと、想像したことを絵に表す。」であり、その活動を通して育てる能力は、     @「表したいことがよく表れるように、形や色などの特徴や美しさをとらえ、画面の構成など表し方の構想をねって絵に表した      り版などで表したりすること。」     A「表したい感じが表れるように、水彩絵の具などの特徴を考えて表したり、木版画などによる表現の特徴を考えて表したりす      ること。」    である。     本題材は、画用紙やボ−ル紙など日常的に使っている画材を加工し、自分だけの特別の画材をつくり、その画材の質から想像し    た世界(願いや夢など)を大胆かつ素朴に描く題材である。絵をかくというより絵をつくるという感覚の題材である。画材の加工    方法としては、     @、画用紙やボ−ル紙などの素の画材に木工用接着剤をぬり、砂やおがくずなどをふりかける方法。     A、木工用接着剤と、との粉やごふん(貝殻を砕いたもの)などを水にといたものをもとの画材にぬる方法。     B、画用紙を丸めて、墨汁などにつけ、広げて乾かす方法。     C、でこぼこのある紙をはり重ねる。    がある。その他には、コ−ヒ−や茶などの食品、布や綿などの繊維質を接着したり、水に溶いた紙粘土をぬったり、線香などで焦    げ目をつけたり穴を開けたりとさまざまな方法がある。そのような加工方法ででき上がった画材の地肌は、ザラザラしていたり、    デコボコしていたり、バリバリしていたり、シワクチャしていたり、さまざまな様相を呈している。子供たちには、そのような画    材づくりを十分に体験させることで表現意欲を高め、触覚・視覚で感じたその地肌感から想像力をはたらかせ描きたいものをふく    らませていく。     画材の地肌は、ザラザラした感じになっているため、細かく繊細に描くよりも素朴で大胆に描いた方がよいものである。また彩    色については、色が濁らずに重色などが可能であり、深みのある彩色をしやすい。描材は、水彩絵の具だけではなくクレパスや色    チョ−クなど自由に使うことができ、さまざまな観点から作品効果を上げることができる。     このような表現活動を通して、自分の思いをえがく快さと楽しさを味わわせるようにしたい。  (2)児童の実態について      児童は、図工が好きである。絵をえがいたり、ものをつくったりすることがとても楽しいと思っており、自分の思いをはっきり    もてるようになってきている。児童は、これまでに「春の風を感じて」(絵に表す)や「オットット」(つくりたいものをつくる)    に取り組んできた。「春の風を感じて」では、春の風をイメ−ジし表現方法を工夫して表すことを体験し、写実的に表すことにこ    だわることなく、自分のイメ−ジを自由に表そうとする姿勢が見られるようになってきた。また、タンポや網などを用いたりし、    新しい技法も楽しむようになってきた。5年生・6年生とも女子は、前向きにいろいろな技法を取り入れ、最後まであきらめず自    分の思いの実現に向けて頑張ろうとする。男子は、作品をつくろうとするが、自分の思いをすぐに変更したり、途中で妥協してし    まう傾向がある。そこで、一人一人にことばをかけながら子供一人一人の思いを把握し、自己実現が図れるように支援していきた    い。本題材では、今までに見たこともない画材を自分の手でつくりだすという新しい体験ができ、児童は、表現意欲を新鮮に喚起    できると考えられる。また、画材づくりが、発想をひろげる大切なところであるので、いろいろな画材づくりを十分に体験させ自    分の思いをはっきりもてるようにさせたい。そのために、画材制作のビデオを見せ、確実につくれるようにし、画材のよさに気づ    けるようにさせたい。その際、材料は、ビデオの材料だけでなく日常身辺材からも材料になるものを考えさせ、材料集めをさせな    がら、表現意欲の継続と向上を図りたい。 描くものを決めさせるにあたっては、画材づくりから発想を広げさせることはもちろ    んであるが、でき上がった画材を鑑賞し合い、画材のよさに気づかせながら考えさせていきたい。また、参考作品や資料を提示し    たり、視点を与えたりしながらも考えさせていきたい。安全面では、砂などが目や口に入らないように気をつけさせていく。 3、目 標   (1) <関心意欲態度> 自分だけの特別の画材に、想像した世界をかくことをたのしむ。   (2) <発想構想の能力> いろいろな方法でつくった自分だけの画材のよさに気づき、発想を広げる。   (3) <創造的な技能> 画材の地肌を生かして描画を選んだり、使い方を試みたりして表し方を発見する。   (4) <鑑賞の能力> 自他の作品から想像の世界を感じとり表し方の違いに気づく。 4、準 備   (1)児童       水彩絵の具、クレヨン、墨汁、など   (2)教師      ・場・・・・・・・ビデオ機器の設置、ビニ−ルシ−トをしく。              ・材料・用具・・・木工用接着剤、画用紙、白ボ−ル紙、砂、ごふん、との粉、おがくず など 5、学習計画(6時間扱い)(本時1・2時間目) +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |段階 | 子供の活動 | 教 師 の 支 援 |評 価| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | | ・材料集めをする。(事前) |・制作ビデオを使って学習内容を概略的に知らせ、表現意欲を持たせ| | | | | る。 | | | | |・画面がザラザラ、デコボコ、バリバリ、シワクチャにできる材料を| | | | | 考えさせ、材料を集めさせる。集めた材料はチェックしておく。 | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | ||1、新しい画材に興味を持ち、表現 |・参考作品を提示し、画材のよさに気づかせ、画材に対する興味を|| | | || 意欲を高める。 | 高める。 || | | || ・つくってみたい |・子供たちが持ってきた材料と学校で用意した材料を紹介し合う。