印刷用紙:A4縦 1ページの行数:49 1行の文字数(半角文字で):84               第1学年 公民科学習指導案                      日 時 1995年8月29日〜9月19日                       場 所 岩手県立遠野高等学校1年5組                       授業者 小西 寛(長期研修生)                       生徒数 男22名,女18名,計40名 1 単元名『環境とわたしたちの生活』 教材「人類と環境」 2 単元について   生徒はこれまでに,第1単元「現代社会における人間と文化」において,情報化社会・高  齢化社会・国際化などの現代社会の特質,現代社会に生きる人間の自我のめざめや生きがい  などの青年期の課題,そして現代世界の各国の文化の多様性・複合性,さらに日本の生活文  化と伝統について学習してきた。   そこで,本単元では,前単元までの学習をもとに,人間を取りまく様々な環境について人  間生活とのかかわりから理解させるため,科学技術の発達の意義と問題点,人口問題,都市  問題,資源・エネルギー問題,環境問題について学習することになる。特に環境問題につい  ては,自然と人間の調和の在り方について考えさせるとともに,生徒が生きていくうえで直  面する課題について自ら考え,判断をする人間としての在り方生き方を自覚する力の育成が  もとめられている。   生徒は,環境問題については関心はあるものの,学習内容を単なる断片的な知識としてと  らえ,自分との関係で考えたり,人間としての在り方や生き方の問題として論理的に考える  ことに乏しい傾向にある。また,地球規模の環境問題について基礎・基本から順序立てて学  習した生徒は少なく,環境問題の重要性は認識しているものの,体系的な理解は不足してい  るものと思われる。   そこで,本単元の指導にあたっては,地球規模の環境問題について基礎・基本を理解させ  るとともに,社会的事象を論理的に考え,人間としての在り方生き方の問題として考えさせ  るため,生徒自らがテーマを設定し,見通しを立て,既存の知識や考え方に新たな検討を加  えながら追究し,脈絡をもたせてその解決法や今後の在り方を述べることのできる『現社追  究新聞』作りを学習活動の中心として位置づけたい。そのことによって,高等学校「現代社  会」における論理的思考力を育てていくようにしていきたい。 3 単元の目標  ア 人間の生態系を乱す自然破壊の活動が,自らの生存の基盤をゆるがしているという問題   意識や関心を高め,課題を進んで調べようとすることができる。〔関心・意欲・態度〕  イ 環境を守ることの重要性に気付き,環境保全と開発との調和や,環境問題の最ものぞま   しい解決法や今後の在り方について考えたり判断することができる。〔思考・判断〕  ウ 地球規模の環境問題について,自分で資料を集め調査し,その解決法や今後の在り方に   ついて記述することができる。〔資料活用の技能・表現〕  エ 地球規模の環境問題について,その現状や課題,原因や背景,解決法や今後の在り方を   理解することができる。〔知識・理解〕 4 学習指導計画(11時間)    第1次 オリエンテーション−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1時間    第2次 地球規模の環境問題の現状−−−−−−−−−−−−−−−−3時間    第3次 地球規模の環境問題の現状や課題(見出し作り)−−−−−−1時間(本時)    第4次 地球規模の環境問題の原因や背景(記事作り)−−−−−−−2時間(本時)    第5次 地球規模の環境問題の解決法や今後の在り方(社説作り)−−2時間(本時)    第6次 評価会及び学習のまとめ−−−−−−−−−−−−−−−−−2時間 5 本時の学習指導  (1)「地球規模の環境問題の現状や課題」(見出し作り)   ア 目標   (ア)地球規模の環境問題について興味をもち,進んで自分の追究する課題を明確にする    ことができる。〔関心・意欲・態度〕   (イ)追究する課題を,自分の生活とのかかわりで焦点化し,『現社追究新聞』の見出し     や副題を考えることができる。〔思考・判断〕   (ウ)新聞全体の構成を見通し,見出しを位置づけ書き込むことができる。〔資料活用の     技能・表現〕 (エ)調べる項目を理解し,解決法の見通しをもつことができる。〔知識・理解〕  イ 展開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |段階| 学習内容・学習活動 | 指導上の留意点 | 資料等 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |つ |1『現社追究新聞』作りの手順と|・実物資料を提示し,生徒の興味|・資料「ガ| | | 内容を確認する。 | 関心をひくとともに,社会的事|ソリン車と| |か |2資料により,環境問題と自分の| 象と自分の生活とのかかわりを|ディーゼル| | | 生活とのかかわりについて考え| 考えさせる。 |車」 | |む | ることができる。 | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |調 |3見出し設定シートの内容と手順|・自分の興味や関心のあることを|・見出し設| | | を理解する。 | 中心に課題を設定することに注|定シート | | | | 意する。 | | | |4自分の追究したい課題を決め,|・課題が漠然としたものではなく| | | | 見出し設定シートに記す。 | 自分の生活と結びついた具体的|・資料「地| | | | なものであること,解決の見通|球規模の環| |べ |5資料を検討し,自分の調べる項| しの立つものであることを理解|境問題」 | | | 目を見出し設定シートに記す。| させる。 | | | | |・前時までの学習に基づき,具体| | | |6資料を検討し,解決法の見通し| 的な課題の例を10個程度示し,| | | を立て,見出し設定シートに記| 具体的に理解させる。 | | | | す。 |・調べる項目は,自分の課題につ| | |る | | いて, その現状, 課題が生じた| | | |7なぜ,その課題を選んだのか,| 原因や背景, 影響や役割,解決| | | | 自分の生活とのかかわりで見出| 法や今後の在り方は必ず入れる| | | | し設定シートに記す。 | ようにさせる。 | | | | |・机間指導を行い, 一人一人の進| | | | | 度にあわせて見出しづくりの助| | | | | 言をしていく。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |ま |8見出し,副題を決め,見出し設|・見出しは読者をひきつけるもの| | |と | 定シートに記入し提出する。 | にすることを注意させる。 |・『現社追| |め | |・進度の早い生徒は新聞の用紙に|究新聞』用| |る | | 見出しを記入させる。 |紙 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ (2)「地球規模の環境問題の原因や背景」(記事作り)   ア 目標    (ア)地球規模の環境問題についての現状や課題,原因や背景,解決法や今後の在り方に     ついて進んで取材活動を行うことができる。〔関心・意欲・態度〕   (イ)地球規模の環境問題について調べ,それらを整理しながら『現社追究新聞』の記事     を考えることができる。〔思考・判断〕   (ウ)新聞全体の構成を見通し,記事を位置づけ書き込むことができる。〔資料活用の技     能・表現〕    (エ)地球規模の環境問題についての現状や課題,原因や背景,解決法や今後の在り方に     ついて理解することができる。〔知識・理解〕   イ 展開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |段階| 学習内容・学習活動 | 指導上の留意点 | 資料等 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |つ |1自分の追究する課題を再度確認|・調べる内容,記事の構成を考え|・『現社追| |か | する。 | させる。 |究新聞』用| |む |2新聞作りの手順と内容を再度確|・解決法や今後の在り方を明確に|紙 | | | 認する。 | できる取材活動をさせる。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |調 |3見出し設定シートに記入した調|・最初は教科書,資料集を中心に|・見出し設| | | べる項目にしたがい,地球規模| 調べることに注意する。 |定シート | | | の環境問題について,現状や課|・設定した課題の参考となる資料| | | | 題,生じた原因や背景について| のある生徒は,資料を持参させ|・資料「地| | | 調べる。 | 調べさせる。資料のない生徒に|球規模の環| |べ | | は,参考資料を配付する。 |境問題」 | | |4調べた事項をノートに記入し,|・グループ毎に話し合わせる。 | | | | まとめていく。 |・様々な視点をもたせるため,反| | | | | 対の立場の考えも調べさせる。| | | |5課題の解決法や,今後の在り方|・机間指導を行い,一人一人の進| | |る | について検討を加える。 | 度に応じて助言をしていく。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |ま |6ノートをもとにして『現社追究|・小見出しを立てながらまとめさ|・『現社追| |と | 新聞』用紙に記事を記入する。| せる。 |究新聞』用| |め | |・イラストや,グラフ,図などを|紙 | |る | | 工夫させる。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ (3)「地球規模の環境問題の解決法や今後の在り方」(社説作り)  ア 目標   (ア)地球規模の環境問題の解決法や今後の在り方について,自分の考えを進んで検討し     深めることができる。〔意欲・関心・態度〕   (イ)環境問題について自分の考えを整理し直し,最ものぞましい解決法や今後の在り方     を筋道を立てて考えることができる。〔思考・判断〕   (ウ)『現社追究新聞』を完成させることができる。〔資料活用の技能・表現〕  (エ)調べたことをもとに,地球規模の環境問題についての解決法を検討し,最ものぞま     しい解決法や今後の在り方について理解することができる。〔知識・理解〕   イ 展開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |段階| 学習内容・学習活動 | 指導上の留意点 | 資料等 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |つ |1社説の意味と内容を再度確認す|・『現社追究新聞』教師版を示し|・資料「現| | | る。 | 社説のもつ意味や内容を把握さ|社追究新聞| |か | | せる。 |教師版」 | | |2新たな視点から,課題の解決法|・資料により,新たな視点からの|・資料「オ| |む | について自分の考えを見直す。| 考え方を理解させる。 |ゾン層」 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |3今まで調べたことや新たに気付|・前時までの学習の中で,新しく|・資料「社| |調 | いたことをもとに,地球規模の| わかったこと,気付いたことを|説作り」 | | | 環境問題の解決法や今後の在り| まとめさせる。 | | | | 方について,自分の考えをまと|・解決法について再度整理し直し| | | | め,ノートに記入する。 | 自分の考え方の根拠や理由を明| | | | | 確にさせる。 | | | |4最ものぞましい解決法や今後の|・原則として,課題の現状,解決|・『現社追| |べ | 在り方を「社説」として『現社| 法,他の視点からの考え,明確|究新聞』用| | | 追究新聞』に記入する。 | な根拠に基づく自分の考えの順|紙 | | | | 序に記述させる。 | | | | |・環境問題について自分では何が| | | | | できるかを考えさせる。 | | | | |・机間指導を行い,一人一人の進| | |る | | 度に応じて助言をしていく。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |ま |5『現社追究新聞』作りで学んだ|・誤字や脱字がないか,文体は統| | |と | ことや,感じたことを「編集後| 一されているかなどを確認させ| | |め | 記」として記入する。 | る。 | | |る |6新聞を完成させ,提出する。 |・起承転結を考えて記述させる。| | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+