印刷用紙:B4縦 1ページの行数:52 1行の文字数(半角で):102   −−以下 指導案本文−−                第2学年美術科学習指導案                               日 時 平成8年11月14日(木)5校時                                学 級 2年6組                                 (男子20名、女子16名、計36名)                                場 所 2年6組教室                                授業者 千田 敏文 1、単元名        木彫り「飾り箱をつくろう」 2、単元について (1)教材観について  現代の生活環境は既製品が多く、欲しいものはすぐ手に入り、いらなくなれば簡単にものを使い捨てる。また、 流行品に惑わされている傾向も少なからず感じられる。そこで、実際に自分の手でものをつくるという経験を通し て自分たちを取り巻く環境について考えさせ、ものを大切にしていく心のやさしさを取り戻してほしいと考えた  この単元では、木を彫っていくことにより、木の木目や色が違っていることや自然の持っているあたたかみを感 じさせ、木は均質で画一的でないことを気づかせ、木の性質を生かし装飾的なデザインを考え、木彫りの基礎技法 を学び、時間をかけて木を彫っていくことにより、手づくりの楽しさと出来た喜びを味わわせていくことがポイン トになる。 (2)生徒の実態について  生徒は中学校へ入って初めての木彫りである。1学期中は「立体感のある平面構成」に取り組み、投げ出さずに 完成させた。 木彫りについて調査したところ、今まで取り組んだことがあるという生徒は35人中30人おり、初めという生徒 は5人であった。しかし、彫刻刀を使っての木彫りは線を彫るだけの単純なものである。また、木彫りに興味があ る生徒は13人で、その理由として「おもしろい」「たのしい」「完成が楽しみ」が多かった。興味がない生徒は 21人で、その理由として「おもしろくない」「時間がかかる」「めんどう」「うまくいかない」「普段使えるも のがない」「木彫りがうまくても意味がない」という答えがあった。男女の割合からいうと女子が興味が薄いこと がわかった。絵画の方が興味があることもわかった。このことから、普段から工芸に対してなれ親しんでいないこ とがわかる。 普段の授業では落ち着いた雰囲気で取り組んでいるが、1部に協調性が不足している生徒もみられるが、デザイン や制作については能力的に高い生徒が多く、個々の目標が定められてくると自ら取り組める生徒である。 (3)指導観について  木彫りは工芸の分野のなかでも、もっとも一般的な工芸品であり、木材の性質を知り、木彫りの基礎技法が理解 されると意欲的に取り組める題材である。それには、個々の生徒が課題を明確にし、毎時間の目標を立てることが 意欲的な学習活動につながると考える。 木彫りに興味が薄い生徒が多いため、木彫りのデザインにあたって、漠然と考えるのではなく、技法・材質を理解 させデザインを構成していくところから独創的な様式の木彫りが表現できるということに気づかせていきたい。 3、単元の目標 (1)関心・意欲・態度  身の回りにある工芸品に興味、関心をもち、大自然から生まれた木とていねいに向かいあわせ、その素材のすば らしさを知り、装飾的で美しい木彫のデザインを考え、木目を生かした表現効果と自分の作品独特の美しさを出す 工夫が出来る。 (2)発想や構想の能力  彫りの効果を生かし、装飾的で美しい木彫のデザインができる。 (3)創造的な技能  木彫の基礎技法を理解し、手づくりの味を十分生かして彫ることができる。 (4)鑑賞の能力  作品のデザイン、技法、仕上がりなどの点から、材料の生かし方や仕上げの美しさを感じとることが出来る。 4、指導計画と観点別評価計画   『木彫 〜 飾り箱をつくろう』 +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |時数| 学習内容 |関心・意欲・態度|発想や構想の能力| 創造的な技能 | 鑑賞の能力 | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |木の性質、工芸につ|工芸に関心を持ち| | |参考作品について| | |いて知る |さらに木の性質や| | |感想を発表できる| |1 | |装飾について関心| | | | | | |を深める。 | | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | |自然物や幾何学模|彫りの効果を生か|装飾性のあるデザイ| | | | |様に興味関心を持|して装飾性のある|ンを構成することが| | | | |つことができる |デザインができる|できる | | |2 |アイデアスケッチ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | |明暗をつけて、ど| | | | | | |こを彫るか理解で| | | | | | |きる | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |下図を木に描く |美しい図柄ができ|どこを彫りすすめ| | | | | |たか確認ができる|るか確認をしなが| | | |1 | | |ら下図を描くこと| | | | | | |ができる | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |下図に仕切りときっ|木彫りから表面処|仕切り・きったて|制作の仕方を理解し| | |1 |たてをし荒彫りをす|理までの制作過程|を理解し制作に入|丁寧に仕切りができ| | |本時|る |が理解できる |ることができる |る | | | | | | | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |木彫り |木彫りの基礎技法|彫刻刀を正しく使|図柄に合わせた彫り| | |7 | |を理解し彫りを進|い彫りを進めるこ|を、丁寧に進めるこ| | | | |めることができる|とができる |とができる | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |表面処理 |素材を生かすため|やすりがけをする| | | | | |の表面処理である|ことができる | | | | | |ことが理解できる| | | | |3 +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |塗装 |塗装の仕方がわか|ニスの塗り方がわ| | | | | |り |かり、効果的に塗| | | | | | |ることができる | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | |鑑賞 |お互いに鑑賞しあ| | |・自分の作品の感| | | |い、気付いたこと| | |想を発表できる | |1 | |を話し合おうとす| | |・お互いに鑑賞し| | | |る態度を持つこと| | |あい気付いた点を| | | |ができる | | |話し合う | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ 5、本時の指導 (6 / 16) (1)題材   『木彫 〜 飾り箱をつくろう』 (2)本時の目標    @ 木彫りの基礎技法を理解し、彫りを進めることができる。    A 集中力を持って、計画的に表現することができる。 (3)学ぼうとする力を育てるための工夫    @ 個別指導を重視し、疑問点を解明し、生徒一人一人の良さを生かすようにする。    A 自己評価カードを活用し、本時の活動を振り返らせ、次時への意欲付けを図るとともに制作の見通しを      持たせる。 (4)本時の展開 +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | | 学 習 内 容 | 生 徒 の 活 動 | 教師のはたらきかけ | 資 料 | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ | |1、前時の想起 |・用具を準備し、進度を確かめ|・仕切り彫りと本彫りであるこ|自己評価カー| |導| | る。 |とを確認し、自分の進度を確か|ド配布 | | | | |めさせる |材料 | | | | | | | |入| |・仕切り彫りの意味と木彫りの|・仕切り彫りの意味と本彫りの|模造紙 | | | |基礎技法を確かめる。 |基礎技法を理解させる。 |片切り彫り | | | | |・彫刻刀とカッターの正しい使|薬研彫り | |10| | |い方を理解させる |菱合い彫り | | |2、課題の設定 |・課題を確認する | |かまぼこ彫り| |分| |+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |仕切り彫り | | | ||正確に仕切り彫りをし、てい | | | +−+−−−−−−−−−−++ねいに本彫りをしよう +−+−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | | | | |+−指示−−−−−−−−−+| | | |3、課題追求 |・初めに彫る部分を確かめてか||初めに仕切り彫りの部分を||机間指導によ| | | (彫刻) | ら彫りに入る。 ||確認し仕切り彫りをしなさ||り理解不足の| |展| | ||い。 ||生徒への個人| | | | |+−−−−−−−−−−−−+|指導をする。| | | | |仕切り彫りにはカッターを使う| | | | | |ことを確認させる。 | | | | |・適切な彫刻刀を選び彫りを始|+−指示−−−−−−−−−+| | | | | める。 ||仕切り彫りの後に本彫りを|| | | | | ||しなさい。その時、仕切ら|| | | | | ||ない部分はそのまま本彫り|| | |開| | ||にはいりなさい。 || | | | | |+−−−−−−−−−−−−+| | | | | | | | |30| | | | | | | | |◇彫りが理解できない生徒、ま| | |分| | |だ、彫り方が定まっていない生| | | | | |徒への援助を行ない励ましてい| | | | | |く。 | | | | | | | | | | | |◇カッターと彫刻刀の使い方に| | | | | |気をつけさせる。 | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ |終|4、後片付け |・彫刻刀を片付け、木屑を片付| 指示−−−−−−−−−−+|彫刻刀の刃は| |結| | ける。 ||彫刻刀と木屑を片付けよう||しっかりと拭| | | | |+−−−−−−−−−−−−+|いて片付ける| |10|5、まとめと評価 |・本時を振り返り自己評価カー||指示−−−−−−−−−−+| | |分| | ドに記入する。 ||今日の自己評価をしよう ||作品は収納箱| | | |・作品を鑑賞する |+−−−−−−−−−−−−+|にしまわせる| | | | |・友達の作品を鑑賞させる | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ (5)評価の観点   @ 意欲を持って授業に参加し、ていねいに仕切り彫りや他の彫りができたか。   A 集中して計画的に制作に取り組み、次時の課題をつかめたか。   B 仕切りと木彫りの基礎技法を理解し、彫りを進めることができたか。