印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−                 美術科学習指導案               3年C組 平成8年11月20日(水) 5校時 指導者 菊地 仁美 題材名 『石彫〜イメージを形にする』 1.題材と生徒 (1)題材について    物事のとらえ方、考え方が大きく進歩する中学3年生にとって、頭に浮かぶさまざまなイメージ    を、具体的な再現の枠から一歩踏み出し、抽象的で自由な形体として表現することは興味深いもの    と思われる。   テーマの表現は抽象形のみに限定し、スケッチやモデルの作成により、形体を十分に検討させた    い。     一般に抽象は敬遠されがちではあるが、素直で自由な表現としてとらえさせれば、より身近なも    のとして理解され、表現の幅も広がり、表現活動の内発的な意欲も高まるのではないかと思われる。    素材はネオ大理石を用い、自然の素材がもつ魅力を十分に感じさせながら制作に当たらせたい。     また、これまでに扱った素材に比べて抵抗感は大きく、制作態度にも粘り強さが要求されるもの    であるため、使用する用具の扱い方や素材の特徴をしっかり理解させながら取り組ませることが必    要である。     基本的には工芸の分野であるが、制作の過程において、絵画・デザイン的な要素も取り入れられ    総合学習的な、発展性に富んだ素材と言える。     思いのままに自由な発想で遊び心を加えながら興味を持って取り組めるものと思われ、完成時の    達成感も大きいものと思われる。 (2)生徒について    生徒会をはじめとする校内の中心的存在としての活動を終え、落ち着きを持って本腰入れて学習    活動に取り組める時期を迎えた。   1学期に取り組んだ自画像制作では発想の奇抜さ、面白さはあるが表現を深めて行こうとする粘    り強さ、意欲に欠ける面が見られた。   今回は抵抗感の大きい素材を設定することにより、じっくり腰をすえて取り組む態度をうながし    たい。   現時点では形体追及に向けてほとんどの生徒が集中力を持続して取り組んでいるが、構想を変更    し、思いつきで形を変えてゆく生徒も目だって来たのでテーマとの関連性を再確認させ、計画的な    な作業を心掛けさせ、客観的に冷静に自分を見つめる目が育っているこの時期に自分に関するテー    マをどのように形体をとして再現するかを自主的に考える姿勢を養いたい。 (3)学習活動について    1学期に制作した「構成自画像」に引き続き、新たに現在の自分をテーマとし、それにあった形    体を粘土による試作やスケッチなどで検討させた。   素材が不定形で個人差があるので、形によって構想を修正させ、また中間発表会ではよりテーマ    にあった形体追及に向けて意見交換ができるような指導を試みたい。自分にあった用具の選択、彫    りの段階に応じた用具の扱い方は個別指導を中心に随時行った。テーマと形体との関連が明らかに    なるような評価の仕方も工夫したい。 2.主な学習内容と育てたいこと ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 時数 主 な 学 習 内 容 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |||現在の自分を見つめ直し、自分を表すテーマを探そう。| | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ||・現代彫刻、生徒作品など参考作品を鑑賞し、テーマと形体との関係を考えさせる。 | 1|・素材や用具の使い方を知り、学習活動についての見通しをもつ。 | ||・「構成自画像」制作の事前の作文を読み返し、現在の自分についての作文を書く。 | ||・作文をもとに新たな自分についてのテーマを設定する。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ||| イメージしている形体をスケッチしながら構想を立てよう。 | | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ||・抽象形についてのイメージトレーニングをする。 | 1|・テーマをもとに、イメージしている形体を構想図をかいて確かめる。 | ||・三面図をかき、立体としての形体を把握する。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−−−−+ | |||紙粘土で試作品を制作しよう。| | ||+−−−−−−−−−−−−−−+ | 1|・構想図をもとに紙粘土で試作品を制作してみる。 | ||・試作品を見ながら三面図を修正・確認してみる。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |||イメージにあった材料を選び取ろう。| | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ||・イメージにあった材料を選び取り、構想図・三面図をもとに材料にフェルトペンでデッサン| 1| をかきこむ。 | ||・材料の質や用具の使い方を理解する。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |||試作品や構想図をもとにして彫りをすすめよう。| | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 7|・粗彫りをすすめる。 | ||・自分にあった加工法、用具の使用法をよく考えながらすすめる。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 1||構想の修正をし、テーマに適した形体を追及しよう。| | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | /|・グループでの中間発表会を行い、相互評価をする。 | 1|・テーマに基づいたイメージ通りの形体になっているかを検討し、構想に変更があった場合は| || 構想図・三面図を修正する。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |||イメージにあった形体を確認し、彫りの作業を継続しよう。| | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 4| ・修正された構想図・三面図をもとに作品に多方向からデッサンをかきこみ、彫りをすすめ | || る。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 2||表面や細部を整え、作品を完成させよう。 | | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | ||・表面や細部の仕上げ彫り、研磨の作業を行い、作品を完成させよう。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||+−−−−−−−−−−−+ | |||作品の鑑賞会をしよう。| | ||+−−−−−−−−−−−+ | ||・評価カードによりテーマと形体との関連が明らかになるような自己評価をする。 | 1|・表現意図や方法の違いを理解して、自他の作品の良さ、反省を明らかにし、次の表現活動に| || 生かせるようにする。 | ++−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 育     て     た     い     こ     と | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ |素直な感受性と美を味わう力 | 自己表現力と鑑賞の能力 | かかわりあう力 | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 参考作品を鑑賞し、テーマと形 1学期にかいた作文を再読し、 ・自分と密接にかかわるもの | 体との関係を考える。 現在の自分の内面を表す作文を や事柄の中からテーマをさが | | 書く。 し出す。 | | | ・参考作品についての感想を | | | 発表する。 | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 抽象形についてのイメージトレ テーマをもとにイメージしてい 互いにテーマや構想図を発表 | ーニングをし、テーマにそった る形体を構想図をかいて確かめ しあい、自分の作品について | 形を簡単に書く練習をする。 る。 も検討する。 | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 構想図・三面図をもとに試作品 紙粘土で試作品を制作し、彫り テーマに対して形体が適切か | 作りの構想を立てる。 すすめる形体についてのイメー を仲間とともによく検討する。 | ジを具体的なものにする。 | | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 構想図や試作品をもとにイメー 構想図や試作品をもとに材料の 仲間の作業を見ながらデッサ | ジにあった材料を選び取る。 各面にそれぞれの方向から見た ンのかき込み方を工夫する。 | | デッサンをかきこむ。 | | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 材料の質や用具の特徴をよく理 テーマに基づいて、常に構想図 材料の特徴・用具の使用法な | 解しながら彫りの作業を進める。にそって材料にデッサンしなが ど情報交換しながら能率的に | | ら形体を追及する。 作業をすすめる。 | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ イメージ通りの形体になってい 構想図と現時点での形体を照ら 中間発表会を行い、相互評価 | るかを確認する。 しあわせ、必要であれば修正し をしながらテーマとの関連性 | | ながら、よりテーマに適した形 を検討する。 | | 体を追及する。 | | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 修正された構想図を確認し、多 完成を意識した丁寧な彫りを進 仲間と協力して学習活動を進 | 方向からデッサンをかきこむ。 める。 める。 | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 構想図・三面図と照らし合わせ 細部や表面を整えて作品を完成 磨き方や仕上げ彫りの仕方な | 彫りの作業を完結させる。 させる。 の技法を確認しあう。 | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ お互いの作品の良さを味わう。 自己評価により制作のまとめを お互いの作品を鑑賞し、感想 | | する。 を発表しあう。 | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ 3.本時の指導 (1)題材名 「石彫〜イメージを形にする。」 (2)目標   合評会を通して、テーマと形体との関連を明らかにさせ、よりテーマにあった形体の完成に向け     ての意欲を喚起する。 (3)授業の構想    テーマに適した形体が適切に表現されているものをグループの合評会により選出させ、テーマ表     現意図などを発表させたい。彫りの作業の途中経過の自己評価も含め、自他の作品の良さや課題     を明らかにさせることにより、完成に向けての見通しを持たせたい。 (4)展開 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 生 徒 の 活 動 時間| 留 意 点 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | ・学習プリントや作品を見ながらそれぞれ自 | ・他クラスの生徒作品等も準備し学習の雰囲 | | 分のテーマや表現意図などを確認する。 10| 気作りをしておく。 | | | ・何人かの生徒にテーマを発表させる。 | | +−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+ | +−−−−−+ 中間発表会を行い、テーマに適した形を検討しよう。 +−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+ | ・本時の課題を確認し、班ごとの合評会を行 | ・合評会の持ち方を説明する。 | | う。 | ・観点・基準が明確になるように合評会カー | | | | ドを準備しておく。 | ・班代表作品を選出し、全体発表会を行う。 30 ・お互いの作品の良さ、自分の作品の課題が | | | | よく把握できるようにする。 | | | ・必要があれば構想図などを修正し、より適 | | | | した形体を追及することをうながす。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ・これまでの制作を振り返り、自己評価をす | ・自己評価用のカードを準備しておく。 | | る。 10 ・次時からの制作に生かせるようにきちんと | | | | 評価させる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+