|| | |お || ・どうなっているの |・画材づくりの4つの方法をビデオで確認しながら、自分の材料に|| | | ||2、画材のつくり方を確認し、材料を| 合う方法を考えさせる。 || | | || 考える。 | || | | || ・なるほど | || | | || ・こんな材料でもできるかな |・作品づくりの見通しを持たせる。 || | |も || |・ことばがけをしながら、画材づくりの楽しさや画材のおもしろさ|| | | ||3、自分だけの画材をつくる。 | に共感する。 ||(2)| | || ・おもしろい。楽しい。 | 「この辺のでこぼこ感、ザラザラ感がいいね。」 || | | || ・ザラザラしているな。 | 「○○○みたいに見えるね。」 || | |う ||4、仕上がった画材を見合い、その |・仕上がった画材を見たり触ったりしながら、いろいろな画材の || | | || 画材のよさに気づく。 | よさに気づかせる。 || | | || ・○○○みたいだな。 |・画材の地肌感からかきたいものを思い浮かべさせる。うまく思い||(4)| | || ・これにしよう。 | 浮かべられない時は、視点を与え考えさせる。視点としては、 || | | 90分|| | 魔法の力で自分がしてみたいこと、なってみたいことを与える。|| | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | | 5、おおまかに下絵をかく。 |・参考作品を紹介し、細かい描線は難しいことを確認し、色チョ−ク| | |あ | ・古代人の絵みたいだな。 | などで素朴でおおまかな下絵をかくようにさせる。 | | |ら | |・絵の具がどの画材に対しても多様性があるので主描材として用いさ|(1)| |わ | 6、彩色を工夫する。 | せるが、ほかの描材の使用も工夫させる。 | | |す | ・おもしろい色合いだな。 |・地肌の感触を生かすように、地肌の色を考えるように助言したり、|(3)| | | ・いろいろなものでぬってみよう。| いろいろなぬり方(重色、点描、薄ぬり、厚ぬりなど)を紹介した| | | 160分| | りする。 | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |み | 7、自他の作品のよさを鑑賞し合う。|・いつもの画用紙にかく作品と比べて、どうちがうか考えさせる。 | | |あ | ・すてきだな。 |・自分の作品で工夫したところを考えさせる。 | | |う | ・楽しかったな。 |・自由に発表し合える、よさを見つけ合える雰囲気をつくる。 |(4)| | 20分| ・うまくいったよ。 | | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ 6、本時の学習   (1)ねらい 自分だけの画材を楽しみながらつくり、その画材のよさを味わう。   (2)展 開 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階 | 子供の活動 | 教師の支援 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1、新しい画材に興味を持ち、表現意欲|・参考作品を提示し、話し合いながら画材のよさに気づかせ、画材に対する | | | を高める。 | 興味を高める。 | |お | ・おもしろい。 | | | | ・どうなっているの? |・本時に活動することを提案する。 | |も | +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 提案| ザラザラ、デコボコ、バリバリ、シワクチャの画用紙をつくってみよう。 | | |う | +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |2、いろいろな画材のつくり方を知る。|・子供が持ってきた材料がザラザラ、デコボコ、バリバリ、シワクチャのどの| | | ・つくってみたい! | 制作方法に合うか話し合いイメ−ジさせる。 | | | ・たのしそうだ! |・画材の制作ビデオを見せながら、画材のつくり方を確認する。ビデオを途中| | | ・こんなものでもできるかな? | で止めながら、補助説明を加える。 | | 10分| |・作品づくりの見通しを持たせ、計画的に進めれるようにする。 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |3、いろいろな方法で自分だけの特別の|・失敗はないことを教え、思いきって表現ができるように助言する。 | |あ | 画材をつくる。 |・木工用接着剤の扱い方や砂等での安全面の指導をする。 | | | ・たのしいな。 |・確実に画材づくりができるように、接着剤などの材料を十分に与える。 | |ら | ・かんたんだ。 |・いろいろな方法をたくさん試させながら、それぞれの画材のよさに気づかせ| | | ・うまくいくかな。 | るようにことばがけをしていく。 | |わ | ・ザラザラしてるな。 | 「この辺のでこぼこ感、ザラザラ感がいいね。」 | | | ・この方法もおもしろい。 | 「○○○みたいに見えるね。」 | |す | ・どんな感じになるのかな。 |・思うようにできないでいる子には、ぬり加減や力の入れ加減などつまずきを| | | ・デコボコしてる。 | 把握しながら助言していく。 | | 40分| |・いろいろな画材づくりを試みて、それぞれのよさに気づくことができたか。| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |み |4、自他の画材を見合い、画材のよさに|・いつもの画用紙と比べてどうちがうか、気にいっているところや気にいった| |あ | 気づき、気にいった画材を選ぶ。 | 画材はどれかを発表させる。 | |う | ・デコボコがおもしろいね。 | | | | ・たのしかった。 |・自他の画材のよさを見つけることができたか。 | | 10分| ・この画材がいいな。 | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+