印刷用紙:B4縦 1ページの行数:70 1行の文字数(半角文字で):118 美  術  科  学  習  指  導  案 指 導 者   小 松  太 1,日  時   平成7年 7月 7日(金) 第2・3校時 2,学  級   2年5組 男子16名 女子21名 計37名  北校舎4階第2美術室 3,主  題 「木彫鬼面」 4,主題について   これまでの絵画・デザインなどの平面学習をふまえて,立体という新しい次元の素材に触れることによって,平面と立体の違   いを感じとり,立体表現への関心を深め,さらに自分の表現能力・感性を伸ばすことをねらいにしている。鬼の面を木に刻むこ   とは,その鬼の面をかりて,人間のもつ感情(喜怒哀楽)・心を彫り表すことである。『怖い』『乱暴者』などの短絡的発想の   鬼ばかりではなく,もっと人間臭い,独創的な表情(心)をもつ鬼の面を追究させることで,ねらいに迫りたい。    素材は樹齢13年前後の桐の木の原木を半割りにしたものを使用する。生徒と同じ時代,同じ大気の中で育ってきた南部の桐   の木である。桐は,高級下駄やタンスなどの身近なところで利用されている素材である。木目が美しく光沢があり,耐湿,耐水   性に富んでいる。また,軽くて柔らかいことから,初めて立体を扱う本校の生徒には制作時(彫り)の抵抗が少なく,実態に適   した素材であると思われる。    生徒の制作は進度差が大きく,のこ入れ・ノミ入れを終え,やっと本彫りの段階に入った者からほぼ仕上げ彫りを終え,裏彫   りをしている者までいる。これは,意欲や態度の差ではなく,立体把握の能力の差の表れであり,生活経験や知的能力の差にも   大きくかかわっていると思われる。意欲があり一生懸命にやろうとするが,どこをどうすればよいのかという見通しをもてない   ままに,あるいは曖昧にしたままでの制作にならないように,小グループによる話し合いの充実と教師の適切な指導が必要であ   る。    本時は,自分が表現したい鬼の表情を再確認し,彫りの完成を目指す段階である。それぞれの制作段階に応じた制作内容や道   具の使用方法・注意点を明確にし,グループごとの話し合いや援助もし合いながら制作を進めさせる。既に仕上げの彫りを終え   た者には意図にあった着色・塗装の仕方を考えさせるとともに,他の生徒の制作アドバイザー的な役割もさせたい。最終的に,   自分の鬼の面に対する思いやその思いを伝えるための制作努力が,他の生徒にも理解されることで,さらに意欲的な制作になり   ,美術学習の満足感・成就感も持てるように工夫したい。 5,指導計画   (1)彫刻の分類・技法・道具について理解することができる。−−−−−−−−−−−−−−−0.5時間   (2)木彫の制作手順・方法を理解することができる。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−0.5時間  (3)鬼物語を創作することができる。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2時間  (4)自分の表現したい鬼の表情をスケッチすることができる。−−−−−−−−−−−−−−−−−2時間   (5)表情を決定し,実物大の三面図をを描くことができる。−−−−−−−−−−−−−−−−−−2時間  (6)桐の木に墨入れし,のこ入れ・ノミ入れをすることができる。−−−−−−−−−−−−−−−2時間  (7)自分の鬼のイメージを追究しながら制作することができる。−−−−−−−−−−−−−−6時間(本時5・6/6) (8)イメージに合った着色・塗装(表面加工)をすることができる。−−−−−−−−−−−−0,5時間 (9)互いの作品を鑑賞することができる。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−0,5時間 6,本時の達成目標 (1) 自分の表現したい鬼の表情を確かめながら,各部の彫りを深め,仕上げることができる。 (2) 仲間どおしで,表現効果を高めるための積極的な意見交換・アドバイスをしようとする。 7 本時の下位行動目標 a 自分が表現したい鬼の表情を確かめながら仕上げ彫りをすることができる。《創造的技能》 b 表情を効果的に伝えるための仕上げの彫りの工夫点を確認することができる。《関心・意欲・態度》 c 小グループ内で,表現意図と制作状況を発表し合い,仕上げの彫りの工夫点について話し合うことができる。 《発想・構想》《関心・意欲・態度》 d 各部(眉毛・目・鼻・口・しわ)の彫りの深さが表情を強めることを再認識することができる。 《創造的技能》《鑑賞》 e 教師の説明を聞き,本時の学習課題を把握することができる。《関心・意欲・態度》 f 前時の学習内容を想起し,自分の表現したい鬼の表情を発表し合うことができる。《関心・意欲・態度》 8 本時の評価の観点 (1) 自分の表現したい鬼の表情を確かめながら制作を進め,仕上げ彫りをすることができたか。 (2) 仲間どおしで,彫りの効果を高めるための積極的な意見交換・アドバイスをしようとしたか。 9 本時の展開 <個に配慮する視点>                   <A>達成度    <B>学習速度    <C>取り組み方    <D>見方・考え方    <E>興味・関心    +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |段|過|時| | 個  人  差  に  対  す  る   配  慮 | | | | | | 学  習  活  動 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 資料・教具等 | |階|程|間| | 評 価 の 視 点 ・ 方 法 | 留   意  事  項 | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | |(授業準備をする) | | | | | | | |元気にあいさつができる。| | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−+| | | | |課| 1,前時の学習内容を想起し,1|表現したい鬼の表情につ||1<D> |道しるべ | |導| | |自分の表現したい表情を確| いて発表することができた|| どんな願いを込めた鬼面 | | | | | |認することができる。 | |か。 ||なのか,道しるべで表現意 | | | | | | | +−−−−−−−−−−−+| | | | | | | | 指名発表 |図を確認させ,自分のイメ | | | | | | | G,M:表現したい鬼の表 |ージ(願い)どおりの彫り | | | |題| | | 情と実際の制作状況につ |になっているかどうかを振 | | | | | | |  いて発表することができ |り返らせる。 | | | | | | | る。 | | | | | | | | P:表現したい鬼の表情に | | | | | | | | ついて発表することが | | | | |把| | | できる。 | | | | | | 2,本時の学習課題を確認で| | | | | | | |きる。 | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−+ | | | |入| | | どこをどう彫れば,自 | | | | | |握| | 分の鬼の表情がはっきり | | | | | | 15| するのか。 | | | | | | |分+−−−−−−−−−−−−+ | | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | +−−−−−−−−−−−+| | | | | | 3,小グループで,お互いの|3|小グループで,自分の制|3<D>    三面図     | | |課| |制作を振り返り,表情をは| 作状況と表現意図を発表し|| 目鼻口などの各部の彫り 桐の木(鬼面)  | | | | |っきり(豊かに)させるた| お互いに,より良いものを||の深さに目を向けさせ,実 | | | | | |めに,工夫できるところを| 追究しようという姿勢で意||際にどう彫り進めたらよい | | |展| | |指摘し会うことができる。| 見を出し合うことができた||のかを話し合わせる。   |       | | |題| |            | か。         || また,三面図の側面との |   | | | | | | +−−−−−−−−−−−+| | | | | | |         | 机間指導    |比較をさせ,実際の彫りと | | | | | | | G:自分の制作について, |違いに気づかせることで具 | | | | | | | 表現意図とあわせて発表 |体的にどこをどれくらい彫 | | | |追| | | し,他へのアドバイスを |り刻めばよいかという意見 | | | | | | | することができる。 |交換をさせる。 | | | | | | | M:表現意図と制作状況を |<C> |  | | | | | | 発表し工夫したいところ | 机間指導で,教師も参加 |   | | |究| |            |  を発表することができる。|して具体的な意見交換をし |  | | | | |          | P:表現意図と制作状況を |てみせる。 |   | | | | |            |  発表し,アドバイスを聞 | |   | | | | | | くことができる。 | |       | | |・| | | | |   | | | | | | +−−−−−−−−−−−+| | | | | | 4,小グループでの話し合い|4|仕上げに向けて,工夫点||4<C> |彫刻刀・ノミ | | | | |を基にして,工夫できると| を明確にして制作を進める|| それぞれの表情追究をし |三面図用紙 | | | | |ころを追究しながら,それ| |ことができたか。 ||ながら,仕上げに向けて見 |サンドペーパー | | | | | | +−−−−−−−−−−−+| | | | |制| |ぞれの制作を進めることが| 机間指導 |通しを持って彫りを進めさ |万力 | | | | |できる。 | G,M:工夫点を明確にし,|せる。 |作業板 | |開| | | | 表現意図に基づいた仕上 | そのために,先に進んで |木づち | | | | | | げをすることができる。 |いる生徒にはアドバイザー | | | |作| | | P:他からの援助も得なが |としての役割もさせ,積極 | | | | | | | ら制作を進められる。 |的に生徒どうしのかかわり | | | | | | | 1. 各部の彫りを深め, |(教え教えられの関係)を | | | | | | |   より強い(めりはりの |持たせたい。 | | | |活| | | ある)表情に仕上げる | 必要に応じ,教師が机間 | | | | | | |   ことができる。 |指導をしながらアドバイス | | | | | | | 2. 裏彫りをすることが |を繰り返す。 | | | | | | |   できる。 | | | | |動| | | 3. 表面の仕上げの効果 | | | | | 80| |   を考えてサンドペーパ | | | | | |分| | ー等で仕上げができる。| | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |ま| 5,教師の話を聞きながら,| |5<C> | | | |と| |学習・制作を振り返り,本| | 道しるべに,本時の学習 |道しるべ | |終|め| |時のまとめ,自己評価をす| |制作の成果や感想,次時へ | | | |・| |ることができる。 | |の課題等を記入させ,2〜 | | | |次| 6,次時の学習内容を確認す| |3名に指名して発表させる。 | | | |時| |ることができる。 | | | | | |の| 7,本時の成果や感想を発表| | | | | |予| |できる。 | | | | |結|告 5 | | | | | | | |分|元気にあいさつができる。| | | | | | | |(後片付けができる。) | | | | +−+−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+